とある魔術の禁書目録 ~変わらない笑顔で~   作:桐生 乱桐(アジフライ)

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社会人になったので更新速度が落ちるよ!
ごめんねみんな!

…いや、ホント申し訳ない
今月卒業しましてようやく大人の仲間入りであります
現在介護員、こんな作者を苦笑いながら見守ってやってください
この作品もついでにどうぞ


#48 日常から非日常へ

御坂美琴は学生用の応援席にいる

付近にはちょうど入口で合流した神那賀雫も一緒である

 

一般の来場客用の応援席とは違い日差しを遮るようなテントはなく、地面にブルーシートが敷いてあるだけだ

シンプルすぎるその光景にどこか苦笑いしつつ、ふと神那賀が訪ねてきた

 

「あれ、けど御坂さん次競技じゃなかった? 最後まで見てていいの?」

「はは…そうなのよね。けどやっぱり気になっちゃって」

 

周りに常盤台の指定体操服を着た人はどこにもいない

因みに常盤台中学の生徒は超能力者二名に、大能力者四十七名、あとは全員強能力者という実力主義のエリート校である

去年は惜しくも二位だったが

とはいっても、今年は正直勝ち負けに拘ってなどいないのだが

そんな時、ふと視界に入った人物がいる

 

銀髪碧眼のシスターだ

隣には黒いワンピースを着た鏡祢みのりもいる

 

「…ちょ、インデックス? どうしたのよ―――」

「あ、ミコト」

 

言いかけてインデックスの手に持っているのを見た

それはお箸だ、すぐ近くに空になった弁当の容器もある

しかもそれは舞夏が販売している学生食だ

みのりも美琴たちに気づき、苦笑いを浮かべている

 

「―――お腹、減った」

「弁当食べたばっかりじゃないの?」

 

そんなやり取りをする美琴を見て神那賀は

 

「知り合い?」

 

と一言聞いてきた

美琴は苦笑いをしつつそんなところ、と答える

そして改めてインデックスを見る

先ほどは反射的にそう答えたがもしかして熱中症では? と思い直しシートの上に置いてあるスポーツドリンクを彼女に手渡した

 

瞬間インデックスは跳ね起きてありがとうっ! と礼を言った直後にそいつを飲み干し中身を空にする

そしてまたばったりと倒れて

 

「…飲み物でお腹満たすのはやっぱり荒業かも」

「…本当にただの空腹みたいね」

「はは…騒がせてごめんね」

 

額に手を当てて美琴は息を吐き、みのりが謝罪をし、その後ろで神那賀が小さく笑う

うつ伏せに倒れたインデックスのお腹と地面の隙間からにゅるんとスフィンクスが這い出て来て唐突にきょろきょろと辺りを見回し始めた

美琴は強力な電気使いだ、彼女は普段黙っていても微弱な磁場を周囲に漏らしてしまうため、動物には好かれにくい傾向にある

…本人としてはこれが結構ツライ

 

「そう言えばミコトはなんでここに? アラタの応援?」

「え!? えっと…だいたいそんな感じかな? ねぇ、神那賀さん」

「え? そこで私に降るの? …まぁそうだけど」

 

一方でインデックスはぐだー、と倒れたままだ

と、そこで校内放送のアナウンスで選手入場の合図が告げられた

最初の競技は棒倒し

敵対する二組がそれぞれに約七メートル弱の棒を立て自軍の棒を守りつつ敵軍の棒を倒しに行くと言う単純ながらも奥が深い競技だ

 

この競技に参加するのは高校の一学年分の生徒だ、とアナウンスが入る

テレビカメラが来ると言っても基本的には学校行事の運動会、放映用のナレは別スタジオで行われる

とはいってもテレビに映ると言うだけでもモチベーションは結構変わってくる

実際百八十人をゆうに超える学生全てをクローズアップなどできるはずないが緊張はするのだ

 

歓声は大きいのに、不思議と身体の中央に緊張感が走る

全世界公式行事なのだという事を改めて実感する一瞬だ

 

「―――お腹がぁへってぇ…はぐ」

 

だというのにこのシスターは

美琴は小さく笑みを浮かべてポケットからチョコレート味の携帯食を取り出し封を開けてインデックスの口元へと持っていく

インデックスはそれを確認すると小さく口を開けて差し出された携帯食を食べ始めた

 

「お、御坂さん、始まるよ」

 

神那賀の声に促されるように校庭へと美琴は目を向ける

どうやら対戦相手はスポーツ重視のエリート校のようだ

簡単な柔軟体操だけを見ても専門的なものを感じさせ、こう言った公式な試合にも慣れてるかんじだ

 

