それにしてもデモンズソウルの小説を書いていた時の影響からか『行動』という言葉を変換すると高確率で『坑道』と変換されてしまいます。直すのが面倒なんですよね。
朝は爽やかでなければならないと思うのですよ。
一日の活力を体に充填し、仕事なり学校なりに向かうためには学生も社会人も毎日しっかりとした睡眠を取り、きちんと朝食を食べる必要があるのです。
なので今日もぐっすり寝てしっかり朝食を食べていたために遅刻をしてしまったといういつも通りの私の一日が始まるのでした。
「今日も遅刻とはいい度胸だなぁ? うん? シャルラ&ノレッジ」
「何をおかしなことを言ってるんですかハリー先生。
私たちがいつ遅刻をしたというのですか?」
実際には今日も相も変わらず遅刻してしまったのですけどね。
昨日はノレッジちゃんとダイヤージ君と一緒に放課後にパフェを食べに行った帰り、唄姫のコンサートチケットを売っていたダフ屋に難癖付けてタダ同然で手に入れて聞けたので帰りが夜中を過ぎていたので朝はゆっくりでした。
寮長のクラーマさんは私の笑顔を見せたら深夜徘徊もあっさり許してくれましたし。
で、世間一般では今日のこれも遅刻というのでしょうが……
ハリー先生をいかに誤魔化すかが面白くなってきたので今日の私は口先だけで上手く丸めこもうと思っているところです。
ただ誤魔化すだけなら涙目と上目遣いのコンボを使って受付からこちらの様子を楽しそうに眺めているクラーマさんを味方につければ簡単ですがそれでは面白くない。
こういった局面を上手く乗り越えてこそ人は成長すると思うのですよ。
マンネリはいけません。
「はぁ、マンネリがどうのと言うくらいならそもそも遅刻しなければいいんじゃないのかなぁ?↑」
「いえいえ、私は思うのですよ。
時間というのは時計が決めるわけではなく、連綿なる人の営みにおける便宜的数値に過ぎないと」
「だとしてもその世間一般の営みである学院に遅刻をするというのはいかんのじゃないのかなぁ?↑」
ここまでは予想の範疇。ここから上手く言い返せれるかどうかが私の実力に結びついてくるでしょう。
「私は人間とモンスターのハーフなので厳密には人間とは違います。
すなわち私の時間を決めれるのは私のみ!
私は時間という概念に縛られるようなちゃちな生き方はしていないつもりですので」
「……では同室のノレッジはどうなるのだ?
仮にお前が時間に縛られておらず遅刻もしていないとしてもお前と同時にやってきた人間のノレッジは遅刻で間違いないはずだろう」
むっ、そう返してきますか。やはり一筋縄ではいきませんね。
しかし!
騒がしいのが好きで、やかましいのも好きで、うるさいのも大好きな私。
立てば嘘つき座れば詐欺師歩く姿は機動戦士アンバサ主義(なんでしょう? 電波を受信しました)を地で行くこの私。
これから先の人生で私の大きな夢を実現させるためにはハリー先生くらい自分の口先のみで説得する事が出来ないでどうしますか!
「異議あり! ノレッジちゃんは魂だけを幽体離脱をしてすでに私よりも早く登校しているので問題ないはずです!」
そう、ノレッジちゃんが今回の話でまだ一回も会話に加わっていないのは魂だけになって先に教室に向かっていたからなのです。
彼女の魂の抜けた体は今私が背負っていたりします。
ハリー先生もこの返しには度肝を抜かれたようですね。
傍から見ればまだ眠りについているノレッジちゃんを背負っている私、という風にしか見えないでしょうし。
触ってみればノレッジちゃんの体が冷たくなって硬直を始めているのがわかるはずですよ。
「し、しかし体が登校していないのであればそれは登校したことにならないと思うのだが……↓」
「この学院の校則には『魂だけでの登校は遅刻になる』だなんて書かれていません。
文句があるのなら学院長にでも言ってくださいね♪」
「う……む……」
学院長とやらもどうせロン派の息のかかった人でしょうから一応ジョン派であるハリー先生はお父さんの娘である私の不利になる発言を上に言えるわけありませんよね。
敵を利用してこそ私の私らしさの証明になるのです。
それにしてもさすがはハリー先生。私をここまで手こずらせるなんてやりますね。
ですが今回のことで私は人としてもモンスターとしても大きく成長できたはずです。
それでは上手い返しが出来ずに頭を抱えているハリー先生を放置して教室に向かいますか。
「シャルラちゃんシャルラちゃん」
「ん? なんですかクラーマさん」
教室に向かおうとしたところで学院の受付にて先ほどから私たちのやり取りを眺めていたクラーマさんが呼びとめました。
「グッジョブ!」
「イエーイ♪」
さすがはクラーマさん。この学院の私の味方で最も心強い人ですね。
今度添い寝でもしてあげましょう♪
教室に入るとハリー先生がいないからか、まだ席につかずに騒がしくしているクラスメイトも大勢いますがとりあえず私は自分の席に着き、となりの席で魂だけで出席しているノレッジちゃんに肉体を渡してあげました。
「(ちゅぽん)ぷっはぁ~、幽体離脱ってのも初めてやってみたけど意外とやればできるもんね。
知識としては霊体の時は一晩で山を七つ走り抜けられるって聞いてたけど本当に肉体的疲労が一切ないもんだからミナガルデの街まで寄り道しながら登校しちゃったわよ」
割と非現実的なことを経験しておきながらえらくあっさりとした感想ですね。
あと最初の擬音は肉体に魂が戻った時のものです。
「とりあえず私は口先のみで上手くハリー先生を越えることができました。
それにしても先生固まっちゃってましたけど一時間目の授業に間に合うのですかね?」
「大丈夫なんじゃない?
