千冬さんはラスボスか   作:もけ

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本日2話連続投稿です。

自分が過去に書いた文で砂糖を吐く事になろうとは……。
丸々書き直す時間がないのでとりあえず上げますが、後で修正したい……。


クラス代表就任パーティー

 セシリアさんとのクラス代表決定戦が終わり、メディカルチェックをしてから空いた食堂で一人遅めの夕食をとる。

 

 箒ちゃんとのほほんさんが待っていてくれると言ってくれたけど、いつ終わるか分からなかったから先に行ってもらった。

 

 でもその時、21時に部屋に集まって欲しいとお願いしておいた。

 

 理由は内緒にしておいたけど、二人には今日中にお礼がしたかったからだ。

 

 食べ終わり、食器を片づけた足でそのままもう一度カウンターに行く。

 

 部屋に持っていけるプリンやゼリー、カップ系のデザートなんかを10個ほど買い込む。

 

 女の子にとって甘いものは正義っ!!

 

 喜んでくれるかな?

 

 コンコンコン。

 

 自分の部屋だけど一応ノックをする。

 

 開けたら着替え中とかだと大変だからね。

 

「は~~い、開いてますよ~~」

 

 それは大丈夫ってことだよね?

 

 のほほんさんだといまいちその辺安心できない。

 

「ただいま~~」

「お~~おりむぅおかえり~~」

「邪魔してるぞ」

 

 着ぐるみののほほんさんと浴衣姿の箒ちゃんがすでに待っていてくれた。

 

「その袋なぁに~~?」

 

 目ざといのほほんさん。

 

 甘いものレーダーとか装備してそう。

 

「これは訓練に、勉強にと協力してくれた二人にお礼をと思って」

 

 テーブルにデザートを並べる。

 

「やた~~♪」

 

 バンザイするのほほんさん。

 

 うん、揺れたね。

 

「どこを見ている」

 

 箒ちゃんの低い怒気をはらんだ声。

 

「な、なんの事かな」

 

 のほほんさんから箒ちゃんへ体ごと方向転換。

 

「ふんっ」

 

 腕組みしてそっぽを向く箒ちゃん。

 

 ……デジャヴが。

 

     「私を見るのだぞ」

 

 ここは自室だからいい……のかな?

 

 考えた途端、そのまま視線が固定される。

 

 大きい……。

 

 クラスで一番大きいんじゃないかな。

 

 やっぱり柔らかいんだろうな。

 

「なっ!?」

 

 箒ちゃんが視線に気付いて体を捻り胸を隠す。

 

「い、一夏っ!!」

「え、あ、何? 箒ちゃん」

「『何?』じゃないっ!! どこを見ているっ!!」

「だって、この前箒ちゃんが見ていいって」

「た、確かに言ったが」

 

 真っ赤になって口ごもる箒ちゃん。

 

「なになに~~どぅしたの~~?」

「なんでもないっ!!」

 

 箒ちゃんは照れると大きな声で誤魔化す癖があるね。

 

 と、一人で納得していると、突然背中に柔らかい感触がっ!?

 

「おりむぅもう~~甘いの食べていい~~?」

 

 のほほんさんが後ろから抱きついてきたっ!!

 

「うわっ、ちょっ、のほほんさんっ」

「なっ!? 何をしているっ!! 早く離れろっ!!」

 

 吠える箒ちゃん。

 

「えぇ~~甘いの~~甘味~~デザート~~」

 

 くっついたまま体を揺するのほほんさん。

 

 そ、そんなにされると、背中で、マシュマロが……。

 

「ええい、離れんかっ!!」

 

 箒ちゃんが実力行使でのほほんさんを引っぺがす。

 

 引っぺがされたのほほんさんは「あうあう」言って目を白黒させている。

 

「箒ちゃん、落ち着いて、落ち着いて。ほら、せっかく買ってきたんだし、仲良く食べようよ。ね?」

 

 なんとか取り成して、落ち着いてもらう。

 

「じゃあ、改めて、二人とも一週間ありがとうございました。今日なんとか勝てたのも二人の特訓と勉強のおかげだよ。これからもよろしくね。あ、僕に出来ることがあったら遠慮なく言ってね」

 

 まぁ、実際は束さんのおかげなんだけど、彼女たちの協力が嬉しかったのは本当だから。

 

「えへへ~~」

 

笑顔ののほほんさん。

 

「ま、まぁ感謝は受け取っておこう」

 

 照れてそっぽを向く箒ちゃん。

 

