今回はAfter wayの2話目!卒業旅行のお話です。あれ、雪の結晶ってなんだ?ダイヤモンドダスト?それとも………?
あと、今回は久しぶりにナオキ視点で書かせて頂きます!
───トンネルを出るとそこは雪国だった。なんて誰かが言ってたけど、誰だっけな?
おれは今、新幹線に乗って
新函館北斗駅に着いたけどすごく寒い……やっぱり着込んできて正解だったな。もうすぐ春が本格化してきて暖かくなるのに、外には雪が積もっていてついついはしゃぎたくなる。こんなに積もった雪は最近はあんまり見ないな。雪が降ることさえ少なくなってきたし。
さてと、確かこの駅からまた電車に乗るんだったよな……戻るか。
───新函館北斗駅から景色を楽しみながら電車に乗って、おれは五稜郭駅に到着した。そこからしばらく歩くとかの有名な五稜郭に着く。
五稜郭は15世紀半ば以降にイタリアで発生した築城方式である『星形要塞』の城郭だ。でも五稜郭の場合は『
徳川 慶喜が朝廷に政権を渡した(返した)大政奉還の後、ここは明治新政府に『箱館府』が置かれた。しかし箱館戦争で
弁天台場での戦い。ここで戦死したのはかの有名な元新撰組副長、
と諸説あることを長々と語ってしまったけど、おれはそんな五稜郭をくまなく見たいと思う。
───ふぅ、すっかり堪能してしまった。
げ、もう夕方か。そろそろ旅館に向かわないとな。旅館は函館駅の近くにあるらしいから早く行かないと。キャリーバッグも届いてるはずだ。
「ようこそいらっしゃいました。ご予約の香川様でございますね?」
「はい。すみません、おじも来るはずだったんですけど」
「とんでもございません。お客様に来て頂くことが我々の幸福でございます」
ホテルに着くと旅館の仲居さんが丁寧に出迎えてくれて、そのまま部屋まで案内してくれた。変な巡り合わせか、部屋の名前は『柳の間』だった。
汗をかいたおれは部屋の入り口に『露天風呂使用中』という札を立て掛けて備え付けの露天風呂に浸かることにした。
「お〜すごい景色……でも寒い」
露天風呂の扉を開けるとそこに広がっていたのは五稜郭の向こう側にある山に雪が積もっている光景だった。さらに夜景も綺麗で、なんとも贅沢な景色を楽しみながら露天風呂を満喫できた。
部屋着である浴衣に着替えて入り口に立て掛けてあった札を取り外しているとちょうど仲居さんが来て、ご飯をもうすぐ持ってきてくれると教えてくれた。話によると北海道の名産を食べさせてくれるということで想像しただけでお腹が鳴ってくる。
仲居さんは数名で料理を運んできてくれると各料理の説明をしてくれた。カニ、ソウルフードのジンギスカン、新鮮な海の幸を使用した寿司・海鮮丼・炉端焼き、そしてザンギと呼ばれる唐揚げ……どれも1度食べたら箸が止まらないほど美味しかった。
ご飯を食べ終わると仲居さん達が食器を下げてくれて、しばらくすると布団を敷きに来てくれた。流石はプロ、布団を敷くにもテクっていた。絵里と今日の思い出を話しながら静かな夜を過ごして、満腹の感覚と旅の疲れからか眠気に襲われて、今日は早めに休むことにした。
朝、起きて寝癖を直して朝ごはんを食べるために1階の大食堂に向かった。朝ごはんはバイキングで、メニューは選り取り見取りで何を食べようか迷ってしまった。
「ねぇ、あれってμ'sの……」
「本当……!?北海道に来てるんだ……!」
「どうする?声掛ける?」
「でもプライベートでしょ?迷惑じゃない?」
隣の席の女の子達のこそこそ声が聞こえてきてしまった。でも流石に卒業旅行で囲まれるのは勘弁したいから、ここはあの子達に静かに伝えよう。おれはそのこそこそ話している女の子達の方を向いて「内緒にしてね」と差し指の先を鼻先に当てながら口パクで言うと、女の子達は激しく頷いてくれた。これで騒ぎは事前防止できたな。
───しかし、この時ナオキは思わなかった。この行為が自分の株を上げると共にこの旅に一波乱を起こすことになることを───
「どうもお世話になりました」
「またのお越しをお待ちしております」
