もしくは影分身の術か、一生働かなくても済む大金か。
……現実的なのは読む速度の向上ですかね。
校舎裏で謎の呼び出しを受け、襲ってきた少女を眠らせたまでは良かったのですが放っておくわけにもいかないので保健室まで運んできましたってところで今回の話を始めようと思います。
「すいませ~ん、エナ先生いますかー?」
保健室。
そこは色々な理由で学院の生徒たちが休む場所。
常に健康状態を最良に保つために状態異常無効化のお守りを身につけているので私自身は本来(・・)の用途で利用することはなかったのですが、たまに興奮状態になったノレッジちゃんやクラーマさんと学院で高ぶりを収めるのに利用する場所でもあります。
休むではなく、疲れる場所ではありますね。
ちなみに保健室の隣はシャワー室になっていたりします。
なので、ここの保健医、エナ先生とも顔見知りだったりします。
「あらあら久し振りじゃないシャルラちゃん。
具体的には一週間ぶりくらいかしら。
今日の相手はクラーマ? それともノレッジちゃん?
……ってあら~♪ 新しい子を連れてくるだなんてあなたも立派な百合っ子になっちゃったのね~♪
お姉さんびっくりだ!」
この妙に明るい人こそがこの保健室の主であるエナ・スクラ先生。
現在27歳のお色気ムンムンの美人保健医です。
クラーマさんと違うのは女の子だけでなく美少年(15歳まで)ならイケるという普通のバイってところくらいですかね。クラスの男子も何人か怪我も病気もないのに通い詰めているみたいですし。
私も何度かこの人とベッドを共にした仲ですし、けっこう仲良しだったりします。
「この子は私の百合相手とは違いますよエナ先生。
さっき校舎裏に私を呼びだして不意打ちを仕掛けてきた子です。
放っておくことも出来なかったのでここまで連れて来たんですけどこの子、学院の生徒じゃありませんよね?」
「……んー、うん。こんなに可愛い子なら覚えていないはずないもの。知らないわね。
私は毎年新入生の可愛い子の顔と名前は丸暗記してるから断言するけど、うちの生徒じゃないわ。
となると、不法侵入ってことになるし尋問って形で私が手とり足とり色々と取り調べちゃってもいいのかな~♪」
たちまち桃色オーラを立ち上らせるエナ先生。
この人もこの人でヤバい人なんですよ。
「ん……」
「あ、気がついたみたいですよ」
「本当ね。あらあら~♪
寝顔も可愛かったけど目を開けると、もっと可愛らしいのね。
惚れちゃいそうだわ」
「いやいや、保健の先生としてそれは駄目ですよ」
保健の先生に限らず駄目だとは思いますが。
「ここは……。そうだッ! シャルラ・アーサー!!!」
「へっ? やっぱり私に何か用があるんですか?」
「用なんてもんじゃないわよ!
これはもう恨みよ! 死になさい!!!」
目が覚めたと思ったら瞬時に懐に仕舞ってあったナイフを抜き放ち斬りかかってくる。
ナイフ使いとしての才能はなかなかのもの。
それに目に迷いがないのも素晴らしいですね。
私よりも幼いようですが、それなりに修羅場を潜り抜けてきたんでしょう。
「でも殺されてあげるわけにはいかないんですけどね」
どんなに素早い攻撃だったとしても私にはあくびが出るくらいにスローに見える動き。
これでも私、才能+努力で、お母さんやお父さんの助けなしでも大自然の中で生活できるくらいには強いんですからナイフなんかを食らうはずがありません。
首筋の頸動脈を狙ってきているようでしたが、ひょいと指先のみで摘まんであげます。
「私も人に恨みを絶対に買ってないとは断言できませんが、それでも殺されるほどの恨みも覚えがないんですが。
もしかして書士隊長のロン氏の差し金ですか?」
「え、シャルラちゃんロン隊長に命狙われてるの?」
「いや、これけっこう周知の事実なんですけどエナ先生はこれまでクラーマさんやハリー先生辺りから聞いていないんですか?」
私の質問に笑顔で思考するフリをして結局首を振るエナ先生。
どうやらエナ先生は学院内の職員会議には一切参加していないようで「難しい話はわかんなぁ~い」とかなんとか言って頭を使うこと自体を放棄した生活を送っていたそうです。
そう言えば私もこれまであまり、そう言う話をこの人の前でしたことありませんでしたしね。
「くっ、あたしがあんたの命を狙っているのはぁ! クラーマ様のためだ!!」
「クラーマ様……ってクラーマさんの知り合いなんですか?」
「クラーマ様の名前を気安く呼ぶなー!!!」
「おっと」
再び暴れ出すものの、ナイフは指先だけとは言えがっちり押さえているので抜けるはずがない。
仕方がないので当て身を一発。
シュッ
「くけっ……」
ふぅ~、それにしてもこの子どこの子なんでしょう?
