サムと刀を交えた次の日
今日は教室がえらく静かだ、それもそのはず
バカっぽいリコと、何かと騒がしいアリア、アリアに反抗する金次が紅鳴館のクエストで出払っているからだ。
そう思っているとゆとり先生がホームルームをする為に入って来た。
「皆さん~、おはようございます~」
クラス全員「おはようございます~!」
「はい皆さん今日は外部から先生を呼んでおります~、入って来てください~」
こんな時期に外部から先生を呼んだのか、何の為にだ?
「皆さん~、こんにちは~、イギリス武偵高の教師サム・ホドリゲスです~」
スーツ姿にクロブチ眼鏡を掛けたサムが登場した。
ガタッ!「はあぁぁぁぁ!!!!?」
「はい、ジャック君どうしたんですか?そんなに驚いて?」
「ほらジャック~、席に着け~」
「ぐっ・・・・」
なんで俺が生徒で、ヤツが先生なんだ?
「ちっ!女の先生じゃ無かったか!」
おい、武藤お前は何を期待していた。
「はい、先生!好きな食べ物は?」
女子や男子達の質問タイムが勝手に始まった。
「フィッシュ&チップス~」
「はい!好きな人は?」
「ん~?、どうだろう~?ご想像にお任せするよ~」
「ジャックとはどんな関係ですか?」
「ん?どんなって・・・・普通に教師と生徒だが?」
誰が教師と生徒だ!同期だろ!?
「フフフ、書ける!ジャック×サム先生。教師と生徒の禁断の関係・・・・・フフフフフ、筆が進むわぁ!」
おい、そこの腐女子達!俺達はそんな関係じゃねぇ!!
おいサム!お前も何とか・・・・って!何でお前は照れてるんだよ!?気持ち悪いわ!
「先生は何の教科を受け持つんですか?」
「アサルトだ~、よろしく~」
全員「よろしくお願いします~」
ドタバタのホームルームや授業が終わり放課後、俺はアサルトの体育館に足を向けた。
ーー放課後ーー体育館
「おらおらおら~、もっと速く動け~、じゃなきゃ死ぬぞ?」
体育館に入った瞬間目眩がした、それもそのはず、サムが刀を振り回しそれをライカが避ける、目の前にはそんな光景が広がっていた。
「せ、先輩!た、助けて!」ライカの服は所々斬られていた。
「おいサム!、その辺にしておけ」
「やだね~、この子はお前のアミカだろ?この位で死ぬとは思ってないし、死んだら死んだって事で」
サムがギアを1つ上げて更に刀を振るスピードを上げる。
「せ、先輩!もうっ!あっ!?」
サムの刀がライカの右太ももを浅く切り鮮血が舞った。
ーーーライカサイド
私が体育館に入ると長い髪を結った男の人が待っていた。
話によると自分はジャックの先生だ、ジャックのアミカをテストしたい、と言って来たので何も考えずにテストを受けた。
しかし私はこのテストを受けた事を後悔した。
この人の太刀筋はとても速い、しかも完全に避けたつもりでもこの防弾防刃のセーラー服が斬られる。
それを40分以上もぶっ通しで、こっちの持久力と集中力をゴリゴリと削りに来ている。
このままじゃヤバイ!と思った時にジャック先輩が来てくれてやっとテストが終わると思いきや、このサムって人は更にスピードを上げ、私は避けきれず右太ももを浅く斬られてしまい無様に尻餅を着いてしまった。
目を上げるとサムさんが刀を上段に構え、私の頭目掛けて降り下ろして来た・・・・・
ーーライカサイドアウト
「サム!!!」
俺は背中から刀を抜き出しそのままライカとサムの間に分け入りってサムの刀を止めた。
「サム!!、お前は今完全に殺そうとしたな!?」
「あ~、ばれたか~、完全に殺気を隠したつもりだったけどな~、で何に怒ってんだ?ジャック?弱い者は死んでいく、それがルールだ」
「確かに一理ある、しかし弱気を助けるのも強者の務めだ!」
「はぁ~、お前完全に緩んでいるな」
その瞬間、俺とサムはつばぜり合いの状態になった。
