艦これ!ー特Ⅱ型駆逐艦、朧の日常ー   作:日向@ひなた

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 空はあんなに青いのに……秋刀魚出ない。まあ、正直秋刀魚よりも秋祭り仕様のグラが終わってしまう悲しみのほうが大きいのですが。期間限定のグラや改二グラは母港画面で自由に選択できるようにすればいいと思うので誰か運営に言ってこよう。




第6話ー朧ちゃん、演習をする①ー

 

「ヒトマルマルマル、これより演習を行う。両艦隊は所定の位置に移動し、ヒトマルサンマルより開戦をせよ」

 

 時刻は10時、いわゆるヒトマルマルマルだ。演習の時間となり、朧たちは海上へ集合していた。船着場の上から、両鎮守府の提督が指示を出している。

 

「まあ、要するに今から海上を移動し、30分でお互いかくれんぼをしてから戦闘開始ってことだな。戦いは索敵からだ。まあわかりきってることだろうから、わざわざ言うまでもないだろうが、一応な」

 

 ざっくりとした適当な物言いは、第八鎮守府の提督のものだ。言葉の選び方にどうにも提督らしさというものを感じないが、艦娘なんて、プライベートは思春期の女子と大差ないし、案外と言葉遣いなんてものは軽いほうが気安くていいのかもしれない。

 うちの提督もそのあたりはある程度はそれっぽく振る舞う程度でしかないし、普段から言葉遣いは朧たち艦娘の目線に合わせた、普通のものである。

 

 行ってこい、と八鎮の提督の言葉を合図に、八鎮の艦娘たちーー霞、速吸さん、三日月が移動を始める。

 沖合のほうまでまっすぐ出ていっているが、これは視認できない距離まで移動してから、互いの提督が所定した位置まで移動をするためだ。

 鎮守府の周辺はたまにはぐれ駆逐艦が出現するぐらいの比較的平穏な海域であり、ある程度の自由が効く。

 さて、八鎮艦隊が見えなくなってきたところで朧たちも移動するとしよう、と吹雪が動き出す。

 

「朧ちゃん、ヴェルちゃん、準備はいい?」

 

「うらー」

 

「水着姿を準備できてると言っていいなら」

 

「準備はばっちりだね!」

 

 ばっちりってなんだろう。結局、水着姿で演習をすることになってしまった朧を、誰一人として笑おうとしないのは同情からなのだろうか……

 唯一反応していた八鎮の提督は『ああ、やっぱり水着いいなぁ。くそ羨ましい。なんでうちには限定艤装が来なかったんだ……』と割と本気で悔しそうにしているという、本当にもうこの人、提督で大丈夫なのかと言いたくなる有様だった。

 

「あさのかっぜーうーみにもおはよーちゃんと準備はできてるー?」

 

 気分よく歌を歌いながら海上を滑っていく吹雪。

 緊張感のない子だ。

 

「だってーわたし誰よりもお姉さんだからー♪」

 

「そこ歌いたかっただけだね」

 

「えへへー」

 

 ヴェールヌイのツッコミに、吹雪は笑う。

 まったく、これが今日の演習で旗艦をつとめるというのだから、こちらまで気が抜けてくる。

 とは言えそのことに対して文句があるわけではなく、むしろ認めているぐらいだ。三人とも高練度ではあるものの、やはり朧たちを引っ張るというのならば、吹雪しかいないと思うし、適任だ。

 閑話休題。

 縦に三人並んで海上を進んでいく。所定の位置までは少し距離がある。30分という時間は、大半が移動時間だ。だから作戦を話すのは移動中になる。

 とは言えーー作戦、作戦、作戦か。

 通常の戦い方が通用しないのはお互い様ではあるが、とは言え通常通りの部分がないわけではない。

 そこを抑えて、考えなければならない。

 ……まあ、とは言え。なんというか。

 考えるほとのことにならないと思うけれど。

 

「ところで水着で中破したらほとんど全裸みたいになりそうじゃない?」

 

「それは今言うこと!?」

 

「全裸!? お姉ちゃんは妹が人前で脱いでしまうような非行の道に走るのは許しませんよ!」

 

「好きでこんな格好してるわけじゃない!」

 