「じゃあ、色々買って来たから食べて、食べて」

「わ~~い♪」

 

 先陣を切ったのほほんさんがプリンを開けて、一口

 

「美味しい~~♪」

 

 笑顔で幸せそうな声を上げる。

 

「私はこれをもらおうかな」

 

 箒ちゃんは蜜豆のカップを取り

 

「うん、この豆の塩味が甘さを引き立てるな」

 

 と満足そうな顔をする。

 

 そんな二人を見てニコニコ顔の僕。

 

「ん? 一夏は食べないのか?」

「うん、二人に買って来たものだからね。日持ちもするし、余ったら冷蔵庫に入れておけば――――――」

 

 言い終わる前に、目の前にプリンの載ったスプーンが差し出される。

 

「はい、おりむぅも」

「なっ!?」

「いいの?」

「みんなで食べた方が美味しいんだよ? だから、あ~~ん」

「じゃ、じゃあ、あ~~ん」

 

 差し出されたプリンを頬張る。

 

 硬めでカラメルが濃い方が好みだけど、こういうトロケル系もそれはそれで美味しい。

 

「うん、美味しいね」

「でしょ~~」

 

 二人で微笑みあう。

 

「お、お前たち、な、なにを」

 

 なぜか、狼狽している箒ちゃん。

 

「ほら、シノノンもおりむぅに食べさせてあげなきゃ」

「え? あ、あの、そ、そうなのか?」

「そうだよ~~」

 

 僕は視線だけで「くれるの?」と聞いてみる。

 

「い、一夏も、私のを食べたいか?」

「うん」

「そ、そうか、じゃ、じゃあ、仕方ないな」

 

 箒ちゃんが顔を真っ赤にしながら嬉しそうに

 

「ほら、あ、あ~~ん」

「あ~~ん」

 

 黒蜜の甘さと対照的な豆のしょっぱさ、寒天の食感を楽しむ。

 

「どうだ?」

「和風のも美味しいね」

「そうか、そうか。もう一口食べるか?」

「ダメだよ、シノノン。かわりばんこなんだよ?」

「む、そうか……」

「そうなの?」

 

 こうして僕は雛鳥よろしく両側から餌をもらいながら、三人で楽しいひと時を過ごした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 試合の翌日、朝のHR。

 

「では、一年一組のクラス代表は織斑一夏くんに決定しました。あ、一(いち)繋がりで良い感じですね」

 

 教室が拍手の音に包まれる。

 

「頑張ってね~~」「格好良かったよ~~」などの歓声も聞こえる。

 

 けど、

 

「気が重い……」

 

 一人沈んでいく僕。

 

 雑用とかするのは嫌いじゃないんだけど、前に立ってあれこれするのは苦手だ。

 

 姉さんの弟として変に注目され、期待され、失望され、頑張って結果を出しても「そのくらい?」と言われる日々を過ごしてきた。

 

 でも姉さんは大好きだ。

 

 みんなが憧れる部分も僕にしか見せない部分も……。

 

 だから周りに何て言われようと耐えられたけど、自分から不必要に目立つことは避けるようになった。

 

 なのに……。

 

 そうじゃなくても男一人だけで悪目立ちしてるっていうのに。

 

 ”今更だ”とは割り切れない。

 

 はぁ~~、憂鬱だ。

 

 誰か僕に癒しをください。

 

 ん? そうだっ!!

 

「真耶先生」

「なんですか? 織斑くん」

「クラス代表は生徒会や委員会の会議にも出るんですよね?」

「そうですよ」

「補佐してくれる、副代表みたいなポジションはお願いできないんですか?」

 

 ざわっ、

 

 教室がざわめく。

 

「副代表ですか……私はいいと思いますけど、織斑先生はどう思われますか?」

「私も別にかまわんが。織斑、どうやって決める?」

「指名でもいいなら、のほほんさ、布仏さんにお願いしたいんですけど」

「「「「「えぇぇぇぇっ!!」」」」」

 

 絶叫が走るが

 

「うるさいっ!! 黙れっ!!」

 

 すぐに鎮圧。

 

 静かになった教室で

 

「おりむぅ嬉しいんだけど、わたしは生徒会に入ってるから多分無理なんだよ~~」

 

 と申し訳ない感じでのほほんさんが応えてくれた。

 

「そう、なんだ。知らなかったよ。ごねんね。それじゃあ仕方ないね」

 

 ホントに残念だ。

 

 僕の癒しが……。

 