お土産を買って、仲居さんに見送られながらおれは次の目的地へと向かった。次来る時があったらまたこと旅館に泊まらせてもらおう。
次に向かったのは函館湾の側に並ぶ金森赤レンガ倉庫だ。倉庫を含めた一帯は重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。この歴史は金森洋物店がきっかけだと言われている。
そろそろ腹減ってきたな。どこか軽く食べれるところあるか検索してみよう。ラッキーピエロは……やめよう。こんなハンバーガー食える気がしない。おっ、近くに白玉ぜんざいが食べれるところがあるのか。ちょって行ってみるか。
「えっと……ここか」
ネットに載っていたのと外見は同じ。木造建築の屋敷風のお店で、その前には木があって所々に若干雪が積もっている。メニューと暖簾、看板も出てるしここであってるだろ。ネットに載っていた情報によると、ここは大正時代に建てられた屋敷をそのまま使っているらしい。ぜんざいもだけど、大正時代の建物で食べられるというのも楽しみだ。まさに甘いものと大正の雰囲気を味わえる最高の
「いらっしゃいませ〜」
扉を開けるとその音で入店がわかったみたいで奥から店員さんと思しき女の人の声がした。入り口ももちろん当時のもので石畳が敷かれているし、きっとここで靴を脱ぐんだろう。とそんなことを考えていると店員さんがこちらに来ていた。
店員さんは女の子で恐らく高校生ぐらいだろう。お店の服も大正浪漫風で、その子は黄色っぽい着物の上に白いエプロンを掛けていて、頭にも白いひらひらしたカチューシャをしている。
「すみません、1名で大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫で……す………」
玄関から見ることができる内装からその店員さんに目を移すと、その子はおれを見て瞬きを何回もしながら急に黙り込んでしまった。
「えっと……どうかしましたか?」
「えっ、あっ、す、すみません!えっと、失礼ですが、あなたはμ'sの……」
「あぁ、はい。μ'sの香川ナオキです。知っててくれたんだね、ありがとう」
その子はμ'sのことを知っててくれたみたいで、おれが名乗ると毛を逆立てて奥に向かって走っていった。
「
「嘘!?とりあえず、姉様落ち着いて!」
そんな声が聞こえると奥からさっきとは別の女の子、多分理亞って子が顔を覗かせて来た。おれが小さく手を振ると驚いて顔を引っ込めた。しかもその顔はさっきの子と似ていて、さらに「姉様」って呼んでたからきっと姉妹なんだろう。
「ほ、本物だ……!」
「ど、どうしましょう!まさかこんなところで会えるなんて。とりあえずお店を貸し切りにした方が……」
「しかもこんな時に限ってお母さん達もいないし……」
「えっと……とりあえず入って大丈夫かな?」
「「は、はい!どうぞ!」」
2人は慌てて顔を覗かせて仲良く声を合わせていた。やっぱり姉妹なんだな。とりあえずおれは靴を脱いで入店させてもらった。
カウンター席に案内されたおれは名物の『とうふ白玉ぜんざい』を注文してその席から見える内装を眺めていた。
「本当に貸し切りにしなくても大丈夫でしたか……?」
「はははっ、大袈裟だって。大丈夫だよ」
「……そうですか」
「あ、お手洗いはどこかな?」
「お手洗いはあちらです」
「ありがとう、ちょっと借りるよ」
おれがトイレに入るとほぼ同時に入り口の開く音がした。結構人気なんだな。
「聖良!ちょっと聞いてよ!」
「ど、どうしたんですか?そんなに慌てて」
「それがね、μ'sが北海道に来てるらしいの!しかもこの近くに!」
…………あれ?
「へ、へぇ〜、そうなんですね」
「そうなの!『北海道にμ'sがいた!函館に!見てたらこっちに気付いてくれた!』って書き込みがあってね」
あの時だ〜!あの子がきっと書き込んだんだ。やっぱりあんな時は無視した方が良かったのか?個人名は書き込まれてないみたいだけど、まさかこんなことになるとは。
「それでね、
まずい……お願い、話さないでくれ……!
