とある魔術の禁書目録 ~変わらない笑顔で~   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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お待たせしました

今回は別のキャラに焦点を当ててみました
そんな結果がコレだよ

故にアラタの出番は少ないしガールズに至っては出て来てないです

相変わらずな出来ではありますがお付き合いください
誤字、脱字等ございましたら報告ください

ではどうぞ


#16 そんな休みの一日

ぴぴぴ、と目覚ましから聞こえる音で覚醒する

ばす、とやや乱暴にその目覚まし時計のスイッチを押し、立神翔一は覚醒する

 

「ふむむぅ…もう朝かぁ…時間って経つの早いよなぁ」

 

そんなどうでもいいようなことを呟きながら翔一は布団から起き上がり布団を畳んでいく

手際よくパタパタと畳み部屋の隅に置いてパパッと着替える

 

「んー…! 去って、今日も頑張ろうかなー」

 

翔一は自宅兼レストラン、〝AGITO〟の店長だ

 

着替えを終え、翔一は入り口から外へ出る

AGITOの入り口付近には翔一が手製した野菜農園があり、毎朝ここに水をやるのが日課となっている

レストランで使われる野菜もここで採れる新鮮な野菜を用いておりおまけに無農薬

ちょっぴり味には自信があるのだ

…それでも足りないときはあるからたまに買いに行くのだが

レストラン前を歩く学生たちにおはよう、と声をかけながら翔一は農園に水道につないだホースを掴み水やりを続ける

現在とある高校の生徒たちは夏休みに入っている、だから今学校へと歩いていくのは常盤台かなー、などと考えながら翔一はホースの先に力を入れ、シャワー状へと切り替える

一通り畑に水をまき、土を湿らせたあと蛇口をひねり水を止めてホースをくるくると巻き、それを水道の近くに置いた

 

「水揚げはこんな感じかな、よっし…次は開店の準備しないとね」

 

呟きながら翔一は扉の前にかけてあるプレートを開店中へと再び店内へと戻っていき今度は厨房へと足を運ぶ

AGITOは基本バイトの子数人と店長である翔一だけで切り盛りしている

しかし午前中は翔一一人だ

幸いにもここに来る客があんまり多くないことが救いか

有名にでもなって客足が増えたらエライ事になりそうだ

隠れた名店、とアラタは言っていたがむしろ隠れていて正解だと思う

 

時刻はだいたい朝六時半、といったところか

この時間帯だとトーストのオーダーがよく来る

無論、そのオーダーをしてくる人も限られてくるが

 

「翔一さーん。今大丈夫ですかー」

 

そうこうしているうちにさっそく一人お客が来店してきた

鏡祢アラタである

 

「いらっしゃいアラタくん。今日も風紀委員かな?」

「はい。たまには朝ごはんここで取ろうかなって思いまして。あ、エッグトーストで」

 

アラタのオーダーに答えながら翔一は厨房へと足を運んでいく

パンをトースターに入れフライパンに卵を落としそれを熱していく

 

「アラタくんも大変だね、もう高校夏休みに入ってるのに」

「慣れっこですよ。あいつらといるのも楽しいですしね」

 

そう言いながらアラタは笑う

彼は風紀委員一七七支部に所属している風紀委員(ジャッジメント)

それと同時に小萌先生が受け持っている生徒の一人でもある

彼も無能力者ではあるのだが友人たちとも仲が良くそれを感じさせないほどに明るい性格をしている

何人か友人と一緒にこのお店に来たことがあるのだが、皆個性が強く名前を覚えるのに時間はかからなかった

 

「お待たせ。飲み物は大丈夫?」

「あ、大丈夫です。ありがとうございまーす」

 

アラタはテーブルに置かれたエッグト-ストを二つ折りにする

その際につぶれた黄身から液体が零れ出るがそれを皿で受け止めたあと、ゆっくりと食べ始めた

 

黙々と食べる姿を見ながらふと翔一は時計を見やった

あれから約三十分ほどたち時計は七時を示していた

こうして何かに没頭していると本当に時間って進むのが早いなぁ、としみじみ感じる

気が付くとトーストを食べ切ったアラタはレジへと足を運んでいた

翔一はレジへと歩き、彼から五百円受け取るとおつりを渡す

 

