戦姫絶唱シンフォギア -iF-side-(仮)   作:霜月 晦日

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ラテン語の文法見てみたけどわけわからんから諦めました。


01 : 天羽詠

 

 

 

 

 ……眼が覚めると、そこは白い天井だった。

 

 今は昼間なのだろうか。窓の外からは陽の光が差し込んでくる。

 外に眼を向けると見知った建物が見える。

 

 私立リディアン音楽院高等科

 

 あぁ、授業の時間は大丈夫なのだろうか。授業をサボってばかりいると翼に怒られてしまう。

 

「……まぁ、こんなことを考えられるのも今くらいか……」

 

 そう呟いた瞬間、ゆっくりと扉が開けられる。

 ということは、9割方慎次か了子だろう。

 

「あ、眼が覚めましたか」

 

「やはり、慎次だったか。……想定通りというのも些か面白味に欠けるな」

 

「それ、僕に言われても困るんですが……」

 

 まぁ確かにそうなのだが。つまらないものはつまらない。

 この緒川慎次という人は、翼のマネージャーをしている忍者だ。まぁ変人奇人揃いの私の身辺の中では割とまともな人間の1人だ。

 

「そういえば、翼さんが探していましたよ」

 

「なんだ、あいつは最近奏にべったりだから私には飽きが来たものと思っていたが。ふむ……まぁ面白そうじゃないか。放っておこう」

 

「ツヴァイウィングの活動のお蔭で貴女に会えないと寂しがっていましたけど……」

 

「ふん。私、天羽(あもう)(よみ)は風鳴翼に会う気はないと伝えてくれ」

 

「……知りませんよ」

 

 そう言って慎次は部屋、もとい病室を後にした。

 

 では、翼が来るまで私が何者で、これまでどのような軌跡を辿って来たか。簡単に話してやろう。

 

 私こと天羽詠を語るに於いてまず話すことと言えば両親が死んだ事件……いや、事故というべきか。についてである。

 

 遡ること約3年。

 聖遺物発掘チームとして長野に赴いていた父と休暇中ということで父の元を訪れていた母、姉の奏、そして私の4人家族が揃った時の話だ。

 まぁあまりぐだぐだ説明するのも面倒、もとい性に合わないので端的に言ってしまうと。認定特異災害ノイズの襲撃によって両親は死に、奏とは離れ離れになってしまった。

 

 襲撃直後に気を失った私は何者かに助けられたのだろう。日本のとある施設で生活することとなった。

 

 施設での生活は可もなく不可もなく、山も谷も海も陸もなかった。ただ、生きていただけ。まぁ当時は気にもならなかったのだがな。

 そんな日々を送っていた私に転機を齎したのは風鳴翼という少女だった。

 

 普段と何も変わらないようなある日、普通に施設で目覚めた私の目に飛び込んできたのはカラフルな物体だった。

 

 自分でも驚くほどの縁があると思う。また、ノイズの襲撃だった。

 

 2度目とはいえ当時14歳だった私はどうすることも出来ず、兎に角その場から全力で駆け出した。

 振り返る間もない背後では、次々と炭化していく見知った登場人物Aたちが居るのだろう。私を追うノイズたちが居るのだろう。

 

 そんな絶望的な状況の中に、凛として澄んだ声が響いた。

 

『臆するなッ!防人の歌を聴けッ!』

 

 声の主は風鳴翼。

 正直、最初は私もなんだこいつは、と思ったよ。私と同じくらいの少女が防人だの何だの言い出すんだからな。

 

 しかし、そこからの翼は凄まじかった。

 次々とノイズを両断していき、そしてものの数十秒の間に殲滅してしまった。

 

 私は、このノイズを屠る力が欲しいと思った。両親の敵討ちだとかそういうことは関係なく。私の人生を狂わせたノイズを消し去りたいと思った。

 そして私は武装を解除した翼にこう言った。

 

『なぁ、私も、それを使ってみたいのだが』

 

