アタランテが咬ませ犬的ポジジョンなのが納得がいかない!というよりペロペロしたい   作:天城黒猫

29 / 49
今回は割と適当です。特に後半。Wikiを読んで、ペーストしたような出来です。
そして、前半の方は自分の力が足りない故に、少々わかりづらくなっておりますが、そこは読者の皆様の理解力に賭けます。申し訳ございません。
改善できるようでしたら、後ほど修正するつもりです。






 ──夢を見た。

 

 その夢というのは、どこかノイズがかかっており不鮮明なものであった。しかし、”赤”のアーチャーはその夢を見続ける事を決定した。というのも、この夢は、彼女のマスターの過去であるということを、彼女は感じ取っていたからだ。

 彼女は己のマスターである泉の事を、得体が知れない、不気味な人物といったような印象を抱いていた。だから、こうした機会は、己のマスターという人物を理解するのに絶好の機会という訳だった。

 

 

 彼の人生というのは、この世界に生まれる前から始まっていた。

 というのも、彼には前世の記憶というものが存在していたからだ。どういった運命なのか、その前世と今世において、名前や容姿、それに両親に違いというものは無かった。

 しかし、いくつかの相違点というのはやはり存在していた。そういったものを挙げるとなると多岐に渡るが、最大の相違点となると、彼の家系が魔術を扱う家系であったという所だろうか。

 彼がそういった事に気が付くのは、生まれてから2、3時間ほどであった。

 そのきっかけとなるのは、次のような、両親との会話であった。

 

「この子供は素晴らしい!」と彼の父親は、まだ彼の意識と視覚とか、聴覚といったものが朦朧としていた彼の顔を覗き込みながら言った。「魔術回路の数は少ないものの、私とお前のものを移植すれば良いだろう。魔術回路の質も、平均より少しばかり落ちるだろうが、そこは別段どういった事はないだろう。そう、この子の起源ならば!」

「ええ、その通りですね」と彼の母親は言った。「我が一族が魔術を手に入れてからまだ僅か、4代しか経っていません。つまり、魔術の家系としては、まだまだ2、3流もいいところです。この子の魔術回路といったものも、それに相応しいものでしかありません。ですが、貴方の言う通りです。この子──名前はとっくに決めているんですよ。この子の起源を象徴する名前です──泉。川雪 泉。それがこの子の名前です。

 ありとあらゆる魔術を、己の肉体と魂とに映し出し、実行するという、強力としか言えない起源、『再現』を持つに相応しい名前です。そのあり方は、まるでありとあらゆるものを歪み無く映し出す、透き通った泉そのものでしょう?」

「ああ、全くもって素晴らしい名前だ!」

 

 こうした会話に出てきたいくつかの単語によって、彼はこの世界には魔術といった神秘が存在するということを確認した。しかし、それはあくまでも確認だけであり、確信した訳ではなかった。

 こうした会話を聞き、魔術という事に対する期待を抱きながら、まだ生まれて間もない赤子であった彼は、本能に従って眠ることにした。

 そして、微睡みの中で、彼は両親の会話をぼんやりとだが聞き取っていた。しかし、それらはどのような会話であったか、その内容を理解、あるいは鮮明に聞き取ることはできなかった。

 その会話というのは、次のような物であった。

 

「泉は、今のところ我が家系において、もっとも根源に近い魔術師と言えよう。上手くいけば、ありとあらゆる家系の魔術をそのまま我が物とし、行使する事ができるのだから」父親はこうした素晴らしい事実を述べながらも、憂いを抱いた様子で言葉を続けた。「……しかし、だからこその心配事もある」

「その通りですね。貴方の抱いている不安は、私の抱いている不安と同じものでしょう」と母親は言った。「我が家系が出来た当時は、ありとあらゆる土地の魔術を取り入れたと聞きます。その理由は、多数の魔術を比較し、極め、観測する事によって、根源に至るための道に、どのような魔術が最も適しているかを調べ、遥か未来の子孫が根源に至るための道筋を用意する道を選んだのです。

