戦姫絶唱シンフォギア -iF-side-(仮) 作:霜月 晦日
奏の話にしようとしてたらいろいろあって響の話になった。
…前話訂正…
神獣鏡?中国に決まってんだろ!って思ってたら長野でした。無知を恥じます。地獄の底で閻魔様に土下座して来ます。
「さて、後は雑兵だけか」
蒼龍を灼き払ってしまうと、今回は絶対数は少ないようだ。後少しの肉体労働で撃退出来るだろう。
「とはいえ、ノイズを探すのが案外面倒な仕事なんだがな」
……よし、今は本部からの連絡を待つとしようか。
私がそういう方針を決定した瞬間、朔也のうんざりしたような声で通信が入った。
『詠さん……それ、使ったら後処理が一番大変なんですって前言いましたよね……』
「ん、そんなことも言ってたかな?」
『とりあえず残りも片付けといて下さいね。
「はいはい。分かったよ」
……ん?分かったよとは言ったが、ノイズの位置を聞くのを忘れたな……。
「仕方ない。私の想定通りならここからそう遠くないだろうし」
走り出した私を背後から見つめる姿があったが、私は気にも留めなかった。
「……ふぅん。アレがフィーネの言ってた完全聖遺物か……ちょせぇな」
* * * * *
「ふむ。想定通りだったね」
結局ノイズの大群はすぐに見つかった。
いつもいつもノイズ達は私達に見つけられやすいような所に、固まっている。作為的なものを感じないでもないが、気にしたら負けだと思うことにしている。
「私も早く帰って課題を片さないといけないんだ。君達には悪いけど即時退場してもらおうか」
私がブリューナクをノイズ達に向け投げつけようとした矢先、大量の何かが飛来しノイズの大群を一掃した。
「ん……?【千の落涙】……でもないし。誰だ?」
暫く思案していると、今度はそれは私に向かってきた。
よく見ると弾丸のようだ。
「弾丸の……シンフォギア?……まさかイチイバル!?」
「ふぅん……なかなか察しはいいじゃねーか」
声がした方に目をやると赤のシンフォギアを纏った少女が立っていた。見るに私と同年代だろう。
それにしても……でかいな。何がとは言わないけど。
「ということは、そのシンフォギアはイチイバルということでいいのかな?」
「ご名答。つっても、今日はお前と闘いに来た訳じゃねーんだ」
そんなこと、言われなくても先ほどの攻撃を見れば分かる。私を殺すつもりならノイズではなく私を最初に撃てばいいのだからな。
「となると、ヘッドハンティングか何か、ってことかな?」
そう言うと私はブリューナクを腕輪に換装した。……相手の少女は解く気はないようだけど。
「もしそうなら早めに頼むよ。学校の課題が終わってないんだ」
「んじゃ、手っ取り早く要件だけ言うぞ」
せめて名前ぐらいは教えてくれ。と言いかけたが流石に止めておいた。なんとなく、空気的にまた後で言おう。
「お前のブリューナクの仕掛けを解いてやるから、この少女を今度のツヴァイウィングのライブに行くように仕向けて欲しい」
正直、完全に想定外だった。
これほど面食らってしまったのは久しぶりかもしれない。
「それで……この子は誰なんだい?」
「こいつの名前は立花響。それ以上は言えないことになってる」
……はぁ。率直に言うと面倒だ……。
だけど、案外条件が楽そうで助かった。実を言うとこの立花響という少女、私がよく行くお好み焼き屋さんの常連なのだ。
いつも友達と仲良く2人で食べていたから印象に残っていた。
「……わかった。じゃあ、また3日後の夜にここで会うことにしよう」
「下手打ったら許さねぇからな」
……許さないと言われてもなぁ。第一、私は巻き込まれてるだけなんだからな。
* * * * *
「はぁ……」
「どうしたんだ詠?ため息を吐くと幸せが逃げてっちゃうぞ?」
病室に帰ってベッドに伏せっていると、いつの間にか来客があったようだ。来客、と言っても身内も身内なのだけど。
「……姉さん。流石に想定通り過ぎる返答で何て言えばいいのか逆に困ってしまうよ」
「いつも思うんだけど、その想定って未来予知か何かなのか?」
「姉さんが単純過ぎるだけだよ……」
シンフォギアを纏って共闘する時は頼り甲斐のある人なんだが……日常生活では少し頼りない。……少し。
「ところで今日のノイズ、前のドラゴンも居たみたいだけど大丈夫だったんだ」
「私の武器特性からして2戦目は無敗なのは分かるはずだけど」
「うーん……流石は私の妹だ。って言おうとしたんだけどな」
流石、なんて姉さんに言われてもほとんど嫌味にしか聞こえない……。
私達装者の適合率はそのシンフォギアの潜在能力をどれくらい引き出せるか、ということに直結している。
……らしいが、どういうことだか姉さんのガングニールは翼のアメノハバキリに匹敵する能力がある。
「……でもまぁ、割と頑張ったかもしれない」
なんだかんだ言いながら、まだ私も姉離れ出来ていないのが現実なのだけれど。
「うん。流石は私の妹だ……ふふっ」
「な、何を笑ってるんだっ!」
「うちの妹は可愛いなぁ……って思ってね」
お陰で酷い恥ずかしい思いをしているのだけれど……。
まぁ、姉さんが満足ならそれでもいいか。
……翼が見てさえいなければ。
「あ、あはは……ご、ごめん。見るつもりではなかったんだ」
「構わないぞ、翼。私は翼に見せつけてるだけだからね」
「照れるなよぅ。嬉しい癖にな」
慌てて……と言っても平静を装って。誤魔化すも姉さんの目は欺けないか。というか、翼のやつどこから見てたんだ……?
