__ポートガス・D・カルマン
彼女はポートガスの姓を名乗る通りのちの、四皇"白ひげ"のもとで2番隊隊長"火拳のエース"で名を馳せる青年の3歳年上の姉である。
彼らに、血の繋がりは無い。
エースの母であるポートガス・D・ルージュが浜辺をはいはいでうろつく少女を拾い、"Carman"と彫られたドックタグを首から垂らすその子供を養子に迎え入れたのだ。
なぜ子どもが、一人で、浜辺になぜ?当然ルージュは疑問に思い、あたりに母親はらしき人物はいないかと探し回ったがそんな人物は見つからない。
子どもの首から下がるタグにはファーストネーム、生年月日、生まれた海が彫られていた。"
そしてその子どもは今、出産に立ち会っていた。
海賊王の血を根絶やしにする為に見回っていた海軍が去り、母はようやく出産に至る。
カルマンの大きな金色の目映るルージュのお腹は3歳児にも異常だと分かるほど、膨れ上がっていた。
大きくなりすぎた胎児はなかなか出てこない。医師と年配の看護士は予想以上の難産に齷齪と動いている、私はなにも出来ずただ母の手を握り、弟が一刻もはやくでてきてくれることを願った。
その中で、私や医師達以外にも部屋の中には海軍の男が一人、白髪混じりの黒髪、組んだ腕とぴりぴりと肌を燻る覇気。
海軍の英雄"モンキー・D・ガープ"彼がなぜ?海軍本部の中将という立場の人間がこの出産に立ち会っているのか。医師や看護婦は既に今日あったことへの"沈黙"と"忘却"することに同意しサインしているが、この場にいる誰もが疑問を抱き消えることはない。
その理由が、弟の父親にあることを私は知っていた。
その男は、娘がいる母に驚きながらも経緯を知ると豪快に笑って母を口説いても良いかと娘のカルマンに了承をとって来た。私のお父さんになってくれるとも言ってくれた。弟にとっては、いいお父さんにはならないかもしれない、だから私はこの子が感情をぶつけられる存在になろうと、母の手から弟に伝わる様に私は手をつなぎ直した。
母が最後に、力むと同時に弟は無事産声を上げて生まれた。
看護士が弟に付いた血と羊水を洗い流しタオルに包み、それから母の腕に抱かれた。ずっしりと両腕に掛かる重みにルージュの顔は綻ぶ、
「...女の子なら『アン』、男の子なら...『エース』...彼がそう決めてた...
この子の名は、『ゴール・D・エース』__彼と私の子...カルマンあなたの弟、抱いてあげて」
「おかあさん、おかあさん..!」
母から手渡された弟は、重い。
産湯であらかた落とされ汚れてはいないが、どこか生臭さと酸っぱい匂い初乳の甘い匂い。こんなに小さいのに、重い。やめてくれ、こんな大事なもの私に預けないでよ。
母の苦しそうに詰まる息が彼女の小さな耳が拾う。命が、力尽きてしまったとそう感じた。医者が懸命に呼びかけるが、それに応えることは無い。ガープはその場でいつか血に従い海に繰りだすであろう男児に思いを巡らせて、タラリと汗が滲んだ。
カルマンは、腕の重さに耐えきれず膝を立てて座り込んだ。体育座りの腹の上でぐずるエースを覗き込むと弱々しく閉じていた目がぱっちりと開いて真っ黒な目が見えた。
新年に生まれた子供、わたしの手より幾分もエースの小さい拳に祝福のキスをして小さな瞼にも一つした。
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母ルージュの埋葬後、まだ首の座らぬ弟とカルマンは引き取られた。
ガープはルージュからカルマンが年に似合わず聡い子だと聞いていたが、これほどまでとは思っておらず仰天した。船の中でまだ首の座らぬ弟の世話をこなす3歳児、なんという子供だ。
何を察したのか、3歳の少女はこの船で誰かに頼ろうとしなかった。必要な物の場所やらは聞いてくるのだがそれ以外は子ども達用にと用意した部屋から出てくることが無い、ガープはほとほと呆れた。
ガープは自他ともに認める脳筋男である。
その、男が悩むという過程に何時間も頭を傾ける事ができるであろうか、否、
故に少女と"拳"で語り合うことにした...!
だがまあ、当然そんなとんでもないことは常識人の副官ボガードの手で阻止される。しかし、どうにか部屋に入り、話をすることには成功した。
少女の警戒は少々解かれたようだった。
母の変わりにぐずる弟をあやすポートガス・D・カルマン。
少女は何故母の胎内にいた胎児の性別を知りえていたのか、年に不相応な落ち着きと知識、それは何を隠そう彼女は今回二度目の人生なうだからなのです。