「なかなか手強そうだね。普通にやったら大変かもだけど…」

 

神那賀の言葉に頷きつつ、今度はアラタや当麻が在籍している高校の方へ目を向ける

パンフを見る限りでははっきり言ってごくごく普通の、それこそどこにでもあるような一般的な学校だと思っていた

 

それを見るまでは

 

「…え?」

 

思わずそんな声が漏れた

それを同じように見ていた神那賀も、眼を丸くしている

 

その集団は妙な威圧感を放っているのに野次などの騒ぎも起こしていない

無言のままに上条当麻と鏡祢アラタを中心として、背後に天道、ツルギ、風間、弦太郎などのメンバーが並んでいる

 

雰囲気はまるで川中島に臨む武田軍

次第にアラタが少しだけ前に出て皆に向かって何かを叫び、さらに士気を上げているように見える

一体何が始まるというのか

 

(…なにがあったの?)

 

心の中でそう呟く

実際は小萌先生の件が全軍に知れ渡ったのが理由なのだがそんなの美琴に分かるはずもなく

美琴の隣では純粋に応援しているみのりの声が響き、そしてアナウンスと共に棒倒しが始まった

 

 

「いっけー! お義兄様ーっ!」

 

同じように来場客用の応援席で見ているのは鮮花と未那だ

あれからいろいろ連れ回されてもうすぐアラタの競技の時間が迫り、ようやくここに腰を落ち着けることが出来たのだ

そして目の前では応援をしている未那の姿が見える

 

そんな未那を見ながら鮮花ははふぅ、と息を吐いた

いろいろ歩き回るだけで資金の消費などはなかったものの、正直に太陽の下で動き回るのは流石にしんどいものがある

まだ十分に若いのに情けないなぁと鮮花は思う

 

「鮮花」

 

そんな鮮花の耳に一人の聞き慣れた声が聞こえてきた

同じようにそれが聞こえていた未那もそちらを向き目を輝かせる

 

「パパ! お母様!」

 

そう言って未那は一直線に幹也に向かい走って行き抱き着く

幹也はそれを受け止めて幹也の隣で式は未那の頭を撫でた

未那の頭を撫でながら式は鮮花に

 

「競技は?」

 

と短く聞いた

それに対して鮮花は校庭の方を指差す

校庭の方を見てみると今まさに死闘が繰り広げられていた

思わず式も表情が若干引きつる

 

「…想像以上だな」

「えぇ、試合開始前なんて殺伐としててちょっと驚いたくらいよ」

 

呟く鮮花に式は「…へぇ」と返答し改めて腰を下ろす

日差しを遮るようにテントはあるがそれでも太陽は地上を照らしている

そんな日差しの下、式は棒倒しをしているであろうアラタを見た

正直校庭はいろいろごちゃ混ぜで、アラタと言った知人を見つけるのは困難だ

 

少し目を凝らして注意深く探していると…見つけた、鏡祢アラタを

どうやら彼は棒をはっ倒す側に回っているようで戦場(こうてい)を友人であろう人たちと一緒に駆けまわっている

能力者の遠距離攻撃を避けながら一気に棒近辺に駆け寄って友人とダブル飛び蹴りをかましている

 

そんな光景を見て小さく、本当に小さく式は微笑んだ

 

 

そして激戦の末―――当麻たちのクラスは棒倒しに勝利した

当然傷を負ったものたちがいるが今となっては名誉の負傷である

傷だらけの戦士たちは勝利の事も怪我の事も気に留めず選手用出口からごく普通に外に出る

待っていたのは半分涙目で救急箱を抱えた月詠小萌だった

 

「ど、どうしてみんなあんな無茶するですかー! 大覇星祭はみんなが楽しむことに意味があるのであって…!勝敗なんて…! せ、先生は、ちっとも嬉しくなんて…!」

 

色々涙目で訴えていたがこの状況では多くを語らないのが美徳と判断した生徒たちは三々五々と散っていく

そしてインデックスとみのりを探そうと一般客用の応援席を覗いてみることにした…が、それらしき人はいなかった

一応念のためにインデックスにはゼロ円携帯とみのりには普通に携帯(橙子がくれた)を渡してある

インデックスとみのりが携帯を使っているところなんて見たことなかったが

みのりに至っては基本一緒にいるのでアラタや橙子としても一応、という事で持たせているのだが

因みに渡したのはだいぶ古いタイプで通話くらいしかできないタイプだ

 

