とある魔術の禁書目録 ~変わらない笑顔で~   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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特別編です

いつもよりぐだぐだですがご容赦を
二日遅れてるって? こまけぇこたぁいいんだよ!

この話はなんかの片手間にでも閲覧ください

ではどうぞ


#EX バレンタイン特別編

その日はなんだか、甘ったるい雰囲気だった

それに気づいたのは自分のは教室に入った時だ

何だか妙にソワソワしている気がする…特に男子陣が

正直青髪ピアスなんて完全挙動不審だ

 

「おっすアラタ!」

 

そんな中で普通に声をかけてくれたのが弦太郎だ

彼の隣には当麻もおり、彼もよぉ、と手を挙げた

 

「おはよう弦太郎、どうしたのさ、今日」

「…またまたー。とぼけんなって、知ってる癖にー」

 

そう言って弦太郎はうりうりとアラタの腹部を肘で小突いた

何が何だかわからないというようなアラタに当麻はカレンダーを指差した

その指を追ってアラタはカレンダーを見る

そこで今日の日付を思い出した

 

「…あぁ、そっか」

 

本日はバレンタイン

確かに男子がソワソワするハズだ

一年に一回ある男子にとっても女子にとっても一大イベントなのだ

 

「んで、弦太郎は貰ったのか?」

「うん? いや、貰ってねぇよ。俺は惚れた女には尽くすタイプだ、どんなとこでもそれは変わらねぇ」

「…うん? それはどういうこった?」

「惚れた女以外からは貰う気ないってこった。気持ちはもちろん嬉しいんだけどよ」

 

なにこのイケメン

同級生の意外な一面を初めて知った気がする

青髪ピアスなら歯を噛みしめてそのまま砕かん勢いで発狂するやもしれない

 

「ははっ、そんな一大イベントでも上条さんの不幸は変わりませんよ。はぁ、出会いが欲しい」

 

そして本気で言っているのだろうかこのウニ頭

そんな呟きをした瞬間、何人かの男子の目線が殺気を帯びた目になった気がするが当の本人は全く気付いてない

クラスメイトからの視線をかき消すように、当麻に一人の少女が歩み寄っていく

 

「ね、ねぇ当麻くん」

 

その少女の名前は鳴護アリサ

かつては一声を風靡したアイドルだが、現在はアラタや当麻のクラスメイトだ

アイドル業はしばし休業しており、卒業するまではやらない、とのこと

そんな彼女が僅かに頬を染めて、当麻の前に立っている

 

「おう、どうした? アリサ」

「そ、その…えっとね?」

 

もじもじと彼女はどこか視線を逸らす

それが数秒続き―――アリサは口を開いた

 

「こ、これ、受け取って!」

 

そう言って彼女は梱包された小さ目な箱を手渡した

 

一瞬、それが何か分からなかった

しかし今日という日付、そしてこのタイミングを鑑みるに、それがどんなものかは容易に想像できた

 

「―――え、俺に!? いいの!?」

「う、うん。えと…一応、手作りだから」

「マジか、ありがとうアリサー!」

 

当然ながら喜ぶ当麻

恐らく彼は一つももらえないと思っていたようだからその嬉しさは半端ないだろう

しかし、受け取った場所が悪かった

 

「なんであいつばっかり―――」

「ころしてでもうばいとるしか――」

「どうやら、考えは皆一致のようやね」

 

嫉妬に狂った男たちは怖い

そう判断したアラタは教室の隅に退避することにした

次の瞬間、「な、なにをするですかー!?」と叫びながら逃走する

その光景をアリサは驚きながらも元気そうなその姿を見て僅かに笑みが零れた

 

「…やれやれ、たかだかチョコでここまで荒れるものなのか」

 

そんなタイミングを見計らってかは分からないが、アラタの隣にはシャットアウラ・セクウェンツィアが歩いてくる

綺麗な黒髪をたなびかせ、やれやれと言った表情を浮かべている

 

「オトコにとってこういうイベントは楽しみなもんなんだよ」

「そういうものか? …よくわからないな」

「お前はそういうのなかったのか?」

「あいにくとな。…なんだ、期待してたのか?」

 

