フィズside
くっくっく。
はーっはっはっはっはっはっは!
ついに! ついに「フィズside」の話がスタートだ!
シャルラさんやノレッジさんはともかく、ダイヤージにまで邪魔されていた僕の不幸はこれで終わり!
今回こそ僕の僕らしさと言うものをお見せしようじゃないですか!!!
……
…………
………………
ダイヤージside
「え? もう僕のターンは終わり?」
「何言ってんだフィズ?」
もしかしてこいつ自分が語り部を出来ると本気で思ってやがったのか?
ずいぶんとおめでたい頭してるじゃねぇか。
どうせ女子が風呂に入っている間に覗きにいく話で終わらせるつもりだったんだろうけどそうはいかせねえ!
なぜならそれはカッコ悪いからだッ!
「チッ! ならばダイヤージを巻き込んで二人して覗きにいく方法に変えようじゃないか!
語り部がダイヤージなら僕一人で覗きに言っても場面から消えるわけだからセリフすら無くなってしまうからね」
「やってみな。ただしそう簡単に俺を言いくるめられると思うなよ」
俺は紳士だ! 女子の覗きをするのは最大級にやってはいけないこと!
それが俺のルゥゥゥ~ッル!
「それじゃあ言わせてもらうけど、『お前、紳士っぽい奴だよなw』」
「あん!? てめぇ今なんつった!?
俺が紳士を目指してるの知ってて語尾に『w』なんてつけやがったのか! あぁ~ん!?
しかも! 一番許せねぇのは、そのセリフの元ネタの語尾は『(笑)』だってのにそれを無視したことだ!!!
許せねえ、何でそこまで人の心を傷付けられるってんだ!?」
「まぁ、落ち着いてよダイヤージ。
僕は思うのさ。
本当の紳士ってのはね、覗きはしても決して手は出さない漢のことなんだとッ!」
……いや、手ぇ出したら紳士どころか漢とすら言えねぇじゃねーのか?
「それに男が女性の裸に興味があるのはそれが男だから!
なのに女性の裸に興味のないダイヤージには紳士どころか男を名乗ることすら出来ない!」
「別に興味がないわけじゃねぇよ。
ただまぁ……、確かにそういう考えもあるのかもしれねぇな。
けどよぉ、あいつらに見つかって無事に済むわけねーだろ!?」
そう、一番の問題はそこなのだ。
見つかったら命の危機ということなのだ!
ん? よく考えたら俺が覗きをしないのは覗きを見つかって『ボコられる』のがカッコ悪ィと思ってるってだけか?
「そんな訳で俺は行かねぇぞ。
行くなら一人で行け」
「だから最初に戻るわけだけど君が語り部なんだから君も行かなきゃ僕はこの話で出番がなくなっちゃうんだよ!
もしかして……、怖い?」
「てめぇ、この俺に向かって『怖い?』だとぉ!?」
「あぁそうさ。
ダイヤージはリスクを恐れてメリットの大きさを見失っているただの臆病者さ。
シャルラさんとノレッジさん。それに他の班の女子まで今はお風呂に入っているっていうのに見つかってフルボッコにされるリスクと比べて女子の裸を覗けるというメリットがどれほど大きいかも分からないだなんて男としてすでに枯れていると言っていいね」
「くっ、何だか段々とフィズの言うことの方が正しいように思えてきたぜ」
「そうだろうそうだろう。
じゃあ僕は行くから君も一緒に行こうじゃないか。
彼女たちを思うとこの胸が騒ぎ、彼女たちを思うと体温が上がる。
ビバ女体の神秘!!!
この思いは止められないんだ!
この気持ちを伝えなくちゃいけないんだ!
すなわち!! 覗くのが漢として正しい行い!!!」
「おぉ! そうだぜフィズ。俺が悪かった!
確かにお前の言うとおり裸の女子が風呂に入っているんなら何をおいても覗きに行くのこそ男らしい行いだよな!
俺が間違ってたぜ!」
俺としたことが今まで何をしていたのだろう。
よく考えてみればこれほど男らしい行動などそうそうあるはずもないってのによぉ。
これはこれで俺の夢であった『紳士道』への目覚めと考えることも出来るじゃねぇか!
