白式の日(インフィニット・ストラトス×ガンダムUC)   作:スターゲイザー

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第2話 白式の日(中)

 

「ん?」

 

 下校途中で合流した弾の妹、五反田蘭に話しかけられていた織斑一夏は何かを感じ取って顔を上げた。

 

「どうしたんですか、一夏さん?」

「いや……」

 

 蘭の問いかけに一夏は口籠った。

 空気が変わったような気がしたと伝えたかったが、一夏と違って普通の感性を持つ蘭には理解できないだろうという諦めがあった。世間一般と違うのは一夏の方であり、いきなり変なことを言って淡い好意を向けてくれる親友の妹に嫌われたくないと予防線を張っていた。

 感じたことを安易に口に出さないのは変人扱いされてきた一夏なりの処世術ではあるが、どうにも気になってキョロキョロと辺りを見渡してしまう。当然ながら通い慣れてきた通学路であるから、なにも変わったところはない。

 

「おいおい、何をキョロキョロしてんだ? おかしな奴だな」

「日頃からおかしいお兄が言えることじゃないでしょ」

「マイシスター、それは言いすぎじゃないか?」

「知らない」

 

 五反田兄妹の力関係のよく分かる会話であった。

 当の一夏は周りに異変などなく「うーん」と首を捻っていた。

 

「気のせい……」

 

 か、と結論付けようとした瞬間、猛スピードでやってきた数台の車とトラックが一夏達の直ぐ横を通過する。

 

「危ねぇなぁ。どんだけスピード出してんだよ」

 

 弾が急速に遠ざかっていく数台の車とトラックを振り返りながら文句を言っていた。蘭も同意すように振り返っていたが、一夏だけは上空を見上げた。

 直後、上空が稲光のように眩くなって数条の光が地へと降り注ぐ。

 閃光が走り、花火が爆発したような音が広がって爆炎が吹き上がった。 一つの閃光がトラックを直撃してガソリンに引火したのか、大きな爆発が起こったのだ。

 

「きゃぁああああああああああっっ??!!」

 

 五十メートル近く離れているのに爆風が押し寄せて来て、突然の非日常に蘭が悲鳴を上げた。

 爆発に恐怖を抱いたのもあるが、なによりも今しがた爆発したトラックの直ぐ近くを歩いていた人影が爆炎に呑み込まれる瞬間を目撃してしまっては、蘭ならずとも悲鳴を上げる。

 遠くて小さな姿しか見えなかったが、一瞬でトラックが呑み込まれるほどの爆発に巻き込まれた人影がとても生きているとは思えない。現に一夏はその人影の気配とでも呼ぶべきものが一瞬で消えたことを感じ取ってしまった。

 惨劇はそれだけに留まらない。まだまだ足りないとばかりに上空から幾条もの閃光が落ちて来る。

 

「うわぁあああああああああああっっ??!!」

 

 一緒に驀進していたトラックの爆発に驚いたようにブレーキをかけた数台の車に着弾し、爆発は合わさって勢い増し、轟々と真っ赤な火炎が立ち上る。爆発によって揺れる地面に立っていられなかった弾と蘭が蹲る。

 

「止めろ――!!」

 

 幾人もの気配が消えて一夏は思わず叫んでいた。遥か上空にいる機械仕掛けの鎧を纏った戦乙女に向かって叫ばずにはいられなかった。成された惨劇が閃光が放たれた先にいる者によって引き起こされた人為的な物だと直感したからである。

 しかも頭上の戦乙女は追い打ちをかけんとトラックと車や、目撃する者も許さないとばかりに周りの家々に閃光を放ち続けている。

 無謀にも誰でもいいから生存者を助けに行こうと走り出した一夏。直ぐに気付いた弾が一夏を捕まえて羽交い絞めにする。

 

「馬鹿野郎!? 死にたいのか!!」

「放せ弾! まだ誰か生きているかもしれないんだぞ!!」

「あんな爆発が起こって誰も生きているわけがないだろ!!」

 

 弾の叫びが聞こえたのか、いっそ拍子抜けするほどに閃光がピタリと止んだ。だが、実際には違う。地上の爆炎を切り裂いて出てきた何かを見て取ったから止めたのだ。

 爆炎を切り裂いたのは、重武装の騎士といった風情のISだった。

 一夏がそう考えたのは、拙い知識から爆炎を切り裂くことが出来て翼も持たずに空を飛翔出来る人型の存在をIS以外に規定出来なかったからである。

 

「IS……なのか?」

 

 全身を覆い尽くす白銀の重装甲。機動力が売りの一つであるISにおいて見るからに鈍重そうで動きを妨げそうなほど過剰な装甲を身に纏う姿に、一夏を羽交い絞めにしたままの弾が困惑したように呟く。