刀がぶつかる度に衝撃で窓ガラスがビリビリと震える、しかしその均衡は長くは持たなかった。
「へぇ~楽しい事してるじゃないかぁ、私も混ぜて貰おうかぁ?」
デカイ斬馬刀を抜き放ち蘭豹先生が笑顔で斬りかかって来る。
するとサムが小声で
「おいジャック、あれは誰だ?」
「蘭豹先生だ、チャイニーズマフィアの一人娘」
「へぇ中々のべっぴんさんだなぁ~、よし」
おいサム、お前まさか・・・・
「ミス蘭豹、この勝負の後私と二人きりで食事にしませんか?」
く、口説きやがった( ; ゜Д゜)・・・
「はへぇ!?」蘭豹から間抜けで上ずった声が聞こえた。
「どうですか?ミス蘭豹?」
サムが本気で攻めている。
「は、はい・・・よ、喜んでご一緒させて頂きますぅ・・・・・(///∇///)」だんだんと声が弱々しくなって顔はだんだん赤くなって行く。
「はぁ、もう勝手にしろ」
俺はライカにブレザーを着させ、ライカを抱えて保健室へ直行した。
ーー保健室までの出来事
「先輩!私1人で歩けます!下ろして下さい!」
「ダメだ、傷を悪化させない為にしてるんだ我慢しろ」
「ううぅ、なんでお姫様抱っこなんだ?」
「何か言ったか?」
私の弱々しい反論はジャック先輩には通用しなかった。
「な、なんでも無いです!!」
ーー保健室
生憎?、保健室には誰も居なかった。
ライカをベッドに座らせて治療を施した。
「どうだ?ライカ痛みはないか?」
「はい・・・先程と比べると驚く程痛みが和らぎました」
「そうか、それは良かった、じゃあライカ」
「はい、何ですか?」
「脱げ」
「は?」時が止まった。
ーーライカサイド
私は今とても困惑している。
体育館で殺されかけ、そこに颯爽と先輩が現れて見とれていたら、お姫様抱っこされて保健室に運ばれ、治療をして貰って終わりかと思ったら先輩から「脱げ」って命令された、これってもしかして・・・・・
変な妄想をしてしまい顔が真っ赤に染まっていくのを感じた。
「せ、先輩」
「?」
「う、上だけですか?」
「何言ってんだ?上下共だぞ」
「~~~~っ」
「ライカ何をしている?服縫ってやるから早く脱げ」
「は、はい!・・・・・はい?」ん?縫ってやる?
「そんな服で外に出られないだろ?縫ってやるから」
「・・・・・はい」
はぁ~、そんな事かぁ・・・・期待して損した・・・・・私は先輩に期待している?・・・・・私は先輩にこ、こ、恋しているのか?
ーーライカサイドアウト
ーージャックサイド
俺は可笑しな事を言っただろうか?
サムに服を切り裂かれかなり大胆な服へと変貌を遂げたセーラー服にスカート、それを縫ってやる為に脱げと言ったのにライカの顔は赤くなった。
熱でもあるのだろうか?
ライカはカーテンを閉め切りベッドを隠した、そしてカーテンの間からセーラー服とスカートを差し出して来た。
俺は胸ポケットからまち針と糸を取り出しライカの服を縫い始めた。
昔を思い出す、まだ俺とサイオンが00セクションチャイルドだったあの頃、よくサイオンが怪我してボロボロになって帰って来た時、こうして治療して服を縫ったな
ーージャックサイドアウト
ーーMI6ーーQの研究所内
「ハクション!」
「サイオン?風邪でも引いたのかい?」
「いやQ、この爽やかなクシャミは・・・ジャックが噂しているな」
「・・・・全く、クシャミ1つで誰が噂したかわかるのかい?」
「あぁ、爽やかなのがジャック、普通のはQかサム、それかマニーペニー、粘つくようなクシャミはババアのMだ」
「・・・・本当にキミはジャックと仲が良いよね?」
「あぁ、今はな・・・・昔は悪かったぞ、まぁ俺が一方的だったけどな」
「そういえば・・・・007キミの過去はある程度知ってるけど、008ジャックの過去は殆ど分からない」