「まあまあ詠。私も奏に褒めてもらおうとアピールしていたところくらいからしか見ていないから大丈夫だと思うぞ」
「そこからは全然大丈夫じゃないのだけれどっ!?」
* * * * *
そして、次の日。
今日は私達はごく普通に学院に登校していた。
……訂正すると、私は遅刻したのだけれど。
「ねぇ、詠ちゃん。私の話聞いてる?」
「聞いてる。それでAくんがBくんをぶん殴ってCちゃんが巻き添えを食らって病院に運ばれ医師の懸命な治療によって助かったものの記憶がなくなった後はどうなるんだ?」
「全然聞いてないじゃん!!ていうかその無駄に重い設定の割に事の発端が軽過ぎる話はなんなの!?」
この面白い子は私のクラスメイトだ。名前は
「まあまあ落ち着け律。フラワーに行きたいという話だろう?私も丁度行きたいと思っていたんだ」
「やったぁ!じゃあ放課後ダッシュだよ!」
……走る必要があるほど繁盛しているようには見えないのだけれど。
いつも客は私達とあの立花響とかいう少女達だけだからね。
「あ、でも私は今日遅刻指導があるから遅れるよ」
「なんと!?」
そろそろ遅刻し過ぎで1時間目の出席日数が危ういらしい。……成績もそれほど良くないしね。
「まぁ、なるべく早く行けるようにするよ」
私が適当に返事をすると授業開始の予鈴が鳴った。うるさい律は意外と真面目なので、予鈴が鳴るとすぐに席に着くタイプの人間なのだ。
そうして昼休みも終わり、午後の授業も寝て過ごした私は職員室に向かっていた。
「はぁ……毎回毎回憂鬱だ……慣れたものだけれど」
無論、遅刻指導を受けるためだ。
何というかまぁ、慣れたものなのだけれど。
「ん?詠じゃないか。こんなところで何をしてるんだ?」
不意に声をかけられ顔を上げると、翼が歩いて寄ってきていた。
「遅刻指導だけれど。逆に翼は何をしてるんだ?」
「私は今度のライブの日に休むことを伝えにな。……あ、そうだ。もう奏から貰ってるかもしれないが、これ」
翼から手渡されたのはチケットだった。勿論ツヴァイウィングのライブだ。
「あぁ、昨日姉さんから貰ったよ。でも誘いたい子が居るから貰ってもいいかな?」
言うまでもなく、立花響のことだ。あの少女の言いなりに動いてるのが気に食わない訳ではないけれど、ブリューナクが万全じゃないならば従うしかない。
「勿論いいぞ。……というか、詠にも友達が居たんだな……」
「なっ!?失礼過ぎやしないか!?想定の範囲外にもほどがあるのだけれど!」
「ははっ。いやいや、少し心配していたんだ。詠は人を寄せ付けない空気があるからな」
お前に言われたくないのだけれど……。
まぁ、これを言うと翼は落ち込むと思うので言わないけれど。
「はぁ……そろそろ私は行くよ。生徒指導部長が首を長くして待ってるだろうからね」
「じゃあまた後でな、詠」
* * * * *
生徒指導部長のありがたいお話は、私がやれば出来る子だと言うこと終始していた。
まぁ、そんなことはどうでもいいのだけれど。
何とか遅刻指導を終えた私は大急ぎでフラワーに向かった。
「……地味にフラワーって遠いんだよね」
ぼーっと走りながら、そんなことを考えていると前方から人影が。気付いた時には回避する暇もなかったのだけれど。
「あぶなっ……!」
「へっ?」
正面衝突してしまった私は即座に起き上がるとその子に向き直り謝った。
「だ、大丈夫か!?すまなかった!」
「あはは……だ、い、じょ、う、ぶ、っと。へいき、へっちゃらです!」
彼女の声を聞いてすぐに気付いた。何度も何度も聞いた声だ。
「立花響……」
「あ、あれっ?なんで私の名前を?」
「あ、あぁ、いや、いつもフラワーに居るだろう?それで話が耳に入ってしまっていてね。これでも一応常連なんだ」
咄嗟に誤魔化したが、流石に無理があったか……?
実際、この子達の声は大きいから割と聞こえているのだけれど。
「なるほど……あ、もしかしていつも居るリディアンのお姉さん達ですか?」
「まぁ、制服を見たら分かると思うけれど。そうだよ」
この後、どうやら立花響もフラワーに行くと言っているので私も自己紹介をしながら一緒に向かった。
フラワーに着くと律の方は律の方で向こうの相方、小日向未来と仲良くなっていたのはまた別の話だけれど。