「…連絡取ろうにも教室に携帯置きっぱなしだし、ちょっと取りに行ってくるよ」

「あ、じゃあ俺も―――」

「いいっていいって。お前だけ突出してけっこうボコボコにされてんだろ? オレがお前のも取りに言ってくるから休んでろって」

 

そう言って当麻を休ませてアラタは昇降口へと向かっていく

下駄箱付近の所には黒い装備に身を固めた警備員(アンチスキル)が立っていた

いつも黒板の前で教科書片手にチョークで文字を書いている姿を見ていると銃を構えているその姿はだいぶシュールだ

 

「すいません、人混みにいる知人を見つけたいのでちょっと教室に携帯取りに行っていいでしょうか」

「またストレートだな鏡祢。連絡がつかないときはこちらに連絡するように。では良き祭を」

 

教諭はそう分かり易く答える

要点だけ抑えたその言は流石の一言だ

 

さっそくその警備員(アンチスキル)の横を通って上履きに履き替える

校内は校内放送が反響していて結構うるさい

教室の前に辿り着いたアラタは普通に扉に手をかけて―――やめた

なんだか嫌な予感がしたからである

 

「…」

 

自分の教室に向かってノックをするなんてなかなかないが、念のためだ

アラタは軽く拳を作りコンコンとドアを叩く

 

「はい?」

 

案の定教室から人の声が聞こえてきた

声色からして女性だ、万が一着替え中の時に開けてしまったらお先真っ暗確定である…というかこの声は

 

「あれ、吹寄?」

「その声は鏡祢アラタ? いったいどうしたのよ」

 

恐らく競技前にびしょ濡れとなってしまった服を着替えにきていたのだろう

なんにせよ、開けなくてよかった

 

「えっと。今入って大丈夫かね」

「しばし待ちなさい。今服を着るから」

 

そう言って言われた通り少し教室の扉の前で待つ

しばらくすると扉ががらりと開けられ目の前には新たな体操服を着た吹寄が立っていた

 

「待たせたわね。入っていいわよ」

「オッケー、手間を取らせた」

 

吹寄の了承を受けてアラタは教室の中に入っていく

そしてまず真っ直ぐ自分の机に向かっていき、鞄の中身を漁る

少し漁っているとそう言えば鞄の小さいポケットに入れたことを思い出してそこに手を伸ばすと自分の携帯が見つかった

そして次は当麻の鞄を探して―――似たようなところに彼の携帯が入ってた

 

「用事は終わった?」

「あぁ、問題ない」

 

自分の携帯と当麻の携帯をポケットに仕舞うと吹寄と共に教室を後にする

 

 

校庭の外に戻り当麻に携帯を渡す

さっそく当麻はインデックスのゼロ円携帯に電話をかけてみたもののどういう訳か繋がらない

不思議がる当麻を尻目に今度はみのりに向かって電話をかけるアラタ

スリーコールの後に、こちらは普通に繋がった

 

みのりからもたらされる情報をもとに二人は何とかインデックスとみのりと合流することが出来た

ちなみになんでインデックスの携帯が繋がらなかったのか、というと電池が切れていたという何ともアレな理由だった

 

そして未だに空腹だったインデックスに何かを食べさせるためにこんな時にも移動屋台を営んでいる伊達明氏がタイミングよく通りかかった

さっそく当麻に断りを入れてアラタは伊達に向かっては知って駆けよりインデックスらに何を買って行こうかと悩んでいると

 

「あ! いたいた、アラタっ!」

 

不意に御坂美琴の声が聞こえてきた

彼が声がした方を向くと彼女は一直線にこちらの方へ走ってくる

彼女の手には一枚の紙が握られており、美琴も何らかの競技中なのだろう

 

「ごめん! いきなりで悪いんだけど、一緒に来てくれない?」

「え? 別にいいけど…なんで―――」

「理由は後で話すから! とにかく来て!」

 

アラタの言葉を待たず美琴は彼の手を取って一目散に走ってく

最後まで彼は疑問形な表情だったが次第に美琴の後をついていく

それに少し遅れて食蜂操祈も伊達の屋台にやってくる

 

「はぁ…はぁ…ねぇ、ここにアラタいなかったぁ?」

「ザンネンだね蜂ちゃん、一足先にみこっちゃんが連れてったよ」

「あぁ…先越されたぁ…仕方ないわ、誰か別の人に―――」

 

ありがとぉ、と短く食蜂は礼を言ってゆっくり、しかし確実に走り出した

その背を見送りながら置いてある水を一口含み、それを嚥下させる

 

「全く、アイツも罪な男だねぇ」

 

 