「俺も聞いた事はある、どこで産まれたのか?親は、家族は?どんな家で育ったのか? しかし返って来た答えは全て『分からない』ってな」
ーー保健室ーー
ーーライカサイド
20分間沈黙が続いたが私は耐えきれなくなり、適当に先輩に質問した。
「先輩」
「なんだ?」
「先輩はイギリスの何処出身何ですか?」
「・・・・・」
それまでカーテン越しにチクチクと先輩が縫ってくれる音が聞こえたがその音が不意に聞こえなくなった。
「先輩?」
「・・・分からない」
「え?」
「俺は何処で産まれた?、親は?全て分からない、分かるのは捨てられ師匠に拾われた事だけだ・・・・・なぁライカ、俺は誰なんだ?」
「?」
先輩の雰囲気がみるみる薄くなるような感覚に陥る。
そして完全に先輩の気配が消える、そんな感覚におそわれた。
「先輩!」
カーテンを開けて先輩が居るか確認しようとした、先輩は居た、しかしその存在はとても虚ろで目に光りが無い。
「先輩!大丈夫ですか!?」
「・・・・・あれ?俺は何を?」
「記憶が無い?」
「おいライカ、ベッドに戻ってろ、こんな所を人に見られたr」
「ジャック、ライカは無事・・・か・・・・」
タイミング悪く、いやお約束の展開か、ジャンヌさん登場
因みにライカが下着姿で俺の両肩に両手をのせて顔を近づけている様にも見えなくは無い。
「「・・・・・」」
「どうしたジャンヌもライカも、お互いに固まって?」
「す、すみませんでした!先輩!」
ライカは俺の手から制服をブン取り目にも止まらぬ早さで着替え保健室から出ていった。
「あ!おい!まだ途中だぞ!」
「ジャック・・・そこに正座してくれ」
「ん?何故?」
「いいから正座」
ジャンヌの有無を言わさぬ圧力に俺は渋々従った。
そして俺は正座で事の流れを説明した。
ーーー
「成る程な・・・・私の勘違いだったか・・・・・・・・・良かった」最後にボソッと何かを呟いたが、聞かぬがなんとやらだ。
「ジャンヌ、俺に何か用事があるのか?」
「あぁ今度映画を見に行かないか?」
「いつだ?」
「3週間後だ」
「あ・・・・すまんその週はとても忙しくて、無理だ、来週か再来週は?」
「すまないどっちもテニスの試合が入っていてな、とてもじゃないが無理だ」
「あぁ・・・・すまん」
「いいんだ、気にするな・・・・・所でジャック、アリア達は今日からクエストだな?」
「そうだが?」
「独りだろ?何なら私が夕飯を作ってやろうと思うんだが」
「本当か!それは助かる!実はこの後所要で帰りは20時位に成りそうなんだ」
「何かリクエストはあるか?」
「ん~、ジャンヌの得意料理を食べてみたいな」
「そうか!そうか!期待して待っておけ」
ジャンヌと別れて新宿警察署に来た。
「こちらは新宿警察署です、何かご用ですか?」
受け付けの婦警さんがニコニコと聞いてくるのでイギリス政府のIDを出し
「神崎かなえさんとの面会を予約していた者ですが」
その言葉で署内の空気がかわった。
「了解しましたこちらで少しお待ち下さい」
それまで笑顔で接していた婦警さんも俺を腫れ物でも扱う様な態度で接してくる。
指定された場所で待っていると厳ついオッサンが2人来て案内された。
そして目的の場所、面会室に入って座って待っていた。
5分位待っていただろうか、やっとかなえさんが入って来た。
「面会時間は10分間だ」
「こんばんわ、えっと?貴方は?」
「私はジャック・ベケッドです、ミスかなえ」
「まぁ貴方がジャックさんですね?いつもメヌが貴方のお話を楽しそうにするの、私も一度会ってみたいって思っていたの」
神崎かなえーーーとても二児の母とは思えない美貌をしている。本当にアリアとメヌエットの母なのか?と疑いたくなる程若い。
「ハハハ、私も同じ様にメヌエットから貴女の話を何度も聞いた事がありますよ」