 弾の言うように、戦乙女と称されるISと操縦者にこれほど似つかわしくない存在もいない。ISというより余程西洋の時代からタイムスリップしてきたどこぞの騎士と言われた方が信じられる。

 重装甲のISは、魅入られたように立ち尽くす一夏を見つけると片手に抱えた何かを放り投げた。

 

「おいっ!」

 

 放り投げられたそれが人間であると気づいた一夏は慌てて受け止めようとする。

 一夏より少し小柄なその人物は意識を失っているのか、自身では身動き一つすることなく腕の中に落ちて来て、中学、高校と部活には入っていないが人並みに鍛えてきたお蔭でなんとか滑り込んで地面に落ちる前に抱き留めることに成功する。

 安堵の息を吐いて腕の中の人物を見下ろすと、一夏と同い年ぐらいの少女であった。

 派手な制服らしき物を着ているが、見るだけでもスタイルが良いと分かる。顔も整っていて、一夏のクラスにいれば間違いなくモテるだろう。不思議なことに見覚えがあるような気がしたが、そんな少女を邪魔者みたいに放り投げたISに物申そうと顔を上げた一夏を衝撃波が襲った。

 

「うわ……っ!?」

 

 少女を抱きしめて、吹き飛ばされないように慌てて地に伏せる一夏だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間を少し戻し、まだトラックがISによる攻撃を受けて爆発する前。

 骨伝導を利用してイヤリング型に縮小された受信と発信を一体化させた通信機から敵襲を知った織斑千冬は、IS学園の管制からセシリアが隙を突かれて戦線を離脱させられたと聞かされて、まずこの一件に親友である篠ノ之束の介入を疑った。

 天災と称される束の思考回路は世界最強と言われている千冬を以てしても読み切れない。今回の箒に関する日本政府の不可解な行動に束の臭いを感じ取って介入したが、その選択は束の介入如何に関わりなく正しかったことになる。

 

「千冬さん、なにがどうなっているんですか?」

 

 道路交通法を遥か彼方に置き去りにして爆走するトラックの中はとにかく揺れる。千冬と違って外部の情報を仕入れる手段のない箒が自身の体を支えるのが精一杯という様子の中でも問いかけて来た。

 何かが起こっていると確信はしているが、状況が理解できていないので動揺しているのだろう。呼び方が公私の私の方になっている。

 無理もないと考え、諌めずに話を進める。

 

「当初の懸念通り、このISを狙う輩が襲撃を仕掛けて来た」

「っ!?」

 

 状況をありのまま伝えると箒が息を呑む。

 普通の少女とは違って波乱万丈な人生を歩んでいる箒といえど、これほどの荒事の経験は数える程度にしかないだろう。呑まれるのは仕方ないし、篠ノ之箒がそういう無様を曝すとは昔と今を知る千冬にはとても思えなかったが混乱して泣き喚かないだけでも良しとする。

 

「敵はIS2体、凰が一体の相手をしているがオルコットが早々に戦線離脱した所為で残った方がこっちに向かっている」

 

 最初からきな臭かったこの件に関わるのだから周りを固めている護衛は日本政府の者だが、トラックの運転手は生徒会長の家の人間に手伝ってもらっている。IS学園の管制と協力しているので事故の心配は少ないが、トラックではいくら速度を出そうとも敵ISに追いつかれる。

 セシリアの動向が不明では、千冬達に残される手は一つだけ。目で箒にも分かるように意を伝えると、彼女にも分かったようだ。

 

「私がこいつに乗って戦うしかない、ですか」

「ああ、初期化(フィッティング)も出来ていない機体だがお前に与えられた物だからな。悠長に考えている時間はないぞ」

「分かりました。乗ります」

 

 気質の似ている二人だからこそ問答に時間はかからなかった。

 揺れる車内に苦労しながら鎮座する待機状態のISに手を伸ばす箒を見る千冬の耳に「敵IS接近!!」と危機を知らせる警告が飛び込んできた。

 千冬の機械を使わない感知範囲にも気配が感じられ、攻撃の意とでも呼ぶべきものが真っ直ぐにトラックを貫いていることを感じた。揺れる車内で待機状態のISに手を伸ばす箒の動作は鈍く、間に合わないことを瞬時に判断した千冬の体は動いた。

 

「――――――」

 

 箒の横から先に待機状態のISに千冬の手が触れた瞬間、閃光がトラックを貫いた。

 瞬時に展開されるISはエンジンを貫いて爆発した火炎から千冬を守り、しかし、それ以外の何者をも守ることはない。

 トラックのエンジン部は運転席の近く。爆発が起こった瞬間には既に運転手は生きてはいまい。せめて火炎に焼かれることになる箒を守ろうと千冬はその手に無骨にして長大な剣を呼び出し、再度振り降りて来た閃光諸共に全てを切り裂いた。

 火炎も閃光も途絶える一瞬の静寂に、ISに守られた千冬と違って生身のままで爆発の中心近くにいて気絶した箒を抱えて飛び出す。

 紅い世界から脱出した千冬の視界は真っ青な世界へと切り替わる。同時に視野が広がり、真下で住宅街にも関わらず爆発、炎上した周囲が目に入る。

 

(くそ……っ!)