「では♪」
「レッツゴーだぜ♪」
……
…………
………………
「おいフィズ、一応聞いておくがこの服、本当に効果あるのか?」
「大丈夫だよダイヤージ。
僕は発明の腕にはかなり自信を持っているからね」
今俺達二人はフィズが発明したという『透明になれる服』という、いかにも覗き専用装備でございってな服を着て宿の風呂場を目指しているところだ。
「どうやらまだ女子グループは入浴中のようだな」
「そうだね。でも僕の発明は完璧だから決してばれるはずがないから安心してよダイヤージ。
この先には僕らの夢である漢のロマンがいっぱいあるんだ♪」
いつも以上に興奮してきたフィズ。
だがそれは俺も同じだわな。なんつっても一流の紳士を目指していた俺は『紳士』の上位職である『変態紳士』の称号を手に入れたし怖いものなし!
もう最強っての?
最早俺を止められる奴ぁいねーぜ!
で、そんなノリで早速風呂場に侵入。
湯気で影しか分からないが壁際をこっそり移動する俺らに気づく女子は一人もいないようだ。
と、思っていたら……
「ぶふぉっ! ちょっ、ダイヤージダイヤージっ!!!」
「あぁ、こいつはすげぇぜ……」
風呂場に侵入してすぐに分かったことがある。
それはなぜかクラスの他の班の女子達がみんな、全裸で倒れているのだ。
しかも幸せそうにトロンとした目をしながら。
だが意識のない相手に何かしちまうのはまじぃよな。
かといって俺らが助け起こすわけにもいかねーし……
「これは温泉でのぼせたとかじゃねぇよな?」
「火山ガスみたいなのが出ている風でもないしね。
このまま倒れた女の子たちの裸を見ていたい気持ちはあるけど倒れている原因を探す必要があるよ。
もしや学院の生徒を狙った暗殺者が来ているのかも」
「そりゃねーだろ。
こないだシャルラがギルドナイトに命狙われてたっつってたけどギルドナイトはすでに壊滅的でしばらくはまともな活動は出来ねぇだろーし、倒れているこいつらも幸せそうな顔してんじゃねぇか」
完全にオチた状態だがこれは人為的な何かがあったのは間違いないはずだ。
俺らも慎重に調べる必要がある。
「ダイヤージ、何か聞こえないか?」
「……どうやら奥に誰かいるみたいだな。行ってみるぞ」
温泉の奥、たくさんの温泉が無造作に掘り起こされたようなこの場所のさらに奥から声は聞こえてくる。
草木を揺らさず音も立てずにゆっくりと近づいていく。
「はっ、はっ、はぁ~んクラーマしゃ~ん……。
も、もう入りましぇんってばぁ~」
「ほぉ~ら、シャルラちゃ~ん♪
こ・こ・が、気持ちいいんでしょ?」
「クラーマさんそろそろ代わってください。
さっきから一人で楽しんじゃってずるいですよ」
意外ッ! ……でもないがそこにいたのはシャルラ、ノレッジ、それになぜかクラーマさんだった。
「ちょいダイヤージ! あれ見てよ。
指どころか手首までずっぽり入っちゃってるよ!!」
「あぁ、シャルラが古龍と人間のハーフっつーのは聞いてたけど、その身体の丈夫さをこういう形で見ることになるとは思わなかったな」
そういやクラーマさんって、確か女子寮寮長兼学院受付の事務員なのに修学旅行に付いてきてたのはこのためだったのか?
「ここかぁ~? ここがええのんかぁ~? シャルラちゃ~ん♪
ノレッジちゃんもよく見て覚えておきなさい。
女の子を食べちゃうと心の中で思ったなら、すでに行動は終わっているのよ」
そう言ったクラーマさんが手をくりっと動かしたと思ったらシャルラが泡を吹いて気絶しちまったようだ。
温泉の湯気であまりよく見えないがこれってまずくないか?
「クラーマさんやり過ぎよ。
シャルラちゃんの体力も無限ってわけじゃないんだから」
「そんな時は私の唾液で即解決! 吸血鬼の唾液が傷の治癒に役立つように私に舐められた子はたちまち元気になるわ♪
大丈夫、私はエロのための能力なら極めているから!
こういう特殊能力もけっこうあるから!」
エロ関係の特殊能力持ちって、この世界でそんなのアリかよ!?
普通こういうチートっぽい物語では『特殊能力』つったらバトル向けに特化してるだろうに、エロ特化の能力ばかり出るだなんて作者の趣味の表れとも言えるな。
これは男として……、全力で見守る!