「フフフ、会えて嬉しいわ」
「えぇ私もです、まぁこんな環境ですがね」
「それで今日は何をしに要らしたのかしら?」
「まぁザックリ言えば貴女の元気な姿かを確認しに来ました。」
「それは上司からの?」
「はい、とても気にしていました」
「大丈夫、私は元気よ」と力こぶを作って微笑むがどこか儚さを含んでいる。
「まぁこれは私の興味本位ですけど、何故貴方はここに要るんですか?」
「・・・・・」
「貴女の事を失礼ながら調べた、幾ら調べても貴女は白だ」
「・・・・・そ、それは」
「神崎、面会時間終了だ」
時計を見るとまだ3分しか経っていない。
「おい、まだ3分しか経ってないぞ?」
「面会終了です」
「いい加減にしろ、それとも何だ?日本のポリスは時計も計れないのか?」
「き、きさまぁ!」
俺は胸ポケットからワルサーPPKを取り出し机の上に置いた。
「この銃の刻印の意味がわかるよな?」
「っ!?その刻印は!」
ワルサーのグリップ部にライオンとペガサスの紋章が入っていた。
これは王室から選ばれたエージェントだけが持つ事の許される銃だ。
つまり俺は王室に深く関わっている、こんな些細な事で日英関係を悪くしたいのか?、とまぁ半分脅しだ。
「くっ!後2分だ」
その後かなえさんに色々聞いたがオブラートに包んだ言い方だったり、のらりくらりとかわされたりと話が殆ど進まなかった。
「面会終了だ」
「ちゃんと10分経ったようだな」
「ジャック君、気を付けてね?」
「それはお互いに様ですよ、あぁそうそう、かなえさん」
「何かしら?」
「いずれ貴女をそこから出しますから」
「・・・・ありがとう」
面会室には俺1人だけになった。
「やはり喋らなかったか、これで良いですかM?」
携帯を取り出しスピーカーを切って電話の向こうに居る人物に話しかける。
『えぇありがとう008、ふー、これは骨が折れそうね』
「えぇ同感です」
『そうそう008、貴方はホームズ家に何かしたかしら?』
「いえ特には?」
『メヌエット=ホームズからMI6に活動費の援助があったの、それも高額な、それと伝言「今後も御姉様の事をお願いします」って』
「あー」
『何?わかったの?』
「Mそれは気にしなくて良いです、それじゃあ私は任務に戻ります」
『それじゃあね008』
俺は新宿署を後にして寮に帰った。
ーーーー
武偵高 男子寮 20:10
「ただいまー」
扉を開けると理子が出てきてそのままターンしながら。
「お帰り~ジャック、さてお風呂にする?ご飯にする?、それとも・・・ワ・タ・シ?」
「おい理子、今日の夕飯はジャンヌが作るそうだ」
「スルー!?あの流れを何事も無かったかの様にスルーされた!?もうジャンヌが作ってるよ~、私も何か作ろうかな~」
「理子、お前料理出来たっけ?」
「あ~酷いぞジャック、私の得意料理激甘ステーキを食べてから言ってよね~」
「激ウマ?」
「違うよ~激甘だよ!」
なんだそのジャンクフードモドキは?絶対に食いたくない・・・
「ジャック、帰って来たか、さぁ夕飯が出来た一緒に食べようではないか」ジャンヌがエプロン姿で登場
「おう」
その後ジャンヌがムニエル、コンソメスープ、カルパッチョと得意なフランス料理を披露してくれ俺と理子は舌鼓を打ちながら食べた。
「今度はジャックの手料理が食べたいな」
「良いぞジャンヌ、何かリクエストは?」
「はい!はい!理子はジャックの作ったボルシチと青椒肉絲が食べたい!」
「ロシア料理に中華料理か?組み合わせがスゴくないか理子?」
「ジャックの得意料理は何だ?」
「ん~一番はイギリス料理のローストビーフかな」
「ほぉ~ジャックはイギリスの何処出身なんだ?北部か南部とかで色々と料理も変わるのだろう?」
「「・・・・・」」