 ……そうした影響でしょうか。『再現』という起源が泉に身に付いたのは。成長し、その起源が我々の思うようなもの、つまりありとあらゆる魔術を再現する事ができるようになれば、封印指定を受ける可能性があるでしょう」

「ああ」と父親は頷いた。「今のところは大丈夫だろうが、コレが協会に漏れ、封印指定を受ければ幽閉されてしまうだろう。それか、他の魔術師の実験体となるか……ともかく、我々に選ばされた道は一つだ。協会に見つからないように、こっそりと隠し、それでいながら、ありとあらゆる魔術を取り入れさせる事だ。そうすれば、上手く言えばコレの代で根源に至ることもできるかもしれない。

 しかし、その道は困難を極めるだろう。第一に、他の家系の魔術を見る、あるいは分析しようにも、そういった行いを易々と許す訳にもいかないだろう……さて、どうしたものか。何はともあれ、コレを育てるのが先決だな。慎重にやっていくとしよう」

「そうですね……」

 

 こうした会話を繰り広げた夫婦は、泉をどのように育て上げるのか、それとどのように魔術を教えるのか、そのほかにも様々な事を相談し合った。その相談は、長期にわたりあった。

 その相談の中にでた提案の中には、もしも泉が目覚めており、彼らの話をしっかりと聞いていたのならば、思わず体をすくめたりするような、不穏とか、非人道的と呼ばれるようなものも幾つか出ていた。しかし、それらは魔術師にとってはいたって普通の考え方であった。

 泉が自分の力で歩いたり、意味を持って会話を繰り広げるようになると、彼の父親は泉に魔術を教え始めた。

 その事を知らされた泉は、未知と、一種の憧れに触れられる事ができるということに大喜びした。

 しかし、その内容というのは、前世においていたって平和な日本で育ち、いたって普通な道徳を初めから持っていた彼にとっては苦行、それも精神を攻撃するようなものであった。というのも、魔術師という生物は、普通の一般人とは違い、己の目的の為ならばどのような非人道的なこと、道徳に反した事も行うのであった。そして、彼の父親と母親もその例に漏れず、泉に魔術師としての何たるかを徹底的に教えた。泉が嫌がれば精神的な指導と肉体的な指導との両方を、厳しく行った。その方法というのは、魔術師としての思想と、魔術の使い方とを教える座学から、一般人を捉え、それを使い、魔術の実践を行わせるなどであった。

 こうしたものは、少なからずとも泉の道徳を蝕み、破壊するものであった。そして、中学生あたりまで育つと、彼は一般の友人とかとなんら代わり映えのない会話をしたり、遊びを楽しんだりといたって普通の様子を見せていた。しかし、それの裏側には、魔術を徹底的なまでに隠匿するのと、魔術のためならばどのような犠牲を払わないといった、いかにも魔術師らしい性格を潜ませていた。

 そうして、15回目の誕生日を迎えると、泉の父親は、彼に起源の事を教えた。

 その起源というのを、泉は、この世界に来てすぐに、両親が話していた内容を思い出した。そうして、起源を使用した魔術を行使する為に、父親は、彼にありとあらゆる教育を与えた。その中に、起源魔術をより確実に、より強力に行使する為に、全身の骨に呪文を刻むといった手術があった。

 その手術というのは、5回に分けて行われた。しかも、それらは全て医学の知識を少しばかり齧った、それこそ、メスで切開し、針で体を縫うのと、骨がどこにどのようにあるのかだけを研究した父親によって行われた。そういった手術は、治療魔術の助けもあり、奇跡的なまでに成功した。しかし、その手術が行われたあとはどれも、2、3週間ほどの間、全身を針で刺されたかのような痛みが、四六時中泉の体に襲い掛かった。

