千冬さんはラスボスか 作:もけ
軽い感じでお読みください。
※大事なお知らせ
束さんのチュートリアルが終わった時点で、キュクロープスの全身装甲からフェイスとボディの着脱、オン/オフが可能になり、一夏操作時はオフになっています。
後でその描写を書き加えておきますが、とりあえずは先にご報告だけ失礼します。
「もうすぐクラス対抗戦だね」
「そういえば二組の代表が変わったらしいよ」
「聞いた、聞いた。転校生でしょ」
「こんな時期に転校生なんて変だよね?」
眠い~~。
なんか昨日の疲れが残ってるみたいだ。
パーティー、パーティーか、柔らかかったな…………って、違う違う、楽しかったな。
「なんでも中国の代表候補生なんだってさ」
「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら」
「「「「「ない、ない」」」」」
「な、なんですの、その態度はっ!!」
「このクラスに転入してくるわけではないのだ。別段騒ぐほどの事でもあるまい」
もう眠いと本音ダダ漏れちゃうよね~~。
嬉しいし、気持ちいいし、ありがとうございますだけど、思春期男子には色々キツいですよ~~。
同室がのほほんさんでホント良かった。
彼女の着ぐるみは癒しのオアシスだよ~~。
くっつかれると破壊力満点だけどねっ!!
「織斑君にはぜひ頑張って優勝してもらいたいよね」
「うん、うん」
「優勝したクラスには全員に学食のデザート半年フリーパス券がもらえるんだよ~~」
頑張る?
何を頑張るの?
誘惑に負けるなってこと?
まぁ姉さんのいる学園で変な事するつもりはないけど、正直「善処します」ってとこだよね。
昨日だけで、どれだけのマシュマロに触れたことか……。
「今の所、専用機持ってるのってウチと四組だけだから楽勝だよ」
ガラガラ、ピシャン。
「その情報、古いよっ!!」
「「「「「だれ?」」」」」
「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単には優勝できないから」
「ど、どちら様?」
「中国代表候補生、凰鈴音(ファン・リンイン)。今日は宣戦布告に来たってわけ」
「ちょっと、よろしいかしら?」
「あんたは?」
「わたくしはイギリス代表候補生セシリア・オルコット」
「へぇ~~、じゃあ候補生同士よろしくね。私の事は鈴(リン)でいいわ。私もセシリアって呼ぶから」
「えぇ、鈴さん。よろしくお願いしますわ」
「何かバトル漫画みたいだね」
「闘気のオーラとか出てそうだよね」
オーラか。
オーラといえば姉さんだよね。
怒った時の姉さんはそりゃあ恐ろしいの何の……。
絶対殺気とか出てるって。
でも普段の姉さんは優しいから淡い桃色って感じかな~~。
あぁ~~でも教師してる時はキリッとしててカッコイイからブルーかも。
「と、ところで、さ」
「どうしましたの?」
「このクラスに織斑一夏っているのよね?」
「えぇ、いらっしゃいますわよ」
「ど、どこ……」
「おりむぅならここでお休み中だよ~~」
「あっ……」
「「「「「?」」」」」
キーンコーンカーン。
「おまえら、席につけ」
「ち、千冬さんっ!?」
バコンッ!!
「痛っ!?」
「織斑先生だ。鳳、自分のクラスに戻れ」
「は、はい」
パコン♪
「んあ?」
「いつまで寝ている」
「あぁ……おはよう、姉さん」
パコン♪
「織斑先生だ」
「「「「「(音が違いすぎる)」」」」」
――――――――――――――――――――
お昼休み、屋上にて。
もぐもぐ。
「いい天気だね~~」
もぐもぐ。
「そうだね~~♪」
もぐもぐ。
「日差しが気持ちくて眠くなっちゃうよ」
もぐもぐ。
「そうだね~~♪」
ごくごく。
「ごちそう様でした。携帯のアラームかけて、ちょっと昼寝しちゃうかな」
ごくごく。
「ごちそう様でした。膝枕したげようか~~♪」
「えっ、あ、い、いいよ。悪いし」
「気にしなくてもいいよ♪」
「さすがに、は、恥ずかしい……です」
「おりむぅったら、恥ずかしがり屋さんだな~~」
「もう、からかわないないでよ」
「ぬふふ♪ じゃあ起こしてあげるから寝ててい~~よ♪」
「そう? ありがとう。じゃあお言葉に甘えて」
その頃、食堂では、
「なんで来ないのよぉぉぉぉっ!!」
――――――――――――――――――――
帰りのHRが終わった教室。
「一夏さん、今日この後のご予定は空いていらっしゃいますか?」
「うん、大丈夫だけど?」
「アリーナの許可を取ってありますの。よろしければ、ご一緒にISの訓練をいたしませんか?」