 

 トラックの運転手だけではない。ISの広がった知覚で感じ取ってしまった巻き添えにされた者達を感じ取って内心でこのようなことをした者達を口汚く罵る。

 千冬のISが盾になったお蔭で火炎の被害からは免れたが、爆発のショックで気絶している箒を長剣を持っていない方の手で抱えていると近くに動体反応を感知する。

 トラックを破壊した敵から意識を離さずに確認すると見覚えのある姿が二つ。

 

(一夏!?)

 

 そこにいたのは友人だと紹介された五反田弾に羽交い絞めにされている千冬の弟である織斑一夏の姿があった。

 何故こんな場所にいるのかと詮索する暇は、敵ISが急速に降下してくるのを感じ取って与えられなかった。

 それほど高度も上げていなかったから一夏の力なら箒を受けとめられる状態を見計らって放り投げる。

 無事に受け止められるかを確認する余裕もなく、大型ライフルの先端に付けられている近接用の銃剣を振るってくる敵IS――――サイレント・ゼフィルスを迎え撃つように長剣を振り上げた。

 

「「―――――!」」

 

 武器が衝突した衝撃波が辺りに広がり、千冬は戦場を変えるためにスラスターを全開に吹かす。重装甲に似合って白式の推進力は強大である。直下に流星の如く振り落ちて来たサイレント・ゼフィルスを受け止め、尚且つ押し返すパワーがあった。

 急上昇し、雲の間近で弾かれた両者は、一定の距離を取って向かい合う。

 

「降伏しろ」

 

 顔まで装甲に覆われているので、外部スピーカーをオンにして話しかける。

 初期化(フィッティング)までにはまだまだ時間がかかる。それに今頃、IS学園及び、自衛隊のIS部隊がスクランブルをかけているはず。千冬の目的は即座の敵の制圧ではなく時間を稼いで援軍を待つこと。無論、降伏勧告に大人しく従うのなら是非はない。

 

「――――その声、織斑千冬か――――」

 

 サイレント・ゼフィルスは微動だに動くなく、やがて見える口元を喜悦の形に変えると大型ライフルを真下に向けた。

 その動作は降伏とも取れる。呆気なさに千冬が僅かに気を緩めかけた瞬間、本体に直結されているビットからビームが発射された。

 発射されたビームは直進することなく、急速に旋回して千冬へと向かってくる。

 

「偏向射撃!?」

 

 ビームを曲げる技術が代表候補生であるセシリアですら出来ないことを、襲撃者がいとも簡単に行っていることに驚きながらも回避する。

 サイレント・ゼフィルスの本体に接続されていたビットが切り離され、綺麗に整列して千冬に砲門が向けられる。

 

「死ね」

 

 計6機のビットが並び、サイレント・ゼフィルスも大型ライフルを構えて合計7門の砲塔が同時に火を噴いた。

 一発限りではない。ビットは生き物のように動き回り、ビームを避ける千冬を執拗に追いかけて仕留めようとする。セシリアが持っていたビットの制御中には他の武器と連携できずに無防備になるという弱点もないのか、サイレント・ゼフィルスも縦横無尽に空を駆けて攻撃を行ってくる。

 

「この程度で殺されるなら世界最強など呼ばれはしない。私の首を取りたいならこの十倍は持って来い」

 

 悠々と余裕を持ってビームを避け、時には長剣でビットを弾き飛ばして回避コースを確保する千冬を仕留めるには全く足りていない。

 流石に初期化(フィッティング)前の反応が鈍い機体では千冬もこれが精一杯である。それほどにサイレント・ゼフィルスの操縦者の技量は巧みで、無理に倒しに行けばやられるのは千冬の方である。

 逆にいえば、無理に倒しに行かなければ遠方で戦っている鈴の戦況を確認する余裕もあった。

 

「仲間に助けを請うてもいいぞ。2対1で私は構わんぞ」

「戯言を……っ!」

「事実を述べているだけに過ぎん」

 

 サイレント・ゼフィルスの操縦者も彼我の実力を感じ取ったのか、余裕のあった姿をかなぐり捨てて仕掛けてくるが千冬には毛のほどの感慨も抱かせない。

 どうせならばもっと怒りに身を焦がして雑な動きをしてくれれば仕留める機会もやってくるというもの。鈴の戦況が不利なようだから最悪、千冬が二体を相手にしなければならないのだから挑発は止めない。

 