ジャンヌの発言で場が凍った。
「ん?どうした二人とも?」
「ジャンヌ俺は「あー!そうだ!今度理子も料理をしようかなぁ!」」
理子の強引な発言によって場の雰囲気が元に戻った。
その後、『理子の料理は酷い』とジャンヌの言葉から始まり、気づけば時計の針が23時を回って居た。
「ジャンヌ、今日は泊まって行け」
「良いのか?」
「どうせ理子も泊まる予定だったんだろ?」
「アハハ、ばれたか~」
「そういう事だ、先に二人で風呂にでも入ってこい、後片付けは俺がするから」
「「ハーイ」」
ジャンヌ・理子
「はふぅ~疲れが取れる~」
「あぁ同感だ、リコ1つ聞きたい事がある」
「だいたい分かるけど一様聞いておく」
「何故ジャックの出身の話を誤魔化した」
「あの質問はジャックにとっては禁句だ、前に私も同じ質問をした事があったけど全て『分からない』だった」
「そうか・・・・ならこの話は終りだ、でだこの後の作戦は?」
「あれれれぇ?~策士のジャンヌさんが、怪盗のリコ様にぃ助言ですかぁ~?」
「うっ、し、仕方がないだろ!実質私もライカと同じく恋愛は初めてだし」
「ん~、リコ的にはハーレムルートは嫌いなんだけどねぇ~、まぁいっか~ それではこの後作戦は・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・
風呂 01:00
やっとジャンヌ達が寝てくれた、散々騒ぎまくって隣から苦情が来ないかヒヤヒヤしていた。
「あ~、任務でローマの風呂も良かったが日本の風呂は何だか落ち着く、今度温泉の旅でもするかな」
「うっ!?」
なんだ?頭がズキズキする風邪か?
頭痛を我慢し湯船から上がり、着替えて直ぐに自分のベッドに入ってまどろみに抗うこと無く寝た。
次の日
朝 05:00
「・・ん・・・・体が重い?」
まだ部屋は暗く目も暗闇に慣れていない。
腕時計を確認しようと左手を動かそうとするが上がらない、その代わり腕にフニフニとした感触がある。
「?」
右手も同じような感触だ。
「???」
足を使って布団を剥ぐと
左にはジャンヌが右にリコが俺の腕を抱いて寝ていた。
何だこの状況は?、身動きが出来ない。
仕方ないもう一眠りするか。
「ジャック起きてる?」
右側がモソモソと動き、俺は顔を右に傾ける、数cm先にはリコの顔がある。
「どうしたリコ?」
「あのね2週間後、私はアリアと金次にもう一度闘いを仕掛ける、だから近くでその様子を見ていて欲しいの、お願い」
「わかった、その代わりアリアの命は奪うなよ、リコを殺したくはないからな」
「分かってるよ」
左手が何度もフニフニとするので左を見るとジャンヌが膨れっ面で睨んでいる。
「お早う、ジャンヌ」
「お早うジャック、リコばっかりずるいぞ」
「何がだ?」
「そ、それは・・・」
「あれジャンヌ?、もしかしてリコに焼きもち?」
「だ、断じて違うぞ?」
何故疑問系?
こうして時は流れて行く・・・・・
ーーー
2週間後 夜 ランドマークタワーの近く駐車場
駐車場に車を止め、アメリカ製監視用小型レイブンを飛ばしヘリポートの様子を眼帯越しに観ていたが、視界に気になる者が目に入った。
「ん?あれは?小夜鳴先生?」
小夜鳴先生と2匹のオオカミがランドマークタワーの中に入っていった。
小夜鳴先生に違和感を感じワルサーだけを持って車から降りた。
俺は小夜鳴先生の後をこっそりとスニーキングした。
小夜鳴先生達がエレベーターに乗った後直ぐに俺は扉を開け、エレベーターの底に懸垂の要領でしがみつき屋上、ヘリポートまで運んで貰った。
着くと小夜鳴先生は懐からショックガンを取りだしリコを行動不能にさせ玩び始めた。
ーー金次サイド
くっ、まさか小夜鳴先生が敵だとは、しかもこちらの行動は筒抜けだったのかよ!?