 露出することを望んでしていたとしたら、その人はとんでもない。度し難い変態じゃないか。

 

「さて、冗談はこれぐらいにして。ヴェルちゃんが陽動、朧ちゃんが対空射撃、わたしが旗艦へ突貫のいつものパターンでいい?」

 

「いいんじゃないかな。朧は?」

 

「ざっくりとし過ぎてどう答えていいか困ってるけど大体いつもそう落ち着くんだよね……」

 

「あはは、最後は結局殴り合いだもんねー」

 

 普通であればあまりにも参考にならない演習だ。

 吹雪がいるからこそーー或いは、『彼女』がいるからこそ、なるべくしてそうなっているというか。

 

「こんなだから参考にならないって断言されるんだろうけどね」

 

「もっと自由な発想で動いてもいいんだよ、みたいな意味では参考になるかもしれないよ?」

 

「自由って、ヴェールヌイじゃないんだから」

 

「私を自由代表みたいに扱うのやめない?」

 

 確かにフリーダム名乗ったりしたこともあるけども、とやや不服そうに言う。

 まあ、確かに。ヴェールヌイは普段の行動はともかくとしても、艦娘としてはそれなりに常識的ではある。吹雪と比べればわかりやすいほどに、ちゃんと艦娘をしている。艦娘らしく戦うというか。

 敢えて今日の演習で、低練度の娘たちが見本にするべきだとするのならば、間違いなく彼女だ。元となった艦が練習艦を経験していたということは、多少は影響しているのかもしれない。

 なんて。世界を震撼させた常識破りの吹雪という駆逐艦が、艦娘として型破りとなり常識破りとなったのが出来過ぎな話のように聞こえてくる。

 さて、朧はどうなのか。

 朧はまあ、たぶん、普通だ。

 弟子、とも言えるだろう。吹雪があんな娘になってしまっているので、自信を持って言えないが。なんて言っても、大したことを教えた記憶もないし、吹雪が新米の頃にちょっと対空射撃の手本を見せただけだから、弟子と言えることもないか。

 自己評価というのは難しい。

 自己PRは難しい。

 就職活動で一番難しいのは、案外と自己PRの作成なのではないだろうか、なんてのは戯言だけど。

 

 さて、そろそろ所定地だ。

 開戦時間の合図まで待とう。

 

「終わったらごはん食べに行こっか。たまには間宮から離れて、外食も良いかも」

 

「商店街に新しくラーメン屋ができたらしいよ。チラシが入ってた」

 

「ラーメン! いいね、いいと思うよっ。朧ちゃんはラーメン、どう?」

 

「朧は美味しくてお腹いっぱいになるならなんでもいいけど……うん、ラーメン、悪くないかな」

 

「じゃあ決まりっ。今日のお昼はラーメンをみんなで食べに行こう!」

 

 海上で雑談に華を咲かせて時間を潰すという緊張感の無さは、まあ、今に始まったことではない。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「これが、アイキャッチなんです!」

 

   +    ヽ、

  +       ._,/ ̄ ̄` ̄\  +

        // ,ハ、  /ヽ\ i

   +  .-=´/ ノ \リ/ /レV lハ  +

      +  .j v、!●  ○"i  〈  

        .キ ノ〈"" ワ ""ル レ ハヾ   +

        七'レ`ーゥ  t-リ!Уハ 「:l_「:l  +

   +    ./::::/,,「:l´ V_,ィtー〈 「l l:::l・・l:::l

     + ./::::/::l=:〉`央ー'j  \==ニニl +

   +  +.//〈:,/ー、{,_ノ /ー、!  \

 

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『俺はお前たちの勝ちに賭けてるんだからな、今日の昼飯を。頼むぜ』

 

 などと言っていたクズのことを、まあ気にするなんて時間の無駄ではあるのだけれど、自分たちの実力に期待をされているという事実にだけはポジティブに受け止めるべきかもしれない。

 旗艦である霞は岩にもたれながら、頑丈そうなデジタル表示の腕時計を見る。登山、海水浴、戦場、なんでもござれな頑丈な腕時計、C-SHOCKだ。

 けっして某○シオが出しているGなんとかではない。

 旗艦に渡されたこれが鳴るとき、演習が始まる。

 開始まで残り、5分を切っていた。

 

