キーンコーンカーンコーン
王立学術院は、本来は学者か、高ランクのハンターしか入ることの出来ない場所なのだが、例外的存在もいる。
学者を志す者――つまり学者の卵たちの学校生徒たちだ。
ここを卒業した生徒は大半が学者やハンター、またはそれに関係した職に就く者ばかりだ。
そのため安定した生活を求めて、もしくは富ではなく名声を求めたり知識欲を満たすことを第一に考えたような優秀な人々が集まるわけなので、入学するのにもずば抜けた知識か多額の寄付金やコネが必要となってくる。
そしてこの物語の主人公シャルラは、この王立学術院の創設当時から深く関わりのある王立古生物書士隊の初代隊長ジョン・アーサーの娘というどんな道理でさえも押しのける無茶を出来る人脈を生まれながらにして持っているわけだった。
「ではここで新入生の紹介だぁー!
ちょっとした家庭の事情で入学式から少し遅れて入学することになったシャルラちゃんだ。
みんな、よろしく頼むぞぉぉぉぉ~!」
『うおぉぉぉーっす!』
妙にテンションの高い教室でここの教師もしているハリーの紹介によりシャルラの学者への道が始まるのだった。
さすがは一流の学者を目指す者たちの集う場所だけに、生徒の数も半端なく。
空いている席を探して教室の奥へ奥へと進んでいくシャルラ。
「おぉーい、新入生ちゃん。
席ならこっちに来なさいよ」
声をかけてくれたのはシャルラと同じくらいの年の少女。
癖のある茶色の髪を三つ編みにまとめた、そばかすの可愛らしい子だった。
「ハリー先生をあんなに物凄いテンション上げ上げ状態にした君とは是非とも話がしたかったのよ」
「えっと、はじめまして。シャルラ・アーサーと言います」
これまで母がモンスターであるためにあまり人里に訪れた経験の少ないシャルラだったが目の前のクラスメイトが何の打算も感じさせない純粋な笑顔を向けてきたことで自然と自分も笑顔になるのを楽しく感じていた。
「うん♪ 私はノレッジ・フォール。
未来の天才学者になる予定だからよろしくね♪」
「うん。こちらこそよろしくお願いします♪」
最初は人間観察をしていたのだが、思った以上にノレッジが親しみやすかったものだからシャルラは入学した初日から担任であるハリーの授業を無視した。
そしてさも当然のように、席が隣同士のノレッジと雑談をしてしまい、教壇に立つハリーからチョークミサイルを飛ばされたりもしたそうな。
ノレッジの方は額に命中したものの、シャルラはそれを難なく避けて逆にハリーを驚かせたほどであった。
流石はクシャルダオラの母親と元・書士隊隊長の子どもだけあって無駄に洗練された無駄のない無駄な動きは伊達ではないようだ。
キーンコーンカーンコーン
「むっ、よぉぉーし! 今日の授業はこれにて終了だぁぁ!↑」
授業の方は雑談で怒られてからは筆談をしていたのでシャルラは初日から授業をまるで聞いていなかったりする。
が、父であるジョン・アーサーも若い頃は友人と遊び、酒と女が側にいるような生活をしながら学年トップの成績を収めていたといのでその辺も遺伝なのかもしれない。
授業が終わったあと後ろの方の席に座っていたシャルラに近寄って来たハリーは呆れたように言ってきた。
「まったく。君もお父さんの悪い部分までになくともよいと言うのに」
「……でもハリーさん。
私が怒られるだけで済むなら別に何をしてもいいじゃないですか。
今日はこのドンドルマの街で初めてのお友達が出来たんですから大目に見てくださいよ♪」
そう言って隣のノレッジに腕を絡ませるシャルラ。見た目が同年代よりも少しばかり幼く見えるシャルラの笑顔を見てはハリーもあまり強く言うことも出来ない。
そしてそれは計算された笑顔なのだが、シャルラの心を見抜けるようならハリーはもっと出生しているだろう。
「ちーっす、ハリー先生。
今日からシャルラちゃんのお友達のノレッジ・フォールでーっす。
よろしくお願いしますね♪」
「いや、ノレッジは前から吾輩を知っているだろう……」
ノレッジはノレッジで、絡まれたシャルラの腕に自分も絡め返してべたべたとくっつく。
どうにも魂のレベルで共感出来るものがあったようだ。
「……まぁ、吾輩の授業の時はテストや実技の成績さえよければぁ~↑ 授業態度や出席日数などあまり問題とはしないのだが書士隊長のロンの授業だけは隙を作らんほうがいいぞぉ~う。
あいつは君の父ジョンのことを疎んでいたからなぁ↑」
「えーと、シャルラちゃん。
私もまだ会ったこと無いけど、ロン先生ってのは陰険で先代の王立古生物書士隊隊長のジョン・アーサー氏とは対照的に、狩り場に自ら赴くことはせず、他の書士官が集めた情報をまとめるだけの人だね。
国内で最も深い知識を持つとか言われてるけど」
ノレッジが補足してくれたが、それ以前にシャルラは書士隊長のロン――ギュスターブ・ロンという男をよく知っていた。
しかしこのロン教諭。本来は書士隊の隊長ということもあり、教壇に立つことはまずないのだが間違いなくシャルラと出会うことになるだろう。
まぁ、王立古生物書士隊隊長ギュスターブ・ロンとの騒動が起こる事は目に見えているので、ここではこれ以上の詳しい説明を省こう。
「とりあえず今日はぁぁ~!
吾輩が選び抜いた最高の借家に案内しよぉぉ~う!
なぁに遠慮することはないシャルラ。
君の父ジョンへの恩返しとでも思って受け取ってくれぇぇぇ~い↑」
「あ、そのことなんですがハリー先生。
彼女シャルラちゃんですが、住むところが決まってないなら学生寮の私の部屋に泊めてもいいですか? 二人部屋なのに一人きりだったからさみしかったんですよ~」
「な、なぁにぃ!?
し、しかしそれはシャルラの意見を聞いてみる必要がぁ~、あるんじゃないのかなぁぁぁー?」
「……私も、出来ればノレッジさんと一緒の部屋になりたいです」
実はハリーの考えとしては友人のジョン・アーサーへの恩返し以外にも、シャルラ個人が可愛いから遊びに行く口実が作り易い個人の借家に住んでほしかったという理由があったのだ。
が、さすがに大した理由もなく女子寮に男性教諭が毎度のように遊びに行くことは出来まい。
「むぅ……シャルラがそういうならば仕方がない。
手続きなどは吾輩が全て済ませておくことにしよう」
とまぁ、こう言うしかなかった。
ノレッジがハリーの思惑を読んでいたのかは定かではないが、これからのシャルラの日常は賑やかなものになりそうである。
「それじゃシャルラちゃん。王立学術院にようこそ♪」
都会のドンドルマの街に来て早くも人に恵まれたシャルラ。
良い人との出会いに恵まれるというのも一つの才能なのだろう。
原作キャラのノレッジ・フォールですが、名前しか出てないので彼女の外見は私の想像なんですよね。
たぶん、茶髪の三つ編みで、そばかすのあるスレンダーな少女なのだと思います。
妙に軽いですが彼女の性格なんかが結構気に入ったのでシャルラのお友達として出しちゃいました♪
この先彼女は割と有能な学者になるのでしょうかね。
外見デザインのない原作キャラは私の想像で描写します。
あと最初のうちだけ毎日更新を予定していますがしばらくしたら少し更新をゆっくりにします。二日か三日に一度の投稿予定です。