「うーん、お客さんは来てるけどμ'sは来てませんね。是非うちのぜんざいを食べて欲しいのですが」
「そうだよね!だってここのぜんざいは絶品だもんね!まさに、函館の宝!」
「それは言い過ぎですよ」
「だって本当のことだもん!じゃあ私、他のとこ行ってみる!またね!」
「はい、また」
「ふぅ……あの、もう大丈夫ですよ?」
訪ねて来た友達に聖良と呼ばれた店員さんはそっとドア越しに声をかけてくれた。それを聞いて安心しておれはトイレから出た。
「ははは、ありがとう。助かったよ」
「いえ、とんでもないです」
「黙っててねって言ったんだけどな〜」
「あ、そろそろぜんざいができますからお先にどうぞ」
「おっ、ありがとう!」
いよいよぜんざいを食べられるのか!楽しみだ!
「……どうぞ」
「お〜美味しそう!ありがとう」
「い、いえ」
席に戻ると奥から理亞ちゃんがぜんざいを運んできてくれた。お盆の上の容器の中にあんこと白・ピンク・黄緑のぜんざいが入っていて、別で漬け物とお茶も付けてくれていた。どうやらこれがセットなんだろう。
「いただきます……んっ、美味しい!」
「「あ、ありがとうございます!」」
「って、なんでまたそこに。こっちに来ても大丈夫だよ」
「は、はい……」
またおれから離れて覗くように見ていた2人は仲良く遠慮しがちにカウンターに出てきた。
「確か……聖良ちゃんと理亞ちゃんだったね」
「「は、はい!」」
「姉の
「妹の理亞です」
妹の理亞ちゃんの店の服は基本聖良ちゃんと一緒だけど、着物の色がピンクだった。
「香川 ナオキです、よろしく。さっきの話聞いちゃったんだけど、聖良ちゃんはスクールアイドルを目指してるの?」
「目指してるというか……私、再来年高校生になるんです。そこでスクールアイドルをしようかと」
「お〜、そうなんだ!」
「ですが昔、理亞と2人で約束したんです。『一緒にスクールアイドルになろう』って」
理亞ちゃんは聖良ちゃんの言葉に同意するようにコクコクと頷いた。
「理亞ちゃんは何年生なんだ?」
「私は次で中学1年生、です」
「そしたら活動するのは……」
「はい。私が3年生、理亞が1年生の時です」
「でも、それでも私は姉様と一緒にスクールアイドルがしたい!」
高校生でスクールアイドル活動をしようとすれば、聖良ちゃんが3年生の時の1年間しか活動できなくなる。絵里も「もう少し早く穂乃果達やスクールアイドルに出会えたら良かったな」と言っていた。聖良ちゃんもそんな淡い後悔を抱くのではないかと思ったけど、2人を見てる限りそんなことはなさそうだ。
「それに、その時に向けて2人で練習もしてるんです」
「すごいな……」
『姉妹でするスクールアイドル』にそれ程まで強い思いがあるなんて。これはこの子達が出てくるラブライブ!が面白くなりそうだな。
「それにユニット名も決まってるんです。雪の日に見つけた雪の結晶……
「Saint Snowか……いい名前だね」
「ありがとうございます」
「あ、あの、ひとつ聞いてもいいですか?」
「いいよ。ひとつと言わず何個でも」
そう言うと理亞ちゃんはとても嬉しそうな表情を一度浮かべたけど、すぐに真面目な顔に戻ってしまった。
「あの、A-RISEってどんなスクールアイドルだと思いましたか?」
その目はとても真剣だった。その眼差しに当てられたらついつい色々話す気になってしまった。
「A-RISEか……最初は度肝をぬかれたよ。あれは並大抵の練習じゃ身に付かない実力だ。歌唱力・ダンス・魅力のどれにおいてもトップクラスだ。素質があったんだ、
「スクールアイドルではなく?」
「スクールアイドルとしても、プロのアイドルとしてもだ。特に一緒にライブをして、ずっと観察してきてビンビン感じたよ。穂乃果だってA-RISEのライブを見てスクールアイドルになりたいって思ったぐらいだしな」
「そうなんですか!?」
「そうだ。穂乃果は学校を救うにはどうしたらいいだろうって考えている時にA-RISEのライブを見たんだ。A-RISEのパフォーマンスを見て『学校を救うにはこれしかない!』ってな」
「……でも、そんなA-RISEにμ'sは勝ったんですよね?」
「あぁ。でも最初みんなは自信がなかった。だってあのA-RISEに勝たなきゃ本戦に出られないんだからな。でもみんな勝つために、精一杯輝くために必死に練習した。そしてその結果勝ったんだ」