「ごちそうさま翔一さん、じゃあ行くよそろそろ」

「うん。行ってらっしゃい」

 

そう言って翔一は出ていくアラタを見送る

そんなアラタと入れ違いにまた別のお客が入ってきた

白っぽい髪に男か女か分からない風貌の少年

 

「いらっしゃーい。…お、一方通行(アクセラレータ)が人連れてくるなんて珍しいね」

「別にイイだろ。何となくだ」

 

一方通行(アクセラレータ)と呼ばれた少年の背後には蛇革のジャケットを着込んだ青年がいた

かけられた少年は手を挙げて反応し、青年の方は「おう」と短く声を上げ答える

二人は席へ移動し、向かい合うように座る

 

「珍しいな。こういったレストランみてぇな所によるなんて」

「ここのコーヒーは中々だからな。悪くねェ」

 

そう言ったのち、白い少年はメニューを掴み、開いて見る

暫く見たあとで少年は翔一に向かって手を挙げて

 

「コーヒーと適当にパンを頼む。…浅倉、お前は」

「俺もパンだな。あとコーラ」

「だそうだ。ンじゃ頼むぜ」

「畏まりましたー」

 

翔一はそう返事して厨房へとは歩く

用意している最中、二人は会話を続けていく

 

「…いいのか。今更止めるつもりなんてないけどよ」

「俺だって今更止める気なンざねェよ。〝絶対〟てェのにも、興味あるしなァ…」

 

ここからでは二人の会話はよく聞き取れない

しかし翔一としても個人的な事は聞く気はないし、追求する気もない

それ以前にケンカになってしまったら勝つ自信はない、というか勝てない

一方通行(アクセラレータ)とはこの学園都市に存在する能力者の頂点に君臨する能力者の事だ

そんな第一位に認められるというのも結構悪い気ではない

果てしなくどうでもいい事を思いながら翔一はコーヒーカップとコーラを入れたグラスを持っていく

 

「お待ちどうさま、コーヒーとコーラを持ってきたよ」

「あ、どうも」

 

青年が受け取り、一方通行(アクセラレータ)の前に置く

そして今度はオーダーされたパンを焼くために再び厨房へと戻っていく

彼らが何をしておるのか、それはわからない

それに知ったところで翔一にはどうにもできないだろう

彼らを止めてくれる、誰かがきっと立ち塞がるはずだから

 

 

一方通行(アクセラレータ)達二人から代金を貰いしばし自由時間

八時を過ぎるとあとは興味本位で来るお客やなじみのある警備員の人たちくらいしか来なくなる

 

「おいーす! ガミちゃん、今やってる?」

 

そんな声と共に来店してきた伊達明もそんななじみある客の一人だ

 

「いらっしゃい、伊達さん。朝食ですか?」

「おう。ちょっち遅いかもだけどな」

 

伊達は席につきメニューを見ながらふむ、と考え始める

ひとしきり考えているとき、また扉が開いて来店してきた人がいた

 

「立神さん、開いてますか?」

「あぁ! 立花さん! 大丈夫です、開いてますよ」

 

もう一人のなじみのお客、立花眞人が来店した

メニューを見ていた伊達が眞人の方へと振り向いて「おう!」と手を上げる

 

「タッちゃん! お前もここの常連だったのか」

「あ、伊達さん。常連と言っても、数日前に見つけて通っただけですから、それを常連と言えるのかどうか…」

「相変わらず気難しいなタッちゃんは。店員と顔馴染みならもう常連よ?」

「言ってる意味が分かんないですけど…」

 

苦笑いを浮かべながら立花が困り果てている

あれでは部下に絡む上司みたいだ

しかしそんなやり取りでさえ、このレストランでは日常茶飯事なわけで

そんな喧噪を耳に入れながら翔一は準備を始めた

 

 

お昼時

この時間帯にはバイトの子も数人やってきて少しだけ楽が出来る

と、言ってもそのバイトの子がとある高校在籍でしかも夏休みだからなのだが

 

そんなバイトの子らががんばっているの中ひっそりと食パンを用いて軽食を作り翔一はゆっくりと裏口に進んでいき扉を開ける

扉の先には一組の男女がの姿はあった

しかしその身なりはボロボロで、とても綺麗とは言えない

この子らはある事情があるのだ

 