そう言って彼女にしては珍しく意地の悪い笑みを浮かべた

期待していないと言われれば嘘になる…正直少し期待していた自分がいた

少しだけしょぼんとしているとき、すっ、と何かが自分の前に出された

それは梱包されていない、ラップで包まれた星の形をしたチョコレートだった

 

「―――か、勘違いするな。アリサと一緒に作って、その、あ、余って。つ、ついでだついで!」

 

彼女にしては珍しく顔を真っ赤にしながら言ってくるシャットアウラに思わず笑ってしまう

アラタは出されたそのチョコを受け取って小さく笑みを作った

 

「サンキュ、アウラ」

「ふ、ふん。せいぜい味わって食べるがいい」

 

そう言ってどこかそっぽを向くシャットアウラ

最近の彼女はどこか、僅かではあるが笑みを見せてくれるようになった気がする

それは、喜ばしいことだ

 

 

「はい、夜神さんっ」

「…はい?」

 

BOARDのアジトにて

ソファに腰をかけながら思いっきり漫画を読んでいた夜神一真に向かって黒川陸姫はハート形のチョコレートを手渡した

戸惑いながらも一真はそれを受け取る

 

「…なにこれ」

「ちょ、なにこれって! 夜神さん今日何の日か知らないんですか!?」

「知らないし興味もないね。で、今日は何の日だってんだ?」

 

言いつつあろうことかチョコレートをテーブルに置いて漫画を読むのを再開する一真

そんな態度に拳をプルプルさせながら陸姫は口を開く

 

「今日はバレンタインですよバレンタイン! 世の女性たちが気になってる男子たちに思いを告げる一大イベントなんですよ!」

「へー」

 

興味ゼロ

余談だが橘さんには義理チョコを渡したが気持ちだけで問題ないと断られた

しかし夜神はといえば受け取ってはくれたがその視線は完全に漫画に行っており、どうも話が続かない

 

「…はぁ」

 

なんだかすごくショックである

女子として軽く落ち込むレベルだ

部屋に戻ろう、と判断しとぼとぼと踵を返して帰ろうとする

 

「あ、言い忘れてた」

 

不意に夜神が口を開いた

なんだろう、と思いながら彼の方を振り向く

 

「一応、礼は言っとく。…ありがとうな」

 

顔の表情は漫画に入ってはいたが、視線だけが僅かに自分の方に向いていたのを陸姫は見逃さなかった

その視線だけでも、陸姫は嬉しかった

 

「―――いいえ! どういたしまして!」

 

そんな夜神に陸姫は満面の笑みで返す

この感情が届くのは、いつになるやら

 

 

校門から出ると見慣れた金髪がアラタを出迎えた

 

「はぁい」

 

甘ったるい、間延びした声

その金髪の正体は食蜂操祈と呼ばれる人物だ

 

「…操祈、どうしたんだよこんなとこで」

「わざわざ出待ちしてあげたのよぉ? 今日が何の日か知ってるでしょ?」

 

そう言って食蜂は同じように梱包された箱を取り出しそれをアラタの手に乗せる

 

「ハッピーバレンタインっ。…なぁんてね」

 

軽くウィンクする食蜂

いつも通りな彼女に少し安心しつつ、そのチョコを受け取る

 

「…貴方の事だから、もう貰ってるだろうけどぉ…」

 

そこで食蜂は一度言葉を区切る

その後で今度は普段の彼女では見られないような真剣な眼差しをアラタに向けて

 

「―――気持ちだけは、負けてないから」

 

そう言ってきた

その真っ直ぐな瞳に、思わず吸い込まれそうになる

しかしすぐいつもの食蜂に戻り

 

「それじゃ…お返し、期待してるゾ」

 

そんな言葉と共に流れるような足取りで歩き去っていく

彼女の背中を追いかけながら先ほどの表情の意味を考える

―――しかしいつまで考えても分からなかった―――そんなアラタの背後から

 

「―――へぇ、意外に貴様もモテているのね」

「へ?」

 

その言葉に振り返るとそこには吹寄制理が腕を組んで突っ立っていた

 

「…吹寄、見てたのか」

「偶然よ。校門から出ようとしたら話してたものだから」

 

言いながら吹寄はアラタの隣に歩み寄る

 