「おっと、今のは良かったぞ。もう少し動きを鋭くすればかすり傷ぐらいはつけられるかもしれんぞ?」

 

 挑発の口を休めない。

 サイレント・ゼフィルスの操縦者は、機体性能の差はあるだろうが明らかにセシリアよりも実力は上だ。ビットだけでなく自身も絶え間なく動き回りながら、千冬の頭を抑えて制そうと動く。

 全方位から縦横無尽に襲い来るビームの雨と、間隙を埋めるように大型ライフルの強力なビームが撃たれる。

 敵の予想外を上げるなら、千冬の存在と白式の推進力ある。千冬の技術とサイレント・ゼフィルスを遥かに上回る推進力の白式ならば、回避に専念すればまず当たることはない。

 

(私よりも向こうが持たんか。先に決める必要がある)

 

 いい加減に鈴の戦況が危うい。敵の方が技術も経験も上で、このままでは仕留められるのは時間の問題だ。援軍が来る前に千冬は目の前の相手を倒し、応援に行くこと決める。

 

「どうした貴様は木偶の坊か? 私はここだぞ。いい加減に当ててみろ」

 

 わざわざ静止して篭手で胸の装甲を軽く叩く。

 狙って飛びこんできたところを得意技である瞬時加速(イグニッション・ブースト)のカウンターを叩き込む。最速にして最短、焦るでもなく構えるでもなく、無心に放たれた斬撃を受けて倒れなかった者は未だ嘗て一人もいない。

 

「――っ!」

 

 案の定、敵は挑発に乗ってくれてセシリアのインターセプターと同種らしい近接ショートブレードを構えて真っ直ぐに向かってくる。

 その姿を見て、千冬も準備を整えていた瞬時移動(イグニッションブースト)を発動。

 サイレント・ゼフィルスよりも早く間合いを詰めて、後は斬撃を放つだけというところで突如として間にビットが出現する。

 瞬時移動(イグニッションブースト)の欠点は、加速に伴う空気抵抗や圧力の関係で軌道を変えることができずに直線的な動きになることと、当然の如くながら急には止まれない。千冬の選択は斬撃を続けること。

 ビットを切り裂き、爆発する中で突っ込んで来る影―――――'サイレント・ゼフィルスである。

 操縦者は嘲笑を隠しもせず、近接ショートブレードを突き出してくる。

 

「世界最強を舐めるな」

「貴様がな」

 

 驕ることなく、切り返した長剣で一刀の下に近接ショートブレードを切り払う。しかし、それすらも敵の思う壺だった。敵は既に近接ショートブレードを手放しており、40㎝ほどの大きさの装置を手にしている。

 今度こそ回避しようのないタイミング。如何な国家代表候補生といえども被弾は逃れようもない――――ここにいるのが世界最強のブリュンヒルデでなければ。

 切り返された長剣が更に翻る。

 二度ならず、一瞬で三度目の斬撃。この斬撃を回避できた者はいない。後は斬撃を振るうだけで決着が着く。

 敵もこの斬撃を受けることも避けることも出来ないと気が付いたが、千冬が斬撃を放つ方が遥かに早い。ほぼ同時に繰り出された斬撃を躱せるものはこの世にはただ一人もいないならば、千冬が負ける時は別の要因に他ならない。

 

「舐めるなと――」

 

 行っただろう、と言いかけたところで機体が発光し、同時にフルフェイスの下でハイパーセンサーに直轄された網膜投影に一文が表示される。

 

初期化(フォーマット)最適化処理(フィッティング)終了』

 

 千冬の予想では、まだ十分に時間があるはずの初期化と最適化処理が終了して、機体が変化する。その変化は斬撃を放とうとしていた長剣にまで及んだ。

 重装甲はより肉体にフィットした物に形を変え、長剣が形を崩していっては幾ら千冬といえども十二分な斬撃は放てない。本来ならば胴体を切り裂くはずだった剣が当たらなくなるのは目に見えていた。だから、千冬は剣が形を失くす前に無理矢理に速度を速めた。

 千冬だからこそ斬撃の変化に敵は対応できず、サイレント・ゼフィルスのバイザーに叩きつけられる。直後に剣は完全にその形を失う。敵操縦者にすれば大きなダメージだっただろうが、それでも構わずに40㎝の装置を白式の胸部装甲に押し付けてきた。

 

「な、ぐぁあああああああああああっっ!?!?」

 

 突如として発生した神経が無理やりに剥がされるような痛みに絶叫しつつ、サイレント・ゼフィルスを蹴り飛ばして痛みの原因である装置を装甲ごと毟り取って投げ捨てる。

 

剥離剤(リムーバー)か!?」

「おおおおおおおおおおおおおっっ!!」

 