「どうする? 織斑」

「そうですね……」

 

 答えに詰まっていると

 

「一夏さん。そういう事でしたら、このセシリア・オルコットにお任せください。一夏さんに推薦していただいた通り、わたくしにはその手の事に心得がありますから」

 

 立ち上がったセシリアさんが、胸に手を当て堂々と立候補してくれた。

 

「い、一夏。サポートなら気心の知れた幼馴染である私の方が、その、適任だと思うぞ」

 

 箒ちゃんも声を上げてくれる。

 

 しかしこれだけではなかった。

 

「これは織斑君と仲良くなるチャンスっ!! 私も立候補します」

「私だって仲良くなりたいっ」

「夕暮れに染まる教室で二人っきりっ」

「放課後デートっ」

 

 後半は聞かなかったことにして、「わたしも、わたしも」とクラス中で立候補の声が上がってしまった。

 

「うるさいと言っているっ!!」

 

 姉さん、再びの鎮圧。

 

「織斑。自分でまいた種だ。明日までにどうにかしておけ」

「…………はい」

 

 みんなの好意は嬉しいけど、どうしたもんかな。

 

 HRが終わり休み時間になるとさっそく箒ちゃんとセシリアが飛んできたけど、何か言われる前に手で制し、教壇に立つ。

 

 気は進まないけど仕方ない。

 

「みんな聞いてくれる?」

 

 騒がしかった教室が静まり返り、みんなの視線が集まる。

 

 うわっ、凄い圧力だ。

 

 これは厳しい。

 

 変な汗出そう。

 

 で、でも頑張ねば……。

 

「さっきはみんなありがとう。とりあえず立候補してくれた人が知りたいんだけど」

 

 ほとんど全員がビシっと挙手をする。

 

 どこの軍隊だ。

 

 正直ちょっと怖い。

 

「えっと、委員会に出る事や雑用を考えると、部活動が忙しかったり厳しかったりする人は難しいと思うから手を下してくれるかな」

 

 悔しそうな声とともにパラパラと手が降りるけど、まだ多い。

 

「じゃあ、廊下側の人から順番に名前を言ってってくれる?」

 

 机からノートを出して書き写し、終わった所で再び教壇に上がる。

 

「お昼までにはどうやって決めるか考えておくから、少し待っててください」

 

 次の授業は申し訳ないけど話半分で、先の案件を考える。

 

 そして休み時間にプリントを作成。

 

 その次の休み時間に人数分のコピーをさせてもらいに職員室へ。

 

 その時、

 

「織斑くんは人気者ですね」

 

 なんて真耶先生が茶化してきたので

 

「本当は真耶先生と一緒がいいんですけどね」

 

 と切り替えし、あぅあぅさせておく。

 

 三時間目の後の休み時間、みんなにプリントを配ってから教壇に立つ。

 

「お待たせしました。じゃあ、プリントを見てください。これには立候補してくれたみんなの名前が書いてあります。そこに自分以外で『この人なら向いてそう』と思う人を一人選び丸で囲んでください。その性質上、記名制なので一番下に自分の名前を忘れないように。プリントは放課後に集めます。プリントは集計したらすぐに廃棄、結果も選ばれた人以外は発表しないので安心? してください」

 

 説明を終え、みんなの反応を見ると、

 

「織斑くんっ!!」

 

 相川さんが立ち上がった。

 

「なに? 相川さん」

 

 質問かなと思ったら

 

「女の子には色々あるから、織斑くんは放課後まで教室を空けてください」

 

 決定事項を告げられた。

 

 みんなの目も同意を強く示している。

 

「おりむぅ、じゃあ私と売店に行こうか~~」

 

 僕が何を言うより早く、のほほんさんが僕の腕を取って教室の外に引きずって行った。

 

 まぁ、いいけどね。

 

 そんなわけで、なぜかお昼も食堂は立ち入り禁止にされ、のほほんさんと屋上でパンを食べて過ごした。

 ポカポカ陽気にのほほんさんと二人、癒されるわ~~。

 

 そして放課後、プリントを回収して集計……。

 

 票のほとんどは二人に集中していた。

 

 その差、なんと一票。

 

 栄えある当選者は……。

 

 「集計が終わったら食堂に来てね」と言われていたので行ってみると、

 

 パンッパンッパンッ!!