「…一応、バレンタインという行事に私も乗っかってあげるわ」

 

言ってぶっきらぼうに彼女は市販されているチョコを差し出した

キョトンとしていると吹寄が言葉を付け足す

 

「カカオ八十パーセント。―――言っておくけど、私は甘くないわよ」

「へいへい。…けど、ありがとよ」

 

短く礼を言ってアラタは受け取る

どことなく、吹寄は小さく笑みを浮かべていたがアラタは気づかなかった

 

 

「何かアイデアをボクに教えて。兄さん」

「…は?」

 

学生寮の自分の部屋に訪ねてきたひよりの言葉に天道は口をポカーンとさせた

 

「兄さんも知ってるだろうけど、明日はバレンタイン。…本気を込めたチョコをアラタに渡したいの」

「そ、そうか。それでアイデアって…」

「流石にボクも原材料からチョコを作ろうという気にはならないよ。だけど、アラタがどんなチョコが好きそうか、兄さんなら知ってそうだから」

 

確かになんとなく何が好きそうなのかは多少ではあるが想像できる

天道としては妹の力になってあげたいが知り合いに御坂美琴もいるため、正直言って複雑な気分だ

 

「…アイツなら、どんなものでも受け取ってくれると思うぞ」

「…そう、かな」

「あぁ、結局は気持ちの問題だ。―――おばあちゃんが言っていた、刃物を握る手で人を幸せに出来るのは、料理人だけだ、てな」

「…、わかった。ありがとう兄さん。全力でぶつかってみるよ」

 

そう言って何か意を決したように拳を握ると材料を買ってくると言って天道の自室から出て行った

閉まっていく扉を見送って天道は笑みを零す

そして彼女に向かって呟く

 

「…俺は応援しているぞ、ひより」

 

 

そんな訳で今現在、ひよりは鏡祢アラタにチョコを渡すべく歩き回っている

学校の校門前では兄以外の知人と鉢合わせしてしまう可能性もあるし何よりなんか恥ずかしい

そして現在彼が所属している支部の前で彼が来るのを待っているのだ

…これでもう先に入っていたらもう笑うしかないのだが

 

そんな考えは杞憂に終わり、普通にこちらに向かって歩いてくる人影が見えた

鏡祢アラタだ

 

「…あれ、ひより」

「そ、その、何も言わずに、受け取ってくれ」

 

どうにも彼を前にすると呼吸が早くなる

すっかり恥ずかしさが勝ってしまい半ば押し付けるような形でチョコを渡す

 

「え、えと?」

「べ、別に、お返しとか入らないからなボクは! それじゃ!」

 

そのまま逃げるようにひよりは風のように走り去ってしまった

そんなひよりの背中を戸惑いながら見つめて、一人首をかしげていた

 

 

「はい、パパ! どうぞっ」

 

伽藍の堂にて

同じようにバレンタインを謳歌している人たちがここにもいる

 

「はは、ありがとう未那」

 

笑顔でそれを受け取って頭を撫でる幹也

未那も嬉しそうに眼を細めてそのなでなでを堪能する

 

「はい、兄さん。私からも」

 

なでなでを終えると今度は鮮花からもチョコを受け取る

同じように笑顔でそれを受け取ってありがとうと礼を言う幹也に、今度は式も歩み寄り

 

「ほら。オレからもやるよ」

 

若干ながら頬を染める式から幹也は先ほどと同じように笑顔を浮かべる

が、やはり式から貰った時の表情が一番嬉しそうなのを橙子は見逃さなかった

まぁ奥さんだし当然である

 

「鮮花、ところでアラタにはやらないのか?」

 

何となく気になったので聞いてみる

ちなみ本日は本人は支部に顔を出しているようで、おそらく彼もそっちで同僚から受け取っているだろう

 

「私は後で上げますよ、お兄様にっ」

「オレも一応やるぜ? 市販のやつだけどな」

 

どうやら未那、式両名あげる予定のようだ

それに続くように鮮花も

 

「上げますよ? 義理ですけどね。そう言う燈子さんはどうするんですか?」

「私か? 私はチョコはやらないよ。伊達くんの所に誘うくらいかな」

 