どうする?どうすれば勝てる?小夜鳴先生の戦闘場面は見たことが無い。
「さぁ・・・・彼が来るぞ!!」
小夜鳴の体がどんどんと大きくなり口が大きく、爪は鋭くなり完全に狼男になった。
カツンと音がして後ろを見るとジャックがサイレンサー付きのワルサーPPKを構えて立っていた。
『スンスン・・・おや?、誰か居ると思ったらジャックか、いや今日はついてるぜ、良い遺伝子達が沢山いるじゃねぇか』
『失敗作のルパン四世、ホームズの出来損ない、期待大の遠山の猿に、成功作にも関わらず自ら失敗作に成り下がったジャック・ザ・リッパー』
「誰が出来損ないよ!!!!」
「なんか俺猿扱い・・・・」
「俺が成功作?」
『グハハハ!、あの方も性格が悪い!、まさか自分の子の記憶を消すとは!』
俺の疑問はアリアの威勢の良い発言でキャンセルされた。
「ブラド!ママの冤罪の罪を償いなさい!!」
『やれるものならやってミロ!遺伝子ドモ!!!』
「キーくん、アリア、ジャック・・・・・助けて」
「「「言うのが遅い!!!」」」
アリアがブラドの刻印に向けてガバメントを発砲するが効き目はほぼ無い、が注意は引けた。
俺と金次はブラドに肉薄し、マバタキで金次にリコを救出をするように頼もうと思ったが目を見ただけで解かり、俺が抜き手でブラドの心臓の1つを抉り取り怯ませ。
金次はスライディングでリコを救出した。
「ほぉ、これが魔臓か」手の中に収まらない程の心臓がドクドクと脈打っている、俺はそれを躊躇無く潰した。
しかしブラドは余裕の表情を浮かべている。
それもそうだ、抉り取った時の傷はもう塞がっており魔臓まで再生している様だ。
「魔臓まで再生するのか?全て同時に魔臓を潰さないとキリがないな」
金次がリコを安全な場所に置いて戻って来た。
「金次とアリア、俺が2匹のオオカミをやる その間にブラドをよろしく」」
「「了解」」
どうしたんだ?金次雰囲気変わってないか?
「さてさて、おやすみの時間だ犬ども」
オオカミ達に近寄り攻撃させる隙を与えず
ーーーパシュッ!パシュッ!とくぐもった音がしてオオカミ達はあっというまに寝てしまった。
「象でも一発で夢の国に昇天させる事ができる麻酔銃だ、犬っころなんざ敵じゃない」
「しっかし気持ち良さそうに寝てやがる」
オオカミ達を掴み引きずり戦域から離脱させた。
戦域に戻るとブラドの胸がパンパンに膨れていた。
まずい!これはワラキアの魔笛か!?
「ブオロロロロアアアァァァァ!!!」
咄嗟に耳を塞いだ事によって鼓膜が破れずにすんだ。
「アリア!金次!大丈夫か!?」
「えぇ私は行けるわ!」
「金次!?」
金次は両膝を地面に着け「あり得ない!」と表情をしていた。
どうしたんだ?雰囲気がいつもの感じに戻っている?なぜ?
あの咆哮が関係あるのか?
金次は呆然と立ち尽くし、ただ拳銃の引き金を考えもなしに引いていた。
「金次!逃げろ!」
しかし金次は動かない、いや動けない。
頭がパニックになっている。
そこにブラドが引き抜いたアンテナを金次目掛けて振り抜く。
「「このバカ金次(が)!!!」」
俺は拳銃で、アリアは2本の刀でカードするがブラドの方が圧倒的に強い。
ガードも虚しく3人共吹っ飛ばされてしまった。
刀持ってくれば良かったな・・・・・
と思って気を緩めていると、あれ?俺飛び過ぎじゃね?
と思い下を見ると遥か下にある地面が迫っていた。
「あ?落ちてる?」
横には金次も居た。
ブルータスお前もか、いや間違えた金次お前もか。
「きー君!ジャック!」リコが俺達めがけて飛び降りてくる。
「リコ!俺の事は良い!金次を助けろ!」
リコが一瞬戸惑うが直ぐに金次を助ける為動き、無事に制服パラシュートも作動。
ビル風を利用して上へ上へと登って行った。
あーぁワルサー壊しちまった。
Qにどやされるな。
さて後4秒位で地面に激突だ、サイボーグだから死にやしないが腕や足の一本は使えなくなるな。
4ー3ー2ー1ー0ーーーポスッ!
俺は地面にぶつかるまで頑に目を閉じていたが、いつまでたっても地面にぶつかる気がしない。
「ポスッ?」
むしろ後頭部に何か柔らかい物が当たっている。
フニフニとそして甘い匂い。
あー俺もしかして死んだ?