 当時の私はシンフォギアシステムについて何も知らず、翼は翼で押しに弱いところがあるので、割とあっさりと天羽々斬は私に渡った。

 

 天羽々斬の欠片を手にした瞬間、私の頭に歌が浮かんだ。

 後に知ることになるのだが、この歌を聖詠というらしい。

 

『Falazesr amenohabakiri tron』

 

 この一件により、私が非常に……否、異常に聖遺物適合指数が高いことが判明し、私は特機部二の世話になることとなる。

 

 続きはまた今度にしようか。私の想定通りならばそろそろ翼が『私が詠に飽きる訳がないだろうッ!』と叫びながらドアを開け放つはずだ。

 

 3…2…1……

 

「お、おい詠ッ!私が詠に飽きる訳がないだろうッ!?」

 

「まぁまぁ、安心しろ。私は少しなりとも私の想定を超えてくる辺り翼のことが大好きなのだから」

 

「そ、そうか……。ならいいんだ」

 

 まぁ、ちょろいと噂の風鳴翼だ。こんなものだろう。

 しかし、何故私を探していたのだろうか。この時間帯は奏にべったりのはずなのだが。

 

「それで、用はなんなのだ?」

 

「あ、あぁ。櫻井女史が呼んでいたぞ。恐らく今度のネフシュタンの鎧起動実験に関する話だろう」

 

 櫻井了子。

 正直に包み隠すことなく言うと私はこの人がどうも大嫌いだ。あの押し売りの如きフレンドリーさが癪に触る。

 

「奏とは上手くやっているか?」

 

「あぁ!それは勿論だ!」

 

 ……うん。やはり翼には笑顔が似合うな。この分だと私が心配をする必要もないようだ。

 

「翼と奏はライブに集中してくれ。何があってもこの天羽詠が一閃の下に灼き払ってやるからな」

 

「ふふっ。頼もしい限りだな」

 

 それから暫く雑談をしてから翼は収録の打ち合わせに向かった。

 全く。アーティスト様は大変だな。

 

「さて……私も了子のところへ行くか」

 

 あまり気は進まないが。とはいえ、今日は私のシンフォギアの調整も行わなければならないはずだ。行くしかあるまい。

 

 私が病室……を占拠した自室から出ると、いきなり後ろから声をかけられた。

 今日はやたらと人に絡まれる……。

 

「おう、詠。了子のところには行ったのか?」

 

 このおっさんは風鳴弦十郎。翼の叔父にあたる特機部二の司令でもある人だ。

 

「……弦十郎は私が今部屋から出てきたのを見てなかったのか?」

 

「見ていた。それを以って聞いてんだ」

 

 ……弦十郎のこういう所が私は苦手だ。

 妙に面倒臭い。

 

「今から行くところだ。それで、了子はどこに?」

 

「今の時間ならラボに篭ってるんじゃないか?」

 

 お前も知らなかったのか……。最早呆れてくるな。

 まぁこの適当さ、もとい寛容さが弦十郎の数少ない良いところではあるのだが。

 

「じゃあ行ってみることにするよ」

 

「おう!……あ、そうだ。詠、お前のシンフォギアの調整も今日だったよな?」

 

「ん?そうだが。それがどうかしたのか?」

 

 弦十郎が少し不安気な顔をする。

 ……普段こういう顔をしないからか、私まで不安になってくる。

 

「んー……いや、今日は翼も奏も詠も居ないとなるとノイズが出た時に対応出来ないな、と思ってな。まぁ、そんなホイホイ出てくるようなモンでもねぇし大丈夫だろ」

 

「……弦十郎。世間ではそれをフラグというんだが」

 

 ガッハッハッハ、といった感じに笑い飛ばされた私の意見だが。事情を知ってしまうと私も少し対策をしておいた方が良さそうだな。

 

 それから少し歩き、了子のラボに着いた。まぁ同じ建物の中なのでそう遠くない。

 

「了子、居るか?」

 

「んー、女の子の声で私をそう呼ぶってことは……詠ちゃんかしら?」

 

「……声で分かっていただろう」

 

