ベル君が生き倒れを拾ってきたのは間違いだっただろうか 作:ウンニーニョ
ここは、豊饒の女主人の二階、クロがドアを開けると、そこにはベルと抱き合うヘスティアが居た。
あの後、
その途中、クロは槍を持って来てしまった事に気づき、返すためにあの場所へ戻り、槍を返して豊饒の女主人へやって来た。
シルに二人は2階にいると聞いて、そのドアを開けたらこの光景だった訳だ。
クロは一旦固まった後、ニコッと笑ってドアを閉めようとしたところでベルに止められ説明を受けた。
なんでも、ベルがヘスティアに貰った短刀《ヘスティア・ナイフ》はヘスティアが30時間も土下座と言われる最終奥義をし続けて作って貰ったあの【ヘファイストス・ファミリア】製の短刀だそうだ。
その様な事に疎いクロでも知っている。
【ヘファイストス・ファミリア】この街最高の鍛治系ファミリア。
ベルがダンジョンへ行く前にその店のショーウィンドウに並べられた武器を見続け、質問すれば聞いてない事まで力説されるほど憧れていた最高級の武器。
良かったな。とクロがベルを見ているとヘスティアは羨ましがっていると勘違いしたのだろう。
両手を腰にあて、ふふんと胸を張ると「安心したまえ、クロ君の武器も発注済みさ!」と豪語した。
それを聞いてクロは先はども思った事がさらに強くなった。
「神様、お金はどうしたんですか?」
ピシッと空気が固まった。
何せ最高級の武器だ。零細ファミリアである【ヘスティア・ファミリア】にそんな貯金がある訳がない。
「き、君たちはそんな心配する必要は無いんだ。 ボクが君達にできる事なんてこれくらいしか無いんだ。 だから何も言わずに受け取っておくれ」
その言葉にクロはそれ以上の追求をする事を止めた。
神様がくれた好意、それをしっかりと受け止め、強くなろうと。
もし、
その後、ヘスティアがベルに用事を頼み、ベルは下へと降りていった。
「クロ君、今のうちにステイタスを更新しようか」
クロはヘスティアに背中を見せ、ステイタスの更新を行う。
ヘスティアは右人差し指を針で刺すと、クロの背中に神血を垂らし、経験を吸い上げると背中の文字が書き換えられていく。
クロノス・ヴァレスティ
Lv.1
力:I23→S999
耐久:I12→S999
器用:I22→S999
敏捷:I25→S999
魔力:I20→999
《魔法》【】
《スキル》【封印の鎖】
『この封印はクロノス・ヴァレスティの氷が溶けて行くにつれて断ち切ることができる』
なんだいこの急激な上昇は⁉︎
それに、やっぱり見間違いじゃ無かった…
クロのステイタスの周りにあった鎖が絡みついた様な装飾の数が12本から11本に減少している
それを踏まえて、ヘスティアはクロに更新されたステイタスを書いた紙を、今回はスキルも載せて手渡す。
それを見たクロは何かを決意した表情でヘスティアに向き直り、自身の過去を話すため口を開いた。
しかし、クロの口はパクパクと動くだけで音を発しなかった。
「えっ⁉︎」
クロの驚きの声が出た事から2人は理解した。
おそらくはスキルの、鎖のせいなのだろうと。
「いいよ、クロ君。 その鎖に何が封印されていようとクロ君はクロ君。 ボク達の家族だろう?」
その言葉にクロは目頭が熱くなるのを感じた。
バンッ
その時、勢いよく扉が開き、ベルがトレイを持って入ってきた。
「神様、クロ君。ミアさんが食事を用意してくれました。 …あれ? クロ君どうしたの?」
「なんでも無いよ、ベル君。クロ君は今日物凄いステイタスが上がってね、ベル君に合わせてダンジョンに潜れるようになったのが嬉しいのさ。 お⁉︎ 美味しそうじゃないか! さぁベル君、クロ君、食べようじゃ無いか‼︎」
「すごいよクロ君! ちょっと悔しいけどまた一緒にダンジョンへ行けるんだね。あっ、神様!まだダメですよ! クロ君が席について無いんですから‼︎」
「神様、待ってくださいよ‼︎ ベル、また一緒にダンジョンへ行こうな‼︎」
クロが席に着くと3人は「いただきます」と声を合わせ食べ物を口に運ぶ。
なあ、父さん。 天界から見てるか?
これが俺の新しい家族だよ。