 千冬は押し付けられたのが剥離剤(リムーバー)と呼ばれる機体に取り付いてISを強制解除させてコアのみの状態にする装置だと看破したところで、体勢を整えたサイレント・ゼフィルスが叫びながら近接ショートブレードを手に、温存していたのか瞬時移動(イグニッションブースト)で突っ込んで来る。

 彼我の力量差は歴然。白式の能力が未知数となれば、このまま戦えば間違いなく千冬が勝つと敵も分かっている。だからこそ、剥離剤(リムーバー)の発動によって千冬の動きが鈍っている今がチャンスと見ての特攻。

 思いきりの良さと卓越した戦術眼に千冬でさえも眼を瞠る。

 

「だからといってテロリストに負けてやるつもりはない」

 

 剥離剤(リムーバー)によって体の痺れは残っているが、意識を集中すれば無視できる程度に過ぎない。初期化(フィッティング)直後で武装を確認する暇もない。無手のまま、突っ込んで来るサイレント・ゼフィルスに反撃せんと拳を構える。

 絶対に避けることが出来ないタイミングで拳を放とうと瞬間、先の斬撃による衝撃によって敵操縦者の顔を覆っていたバイザー型ハイパーセンサーが外れて素顔が露出する。現れた顔は千冬が十年前に見慣れていた幼い自分と寸々違わぬものだった。

 

「何っ!?」

 

 世界最強と称されても千冬も一人の人間である。動揺もすれば慌てもする。今まで戦っていた敵が、テロリストが弟と同じ年頃だった時の自分と同じ顔をしていれば初動が遅れる。

 弱った千冬の気迫を退路を自ら失くした敵の気迫。力量差があれど、この一瞬の攻防はサイレント・ゼフィルスに軍配が上がる。必殺のカウンターよりも早く、剥離剤(リムーバー)を剥がしたことによって胸部装甲のない生身の場所に近接ショートブレードが突き刺す。

 瞬時移動(イグニッションブースト)を使っての突進の力によってシールドバリアーを突き破って、近接ショートブレードが千冬の左胸を抉る。模擬戦用などではなく実戦――――殺し合いを目的とした準備を行なっていた故の事。

 

「私はお前だ」

 

 千冬の目前でサイレント・ゼフィルスの操縦者が年月以外に差がない顔を、自身の血と跳ね跳んだ千冬の血が合わさった血化粧に染めて哂う。

 近接ショートブレードが刺さっているのは心臓。即死していないのが不思議なほどの傷であったが、もはや勝敗は決した。

 

「驚いたか、織斑千冬。だろうな、まさか自分のクローンが敵になるとは考えていなかっただろ」

 

 その言葉の意味を理解した瞬間、目の前の少女が自分のクローンであると気づかされて千冬の表情が絶望に染まる。

 心臓に突き刺さった近接ショートブレードが勢いよく引き抜かれ、力を失った千冬の体が翼を捥がれた天使の如く地へと落ちて行く。

 

「今日、私は貴様を殺してMではなく織斑マドカとなる。死ね、オリジナル」

 

 M――――自らを織斑マドカと名乗った少女は、星を砕く者(スターブレイカー)の名の通りに世界最強の星(織斑千冬)を砕かんとエネルギーが溜められたライフルの銃口を向けて引き金を引いた。

 

「させませんわっ!!」

 

 千冬が地に落ちながら見たのは、放たれた閃光を阻むように現れた青い滴(ブルー・ティアーズ)の背中であった。

 痛みによって働きが悪い頭がセシリアが助けに来たのだと遅れながらも認識した直後に、千冬は白式を纏ったまま地に叩きつけられる。

 

「ぐっ……!? かはっ」

 

 微かに息を漏らす。吐き出した息と一緒に大量の血が口から漏れた。高度数百メートルの高さから落ちても痛みだけで済んでいるのはISのお蔭だとも言えるが、空いた心臓の穴はどうしようもない。

 

「…………死んだか、これは」

 

 体から流れる血と共に自分の命が流れ出てゆくのを、はっきりと自覚していた。

 倒れたコップから零れていく水のように、赤い血が流れていく。段々と意識が朦朧としていくのは、痛みからではなく単純に生命活動に必要なだけの血液が失われつつあるからだろう。

 白式のコアは白騎士の物を使っているから、操縦者を生かそうと装甲を形成している機能を使ってまで生体再生機能'を全開にしているが、流れる血の量は多く心臓が治りきるよりも千冬が息絶える方が早い。

 

(寒いな……)

 

 全身のあちこちで装甲が消えていっているから、外気温に晒される体の体温が加速度的に低下していく。今やアスファルトを突き破って露出した土よりも冷たく体はか細い行為にしがみ付くように痙攣するだけだった。

 

「こんな死に様を曝すとはな……。まさか自分に殺されるとは」

 

 十年前に束に協力した時からまともな死に方をするとは思っていなかった千冬は、ただ一人で傍には誰もおらず、後事を託すことすら出来ず、唯一の家族である一夏を残して無為に死に行くしかない自分を嘲笑う。