 

「おわっ!?」

 

 不意打ちのクラッカーの大音量に目が回りそうになるが、間を空けず畳み掛けるように

 

「織斑くん、クラス代表決定おめでとーー♪」

「「「「「おめでとーー♪」」」」」

 

 大合唱。

 

「あ、ありがとう」

 

 若干腰が引けてます。

 

「さぁ、一夏さん。こちらにどうぞ」

 

 混乱から立ち直る前にセシリアさんに手を引かれる。

 

 ふと、顔を上げると奥の壁に『織斑一夏クラス代表就任パーティー』とお手製の看板が掛けられているのが目に入った。

 

 やっと理解が追い付く。

 

 みんなわざわざ集まってくれたんだ。

 

 嬉しいな。

 

 自然と口元が緩んでくる。

 

 あれ? でも人数多くないか?

 

 よく見てみると、他のクラスや上級生の人、剣道部のメンバーも来てくれているみたいだった。

 

 移動しながらだけど剣道部のみんなに手を振る。

 

 みんなにも今度何かお礼しなくちゃな。

 

 と思いながら着席。

 

 ほぼ同時に右側に箒ちゃん、左側にエスコートしてくれたセシリアさんが座る。

 

 何かガッチリガードされてる気がするんだけど気のせいだよね?

 

「織斑くんがクラス代表になってくれて良かったよね」

「せっかく男子がいるんだから持ち上げないとね」

「男子がクラス代表だなんて他のクラスの子に自慢できるよ」

「いや~~これでクラス対抗戦も盛り上がるね」

「ホント、ホント」

「ラッキーだったよね~~同じクラスになれて」

 

 うん、まだまだ客寄せパンダ継続中って感じかな。

 

 まぁ、歓迎してくれてるみたいだし良しとしておこう。

 

「人気者だな、一夏」

 

 箒ちゃんがちょっと不機嫌そうにつぶやく。

 

 なんで怒ってるの?

 

 どうフォローしようか考えていると、いきなりフラッシュがたかれた。

 

「はいはーーい、新聞部でーーす。話題の新入生、織斑一夏くんに特別インタビューをしに来ましたーー。あ、私は二年の黛(まゆずみ)薫子(かおるこ)。よろしくね。新聞部の副部長やってまーーす。はい、これ名刺。ではでは、ずばり織斑くん。クラス代表になった感想をどうぞっ!!」

 

 一方的にまくし立てるエネルギッシュな先輩。

 

 茶系の髪をアップにしていて、眼鏡と合わせてまさに新聞記者って感じ。

 

「えっと、みんなの期待に応えられるように頑張ります?」

「なんで疑問形かなーー。もっと男の子らしい感じで『俺の雄姿に惚れるなよ』とか言っちゃってよーー」

 

 無茶振りキタっ!?

 

「まぁ適当にねつ造しとくからいいやーー」

 

 いや、ダメだろそれ……。

 

「じゃあ次、イギリス代表候補生のセシリアちゃんもコメントちょうだい」

 

 しかも切り替え早っ!!

 

「わたくし、こういったコメントはあまり好きではありませんが仕方がないですわね」

 

 と言いつつ満更でもなさそうなセシリアさん。

 

 咳払いを一つしてから

 

「ではまず、どうしてわたくしが一夏さんとクラス代表をかけて戦うことになったかというと、」

「あぁ、長くなりそうだからいいや。適当にねつ造しておくよ。よし、織斑くんに惚れたからってことにしよう」

「「なっ!?」」

 

 僕とセシリアさんが同時に絶句し、同時に身を乗り出し、同時に隣に気付き、同時に向いて至近距離で目が合った。

 

 瞬間、顔が真っ赤にな――――――パシャ!!

 

「「えっ?」」

 

 またまた同時にフラッシュがたかれた方を見る。

 

「いやーーいい写真が撮れたよ♪ お似合いだねーーご両人」

「な、何を言っていますのっ!!」

「そうですよっ!!」

 

 いい様に手玉に取られる。

 

「はいはい、じゃあ次は立って撮ろうか。注目の専用機持ちだからね。ツーショットもらうよ」

 

 押し切られるままに二人で立つ。

 

 この人には何を言っても勝てない気がする。

 

「んーー何か固いな。握手とか、腕組んだりとか、肩に手回すとか、腰を抱き寄せるとかしてくれないかな」

「それは、ちょっと……」

 

 恥ずかしいです。

 

 どうしようと隣に視線を送るとセシリアさんが赤い顔でモジモジしながらこっちをチラチラ見ていた。

 

 なんだ、この可愛い生き物は。

 

 こ、これは男がエスコートする場面なんじゃないか?