「つまり、私達もA-RISEにみたいになろうとするならもっと練習しないと……!」
「私達、A-RISEに憧れてスクールアイドルを目指そうと思ったんです。だから私達の"目標"はA-RISEみたいな他者を圧倒するパフォーマンスなんです」
「なるほどな。でもおれは
「……どういうことですか?」
「怒らないでくれ、決して君達の目標を否定するわけじゃない。ただ、A-RISEのパフォーマンスはA-RISEにしかできない。君達Saint SnowにもSaint Snowにしかできないパフォーマンス、個性があるはずだ」
「「っ……!」」
「つまり、目標にすべきはA-RISEというスクールアイドルではなく──」
「──自分達にしかできないパフォーマンスをすること……」
「そういうこと。目標のスクールアイドルや人がいると、いつかそれと同じ道ではないと許せなくなってしまう。そんな自分に嫌気がさしてきてしまうんだ。だからその道を進む……A-RISEの背中を追いかけるんじゃなくて、唯一無二のSaint Snowになって欲しい。あくまでA-RISEは"憧れ"に留めて欲しい……っておれは思うぞ。まぁ、どう思うかは君達の自由だ。おれはそれを否定もしない」
ちょっと言い過ぎたかな?と思いつつ残りのぜんざいを美味しくいただいた。
「あ、ありがとうございます。その言葉、大切にさせてもらいます」
「い、いいよお礼なんて!頭を上げてくれ……!」
こういうのやっぱりちょっとこそばゆいから苦手だ。しかし、理亞ちゃんはいい子だなぁ。
「あ、そうだ。私達、前回のラブライブ!見に行ったんです」
「そうなのか!?わざわざ東京まで来てくれたんだ!ありがとう」
「とても感動しました!ね、理亞?」
「う、うん……」
結構理亞ちゃんは恥ずかしがり屋だな。さっきまでの威勢が嘘のようだ。でもこの2人、面白いぐらい性格が逆だ。聖良ちゃんは社交的な感じがする。
「あ、そうだ。サイン書こうか?さっきも助けてもらったし、これも何かの縁だろうし」
「い、いいんですか!?」
「勿論だ。申し訳ないけど、色紙3枚とマジックを貸してもらえるかな?」
「は、はい!理亞、部屋から取ってきてください」
「わかった!」
「そんなに急がなくても大丈夫だよ〜。聖良ちゃん、ぜんざいもうひとつ貰えるかな?」
「はい、喜んで!」
聖良ちゃんに同じぜんざいを作ってもらってる間、このお店と聖良ちゃんと理亞ちゃん宛にサインを書かせてもらった。お店用のものは写真付きで丁寧に飾ってくれるみたいだ。なんだか芸能人みたいだな、あはははは……
「今日はありがとう。ぜんざい、とっても美味しかったよ」
「いえ、こちらこそありがとうございます。ほら理亞も」
「……あの、ありがとうございました」
「これからまたどこかに行かれるんですか?」
「いや、もう帰ろうと思ってるよ」
「そうですか。また良かったらお越し下さい。歓迎します」
「ありがとう。今度は絵里と来させてもらうよ。Saint Snowの活躍、期待してるぞ」
「「っ……はい!」」
「うん、それじゃあ」
「「ありがとうございました」」
2人は丁寧におれがドアを閉めるまで頭を下げてくれていた。……あ、言い忘れてた。
「そうだ。あと、友達におれが来てたこと教えてあげても大丈夫だよ」
「は、はい!」
よし、今度こそ帰ろう。空いた時間で残りのお土産も買わないとな〜
───さらば北海道!待ってろ東京!
────ナオキが絵里達からお叱りを受けたのはまた別の話である────
────残り4話。
ありがとうございました!
さてさて北海道卒業旅行回はいかがでしたか?え、何故北海道かって?そんなのSaint Snowを出したいからですよ!!俺の推しは聖良さんだーーーー!!!!あと、これは予約してから気付いたんですけど、投稿日の6月20日は土方歳三が亡くなった日なんですよねぇ。いや、これ全く意図してなくて、俺めっちゃ凄い奇跡引いたなって。
で、カウントダウンって案外ドキドキしますね。ついに終わるのかって感じますよね。だからみなさん、感想どしどし書いてください!ちょっとしたものでも自分は宇宙に飛び立つロケットのように喜びますので!
それではみなさん、また次回!