「それは助かるよ。色々教えてくれる?」
「はい、もちろんですわ。では、さっそく参りましょう」
「ちょっと待て。私も同行するぞ」
「なんですの? 篠ノ之さん。訓練機の許可もなしでは邪魔なだけでしてよ」
「見学だ。専用機持ち二人の訓練だ。見る価値がある」
「一理あるね。うん、じゃあ一緒に行こうか」
「仕方ないですわね」
その数分後、
「一夏いるーー? ―――――― えっ、いない? どこ行ったか分かる? ―――――― セシリアと一緒だった? じゃあ、アリーナかしら……。ありがとね」
――――――――――――――――――――
ところ変わって、第三アリーナ。
「では、一夏さん。何から始めるか、ご希望はありますか?」
「やっぱり飛行訓練かな。まだ空を飛ぶって感覚に自信がなくて」
「では、空の追いかけっこでもいたしましょうか」
「追いかけっこ?」
「はい。逃げるわたくしを捕まえてくださいまし」
「了解」
「じゃあ、10数えたらスタートですわよ」
「オッケーっ!! 1、2、3、4、」
その頃、第一アリーナでは、
「なんでアリーナが何個もあるのよっ!! しかも離れてるしっ!!」
そんな事は露とも知らず、
「ふふふ、鬼さんこちら~~♪」
「くそ、急旋回についていけない」
「回避に専念したわたくしを捕まえられますかしら」
「絶対捕まえるっ!!」
楽しそうに遊んでいる姿を観客席で見せつけられている人が一人。
「くっ、訓練機さえ使えれば接近戦の訓練ができるというのに……」
そして学園某所では、
「一夏ぁ~~~~待ってなさいよぉ~~~~って、ここどこよっ!?」
キャッキャウフフな追いかけっこもようやく終わりが見え、
「よし、取ったぁぁぁぁっ!!」
「キャッ♪」
「捕まえたぞ。セシリア」
「ふふ、捕まってしまいましたわ」
勢い余ってセシリアを抱きしめてしまった一夏に対して観客席から「何をしている、一夏っ!! 破廉恥だぞっ!!」と野次が飛ぶ。
「ご、ごめん、セシリア。抱きついちゃって」
慌てて体を離そうとする一夏をセシリアの手がそっと止める。
「構いませんわ。それだけ真剣に取り組んでいたということですから。それよりも」
「うん?」
「今、セシリアと……」
「えっ、あっ、ご、ごめん。呼び捨てに」
「い、いいえっ!! 嬉しかったですわ。良かったらこれからもそうお呼びください」
「セシリア……」
「はい、一夏さん」
見つめ合い、今にもキスしそうな二人に「こら、そこ、イチャイチャするんじゃないっ!!」再度野次が飛ぶ。
「もう、せっかくの雰囲気が台無しですわ」
「ははは……」
その頃、第二アリーナでは、
「はぁ、はぁ、次は第三アリーナね」
「次は模擬戦でもいかがですか?」
「うん。ぜひ、お願いします」
先日の試合が嘘のように接近を許さないセシリア。
一夏も何とかブルーティアーズを2機落とす事ができたが、善戦もそこまで。
「はぁ、はぁ、やっぱり、逃げ切られちゃったか」
「今日はわたくしの完勝ですわね」
「これがセシリア本来の実力か……さすがだね。積み重ねてきたものが違うって実感したよ」
「一夏さんにそう言っていただけると喜びもひとしおですわ。これでようやく汚名返上ができました」
仰向けに倒れている一夏の横で、セシリアがそっと胸を撫で下ろす。
「僕もキュクロープスに恥じない様に頑張らないと」
「そうですわね。わたくしもブルーティアーズの期待にはまだまだ応えられていませんし」
「僕はまだ素人同然で全てにおいてISのスペック頼りだけど、セシリアはどういう所を頑張ってるの?」
「そうですわね。苦手な近接戦をどうにかしたいと思ってはいるのですが、今は長所を伸ばす事に重点を置いています」
「長所……狙撃ってこと?」
「えぇ、わたくしの機体は最大稼働になるとビームを曲げることができますの。理論的にはですが」
「それは凄いねっ!!」
「ですが現状ではまだまだで……」
「そっか。僕なんかが言うのはおこがましいかもしれないけど。一緒に頑張って行こうね」
「一夏さん…………はい♪」
「くしゅんっ」
「くすくす、体が冷えてしまいましたわね。今日はもう上がって、早くシャワーを浴びるといたしましょう。体調管理も大事ですわよ」
「そうだね。今日はありがとう。セシリア」
「いいえ、こちらこそ」
二人が去ったその少し後、
「一夏ーーーーっ!! 神妙にお縄を……って、いないじゃないっ!! もう~~~~
一夏のばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
空回りする鈴ちゃん可愛いw
次回はちゃんと一夏と絡みます。