アタランテが咬ませ犬的ポジジョンなのが納得がいかない!というよりペロペロしたい 作:天城黒猫
この話を書いている時、変なテンションだったのでシッチャカメッチャカかもしれません。修正できたら、後で修正します。
アサシンは大聖杯を収納する部屋に現れ、蔵から取り出した玉座に座ってふんぞり変えている英雄王に対して、非常に神経質なまでの警戒を行っていた。遠見の魔術によって、英雄王の僅かな息遣い、僅かな目の動きといったものを観察し、彼がどのようなことをしても素早く対処できるようにしていた。
(もしも、ヤツが我らを殺そうとするのならば)とアサシンは思った。(おそらく、ほんの一瞬で終わるだろう。それこそ、この空中庭園において強力な魔術を使える我ですらも、指先で小突く勢いで殺せるだろう。ライダーとランサーならば、ある程度抵抗するだろうが、それでも勝利できる確率は非常に低いといえる。それほどに、ギルガメッシュという男は強いのだ。もちろん、我のマスターでも勝利は不可能だろう。そういった意味では、キャスターがマスターを宝具の中に閉じ込めたのは、避難という意味では僥倖というところであろうか。
全くもって厄介な存在が出てきたものよ。しかし、気になるのはなぜギルガメッシュという男が現界してきたのか、どうやって現界してきたのかだ。ヤツのマスターは確認できない。かといって自前の魔力で現界しているわけでもない、どういうことだ?)
「気になるか?」とギルガメッシュは、その全てを見通し、全てを見透かすかのような赤い目で、遠見の魔術を行っているアサシンと目を合わせて言った。「なぜ
「その、通りだ……」とアサシンは息を飲み込みながらも答えた。
「そう緊張することもあるまい。
「了解した」とセミラミスは己を投影した立体映像を英雄王の前に出現させた。その立体映像は、彼の前にかしずいて言った。「相手をさせていただこう」もちろん、こうした動作、こうした態度を取ることは、女帝にとって大変屈辱的なものであった。しかし、彼女はそれを感じ取らせるようなことはなかった。
「良かろう。貴様のその態度に免じて、改めて
「それは……」とアサシンは息をつまらせた。(我の願望、それは世界を支配し、世界に君臨することだ。しかし、そうした言葉をこの英雄王の前で言っていいものか。かつて世界すべての財を集め、世界を己の庭とした英雄王にとって、この願いをどう捉えるか……)
ギルガメッシュはそうしたアサシンの様子を見て、笑みを浮かべながら言った。
「なるほどな。貴様のその様子を見ていると、貴様が抱いている願望は自ずと判るというものよ。貴様は己の恋を叶えようとしているのだろう?」
そうした彼の言葉にセミラミスは、顔を赤くしてうめき声を漏らし、肩をびくつかせるといった、ひどく動揺した様子を見せつけた。
英雄王はそうした彼女の様子を見て、
「フハハハ!」と笑った。「そう照れるものではないぞ、アッシリアの女帝よ。ほんの英雄王ジョークというやつだ! だが、どうやら
「戯れを」とアサシンはたちまちのうちに冷静さを取り戻してはいるものの、ギルガメッシュを睨むその目線は冷たい、氷でできた針のようであった。「我の願望は受肉だ。男など、我にとってはただの道具であり、傀儡そのものよ。そんな存在に対して我が恋慕を抱くわけもあるまい」
「そうか、そうか。まあ良い。これは
アサシンは頭を下げた。
こうした彼女の様子と、ギルガメッシュとの様子を見れば、この場においてアサシンの立場が下であるということは、いたって明確に見て取れた。もちろん、アサシンにとってそうした状況は先ほど記述したように、大変な屈辱であった。しかし、彼女は同時に女帝としての傲慢、冷徹な部分が、どのようにしてギルガメッシュという存在を屠ろうかを考えていた。
「さて、道下が踊る様子も楽しめたし、本題に入るとしよう。すなわち、
「その話、この私も聞いてもよろしいでしょうか?」と聖杯を収納している空間に入ったキャスターは、英雄王の前に跪いて言った。「吾輩はキャスターの座を与えられたサーヴァント、真名をウィリアム・シェイクスピアと申します。この場においては、吾輩はただのしがない一作家であり、いささか身分違いではありましょうが、作家としての性分がこの場にいさせるのでございます!」
「良い、許そう。今の
「光栄でございます、人類最古の英雄、偉大なる英雄王殿」
「では、まず
しかし、蔵を奪われては流石に
「それはなぜでしょうか?」とキャスターは問いかけた。それにギルガメッシュは、
「知らん、この