「速吸、いつもどおり吹雪の相手は任せたわよ」

 

「任せてくださいっ、今日は吹雪ちゃんに勝ってみせます!」

 

「ん、頼りにしてるわよ」

 

 あれを抑えられる相手は速吸しかいないーーそのためにも、速吸には万全の状態でいてもらわないといけない。艦載機での偵察は、避けたほうがいい。

 向こうは駆逐艦娘だけだが、速吸の流星は搭載数が少ないので、無駄遣いはできない。

 最も、理由はそれだけではないが。

 さて、しかしそれでは索敵はどうしたものか。目視、直感、電探、そのへんで補うか。幸いにもこちらには、艦娘適正を間違えたとしか思えない幸運の持ち主がいる。アホ毛が無ければ初霜系の艦娘と見分けがつかないとよく言われるが、まさか幸運まで似ている……いや、幸運の種類が違うか。

 というか、うちみたいなクズ提督のいる鎮守府に所属となっている時点で不幸なのかもしれないが。

 セクハラされて喜ぶのは速吸ぐらいだ。

 

「今、凄く失礼なこと思いませんでした……?」

 

 霞から哀れみの視線を送られていることを敏感に察知して速吸が文句を言うが、知らぬ存ぜぬと無視をする。それを見て、三日月がくすりと笑う。

 

「まあ、アンタは頑張ってると思っただけよ」

 

「よくわからないですけど……頑張ってるのは霞さんのほうだと思いますよ。あの提督さんのハンドルを握って操作できるのは、霞さんぐらいですよ」

 

「まあ、あのクズもそんなに扱い難いわけでもないんだけどね。やるときは真面目にやるし、面倒なときには速吸を舐めていいと言えば落ち着くし」

 

「しれっと私に犠牲出てませんか!?」

 

「嬉しいでしょ?」

 

「嬉しいわけないですよねぇ!」

 

 はて、そんなバカなと言いたげにキョトンとした顔を見せる霞は、外見年齢相応に子供らしかった。

 普段は目を釣り上げて怒っているような表情をしていることのほうが多いので、こういった気の抜けた表情は珍しいものである。

 それはつまり、心底そう思っているということでもあるのだが。そう思っている。速吸は司令官からセクハラを受けることで喜ぶ、凄く奇特で危篤状態な性癖を持った、ちょっと理解し難い奴であると。

 速吸としては、余計にショックだった。

 

「司令官と言えば、今朝は朧さんにセクハラをしていたらしいですね。あれさえ無ければ、良い司令官なんですけれど……」

 

「ああ、してましたね。大丈夫、それについては私がしっかり、注意しておきましたから」

 

「自分の太ももを撫でたらいいって?」

 

「なんでですか!? 霞さんの中で私はどういう存在なんですか!?」

 

「え、そりゃ、まあ、そうね……聞きたい?」

 

「聞きたくありません……」

 

 心が深く抉られることが目に見えているので。

 

「冗談ったら、冗談。そんな落ち込まないでよ。確かに少しは、こいつ喜んでるんじゃないかしら、みたいに思うことが無いと言えば嘘になるけれど、まさかあんたがセクハラをされたい変態嗜好の持ち主だなんて本気で思っているわけないじゃない」

 

 少しは思っているのか。

 少しでも思っているのか。

 ショック過ぎる。

 普段から気を付けよう……いや、気を付けるって何をという話ではあるのだけれど。提督さんにセクハラをされないようにすればいいのだろうか。

 そもそも本気で辞めさせようと行動に移さないあたりが、霞が少しは思ってしまう原因であるということを速吸は気が付いていないけれど、そのことには恐らく未来永劫に気が付くことはないのだろう。

 

「さて、雑談終了。そろそろ引き締めていくわよ」

 

「はい!」

 

「了解です。頑張らなきゃ、ですね」

 

 時間を確認する。アラートが鳴り響く、五秒前。

 ーーさあ、やろうじゃない。

 





 どうでもいいけど古鷹さんとGoogleで検索するとサジェストにガチレズ大井botさんの迷言が出てくるの僕だけですかね

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