 流れ落ちていく血の量に比例して薄れていく意識の中、靄がかかったように目で何かを求めるように手を上へと伸ばす。

 今際の際とも思える瞬間、脳裏に去来したのは十年来の親友でも目をかけていた後輩でもなく、ただ一人の家族である一夏のことだけだった。

 

「一夏……」

 

 自分がいなくなって悲しまないだろうか、暮らしていけるだろうか、ちゃんと食べていけるだろうか。大人になるまで見届けると誓ったのに、何も残せずに死んでいく自分。想いだけでも届けと手を伸ばしたところで、重い肉体は箒と一緒にいてこの場にはいない一夏に何も伝えることは出来ない。

 重い瞼を閉じ合わせた。もう瞼を開く力もない。強く願えば願うほど、そして希望を抱けば抱くほど死の気配は濃さを増し、現実味を帯びていく。

 伸ばされた手は今にも力を失いそうで、このまま何も掴む事無く空を切って落ちる――――はずだった。その手はしっかりとした手に掴まれた。力なく沈みいく手を握る大きな手。よく知っているその手の感触に千冬の意識が引き戻される。

 

「千冬姉!」

 

 再び開かれた瞼。急速に焦点を合わせた千冬の眼は、名を呼んだ人物が自分の手を握っているのを見た時、夢かと思った。最後の最後にこんな奇跡を起こしてくれるならば、死んだ後に神様に会って感謝したいぐらいだ。

 

「しっかりしろよ、千冬姉!」

 

 手を握ってくれたのは、名を呼んでくれたのは千冬の弟である織斑一夏。その存在を知覚したこと霞がかっていた千冬の世界が僅かに晴れる。

 もはや痛みはなく、重い倦怠感だけが支配する中で一夏が触れている手だけが千冬を現世に繋ぎとめる。そして気づいた。一夏の頭の向こうで瞬く間に劣勢に追い込まれていくセシリアのブルー・ティアーズの姿。

 前後の状況は、一夏がどうしてこの場にいるのかなど、どうでも良かった。分かるのは、ここに一夏がいて、手を握り、血を止めようと傷口を抑えてくれていることだけ。

 

「なんなんだよこれは! 何年も会ってなかった箒を投げ飛ばしたり、ISが千冬姉だったり、訳わかんねぇよ!! アイツらの所為でみんな巻き込まれて…………千冬姉は世界最強なんだろ! 誰にも負けないんだろ! なのに、こんなところでなに死にかけてんだよ!」

 

 一夏が何かを言っているが、千冬の耳はその機能を失っていた。それでも、機能を失った耳の分までまだ生きている目は一夏の憤りを伝えてくれる。

 

(ああ、良い子に育ってくれた……)

 

 両親を早くに亡くし、一夏を育てて来たのは千冬である。苦労や泣きたいことは山ほどあったし、逃げ出したくなることもあった。どうして自分ばかりがこんなに辛いのかと、先に死んだ親を、世界を憎んだことすらある。

 束がISを開発したのはその気持ちが最も強かった時期で、今でもあの時に行ったことが正しかったのかと思う時がある。

 ISの存在によって千冬は忙しくなり、日本代表になれば家に帰らない日々も増えて行った。一人で家に残された一夏は寂しかっただろうし、千冬に思うところもきっとあったはずだが一度でも千冬に不満を漏らしたことはないし、今のように理不尽に憤る人間へと成長してくれた。その成長を最後に見ることが出来て嬉しかった。

 

「すまない、一夏……」

「謝るなよ……っ!? こんな時に、謝るなよ!! くそっ、くそっ、血が止まんねぇっ! 救急車はまだかよっ!!」

 

 幾ら抑えても溢れ出る血で手を汚しながら一夏が泣いている。

 弟が泣いている姿を見たのは千冬も始めだった。一夏にも分かっているのだ。もう、千冬に残された結末は死以外にないと。それでも、千冬に残された結末が死でしかなくとも一夏に残せるものがある。

 

(白式、いや白騎士よ。私の最後の願いを聞き届けてくれ)

 

 白式のコアである白騎士に願う。

 乗っていた期間は短くとも、№001のコアは世界最初の操縦者である千冬のありえない最期の願いを聞き届けてくれた。

 千冬の願いを叶える為にコアは繋いだ手を通して一夏の生体情報を取得し、二人の間で人間のシルエットが3DCGで現れ、その上から『COMPLETE』の文字が表示される。

 

「これで、白式は、一夏にしか、動かせ、なくなった」

 

 ふっ、と笑って急速に霞んでいく視界にいる一夏に向かって話しかける。

 聞いているかも、本当に一夏がそこにいるのかも、声を口に出せているかも分からないまま、千冬は末期の言葉を呟き続ける。

 