「いつまで目瞑っているの?」
聞き覚えのある声がして目を開ける。
目を開けると銀髪を腰まで伸ばし特徴的な赤と青の綺麗な瞳に見つめられる。
「久し振りだなロカ」俺はロカに膝に着地して、尚且つ膝枕をしてもらっているらしい。
ロカ、ジーサードリーグという癖の強い組織に所属している
「Дοбрый вечер(こんばんわ)ジャック、そして久し振りね元気にしてた?」
「あぁ君のおかげでピンピンしてるよ」
「ふふふ♪そうね、所で今何してるの?」
「ちょっと吸血鬼と戯れていた」
「ふーん、でなんで飛び下りなんかを?」
ここまでの経緯を簡単に答えた。
「成る程ね、でもなんで本気を出さないの?」
「それは秘密」
「そう、心を読んでっ、てしたいけど貴方の思考は何故か知らないけど読めないから諦めるわ」
「そうかい」
俺は起き上がりロカに手を差し伸べ立ち上がらせる。
「ロカ、君は何故日本に?」
「フフ秘密♪」
少し金次達が気になって眼帯越しに様子を確認するーーー
結果金次達は勝った、見事にブラドを倒した。リコもこれで初代ルパンを越えた。
もう俺がリコのお守りに就く必要は無くなった。
「ジャック!」
空からリコがゆっくりとパラシュートで降りてきた。
「ジャック!大丈夫!?」
「大丈夫だ、問題ない。それより良く頑張ったな初代ルパンが出来なかった事を成し遂げれたな」
「ありがとうジャック」
「あぁそして俺の役目もこれで終わりだ」
「役目?」
俺は無言でいつも持っておいたリコのお母さんからの手紙を差し出した。
リコは何度も何度も読み返して顔を上げた。
その顔は驚きと喜びの表情が混ざっていた。
「リコ、俺は亡き奥様からリコが一人立ち出来るようにとサポートを任された、そして俺はこのブラドの一件を見て、もうサポートは必要無いと思う。
ブラドという檻は壊れ、俺という親鳥はもう必要無い、さぁ巣立ちの時だ」
「ジャック今までありがとう、でもこれからも何か有ったら頼っていい?」
「勿論だ」
「ありがとう!ジャック」
リコに抱き付かれ、チュッと頬に柔らかい何かが当たった。
「そ、それじぁね!」
リコは脱兎の如く姿を消した。
ジッージジッージッと機械音がして横にロカが頬を膨らませて立っていた。
「ステルス迷彩か?」
「えぇ衝撃に脆いけど、で今の女はだれ?」なぜそこで不機嫌になる?
「峰・理子、リュパン4世だ」
「ふーん、あっそろそろ時間だわ」
「送ろうか?」
「いえアンガスが待ってる・・・ジャック」
「?ーーー!?」理子からのと反対側の頬にキスされた。
「Дο свидания(またお会いしましょう)」
呆然とする俺を置いてロカは暗闇の中に消えた。
ーーーー
ーーーーーーーー
心臓がドクドクと跳ねる、今までこんな事が有っただろうか?
否ーー008として長い間任務で世界を飛び回りイギリスに仇なす者を裁いて来た。
確かに任務で女性と体の関係を持った事も有った。しかしそれはイタリアのCVRでロメオのマニュアルに基づいて行動したに過ぎない。
そこに愛があったか?と聞かれたら必ずやこう答える。
ーーー断じて否、と
しかし最近は俺の体調がおかしいのか、頭痛はするし女性からのアプローチにいやに感情的になってしまう。
特にジャンヌ、俺の中で大きな存在になってきている。
リコとメヌエット、ライカはジャンヌ程では無いが、まぁ感じ的に言えば妹?みたいなやつらだ。
ロカはその間だな。
はぁ・・・スパイ失格だな。
俺は頭痛に際悩まさせられながら暫くの間ランドマークタワーを眺めていた。
済みません更新遅れました。
理由としましては部隊配属で引っ越ししました。
そして昨日から続く地震で緊急出動がひっきりなし。
とても忙しいをお取り越してヤバいです。
ですが4月末から5月始めまで休みが取れましたのでその間に更新したいと思います。
超亀更新ですが、これからも何とぞ宜しくお願いします。
あ、また揺れた。