 こうした事があり、起源魔術の使用方法と、再現する多数の魔術を教えられた頃、泉はロンドンの時計塔、魔術協会の総本山に入学する事になった。

 その理由は、他の魔術師と良好な仲が築ければ、一族のみに使用が限られた魔術を再現する事ができるといったような、彼の父親の企みによるものであった。

 

「やれやれ、僕の父さんは馬鹿だなあ」と泉は時計塔の門の前で呟いた。「父さんは、魔術を再現するには、その魔術が実際に行使されているのを観察しなければならないと思っているみたいだけれど、そんな事はないんだよね……それよりも、いるかな? 遠坂凛はどうやら冬樹に居るみたいだから会えないだろうけれど、ケイネス・アーチボルト、ウェイバー・ベルベット、他にもライネスやグレイとか……まあ、彼らとはいずれ出会うかな? 

 さて、この二度目の人生は、僕の好きだった型月世界で行われいるんだ。せっかくだから楽しまなきゃ損だよね! それに、根源とかは興味ないにしても、封印指定については、散々言われてきたから気を付けないとね」

 

 こうした理由で、泉は素直に時計塔に行くことを選択した。

 彼にとって時計塔というのは、言うなれば憧れの人物と直に触れ合うことが出来るような、夢のような環境であった。彼は、しばらくの間時計塔にいる人物のことを探った。その結果、ケイネスは既に死亡しており、ロードエルメロイⅡ世が誕生しているという事が分かった。

 こうして、彼はエルメロイ教室を選択することにした。

 ──こうした環境は、彼を大変に満足させるようなことはなかった。

 というのも、この世界は彼にとっては創作の世界であり、作り物の世界であるという感覚が、心の深奥に潜んでいたからだ。しかし、そのことに彼は気が付くことはなかった。

 しかし、それも最初だけであり、毎日を過ごすうちに、すくい上げた砂が手のひらからこぼれ落ちるかのような感覚を覚え、彼は自問自答した。その結果、こうしたことに気がついた。それからは、どのような事をしても、人形と対話しているかのような感覚を覚えた。

 

「なんていう虚無感なんだろうか」と泉は呟いた。「誰と話しても、内容問わずそれは人と話しているのではなく、ゲーム画面に表示されるセリフを流し読みするかのような感覚だ。この世界において、僕という人間は、一人ぼっち、孤独な感覚だ。僕を理解するものはいない。そして、僕もまた相手が作り物であるから、わざわざ理解しようとは思えない……」

 

 こうした毎日を過ごすのは、泉にとっては幼い頃受けた教育よりも辛い拷問に思えた。しかし、彼は不屈の意志とでも言うべきもので、この世界の事を調べ、様々な人物とであった。その中には、赤毛の少年とか、人形使いとか、魔眼を持つ少女とかもいた。そのほかにも、ただの一般人たちとも出会い、交流した。しかし、そのどれもが彼を満たす役目を果たすことができなかった。

 そうして、彼は最後の手段に出ることにした。すなわち、ありとあらゆる願いを叶える万能の願望器に全てを託すことにしたのだった。

 それともう一つの理由があった。それは、唯一出会おうと思っても出会うことのなかった人物と出会えるきっかけを得られるからだった。その人物こそが───彼女であった。

 彼は己の願いを叶えるために、ありとあらゆる計算を行った。その結果、冬木の大聖杯でなければその願いは叶えることができないという結果を弾き出した。それからは、この世界が聖杯大戦が行われる外典であるということを予想し、聖杯大戦に参加するために、2年の年数をかけて、彼の企みが誰にも知られることのないように準備を重ねた。

 そうして、やっと─────

 

 

 

 ──夢を見た。

 

 その夢というのは、アタランテの生前の記憶であった。

 彼女は生まれてすぐに、男のみを望んでいた父親によって山に捨てられ、アルテミスが遣わした熊によって育てられた。そのせいで、彼女は野生の動物と同じ考え方をするようになった。更に言えば、彼女は自分に熊を遣わしたアルテミスを信仰し、彼女が狩猟と貞潔を象徴する神という事もあり、アタランテは狩人として過ごし、純潔を貫くということを決定した。