「それでこそダイヤージさ♪
僕の心の友だね」
「だがシャルラとノレッジはすでに『体の友』になってたんだな。
やっぱこれも修学旅行特有の妙なテンションってやつなのかねぇ」
女子三人組の行動を静観する俺達。
この後の展開が予想出来ていれば、正直この時点でやめときゃよかったと思う。
でも仕方がないだろ? フィズに誘われて覗きに来たわけだが『変態紳士』という紳士の上位職にジョブチェンジしちまったんだからよ。
「それじゃあ私も上がったテンションで二人を潰してもいいですよね?」
少しして目を覚ましたシャルラが発したセリフ。
俺はこのセリフはノレッジやクラーマさんに今度は自分から攻めるという意味だと思って、一層の興奮を覚えたんだがそうではんかった。
シャルラの言う『二人』が誰を指しているのか。
この時のシャルラの笑顔を、俺は死ぬまで忘れない自信がある。
その視線は完全に姿を消しているはずの俺らの隠れる草むらを捉えていたからだ。
すっげぇ怖えぇ……
シャルラside
気がついたらノレッジちゃんとクラーマさんと温泉で裸の付き合いをしていました。
それはまぁ良しとしましょう。気持ちいいですし。
ですがこの場を覗いている不埒な輩がいるというのは見過ごせません。
「まったくシャルラちゃんは実にけしからん。けしからん乳はあたしが揉みしだいてあげなくちゃダメよね。
さぁ、いざ大人の階段登りましょう♪」
「クラーマさん、ノレッジちゃん。一旦ストップです。
排除する必要がある私たちにとってのお邪魔虫がいます」
手の中に風を集め、空気を圧縮し手の上に留めた形でプラズマを生みだして何も『視えない』場所に投擲する。
「「ぐあぁぁっ!」」
「誰!?」
「ダイヤージとフィズ?」
やはりそうでしたか。
フィズ君はともかくダイヤージ君もですか。
どうやら本物の紳士ではなく紳士の亜種である『変態紳士』にジョブチェンジしたのですね。
「ダイヤージ君。それにフィズ君も。
そんなに私たちの裸が見たかったんですか?
でもそんな邪な目玉なら潰れてもいいですよね?
眼球内の水分が蒸発するのってかなり痛むみたいだけど体験してみます?」
再び手の中にプラズマ球を作って問いただします。
「あれ? シャルラちゃんって雷も操れたの?
確か風だけなんじゃ……」
「風の流れを操作して手の中にプラズマを生みだしたんです。アリーナの元チャンピオンのミギンマルさんが雷使いでありながら風もある程度使えたのと同じ理屈ですね。
匂いと心臓の鼓動から向こうの草むらに誰かがいるのは分かりましたが、姿が見えないのでオオナズチの素材で迷彩服でも作って着込んでいるんじゃないかな? と思ったのですよ」
「ノレッジちゃんも知っといた方がいいわよ。
あたしもシャルラちゃんから聞いたんだけど霞龍オオナズチは皮膚に自身の生体電気だかなんだかを流すことで透明になっているみたいよ」
ええ、お母さんがクシャルダオラという古龍なのでオオナズチの知り合いにも幼い頃に会ったことあります。
どうやらフィズ君たちが来ていた服は外部に電気袋を取り付けることで常時迷彩状態にしていたようです。
私の投げたプラズマ球による電撃で、服に取り付けられた電気袋以上の電気が流れたことで迷彩機能を破壊させてもらったのです。
ちなみにコレ、原作設定ですよ。
「あー、なんつーかよー、男なら仕方がないとでも思ってくれよ……」
「そうです。これにて僕らは退散するのであとは三人でお楽しみください……」
ふふふ♪ まさかこの状況でまだ自分が助かろうと努力が出来るなんてさすがと言いますか、馬鹿と言いますか。
さぁこの邪魔者を、私たちの愛の営みを覗きに来た哀れな二人に最大級の怒りを込めた苦痛をプレゼントしましょう。
うふふふふふふふふふふふふふふふふ♪
話に関係ありませんが、『星のカービィ スーパーデラックス』では『プラズマ』ばかり使ってました。
十字ボタンを左右に連打して溜めに溜めた一撃を叩き込むのが最高でした♪ 小学生時代、スーファミで一番遊んだゲームかもしれませんね。よくセーブデータが消えてましたがw
……さて、これまで一応真面目キャラで通してきたダイヤージですが今回から『変態紳士』という紳士の上位職(?)にジョブチェンジです。
やっぱ百合の話で男子を出すにはギャグ要員としてしか必要ないんですよねw