ベル君が生き倒れを拾ってきたのは間違いだっただろうか 作:ウンニーニョ
ベルとクロは今後の事についての説明を受け、リリ達の眠るテントへと向っていた。
道中の話といえばみんな無事辿り着けてよかったと言う事、階層主を倒した事への賞賛、もう一人で無茶はするなと言うベルからのお叱り。
しかし、ベルもミノタウロスとの無茶な戦いを突っ込まれ、2人はお互いに苦笑いした。
ベルにも階層主を倒した事は秘密にするように話したところでリリ達の眠るテントへと辿り着いた。
テントの中に入るとリリとヴェルフは既に起きており、こちらを見た瞬間リリはクロに向って、飛んだ。
クロの胸の中で泣きじゃくるリリに困った顔でクロはヴェルフに向けて説明して欲しいと視線で訴える。
ヴェルフは溜息をつくと説明し始めた。
リリはクロが自分を犠牲にして仲間を逃したと思っていたらしい。
もちろんクロはそんな事を思っていた訳ではなく、必ず追い付くと言う意味で「先に行け」と声をかけたのだが、リリはそう受け取らなかったようだ。
しかしクロは置いていかれる辛さを知っているからこそ反論する事なく、リリの頭を優しく撫でながら素直に謝った。
その後、ハクアとレフィーヤが食事の用意が出来たと呼びに来てくれた。
その食事中、聞きなれた声が聞こえてきて、ベルにタックルを食らわせた。
神様が俺らの事を心配して捜索隊を結成して探しに来てくれたのだ。
神様との感動の? 再開の後に捜索隊のメンバーである【タケミカヅチ・ファミリア】に先日の怪物進呈について土下座され、ヴェルフとリリは渋々という感じではあったが、大きな貸しを作ったと言う事で落とし所を作り、後は何事も無くその日を終えた。
次の日、18階層を探索するという事でクロは待ち合わせ場所へ向かって走っていた。
寝坊して時間に遅れそうだったからだ。
それと言うのも昨日、ヘスティアにステイタスを更新して貰った時の事を考えて寝るのが遅くなったからだ。
「……クロ君、前回の時もそうだったから間違いないみたいだ。君は鎖が、封印が解けた時のステイタス上昇に
ヘスティアが言うには元々のステイタスが解き放たれるだけだから神が経験を吸い上げ、ステイタスに還元する必要がないのだろうと言う話だ。
その分、前回発現したスキルで経験は全て上乗せされるわけだ。
ヘスティアにステイタスを更新して貰った後のステイタスは
クロノス・ヴァレスティ
Lv.2
力:SS1190
耐久:SS1152
器用:SS1085
敏捷:SS1240
魔力:S999
《魔法》
【記憶の扉】
『一時的に封印の鎖を全て断ち切り過去の力を解放する。ただし、代償として大切な記憶を一つ失う』
《スキル》
【封印の鎖】
『この封印はクロノス・ヴァレスティの氷が溶けて行くにつれて断ち切ることができる』
【成長する意思】
『仲間と共に成長する意思が続く限り、限界を越えてでも成長は止まらない』
過去の自分に今の自分が上乗せされた事に嬉さを覚え、クロはハニカミながら道を急いだ。
待ち合わせ場所までもう少しと言う所でヘスティアとベルの会話が聞こえて来た。
「神はダンジョンに入っちゃいけない、って暗黙の了解があるんだ」
「どうしてですか?」
「
その話を聞いてクロは立ち止まる。
神がダンジョンへ入ってはいけない。今まで不思議に思いながらも気にも留めなかった疑問。
過去は
バレたら不味いからさ
思わず浮かんだ考えを頭を振って片隅に追いやると、クロは笑顔を作ってベル達と合流した。
☆★☆★
クロは風が心地い高台で物思いにふけっていた。
一度は頭の隅に追いやったもののつい考えてしまう。
あの後、18階層にある街を散策した後、ヘルメスに
しかし、やっと出来た時間にも早速邪魔が入った。
ヘルメスとアスティがやって来たのだ。
「おや? 先客がいたのか。まあいいや、君とは話してみたかった事だし、それに、彼を見るなら君の足止めをしておかないとね」
ヘルメスがそう言ってニヤリと笑った時、そこから見える森の中でヘスティアが、攫われた。
助けに向かおうとするクロをヘルメスの言葉がとめる。
「君は一体何者だい?」
「何のことですか?」
「ベル君に隠れて騒がれないが、君の経歴もそうとうだよ? Lv.1にして階層主の単独撃破。これはもう偉業ではなく異常だ」
目の前でヘスティアをベルがタスクに向かうのを見てクロは一安心してヘルメスの言葉に返事を返す。
「何言ってるんですか? 階層主を倒したのは助けに来てくれた【ロキ・ファミリア】がたおしてくれたんですよ?」
「そういう事になっているみたいだね。でも聞いたよ? 僕らが此処に来る前にすれ違った狼人に君達を知らないか聞いた時に黒髪で前に彼に突っかかった冒険者が階層主を単独撃破したって興奮気味に話して行ったよ。これでも僕は情報通でね、ヘスティア達は気づいていないみたいだったが君は酒場で彼に突っかかった事がある……つまり、君だよ。階層主を倒したのは」
ヘルメスの返しにクロがどう返そうかと考えていると、ヘスティアとベルを助けに来たリリやヴェルフに【タケミカヅチ・ファミリア】が乱戦を繰り広げているのをみたヘルメスは答えを待たずに言葉を発する
「それにしても……ベル君、も彼等も、眩しいくらい仲間思いだなぁ」
答えは急がないとばかりに話題を変え、森で行われる戦いに目を向ける。
ヘスティアが助け出せれても止まらない戦いを止めたのはヘスティアの言葉だった。
「_____止めるんだ」
神威を消した状態では言葉が届かなかったため神威を解放したヘスティアの言葉は戦いを一瞬で止めた。
「剣を退きなさい」
そして次の言葉で冒険者達は背を向けて逃げ出した。
『
普段神威を封印し、子供達を縛ろうとしないのは下界が神々にとって遊戯であり、そして何よりそこで暮らす子供達を愛し、彼等の物語を尊重しているからだ。
神威を解放すれば子供達は畏怖し、今の様に逃げ出す者も出てくる。それ程までに神々しい。
しかしヘスティアのその行動は
その神威によってダンジョンは神の存在に気づき、そして暴走した。
ダンジョンは震え、
「1人納得してないで、状況を説明してください! 今何が起こっているんですか⁉︎」
1人分かった顔をしていたヘルメスにアスフィが咎める様に質問する。
「暴走、かな。しかも今までにない程に神経質になって、オレ達に感付いた」
混乱しているアスフィと必死に理解するクロをほおっておいてヘルメスは独白の様に続けた。
「ダンジョンは
その言葉の後にクロが倒した
これまで安全とされていた18階層にモンスターが産声を上げた瞬間だった。