 さらに言えば、自分が捨てられた時の、孤独とか、恐怖とかの感情を二度と味わうような子供が生まれないように祈ることもしていた。

 こうして、森の中で狩りを行いながら生活するうちに、その名声が知られるようになった。そうなると、彼女を妻として欲しがる男たちが森に群がるようになったが、彼女はその尽くを跳ね除けた。

 ある日、1人の男が何人かの従者を連れ従って森にやってきた。その男というのは、英雄間者の異名で知られているイアソンであった。

 

「よう、お前がアタランテか?」とイアソンは問いかけた。

「そうだというのならば、なんだ? 汝も、私を妻として迎えようとしているのならば、その答えは拒否としよう」とアタランテは答えた。

「いいや、違うね。確かにお前は美しい。私の嫁にしたいぐらいだ。っと、その弓を向けるな! 要件は別だといっただろうが! 

 さて、今回お前に声をかけたのは、我らの船に乗って欲しいからだ」

「船だと?」とアタランテは問いかけた。

「ああ、そうだとも」とイアソンはいかにも自慢げな様子で答えた。「アルゴー船という、巨大な船だ。その船で、我々はとある財宝を手に入れようとしている。しかし、船だけでは足りない。その船を守る、あるいは財宝を手に入れる邪魔をしてくる敵を蹴散らす要員が欲しい。故に、私はありとあらゆる名のしれた実力者に声をかけている。例えば、あのヘラクレス! 知っているだろう? 知っているはずだ。いくら、こんな閉鎖的な森に暮らしているお前でも、彼の名は知っているだろう?

 まあ、とにかくだ。我々と一緒に闘って欲しい。見返りはもちろん与えよう。どうだ?」

 

 こうしたイアソンの交渉によって、彼女はアルゴー船に乗ることを決定した。

 こうして、黄金の羊の毛皮を求める旅に出ることになった。その最中において、彼女は活躍してみせた。

 旅から帰り、しばらくすると、彼女はカリュドンの大猪の討伐に加わることになった。かの大猪は、まさに一種の天災とでも言うべき程の強力な力を持っていた。集まった戦士たちの誰もが、大猪を恐れる最中、アタランテは恐るような事はなく、勇敢にも大猪の前に出、矢を命中させた。

 これをきっかけに、他の戦士たちも大猪に攻撃を加えた。こうして、何人かの犠牲者を出しながらも、カリュドンの大猪は倒れた。

 そして、報酬を分け合う時、メレアグロスは「最初にあの猪に攻撃し、血を流させたのは貴女なのだから、この皮は貴女のものだ」と言いながら、カリュドンの皮をアタランテに差し出した。

 しかし、それに気に入らないものが抗議し、メレアグロスは抗議した者達を殺した。それによって、メレアグロスはメレアグロスの命の源である薪を燃やしてしまった。こうして、メレアグロスはアタランテの目の前で死んでしまった。

 こうした出来事があってから、彼女は結婚といったものを忌避するようになった。しかし、それでも名声によって、彼女に求婚するものは後を立たなかった。故に、彼女は自分と結婚する者は、自分より足が速くなければいけないという条件を立てた。それからは、彼女と競争を挑む男たちが絶えなかったが、彼女の瞬足に叶うものはいなかった。

 こうして敗れ去っていく男たちを見たヒッポメネスは、黄金のリンゴを用意し、競争するときにそのリンゴに気を取られているアタランテを抜き去り、結婚した。

 それから彼らは─────

 

 

 

「そこまでだ! クソ野郎が!」と泉は身を起こし、叫んだ。「全く、彼女の夢を見れたのはいいけれども、最悪だよ。まあいいか」

 







Apocryphaアニメ化決定しましたね! これをきっかけに、Apocryphaの二次創作も増えて欲しいです……いや、本当に。誰か書いてくれませんかね?(チラッ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。