「……お前は、私を……恨むだろう。何も、して……やれずに、こんな……重荷まで、背負わせるんだからな……」

 

 握る手に力が籠ったような気がする。だが、もう千冬には一夏が何かを言っているとしても分からないのだ。感じ取る力すら残っていない。

 

「…………それ、でも…………頼む。この……コアを、みんなを…………守ってくれ……一夏…………」

 

 直後、千冬の全身を覆っていた装甲が消滅し、まるで一夏へと移ったかのように装甲が現れていく。同時に微かに千冬の命を繋ぎとめていたコアの生体再生機能も無くなり、意識が遠くなっていく。

 

「………………私の…………大好きな、一夏………………幸せに…………」

 

 千冬はゆったりと微笑んで、空いている方の手で白銀の装甲を身に纏っていく一夏の頬にそっと触れ、その想いの全てを伝えて温もりが消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セシリア・オルコットにとって、この護衛任務は怪しさこそあるものの、国が織斑千冬に借りを作る為に発した命令もあって断ることのできないものだった。

 国の思惑がどうであろうと、セシリアにとっても同じクラスに日本代表候補生になる人間と専用機の情報は、護衛ともなれば知りやすい立場になる。鈴が散々言っていたように後ろ暗いところも見えていたので襲撃は織り込み済みだったが、この相手は予想の範囲外だった。

 サイレント・ゼフィルス。イギリスで開発されているはずの、基礎データにセシリアのブルー・ティアーズの物も使われている機体。

 

「くっ、ブルーティアーズ!?」

 

 高速戦闘の最中、一機のビットに敵のビームが命中して撃墜され、残り2機となったビットを操る。

 先制の一撃を食らって気絶していたのを回復し、サイレント・ゼフィルスと戦闘していたISが撃墜されかけていたのを阻んで戦闘状態に入ったセシリアのビットはその数を半減している。

 精密射撃による本体の被弾もあり、セシリアは敵操縦者の技量が自分を上回っていることを認めないわけにはいかなかった。

 セシリアのブルー・ティアーズがBT1号機、敵のサイレント・ゼフィルスがBT2号機。いくら敵が後発機で多少は性能が上でも、これほど一方的になるのは偏に操縦者の技量の差に他ならない。

 

「BT1号機と聞いていたブルー・ティアーズ。機体に見どころはあっても操縦者がこうではな」

「IS操縦者として劣っているのは認めますわ。ですが、勝負とは技量だけで決まるわけではありません!」

「なら、証明してみせろ!」

 

 意気を吐くも、敵はセシリアでは出来ないビットの同時6機制御を行ないながら更にブルーティアーズを1機撃墜する。

 実力差を認めて意気を吐きながらも、それでも尚、超えられない壁が両者の間に横たわっていた。専用機を貰ってからはないが、代表候補生になった時に量産機で国家代表と戦った時に感じた気持ちに似ている。

 

「くっ……!?」

 

 またビットが破壊され、近くに接近したサイレント・ゼフィルスにミサイルビットを放とうとするが、それよりも早く近接ショートブレードによって破壊され、爆風がセシリアを圧する。

 今のは本体に十分に攻撃を仕掛ける余裕があった。敢えて武装を狙っているのだ。

 

「わざと時間をかけて…………人を嬲るのがそんなに楽しいのですか!」

 

 国家代表は代表候補生が名誉ある立場に選ばれたと感じる驕りを叩き壊して自らの実力を思い知らせる為にその戦い方をしたが、これは違う。相手の全てを否定し、嬲る戦い方だ。

 

「ああ、楽しいね」

 

 大型ライフルから放ったビームで避け損ねたブルー・ティアーズの脚部の先を削り取りながら、心底楽しいとばかりに顔を歪ませた敵操縦者が語る。

 

「貴様は圧倒的な力で弱者を嬲ると楽しくならないか? 獲物を手の中で思うように動かし、徐々に弱っていく様を眺めて面白くはならないか?」

「織斑先生と同じ顔と声で………下衆がっ!」

「より効果があるだろう?」

 

 セシリアは名門貴族の人間であり、早くに両親を亡くして勉強を重ねて周囲の大人たちから両親の遺産を守ってきた努力家でもある。

 貴族としての誇りを誰よりも尊んでいるからこそ、正しき人間で在れと常から思っていた。そんなセシリアであるからこそ、敵操縦者の考えや戦い方はとても認められたものではない。問題はそれだけではない。

 どんな相手であろうと剣一本で世界を制した織斑千冬。その同じ姿と声で千冬を貶める敵操縦者を、彼女に憧れる一ISパイロットとして許せようはずがない。

 

「オリジナルは死んだ。私が、この織斑マドカが殺したのだ! これで誰も私を出来損ないとは言えないッ! 私はオリジナルを超えたのだ!! くくくっ、はははははははははははは――――――っっ!!」