「はい、今日もこんなのしか出せないけど…」

「大丈夫です…化け物になっちまった俺たちに優しくしてくれるだけで感涙ものですから…」

 

男女それぞれに軽食を手渡すと短く礼をすると路地裏の暗闇へと消えていった

その後ろ姿が消えるまで翔一は見つめ、見えなくなると彼は再び店内へと戻っていく

 

彼らの事情とは、自分の身が異常であるという事だけ

オルフェノクと呼ばれる異質な身体へと変貌を遂げているのだ

突発的な事故で命を散らし変化する

恐らくキーは死ぬことなのだろう

しかしそれ以外の詳しい情報は全く分かっておらず、ただ化け物へと姿を変える以外わかっていない

分かり易く言うなればそれは病気だ

死ななければ発症しない、とても分かりにくいもの

それなのに公になっていない事から何らかの情報が張られているのかは分からない

 

唯一の救いとやらは、大半がそれを隠し普通の生活へと戻ろうとしてくれることか

突如として現れた力に恐怖し、もう一度やり直そうとするのだ

が、その力に溺れ個人の復讐へと走る人たちもいる

 

翔一は何人かを更生させることに成功はしているが、それでもこの都市にはオルフェノクは何人かいるはずだ

流石に人数まではわからないが

 

と、そこまで考えてふぅ、と翔一は息を吐いた

正直自分が考えても分かる事は何もないと思ったからだ

今自分がとっている行動ははっきり言って偽善かも知れない

それでも構わない、と翔一は自分に言い聞かせる

自分は、自分を貫こう

 

 

午後

 

二時くらいかと思われるそんな時、その一行は扉を開けて入ってきた

それは四人ほどの女性のグループだ

 

「いらっしゃい麦野ちゃん」

「立神、とりあえずいつもの頼むわ」

 

そう告げた麦野の後を歩く女性たちにも手であいさつをしながら翔一は厨房へと歩いていく

 

彼女たち一行はアイテムと呼ばれる暗部組織だ

正直暗部組織と言われても全く実感が湧かないが翔一としてはそんなのどうでもいい

数限りない依頼を受けて普通の女の子でいられないなら、せめてこのレストランの中でくらい女の子でいさせようと思っている

そしていつか彼女たちを支えてくれるような人が現れてくれれば、とも思っている

 

翔一はそんな彼女たちの下へ飲み物をおぼんに乗っけて

 

「はい、とりあえず水だけはおいておくよ」

「お、相変わらず超気が利きますね立神は」

「大人だからね。…ていうか、水くらいはどこのファミレスでも配ると思うけど」

「タイミングが超絶妙なんですよタイミングが。超飲みたい…そんな空気を悟って立神は水を配るんですよ」

 

…いや、絶対偶然だと思うけど、本人がそう思っているならそうなんだろう

苦笑いを浮かべながら水を入れたコップを置いていくとフレンダが翔一の袖をくいくいと引っ張ってきた

 

「ん? どしたの?」

「ねぇねぇ、テンドンはいないの?」

「…テンドン?」

 

天丼と言いたいのだろうか

というかそれ以外思いつくものがない

もしくは天ぷらうどんを省略して言っているのだろうか

そんなやり取りの最中、いつの間に来店していた一人の男性がぽふ、とフレンダの頭を叩いた

 

「あたっ」

「天道、だ。全く…何度間違えればいいんだお前は」

 

入ってきたのは天道総司

週に一度程度だがこのレストランを手伝ってもらっているのだ

週一とはいえ彼も立派なバイトの一人だ

 

彼は頭をさするフレンダを尻目に翔一に歩み寄り

 

「手伝いに来ました、立神さん」

「ありがとう総司君。さっそくで悪いけどお願いできるかな?」

「えぇ、任せてください」

 

苦笑いと共に繰り広げ天道は厨房へと歩いていく

それを見届けながら翔一は彼女たちに向き直り、オーダーを受ける準備をする

 

「注文は」

 

「あたしはシャケね。シャケ弁…ここじゃ定食だったね」

「サバカレー! 天道ならやってくれると信じてるってわけよ」

「ハンバーグ。超チーズ盛りで」

「…カレーライス。中辛で」

 

オーダーを受けながら徐に翔一は考える

…レストランっていう名称を変えようかなぁ、なんてことを考えながら時間は進んでいった

 

