─────ザバン市 ツバシ町2-5-10 定食屋。
12才となった俺はハンター試験会場となる定食屋の前にいた。
”赤鼻”の弟子になってからおよそ5年。一通り”念”を覚え、最もハンター試験が受かる可能性が高い、287期の試験に臨む。
なぜ287期なのか。次の288期は鬼畜キルア無双で合格は彼一人。
そして原作を読んだ限り、289期からどうも試験傾向が変わる臭いというか、化け物の巣窟”暗黒大陸”でやっていける真の実力者または専門家だけ受かるという超絶難易度フラグが立っているからだ。
今後もそんな超絶難易度が続いたら、受かる可能性があるのはここ、287期のみなのだ。
「いらっしぇーい!!」
定食屋の暖簾をくぐると、奥で中華鍋を振る店主が声をかけて来た。
大きなリュックサックを背負い店に入ると注文を頼む。
「ステーキ定食。」
「焼き方は?」
ゆっくり右手の人差指を上げて
「弱火でじっくり。」
「あいよー」
「お客さん奥の部屋どうぞー」
この店の看板娘が店の奥へと案内をしてくれた。
通された部屋の中央には鉄板のはめ込まれたテーブル。そして椅子。
鉄板の上には大きなステーキがジュ~、ジュ~と音を奏でていた。
H×H読者ならばお気付きだろう。そう、ハンター試験の始まりである。
いや、もうね、ここまで来るのにめっちゃ苦労したよ!念の習得とか、恐竜との戦いとか、命の危険を感じたね!!むしろ感じすぎて、勝手に能力が組みあがっちゃったくらいだからね!でも何より苦労したのは、学力水準維持証明書の発行だよ!!まさかうちの村が田舎過ぎて、流星街一歩手前扱いだとは!!一応、戸籍とかはデータバンクにはあるんだけどさ、準貧民扱いで、首都に行くには戸籍謄本とDNAデータバンク登録、そして首都圏手前で受ける学力水準維持証明試験!!こいつに合格しなきゃ首都入れねぇとかアホかと!本もろくにねぇ、村出身者に歴史の問題出すなと!!あれ完全にハメる気だろうが!まぁ、受かったけどね!!ペン転がしでな!!・・・・・・マークシートで良かったぜ。
まぁそんなこんなで電車や飛行船を乗り継ぎ、途中ダミーのバスやタクシーに引っ掛かりながらも、何とかここザバン市まで来れた訳よ。
そして、ここまでの道中ではっきりした。うちの田舎マジ田舎。
最初の印象、近世!?だからね。
それが首都に出てみりゃ日本の90年代の街並みだわさ!たまごっちとか売ってそうな雰囲気だわさ。でも俺は当時UFOキャッチャーで取った、ぎゃおっちを育ててたなぁ~。
ってそんなこと考える暇あったら、ステーキ喰わないと!タダ飯がもったいない!
俺が肉に手をつけると同時に胃が浮くような感覚がする。
高速エレベーターとか乗ると良くこうなるよね。この感覚好きじゃないわぁ。
───チーン
B100のランプが着く。それと同時に開く扉。
そこには幅20m程のトンネルをすし詰め状態にしている厳つい男達の群れ!群れ!!群れ!!!
暑苦しいわ!!つーか、入り口前に屯ってんじゃねぇよ!
男の汗の匂いが半端ねぇええええええええ!
なんか木槌持った3mくらいの大男いるし!何食ったらそんなにでかくなんだよ123番!!
そしてこんなムサイ男達の群れで一際存在感を放つ七三分けのぽっちゃりボーイ187番!マラソンで脱落したエリート君だ!原作通りだよ!
ふぅ~~良かった。“道化”のバギーとか登場したから、試験会場にはワンピキャラがすし詰めに!!って、なってたりしたら、そのまま回れ右でしたよ。
試験会場も暗号も一緒だったから、大筋は原作沿いだとは思ったけどね。いつイレギュラーが起こるかマジ分かんねぇからなこの世界・・・。
「あのぉ~~。」
っと、小さいちんちくりんオッサン事、ハンター協会会長ネテロの秘書、ビーンズさんが声をかけてきた。原作通りのちんちくりんやなぁ。
「番号札をどうぞ」
ビーンズさんから番号札を受け取った。番号は311番。確か時間ギリギリに来たゴンは405番だったけか?原作一通り読んだとは言え、番号はうろ覚えだな。
てか、連載はよ!連載はよ!いや、俺はもう読めないんだけどね。
さてさて番号札を受け取ったって事はそろそろ新人潰しとか言われてるトンパ君のご登場ですね。新人潰しって言われる割りには、たいして潰してねぇんだけどね。まともに潰したのエリート君くらいかね。
まぁそんなこと考えてたら案の定来ましたよ笑顔のおっさんが。
「っよ、オレはトンぶらぁあ!!」
とりあえず顔面を右ストレート、トンパは崩れ落ちた。
攻30くらいのオーラで殴らせて頂きました。
ごめんねおっちゃん!試験中は眠ってて欲しいんだ!多数決のメンバー入りしたいからね!周りへの牽制の意味もあるけどね!