 

 セシリアは哄笑する敵操縦者を倒すことが出来ない己を歯を噛み砕きかねないほど呪った。

 敵の事情は分からないが言葉を読み取ると、さっき地に落ちて行った白銀の重装甲ISに乗っていたのが千冬だとすれば、ブリュンヒルデが、世界最強が負けて殺されたことになる。

 

「ありえませんわ! 織斑先生があなた如きに!」

「信じられんか」

 

 そう言ってサイレント・ゼフィルスはあっさりと攻撃の手を止め、攻撃を仕掛けるには遠い距離へと自ら離れ、ビットすらも戻して得物を下ろした。

 戦意を抑えた姿に、乱れた息を整えながら「なんのつもりですか」とセシリアが問うと、敵操縦者は眼下を指し示して笑い、嗤い、哂う。

 

「簡単なことだ。奴の死を認められんと言うなら確かめてみればいい。その目で、世界最強が死んだ姿を見ろ」

 

 織斑千冬の死を確信しているからこそ言える台詞だった。

 セシリアは確かめるか、迷った。

 もし、本当に敵操縦者が言うように千冬が死んでいるのを見たらセシリアの戦意は折れる。敵を世界最強を倒した相手と見てしまって、きっとこの戦いに生き残れなくなるだろう。それでも、それでもセシリアの目はハイパーセンサーを通して、千冬が落ちた場所を見てしまうのを止められなかった。

 

『ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!』

 

 瞬間、獣が泣いているような雄叫びがコア・ネットワークを介して伝わって来た。女ではありえない喉太い声に発したのが「男」であると気づく前に、先に眼下を見下ろしていたサイレント・ゼフィルスが一瞬で大型ライフルを真下へと向けて発射した。

 セシリアがその後を追うと、重装甲を纏った白銀のISが地上から流星となって舞い上がって来ていた。

 白銀のISは、まるで人間のように放たれたビームをクルリと回転して回避すると、勢いを殺さずにサイレント・ゼフィルスにぶつかっていく。

 

『ここから、いなくなれ――――っっ!!』

 

 ガン、と爆発したような音と共に激突した両機は離れることなく、少年の声と共に白銀のISが更にスラスターを焚いて、強力な推進力を得て現空域から遠ざかっていく。

 

「な、なんなんですの?」 

 

 セシリアが状況も分からぬまま、困惑しながら白銀のISが現れた地上を見下ろす。

 

「織斑先生…………それに篠ノ之さんも」

 

 映し出された映像には、箒によって抱えられた織斑千冬の姿。その姿は血に塗れ、ISの優れすぎる機能が千冬の生命反応が止まっていることを教えてくれる。

 視線を地上から外し、サイレント・ゼフィルスと共に白銀のISが鈴が戦っている空域に向かって行ったのは確認している。

 

「仇は取りますわ、織斑先生」

 

 白銀のISに誰が乗っているか分からなくとも、サイレント・ゼフィルスは二重の意味で許してはおけない敵になった。鈴の助けにも向かわなければならない。

 2機を追って、セシリアのブルー・ティアーズも飛ぶ。

 ISならば山一つを超えるのにも大して時間はかからないから、ISからみれば大して離れていない場所で戦っていた2機がいる空域にも直ぐに着いた。

 

「いたっ!」

 

 近くに鈴と異形のISの姿。それよりもセシリアが注目したのは残りの2機で、今正にサイレント・ゼフィルスのビットが白銀のISに攻撃を仕掛けているところだった。

 

「いけま……っ!?」

 

 せんわ、と続く言葉が放たれることはなかった。

 無防備に見えた白銀のISを助けようとしても自身のビットは既に無く、そもそもあったとしても白銀のISを全方位から狙うビームを止める手立てはセシリアにはない。だが、その必要もなかった。

 

「変形…………いえ、あれは……!?」

 

 一瞬で白銀のISの全身を覆っていた分厚い装甲が剥離して量子化し、そのあまりの量の量子にビームが歪んで白銀のISに当たらずに通り過ぎてしまう。

 シールドエネルギーの存在から余計な装甲が必要ないため、搭乗者の姿がほぼ丸見えな形状が主流の現状とは逆行するような重装甲だったが、脱皮という表現が正しいと思えるほど装甲が消えたにも関わらず、白銀のISにはまだ装甲があって搭乗者の肉体は見えない。まだ全身装甲のままだ。

 露わになった装甲に赤色の線が走って光り、血のように脈動して禍々しい気配と共に白銀のISがサイレント・ゼフィルスを見る。

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっ!!』

 

 またコア・ネットワークを介して少年の雄叫びが迸り、白銀のISが背中に右手を回して光る剣を握るとサイレント・ゼフィルスに襲い掛かった。

 

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