「なるほど、判りました。お話、ありがとうございます」とキャスターは頭を下げた。それから、立ち上がって言った。「では、この我輩、やることができましたので、ここらで失礼させていただきます! どうぞ、気のきいた召使などがおりませんが、ゆるりとお過ごしください!」
キャスターはこの場所から、アサシンがいる玉座まで素早い移動をしてみせた。キャスターが、アサシンも前に姿を現すと、彼女はギルガメッシュに一言断わり、立体映像を消した。
「『不幸な時代の重荷は、我々が背負わねばならぬ』」とキャスターは言った。「大変なことが判りましたぞ、大変なことになりましたぞ! 女帝殿!」
「ええい、喧しいぞ、キャスター」とアサシンは言った。「それで、何が判ったというのだ? おそらくだが、我と同じことを予想しているだろうが」
「ええ、ええ。その通りでしょうな。あの英雄王ギルガメッシュは、世界が現界の後押しをしたとおっしゃいました。そして、もちろん英雄王ギルガメッシュにも言えることなのですが、我々サーヴァントは聖杯の力によって召喚されます。なぜ、聖杯によってサーヴァントが召喚されるのか、それは願望を叶えるためのエネルギーを集めるというのも、目的の一つですが、もっと根本的なところで聖杯の性質が関わっております。
聖杯というのは、世界に危機が訪れたとき、その危機に世界が立ち向かうがために英霊を召喚するという性質を模倣し、サーヴァントの召喚を可能としています。そして、世界が彼を召喚したということは、世界に大変な危機が迫っているということを意味しております! ですが、まあ。あのお方は動く気はないようですな。つまり、我々だけでその危機を解決しろ、と言っているのでしょう」
「ああ、我も同じ考えだ。抑止力が動いたということだが、そこまでの世界の危機というのは一体何だ? そこが解らぬ」
「果たしてそうでしょうか? いるではありませんか、我々の身近に人類すべてを不老不死とし、幸福な世界を作ろうとしている人物が。天草四郎時貞、彼の願いを世界は危険だと判断したのでしょう」
「そうだな……」とアサシンは苦いものを噛み締めたような顔をして言った。「なるほど、その可能性が高い。だが、キャスターよ、一つ腑に落ちないところがある。お前は一体何を企んでいる? マスターを宝具の中に閉じ込め、何を企んでいるのだ?」
彼女の目は、その目を見たもの、あるいは見られたものすべてをぞっとさせるような、鋭く、冷ややかなものであった。それにキャスターは笑みを浮かべ、
「なあに、ただひとつだけ言えることがございます」と言った。「それは、吾輩はサーヴァントであり、マスターの願いを叶えるために、マスターに力を貸す存在ということです。そう、吾輩の名はウィリアム・シェイクスピア! 劇作家にして、俳優である! 吾輩はマスターの敵となるものすべてを排除致しましょう。そして、マスターの物語を紡がせていただきましょう。それこそが、吾輩の役目なのですから」
「フン、まあ良い。その言葉、たしかに聞いたぞ。もしも、その言葉に反するような行いをしたのならば、我の毒で永遠とも言える時の中で苦しみを与えてやろう」
「おやおや、これは怖いですな」
「ふむ、ここまでか?」と織田信長は目の前で倒れている天草四郎時貞を見下ろしながら言った。「まあ、よくやったほうじゃろう。なんせ、今のわしは本能寺復刻&ぐだぐだ明治維新でノリに乗っておるからの! 新撰組チームのポイントよりも、織田陣営の方のポイントのほうが多いからの! それほど、わしにカリスマがあることの証明じゃの! え? 心臓? 知らんわ。
まあ、それはそうとして、お主の実力、とくと見させてもらったぞ。そのうえで評価させてもらおう。ぶっちゃけ、お主の実力じゃと願いを叶えるのは不可能じゃの。というか、人類皆不老不死で仲良く兄弟なんていう願い、叶うわけなかろう。世界が、抑止力が許さんわ」
「何……?」と天草四郎時貞は傷だらけの体に鞭を打ち、よろめきながら起き上がった。「俺の願いが叶うことはないだと? だとしても、俺は願いを叶えなければいけない。確かに、俺とお前では、味わった
「で、あるか。お主、つまらんやつじゃのう。不老不死? 平和な世界? つまらん、そんな世界は作れん。人間というのは、いや、人間に限らず生物の根本は争いじゃ、戦争じゃ、生存じゃ。争いのない世界など、生物がいる限り作れん。例え、聖杯のちからを使ったとしてもな。
とまあ、散々言ったが、わしはお主の願いそのものを否定することはできん。お主のそれは全く持って正しいモノじゃからの。世界を救う、人類を救う、方法はどうあれど、立派なものじゃ。──が、今はそんなことをしている場合ではない。聖杯大戦などやっておる場合じゃないのじゃ」