 

 うん、きっとそうだ。

 

 よ、よし、いくぞ。

 

「セシリアさん」

「は、はい」

「か、肩に手を置いてもいいかな?」

「ど、どうぞ」

 

 了解が取れたので、恐る恐る肩に触れ、軽く引き寄せる。

 

「あっ……」

 

 セシリアさんから吐息が漏れる。

 

 普段の尊大な態度が鳴りを潜め、リードされるがままの弱弱しい姿に頭がクラクラする。

 

 周りでキャーキャー言ってるみたいだけどよく分からない。

 

「いいね、いいね。じゃあ、いくよ」

 

 連続でたかれるフラッシュもどこか他人事だった。

 

 フラフラになりながら着席すると、突然足に痛みが走った。

 

「痛っ!?」

「ふんっ」

 

 どうやらご立腹の箒ちゃんに踏まれたようだ。

 

 それで茹った頭が我に返る。

 

「あっ、黛先輩」

「なんだい?」

「お時間平気なら、もう何枚か個人的にお願いしたいんですけど」

「いいよ。誰と撮るんだい?」

 

 先輩の口元が急にニヤニヤする。

 

 そんなんじゃないですからね。

 

「クラスのみんなと1枚、剣道部のみんなと1枚、箒ちゃんとのほほんさんと1枚、あとクラスの副代表と1枚お願いします」

 

 最後の一言で場がざわめくが

 

「オーケーオーケー、じゃあ、さくさくいこうか」

 

 慣れているのか、効率良く場を仕切ってくれる。

 

 集合写真は早い者勝ちの並びで騒ぎながらも問題なく終了。

 

 次は箒ちゃんとのほほんさんと思ったら、いきなり両側から問答無用で腕を絡められた。

 

 むにゅっ♪

 

 両腕にクラスナンバー1と2のマシュマロがっ!!

 

 あわあわしてる間に撮影終了。

 

「えへへ~~、気持ちかった?」

 

 いたずらっ子のほほんさん登場。

 

「ふんっ」

 

 箒ちゃんは真っ赤な顔で、照れ隠しなのかな?

 

「あ、ありがとうございます」

 

 とりあえずお礼を言っておいた。

 

 間違ってない。

 

 そして最後は副代表の発表。

 

 みんなが興味津々といって感じで視線を向ける。

 

「じゃあ、発表します。クラス副代表は岸原理子さんですっ!! 」

 

 みんなから「えぇーー」と「おぉ~~」が同じくらい出る。

 

 1票しか差なかったもんね。

 

 撮影のために彼女を呼ぼうとすると

 

「なんだってぇぇぇぇっ!?」

 

 という絶叫が。

 

 今のは相川さん?

 

「理子っ!! どういうことよっ!!」

 

 何か詰め寄ってるみたい。

 

「ふっふっふ~~、これが私の真の実力なのだ~~♪」

「私がなけなしのお菓子二か月分を放出したっていうのにっ」

「ちっちっちっ、甘いのだよ、清香。私が出したのは、なんと三か月分だぁぁぁぁっ!!」

「えぇぇぇぇっ!?」

 

 ガクッと膝から崩れる相川さん。

 

「負けた……」

「そう、これは三か月分のお菓子で手に入れた織斑くんとの婚約指輪なのよっ!!」

 

 やっすいな~~それ。

 

 と言うか、僕を締め出して買収合戦してたのか。

 

 ふっふ~~ん♪ とご機嫌で岸原さんがこっちに来て

 

「さっ、織斑くん写真撮ろ~~♪」

 

 と腕を取る。

 

 ”ある”よりないけど”ない”よりある岸原さんの柔らかさが腕に……。

 

「き、岸原さんっ 」

 

 箒ちゃんやのほほんさんの破壊力より少ない分、冷静さが残っていて逆に焦る。

 

「いいから、いいから♪」

 

 押し切られる形で撮影……と思いきやっ!!

 

 シャッターが切られる瞬間、復活した相川さんが反対側から僕の腕に抱きついた。

 

「ちょっと、清香っ!!」

「理子にだけにいい思いはさせないっ!! せめて二か月分の元は取るっ!!」

 

 騒いでる二人に便乗しようと

 

「二人でけズルーーい」

「私もくっつきたい」

「みんな、いけーー!!」

 

 みんなが突撃してきて、揉みくちゃにされました。

 

 色々柔らかかったです。

 




次回は満を持して鈴ちゃんの登場ですw

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