…たまには伊達を交えてアラタと話すのも悪くはないと、素直にそう思った

そんな彼女を見て、鮮花は笑む

 

「―――ふふ、橙子さん、だいぶ笑うようになりましたね」

「うるさいぞ、鮮花」

 

 

支部から帰り道

どういう訳か残った仕事は初春と黒子がやってくれると買って出てくれて、今回はそれに甘えさせてもらった

みのりのご飯とかもあるし

そして案の定、義理ではあるが初春や佐天、固法や黒子、神那賀からチョコを受け取っている

因みに神那賀のは割と力作らしく、普段変身に用いてるセルメダルの形をしていた

 

鞄の中には入っているが、溶けていないか心配だ

 

そして隣には御坂美琴も歩いている

支部から帰ると言ったとき、門限も近づいてきたという事で、そして残る黒子の事も寮監に言わないといけないようで美琴も帰ると言った

そんでもって必要はないと思ったが途中まで送ることにしたのだ

 

「…アラタ」

 

不意に後ろを歩いてた美琴が口を開いた

 

「うん?」

「はい、…これ」

 

伏し目がちになりながら彼女が取り出したのは、梱包されたチョコレート

形は四角だが、隅の方のリボンが目立つ

 

「ホントは、皆と一緒の時に渡せばよかったんだけど…その、出来れば、二人っきりの時に渡したかったから…」

 

視線を下に向けつつも、時折こちらを伺うように視線を向ける

美琴の恥じらいが伝わったのか、なんだかこちらも恥ずかしくなってきてしまった

 

「―――本気、だから」

 

僅かな、しかし確かな決意を込めたその小さな呟きに、アラタが気づくことはなかった

いや、気づいていたらいたでそれはそれで困るのだが

 

「…ありがとう、家でゆっくりいただくぜ」

 

笑顔で受け取ってくれた彼を見るだけで、何となく今日は満たされた気がした

 

「―――うん」

「さ、早いとこ帰ろうぜ、門限近いんだろ? …こんな時にビートチェイサーに乗ってきてないからなー」

「ううん。大丈夫よ」

 

―――そっちの方が、長く一緒にいられるから

 

 

美琴を送って帰ってくると辺りは薄暗くなっていた

だいぶ待たせてしまったと思いつつもアラタはドアに手をかけて扉を開ける

すると

 

「おかえりっ」

 

そう言いながら抱き着いてきたのはみのり―――ゴウラムである

アラタは彼女を抱き留め頭を撫でるとそれに「ただいま」と返す

返された後でゴウラムは身体を離れ、はい、と箱に入れられた一口サイズのチョコを渡してきた

 

「…これは?」

「今日はバレンタインって言うんでしょ? 日頃のお礼をする日だって、トウコが言ってた」

「橙子が? …まったく」

 

間違ってはいないのだけど

 

「インデックスと一緒に作ったんだよ。楽しかったなぁ…アラタにも見せてあげたかったよ!」

 

楽しそうに話すみのりを見て、まぁいいかと思うアラタだった

 

 

上条当麻が自分の寮に帰ってきた時に視界に入ってきたのは珍しく出迎えてくれたインデックスの姿だった

今日一日いろいろ追い掛け回された当麻としてはぶっちゃけ休みたかったがなんだかそれを言い出せないような空気があった

 

「はいこれ、ばれんたいんなんだよ」

「―――へ?」

 

今この腹ペコシスターは何を言ったのか

当麻は確認のために、もう一回聞いてみる

 

「えと、インデックスさん?」

「ばれんたいんっ」

 

まさかくれるというんだろうか

カップラーメンを三分待てないこのシスターが

 

「みのりと一緒に作ったんだよ? まぁ、溶かして型に流して固めただけだけど」

「お、おう…」

「日頃の感謝を込めたんだよ、いつもありがとうね、とうま」

 

言葉を失う

そして図らずも笑顔を作る

当麻はそれを受け取って、インデックスの頭を撫でた

 

「―――あぁ、ありがとよ、インデックス」

 

そして彼女も、笑顔になる

 

心の中で、当麻は思う

この笑顔を、ずっと守れるように

 

改めて、心に誓うのだった




バレンタインやっときながらホワイトはやるか未定です

ごめんなさい
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