不安要素は取り除かせてもらうよ!
さて、いきなり新人潰しを潰したから周りが絶賛ザワついております。
ざわ ざわ ざわ ざわ ってどこの賭博漫画だよ。
めっちゃ注目されてるけど必要な事だからやむなし。
原作多数決メンバーに入って、キルアに俺の“発”を浴びせて、圧倒的な差を身にしみてもらわないといかんのだよ。
主に最終試験で標的が俺にならないようにね。
“念”習得してるから最終試験のキルア暴走も防げるとは思うが、相手は何といってもゾルディック家の天才様。全力でかかってこられたら念なしでも俺の“纏”を突き破りかねない・・・。
はっきり言おう。
俺は自分のオーラにクソの欠片も自信がない。
原作において、G.Iのクリアを諦め、定住を決めた雑魚キャラ、“モタリケ”クラスだと思っている。いや、下手したらモタリケ以下である。
さっきのトンパを殴ったのが良い例だ。攻30のオーラで殴っときながら、念なしの相手が“崩れ落ちる”程度なのだ。
これが原作組なら、頭がパーーンですよ。ホント転生者とは思えない低スペック。
───チーン
おっと、原作組のご登場だ。
金髪ショートカットの気の強そうな男の娘、クラピカ。黒ゴスロリ着せたい。
釣り竿持った逆立った黒髪が特徴の少年ゴン。額をM字にすれば、つぶらな瞳のべジータだな。
後、身長155cmくらいか?ちくしょう、負けた。俺ギリ150cmなんだよ・・・。
12才とはいえ伸びが悪いぜ・・・。
そして身長190cm越えのグラサンイケメン、レオリオ。そこはかとない一般人臭が落ち着くわぁ。なお、苗字はパラディナイトである。レオリオ=パラディナイトかっこよすぎるだろ!
3人とも緊張した面持ちできょろきょろとキョロ充してるけどさ、一年後にはぶっとんで強くなるからね。成長率が天元突破だろ。レオリオも勉強しないで修行一筋だったら余裕で他二人に食らいついただろうね。むしろ能力的な制限あるクラピカなら追い抜くんじゃね!?
ホントH×Hの世界は才能に溢れた奴が多いから困るぜ。
『ぎゃあぁ~~~~~っ!!!』
絶叫が鳴り響いた。
『アーーラ不思議♥腕が消えちゃった♠』
『おお、お、おレのぉぉぉ~~うでがあぁ』
両肘から先の腕を、失った男。
その男を見下ろす死神。
『気をつけようね♦人にぶつかったら謝らなくちゃ♠』
最強を理解している男、ヒソカである。
うん、やばい。アレはやばい。なまじ“念”が使えるから余計登場シーンが強烈すぎる。
何あのオーラ量。半端ねぇ。オーラが滾ってるんですけどー。腕消えたとか言ってるけど、カードで切り飛ばした腕を奴の能力、ゴムとガムの性質を持つオーラ、“伸縮自在の愛”でトンネルの屋根に張り付けてやがる。
ご丁寧に血が垂れないようオーラで包んでだ。
っと、情事を遠巻きに見ていると
──ニコリ♥
こちらに向けて笑みを見せた。
背中にドっと冷や汗が吹き出した。
───ブゥゥゥゥン
あれからおよそ10分後一次試験のマラソンが開始された。
───ブゥゥゥゥン
一次試験の内容は二次試験会場に辿り着く事。
───ブォンブォン
ちなみに手段は問われない。
───ブゥンブゥゥン
なので・・・・
「コラ!待てお前!!なんだそりゃ!!?」
グラサンイケメンことレオリオ氏に怒鳴られたでござる。
「なにってエンジン付きキックボード?」
一昔前流行ったよねコレ、重いけど折りたたんでリュックの中に突っ込んどいたんだ。
原作沿い通りマラソンだったおかげで大活躍だ。周りの殺気がもの凄いけどね・・・。
「そんな事言ってんじゃねぇ!スケボーはまだ許せる!だが明らかにそりゃ反則だろうが!!」
「レオリオ、違うよ試験官はついて来いって言っただけだもん」
「だああああ!さっきと同じセリフを言うなゴン!!スケボーやらキックボードやら、ムカつかねぇのか!!?」
「でも走れとは言われてないよ?」
「怒鳴るなレオリオ体力を消耗するぞ。なによりうるさい。」
「かああああ!俺の味方はいねぇのかよ!!」
レオリオ激おこぷんぷん丸である。自分でもこりゃねぇだろとは思う。原作主人公がこれやったら非難殺到だわな。でもやめません。
“念”は基本攻防が上がるだけ、“絶”を使えば回復力上がるけど、根本的に基礎体力ないのよ俺。低スペックなめんな!