「そういうことは言いっこなしよ♪」

 

 ……はぁ。やはりどうも、大嫌いだ。

 さっさと調整を先に済ませてしまおう。こんな時にノイズが出たら大変だ。

 

「それで、話っていうのはね」

 

「待ってくれ了子。先にシンフォギアの調整を頼みたい。先の戦闘で不覚を取ってしまった故、今ノイズが出ても対応し切れない。加えて今日はツヴァイウィングの2人は仕事だそうだから私しか装者が居ない」

 

「……分かったわ。と言っても修復はもう終わってるのよ?」

 

 少し間を置いたのが気になるが……まぁ気にしても仕様がないことだ。

 私は腕環を受け取ると共に、聖詠を唱える。

 

「Velfo zekah brionac tron」

 

 第6号聖遺物ブリューナク。

 一度起動すれば誰にでも扱えるはずだった完全聖遺物だが、シンフォギア自身が私以外の人間に使われたくないと思っているのか私にしか使えない私のシンフォギアだ。

 そして、それを了子に突きつける。

 

「……どういうつもりかしら?」

 

「なに、仲間が何か心配そうにそわそわしていれば聞いてやるのが防人の務めであろう」

 

 先ほどから了子の様子はおかしかった。私と話しているのに意識はずっと回線の方を向いていた。まるで何かを待つように。

 

「それで了子、ノイズはどこに発生するのかな?」

 

「……さぁ。世界のどこかでは発生しているんじゃないかしら?」

 

 その時、警報が鳴り響いた。何度も聞いた、ノイズ発生の警報だ。

 警報に気を取られている間に了子は居なくなっていたが、今はそんなことを気にしている場合ではない。

 

『おい詠!出れるか!?』

 

「あぁ、弦十郎。想定の範囲内だよ」

 

 了子のラボから急いで現場に急行する。が、何やらブリューナクの調子がおかしい。

 ……十中八九、了子のせいだろう。

 

「これは……また前のやつが居ると厄介だな……」

 

 前のやつ、というのは普通のノイズとは風体からして違うちょっとした強敵だ。

 少し前に戦ってブリューナクに初めて損傷を与えたノイズである。

 まぁ負ける気はしないが。

 

 現場に到着すると、やはり居た。あの蒼いドラゴンだ。

 

「ふぅ……しかし残念だな蒼龍よ。この天羽詠、一度戦った相手に二度不覚を取ることは無いと知れッ!」

 

 私のシンフォギア、ブリューナクは奏のガングニールと同じく槍の形状をしている。ただその用途は全く異なり、突撃槍であるガングニールが近接戦闘に優れているのに対し投槍であるブリューナクは遠距離戦闘に優れている。

 とはいえ兵法上最強とされる槍、その上双方共に一神話体系における最高神の槍だ。ガングニールも投擲すれば百発百中一撃必殺であればブリューナクも振るえば一騎当千の力を誇るのだが。

 

「しかしあの蒼龍、どこを叩けば良いか皆目見当もつかないな……。私は奏とは違うからあまり派手なのは好まないのだが、仕方ないか」

 

 付け加えるなら、ガングニールは大振りでド派手な印象、ブリューナクは緻密な印象がある。私の主観だが。……いや、第一ガングニールが派手過ぎるのだ……っと、閑話休題。

 

「……さぁ、散るが良い【MeteoritE∞AnnihilarE】」

 

 私の手を離れたブリューナクは雲を貫き空の彼方へと消えていった。

 その光でこちらに気付いた蒼龍は、先の戦闘で私を一撃の元に戦闘不能にした破壊的な光線を放とうと鎌首を擡げる。

 段々と収束するエネルギーを見たところ、食らえば前回同様戦闘不能になるだろう。

 

 次の瞬間、遥か空の高みから極大の光が衝撃を伴って蒼龍を射抜いた。否、灼き尽した。

 

「まぁ、食らえばの話だがな」

 

 

 

 




設定間違ってても気にしないでそういうもんだと割り切って読んでね!
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