 

麦野らが食事を終えて勘定を受け取り出ていく一行の背中を見送りながら今度は食器を洗うべく厨房へと戻っていく

かちゃかちゃ、と皿と皿がぶつかる音が響く中、少しづつ時間は進んでいく

その最中、やってきた来客には天道君といったバイトの子たちが対応してくれたおかげで翔一は食器洗いに没頭できた

お皿を食器棚に戻している最中、何気なく除いた冷蔵庫の中の肉類の材料が少なくなっている事に気づいた翔一はエコバッグ片手に近くにいたバイトの子に買い物に行く旨を伝えたあと、AGITOを出た

 

つつがなく買い物も終わり、さぁ戻ろうかな、と思った時である

 

キャアァァァ! と劈くような悲鳴が翔一の耳に届いてきた

 

時刻としてはまだ三時半くらい

夏休みの学生たちがまたやらかしたのか、とも思ったがあの悲鳴はただ事ではなさそうだ

何よりあんな悲鳴を聞いてしまっては男として引き下がれない

翔一は急ぎその悲鳴の場所へと走り出した

 

・・・

 

当然ながら辺りは混乱し、人が逃げ惑う

どうやらまたメモリを手に入れた学生が暴れているようだ

 

翔一が見たその怪物の姿は屈強な赤い甲冑を纏い、腹部に3つ、両肩、左膝と右足先とオリオン座の星に当たる部分に青白いコアがあった

その姿はドーパントとは似ても似つかないが、それでも学生たちに迷惑をかけているのには変わりない

 

しかしその怪物(仮にオリオンと仮称する)は傍らに女学生を捕まえており、下手に刺激すると傷つけてしまう可能性もある

と、そこまで考えてふと自分の手に持っている様々なお肉が入ったエコバッグに目が行った

…が、そこで思い直す

 

「…いやいや、流石にそれは駄目だ」

 

食品の神様が怒りかねない

翔一はエコバッグをどこかに置くと、周囲を見回して手ごろな何かを探す、と大きめな空き缶が目に入ってきた

よし、と一つ決意をした後、両手を左腰へと移動させた後、右手を右側へと移す

すると彼の腰にオルタリングと呼ばれるベルトが姿を現した

 

そしてそのベルトの両脇のスイッチを両手で押して

 

「変身…!」

 

直後、眩い光が翔一の身体を包んだ

 

 

支配感

それがオリオンの思っている感情だった

 

素晴らしい力を手に入れた

ガイアメモリとも違う、素晴らしい力を

路地裏に引きずり込み八つ当たる必要なんかもなくなったのだ

これからこの絶対的な力がこの街を支配する

傍らの女が震えた目でこちらを見る

…いい気味だ、この都市の女、いや女だけではない

この街のいたるヤツがレベルが低いと言うだけで罵倒し侮蔑を浴びせてくる

そんな人生はもうウンザリだ

 

そう思っていたその時、顔にコツンと何かがぶつけられた

よくよく見てみるとそれは五百ミリリットルの空き缶だ

誰が投げたんだ、と思いつつ彼は睨みを効かせながら辺りに視線を巡らそうとしたその直後

 

さらに顔面に強い衝撃が襲ってきた

思わずずざざ、と後ろに仰け反ってしまいその反動で人質にしていた女を離してしまった

 

痛みも引き、オリオンは正面に立つ人影を睨む

そこに立っていたのは金色の鎧を纏った二本角の男だった

 

「…仮面、ライダー…!? 噂に聞くクウガって奴かい!!」

 

オリオンもクウガについてはある程度は知っていた

しかし目の前に立つそいつはどこか違う気がする…

 

「違う。俺はクウガじゃない」

 

男は女性に逃走を促すとオリオンに向けて身構える

 

「…アギトだ」

 

 

憮然と構えオリオンと対峙する

厚い甲冑に覆われたその身体にダメージを与えるのは難しいかもしれない、がそれをさほど気にするアギトではない

右手を前に出し、ゆっくりと歩を進める

じり、じりと足をすり足のごとく動かし、相手の出方をうかがう

 