ハリー先生って良くも悪くも単純だから次こそシャルラちゃんを言い包めようと努力すると思うし」
「確かに負けず嫌いっぽいところもありますからね。
教師としては遅刻をしないように説得するのが正しいあり方なんでしょうけどね。」
そう言って今度は私の右隣の席にて眠そうにしているダイヤージ君に視線を向けてみる。
「そういやシャルラよぉ~、今日は学院の食堂が使えねぇみてーだけど弁当は持ってきてんのか?」
「え、お弁当がいるなんて先生言ってましたっけ?」
「昨日のホームルームの時に言ってたから遅刻したお前らは聞いてなかったんだな。
俺も言い忘れてたわ。てゆーか俺も弁当忘れたし」
む、遅刻して聞き逃した私達が悪いにしろ、昨日の時点で一言言ってくれればよかったのにダイヤージ君もうっかり屋さんですね。
「それでしたら僕のお弁当を分けてあげますよ。
大丈夫、こんなこともあろうかと思ってお弁当を皆さんの分多めに持ってきていたのです」
朝っぱらから目を輝かせたフィズ君が突然私とノレッジちゃんの間に無理矢理割って入ってきました。
彼はこういう鬱陶しいところが女子から今一つという評価を受ける要因だと気づいているのですかね?
「……なんだか怪しいですね」
「そうね。私たちが昨日食堂が使えないことを聞き逃していたのを見越して沢山用意してくるだなんて。
……ねぇフィズ。そのお弁当だけど、今、少し、食べてみてくれない?」
「……な、何を言っているのですか?」
ん? もしかしてノレッジちゃんはフィズ君の真意が分かったのかな?
「いやね、アンタを疑ってるんだけど別に毒が入っているとか思っている訳ではないのよ。
ただアンタのことだからお弁当に媚薬でも仕込んでいそうだな、っと思ってね」
なるほど、確かに単純なフィズ君が考えつきそうな手ですね。
脂汗をタラタラ流しているところから見て図星のようですね。
「おいフィズ、そりゃいけねぇぜ。
男だったら自分の魅力で女を虜にしてこそ最高にグレートってもんだろうが」
「ダ、ダイヤージまで何を言っているんだい。
ぼ、僕はそんな卑怯なことはしないよ」
そんなしどろもどろで言われても説得力ありませんよ。
まぁ、面白そうだしもっとからかってもいいんですけど残念ながら時間が来てしまいました。
復活したハリー先生が戻ってきたのです。
「よぉぉぉーっし! 全員いるかぁぁ~?↑
ホームルームの時間はなくなってしまったのでこのまま授業を始めるぞ!」
ん? 出席は取らないんですかね?
……ということは遅刻をしてもホームルームをハリー先生に始めさせなければ出席したことになるのでしょうか?
となりの席のノレッジちゃんと視線が交差します。
「……シャルラちゃん、あなた私と同じことを考えているみたいね」
「そういうノレッジちゃんこそ私と同じことを考えているみたいですね」
よし! 次からは遅刻をしてからハリー先生を口で丸めこむのではなくホームルームを開かせずに出席取らせないようにする方向で努力をしてみましょう。
それでは今日も立派な学者を目指して授業を真面目に頑張るとしましょうか♪
こうして今日も愉快に私の一日が始まるのでした。
もう何でもアリな話になってきたなぁ~w
シャルラも口が上手くなっていきますしあの手この手でこれから迫りくる危機を潜り抜けていく準備は完璧ですね。
そろそろストーリー本編を勧めるのでギャグは少なくなりそうです。