「何? 何を言っている?」
「うむ、先ほどキャスターめからこっそりと通信があった。それによると、抑止力によって英雄王ギルガメッシュとかいう金ピカサーヴァントが召喚されたようじゃ。全く、金ピカなどゴールデンとサルめで十分じゃというのに」
「ギルガメッシュ、だと? 馬鹿な」
「本当のことじゃ。現に、英雄王本人が抑止力によって召喚されたと発言しておる。まあ、抑止力が動く原因など、わしの目の前にいるお主じゃろうがな。是非もなし。──というのが、キャスターがアサシンとの共同の意見じゃ。
じゃが、キャスターめは別の可能性を考えておる。つまり、抑止力が働いた原因は、お主ではなく全く別の人物。それも、この聖杯大戦に関わっている人物の影響じゃとな。これは、アサシンにも話しておらんようじゃ。なぜかは知らんがな。どうせ奴めのことじゃ、そのほうがいい物語を書けるとか思っておるのじゃろう。
と、話がズレたのう。その抑止力が動いた原因の人物はとっくに予想しておる。アーチャーのマスター、川雪泉とかいう小僧が抑止力を動かした原因じゃ。
キャスター曰く、その小僧の目は、暗闇のみしか見ておらず、何も見ていない、イカれた破壊者の目だったと語っておる。お主にも心当たりがあるんじゃないかのう?
そして、キャスターはこう予想しておる。奴にとってこの世界は、非常につまらない、ゴミのような世界だと認識しており、その世界を文字通り消滅させようとしている、とな。それも聖杯の力を使っての」
「なるほど……つまり、貴女はこう言いたいのですね。『世界が滅ぶから、私の願いは諦めて戦え』と」
「その通りじゃ。作家としての直感がそうするべきだと予想していたようじゃの。───とまあ、ここまでキャスターの筋書き通りじゃの。で、どうじゃ? お主は願いを犠牲にして戦うか? それとも、世界を犠牲にして願いを取るか?」
「もちろん、私は世界を取りますよ。これでもいっぱしの英霊ですからね、世界を守らせてもらいます」
「うむ!」と織田信長は笑顔で頷いた。「よし、よし! いい顔じゃ! 願いに対する未練もないようじゃの!」
「いえ、少しだけあります。が、世界が滅びては願いの意味もありませんからね。……それはそうと、これを話したかったのなら、今まで私に攻撃を加えた意味は何なのでしょうか?」
「あー、それはのー……」と織田信長は冷や汗を流し、顔をそらしながら言った。「一つは時間稼ぎじゃ。英雄王なんちゅうチート英霊が召喚されたからの。ソイツにお主がやられないように、キャスターめはここにお主を閉じ込めたのじゃ。マスターが無事なら、キャスターも無事とかいうスキルを持っているからの」
「攻撃には関係ありませんよね?」
「まあ、アレじゃ。わしはキャスターの創作として作り出された織田信長じゃが、まあ、アレじゃ、わしの趣味じゃ! こう、試すとか、そんな感じの雰囲気でカッコよかったじゃろ? ……是非もないネ! 全部キャスターが悪い! ではの! そろそろ出すぞ!」
「ええ、ありがとうございます」
「うむ! 頑張るのじゃ!」
織田信長の合図により、キャスターは宝具を解除した。天草四郎時貞はキャスターとアサシンとの前に出現した。彼の肉体が負った傷はすっかり消え去っていた。
キャスターはマスターに対して目配せをした。それは、「あのことはまだ確定したわけではございません。しがない一作家の予想でありますから。ですが、どう扱うかは貴方の自由ですぞ」という意味のものであった。
「ええ、わかりました」とキャスターのマスターは答えた。「アサシン、キャスター。そして、この場にはいないライダーとランサーも念話で聞いて欲ください。抑止力が動き出しました。つまり、世界が滅ぶ危機ということです。
一つは私の願い、一つはアーチャーのマスターの願い。この2つが現時点で予想できる、抑止力が動いた原因の最大の可能性です。どちらかが、あるいは両方ともが原因なのかもしれない。……英霊というのは、世界の防衛機能の一種です。今回、聖杯大戦で召喚された私達にその力があるかどうかはともかく──『世界を救うために、自分で考え、自分で動いてください』これは、令呪による命令です」
……それにしても、エイプリルフールにはおったまげたなぁ……まさか、一日限定でアプリを出すとは……型月、毎回本気出しすぎなんですよ!
ぐだぐだ明治維新も始まりましたし、CCCコラボも予告されましたし、石を貯めなくては……! メルトを引くために! あとBBも!