と、こちらに向かって大きく接近し手に持った棍棒を大きく振り抜いた

アギトはそれは身体を左へと動かすことで避け、右足での蹴りを打ち込む

しかしやはりその甲冑に阻まれ思うように通らない

それに気を良くしたのかオリオンは再び棍棒を振り抜いた

その一撃を大きく後ろへ下がる事で回避したものの、攻勢はを緩めることなくまた棍棒を振るう

 

幾度かそれを繰り返し、流石にジリ貧だと感じたアギトはオルタリングの右側のスイッチを押した

 

すると中央の宝石部分から一振りの剣が生み出され、それをアギトが抜き取った

それに応えるように金色だった中央の鎧が赤くなり、右腕も赤く変色していく

それはフレイムフォームと呼ばれるアギトの戦闘形態の一つだ

別名〝超越感覚の赤〟

 

チャキリ、とアギトはフレイムセイバーと呼ばれる片刃の剣を構え、オリオンが振るった棍棒を受け止める

そのまま鍔迫り合いに持ち込んだアギトはオリオンの腹部を蹴りつけてさらに手に持ったその棍棒を両断して叩き斬った

 

がらんと二つに切られた棍棒に驚くオリオンを尻目に再びアギトはフレイムセイバーと二度三度切りつける

大きく仰け反ったオリオンを見据えてゆっくりとセイバーを構える

その時フレイムセイバーの唾が展開し、刀身に炎が纏われた

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

呻くオリオンに向かって、居合切りのごとくフレイムセイバーを振り抜き、セイバースラッシュを叩きこんだ

斬り抜けた後、アギトは背を振り向いて刀身を鞘に納めるかの如くベルトへと戻し、ふぅ、と一つ息を吐く

 

直後、叫び声と共にオリオンが爆発した

 

 

爆発したところに向かい翔一は学生を見つけ、そして今度はメモリを探そうと辺りを見回した

だがどこを見てもメモリのようなものはなく、その場にはスイッチのようなものしかなかった

 

「…もしかして、これかな」

 

手に取ったのは目玉のようなスイッチ

恐る恐るかちりとそのスイッチを押すとどこか虚空へと消え去ってしまった

 

その場に残ったのは気を失った学生と戸惑う翔一のみ

今までもこういった暴走は起きていたが、総てガイアメモリというある記憶が内包されていたメモリによって引き起こされたものだ

しかしこういったケースは全くもって始めてだ

だが考えたところで翔一には理解できるものではない

学生を駆けつけた警備員に引渡し、翔一はエコバッグを回収しレストランへと戻って行った

 

(…このお肉はお客には出せないなぁ)

 

袋越しといえど地面に置いてしまったのだ

これは自分で処理しよう、と心に決める翔一だった

 

 

レストランに戻り、夜も半ばとなる

この時間帯になるとたまに夜遊びグループの学生が来店する

まぁホントにたまにだから正直夜はやることはない

バイトの子たちもすっかり気を緩めており、店内の椅子に座りリラックスしている

 

そんな時また一人来店する一人の男性

 

「マスター、カプチーノを頼むぜ」

「…翔太郎くん、レストランだからここ。あるけど」

 

本当にレストランという看板を変えようかとも思う今日この頃

しかしマスターとはいかがなものか

 

「ていうか僕店長だから。マスター違うから」

「細かい事は気にするなマスター。俺の気分だ」

 

…ぶれないなこの人は

それが彼のいい所なのかもしれないが

 

コーヒーを淹れそれを翔太郎の前に持ってくる

翔太郎はカップを手に取りまず鼻で匂いを嗅ぎ、一人笑みを浮かべる

そしてゆっくりとカップに口をつけ―――

 

「あつっ! はふ、ふー、ふー…!」

 

ぶち壊しである

 

◇◇◇

 

夜も更け、バイトの子たちも帰り、その場には翔一が一人

扉にかけてあるプレートを閉店へと直し翔一はその場で背伸びする

 

「んー…今日もお疲れ様ー」

 

自分に言い聞かせ店内のシャワールームへと足を運ぶ

数分経ってさっぱりした翔一は寝間着に着替え階段を上り布団を敷いた

 

今日も何の変哲もない一日だったがその生活にももう慣れている

特筆するのは今日戦った怪人だ

詳しい事情や正体はわからないが、今後も関わるには違いないだろう

 

そんな事を思いながら翔一は布団の中で目を瞑る

 

 

 

それは、そんな休みの中の一日―――

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