そもそもH×Hの世界は”オーラ”なし、素の身体能力がものをいう。
”オーラ”は言わば素の身体能力を倍加する物。0に何を掛けても0のように、素の身体能力が低い者は程度が知れる。
逆に言えば、素の身体能力が高い者が”念”を覚えると化け物と化す、その系統によらずだ。
例えばキルア。彼は”念”での戦闘に必要な応用技抜きで、A級賞金首"幻影旅団"のパクノダの腕をぶち折り、マチに口から血を出させた。
だから素の身体能力は非常に重要なのだ!!
俺は早々に諦めたけどね。いくら鍛えても雀の涙。完全に能力便りの底辺の完成です。
頭脳タイプを目指しているからそれで良いのだよ!悔しくなんてないんだからね!
そんな俺を激しく睨むレオリオ氏、順調にヘイトを集めてます。だが、横にもう一人メインタンクがいます。
ガーーーッっとスケボーを滑らせてるキルア君。原作だとすぐにスケボー降りて走るんだけど、俺と張り合ってるのか、はたまたレオリオをおちょくるためか、スケボーから降りません。
「ねぇ、ソレとコレ交換しねぇ?」
唐突にそんな事を言い出したキルア。何か猫耳とふりふりするしっぽが見える。
あぁそうか、こいつコレが気になってたのね。
「だが、断る。」
「えぇぇ~、何でだよ。ちょっとくらいイイじゃん」
それは俺に試験に落ちろと!?やめてよね!!これは生命線なの!ライフラインなの!
ケチケチ言われるが無視無視。殺してでも奪い取るとか言われないか内心ドキドキなのは秘密だ!
「ねぇ 君、年いくつ?」
あれ?そのセリフはゴンに向けるべき言葉じゃね?
「12歳。」
「フーーン」
人に聞いといてフーンは、無いと思うよキルア君!
「オレももうすぐ12だよ!」
「・・・・・・」
やっぱフーンでも良いからゴン君の言葉に反応してあげてキルア君!
「オレキルア。お前は?」
「俺はナガト。」
あっれ~?
「オレはゴン!」
「・・・・・・」
あっれ~~~?
「なぁ、もっと前いかねぇ?」
「いいけど。」
「オレも行く!」
「・・・・・・」
あっれ~~~~~~~?おかしいぞぉ?
何かさっきから、キルア君の言葉の投げかけが俺に飛んで来てるんですけどぉ~。
そしてゴン君が横から口を挟む形になってるんですけどぉ~。
おかしくない?ねぇコレおかしくない?
ゴン君を明らかに無視してませんか?キルア君?
やめたげてよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
なんか心が痛いよ!!
一体どうしたのよキルア君!?君達の友情はどこいったの!?
なんでそんな冷めた目でゴン君を見るの!?やめたげてよおおおおおおおおおお!!
それからも色々話しかけるゴン君。反応薄いキルア君!それを間近で見る俺。
心が痛いぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!
って、やべぇ。階段が見えてきやがった。こっから地獄の階段マラソンか。
だが!我に秘策あり!何と今回のために靴に強力なバネを仕込んでいるのだ!これで膝と腰の負担が激減することは確定的に明らかなのだ!ただし、普通に歩きづらいので階段抜けたら靴履き替えます。
っということでGO!!
ッダンと、キックボードをキルアに向けて跳ね上げ俺は綺麗に着地。あわててキックボードを受け止めるキルア君。っふ、今の俺マジかっけぇ。
やりたがってたキルア君に向けて跳ね上げるという心配り。まぁ、もういらないから押しつけたんだけどね。重いし。
「なぁ、コレくれんの?」
貸してくれんの?じゃなくてくれんの?って聞く辺りが強かだよキルア君。
いや、いいんだけどね?
「サンキュー♪」
っとキックボードとスケボーを両手で掲げて平然と階段マラソンするキルア君。
中々に不格好です。
「オレにも!オレにも!オレにも貸して!」
元気いっぱいゴン君。うんうん、二人で仲良く遊びなさい。
「え?オレがもらったんだけど。」
ちょ・・・おま・・・ソレ言っちゃう?ソレ言っちゃうの?後で一緒にやろうぜ的な発言ないの?ホラ見てよ!ゴン君めっちゃ沈んでるよ!なんなのさっきから!Sなの!?キルアS型なの!!?後期量産型なの!!?
「ト、トンネル抜けたら二人で仲良く遊べばいいよ。」
フォロー、圧倒的フォロー。
「えぇぇぇ~」
おま・・・・それ言ったら戦争だろうがよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
蘇る前世、周ってこないコントローラー、班写真のはじっこ、授業中飛ばされて受け渡しされる手紙、鳴らない携帯電話、あれ?いたの?、は~い友達と組んで~、
やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
「みんなで遊ぼう!!そうしよう!!それでいいよなゴン!キルアアアア!!!」
嬉しそうにするゴン。
俺の気迫に負けたのかコクコク頷くキルア。
俺は絶対ゴンを仲間外れにはしないぞおおおおおおおお!!