全力で駆ける美琴と並走してアラタは二人でゴールテープを切った

棒倒しを行ったのとはまた別の会場で、そして同時に次元が違う競技場である

スポーツ系統の大学が所有しているグラウンドで、公式の陸上競技会場だ

報道用のカメラの数や警備員(アンチスキル)の数もうちらの高校とは規模が違う

 

その光景に冷や汗をかきつつ呆然と突っ立っていたアラタの隣では待機していた運営委員が美琴にマラソンのゴールした選手みたいに大き目のタオルを頭から被せる

ドリンクを手渡し小型酸素ボンベの使用などの機敏な動きは明らかに映っていることを意識しているものだ

 

「…俺はいるべきなのか、ここに」

 

場違い感がすごい

まるで和風のお化け屋敷に一匹西洋のフランケンがいるみたいな

すると今まで美琴の世話をしていた運営委員の女の子がこちらをちらりと一瞥してきた

その顔は吹寄だった

 

彼女は小声で言ってくる

 

(…確かに指定は間違ってはいないけど…貴様、意外に交友関係広いのね)

(アレ、なんか馬鹿にされてません? 自分)

(気のせいよ。…えぇ、気のせい)

 

そう言って吹寄は会話を切り上げ、何か地面に置いてあるボードを拾ってそこに何か記録を書き始めた

仕事の邪魔をしてはいけないと考えた彼は美琴へと向き直る

 

「そう言えば借りもの競争…だっけ、指定されてた借りものはなんだったんだ?」

「え? あぁ、それね。えっと…はい、これ」

 

がさごそとポケットをまさぐって美琴は一枚の紙を手渡す

アラタはそれを受け取るとその紙に書いてある文字を呼んだ

書いてあるのは

 

―――第一種目で競技を行った高等学生―――

 

なんだよそのピンポイントな指摘

それ以前にこれは物ではない、者じゃねぇか…そう突っ込みそうになって思わず呟く

 

「…これは借り〝者〟競争だったのか…!」

「いや、ちゃんと物を借りた生徒だっているから」

 

一応物でもあった

 

「ていうか、これは別に俺じゃなくてもよかったわけだけど…約十万人いる中でどうして俺なのさ」

「―――」

 

一瞬空気が凍った

とはいっても凍ったのは美琴だけであり、ほかの皆はごく普通に動いていたが

 

「―――べっ!! 別にっ、いいじゃ、ない。…なんと、なくよ、なんとなく。それに、流石に他校には知り合いいないし、その、…。と、とにかく! この話は、もう終わりっ!」

 

美琴は顔を赤くして、表彰台の方へ向かっていく

アラタはその背を?マークを浮かべながら見送っていた

 

 

そんな大覇星祭を満喫している鏡祢アラタの下に、一つ電話が鳴った

ポケットを探り携帯を取り出して画面を見る

そこに書かれているのは蒼崎橙子の名前だった

アラタは携帯を操作し耳に当てる

聞こえてきたのはいつもと変わらない様子の橙子の声色

 

<やぁ、アラタ。大覇星祭は楽しんでるか?>

「うん。まあぼちぼちってところだ」

<そうか、ならいい。…そして唐突だが、悪い知らせだ>

「…悪い知らせ?」

 

電話の向こうで燈子が頷くのが想像できた

彼女は告げる

 

<―――あぁ、魔術師が潜り込んだっていう知らせがな>

 

その言葉を聞いた時、アラタの顔つきが変わる

今まで日常を楽しむものだった表情から一遍、日常を守る者の顔になったのだ

 

想像は破壊からしか生まれない

日常、が壊され、非日常が構築されていく―――




現在某笑顔動画にて、偉大なる初代、仮面ライダーが配信中!
藤岡さんが入った1号が見れる数少ないチャンスだ!(ツタヤ行けば見れるけどね!)
配信日から3日間無料だぞ! それ以降は有料になるからご視聴はお早めに

現在映画で平成対昭和の夢の対決が繰り広げられてますが、笑顔動画でこんな言葉を見かけました

「子供たちにとっては昭和も平成もないんだ…。子供たちにとっては、仮面ライダーは仮面ライダーなんだよ(うろ覚え)」

まぁこんなような言葉です
確かに共演してくれるのは嬉しいですけど、たまにはそんな本人たちがいる勧善懲悪な劇場版はみたいなぁ…レッツゴーはそんな内容でしたけど

対決も嬉しいけどやっぱり仮面ライダーは助け合いでしょ!

因みに上の言葉の動画は「特撮 総統閣下」で見れると思います
多分タイトルが分かり易いのですぐ見つけられるはず(ちなみにMAD動画です)
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