まぁ~たクラーマさんが面倒事でも起こしたんでしょうかね?
「シャルラちゃ~ん。私に考えがあるんだけど~♪」
「この子を薬漬けにして可愛がろうとかは駄目ですからね。
エナ先生もいい加減自分で作った薬を人に試すのやめてください!」
保健の先生らしく薬の扱いにも長けているエナ先生。
初めて保健室に訪れた生徒には何かしら怪しげな薬を試してしまう困ったちゃんな先生だったりするのです。
「いいじゃ~ん。私ってば薬作るしか能がないんだから~。
まっ、今回は大体事情は分かったから薬を使う必要はないんだけどね。
見てなさいよ」
頭を使うのが嫌いと言うエナ先生は頭を使わなくても済むように大抵の事象は目にするだけで応えがすぐに脳内に浮かんでくるという非常に便利な能力を持っていたりするのです。
どうやらこの少女がここに来た目的などもすでに分かったのでしょうね。
「ではまずは起こして~っと♪ えいっ」
「カフッ、ごほごほ……」
「あなたのお名前は何て言うんですかぁ~?」
「あんた誰よ。あたしの邪魔するつもり!?」
「ん~ん。邪魔なんてしないよぉ~。
むしろ応援してあげたいくらいだけどさぁ、シャルラちゃんを殺す理由が知りたいの。
それとあなたのお名前はぁ?」
「……まず、あたしの名前だけど……、サイリ・ニトロって言うんだよ。
あれは今から36万……いや、1週間ほど前のこと」
あ、語りだしました。
「あたしは生まれた時から孤児だったから孤児院で育ってたんです……
貧しいならがも人に恵まれ毎日が幸せだった。
だけどある日、暴力団が孤児院にやってきた。
孤児院の借金の返済が滞ってしまったから」
なんともまぁ、テンプレートな話ですね。
でもそれと私の殺害がどう繋がるのでしょう?
「大人は女性しかいなかったし大半があたしら子ども。
借金も返せない。
何も出来ずに奴隷商に売り飛ばされそうになってたんだ。
だがそんなピンチを救ってくれたのがクラーマ様だったんだよ!
悪人共を千切っては投げ千切っては投げ、風のように現れて何も言わずに去って行ったあのお姿!
今でもついさっきの出来事のように鮮明に思い出せるんだ!」
目がキラキラと輝いていますね。これはマズイ気もします……
「だから決めたんだよ!
あたしはクラーマ様にこの身を捧げようと!」
「……いや、クラーマさんを好きになるのはいいですけどあの人百合ですよ。
可愛い女の子が大好きと言いますか。言ってしまえば変態です」
まぁ、そういうところが好きになってしまった私も変態なのかもしれませんがね。
「それでも構わない!
でも、恥ずかしいから遠くから見守るだけで満足してたんだ。
けどここ最近の調査であんたがクラーマ様の体の友だと知ったのさ!
だから殺す! クラーマ様は私のものだ!」
ようするに熱烈なストーカーですね。わかりました。
「でもクラーマさんと一緒に過ごすときは私だけでなくノレッジちゃんも一緒にいますけど、それはどうなんですか?
やっぱり私のあとに殺すとかですか?」
「いや、ノレッジ様はあんたと違ってカッコイイから殺さない。
クラーマ様とお似合いのカップルなんだもの♪
……でもあんたはチビで私と身長も大して違わないのに出るところが出てて許せない!
だから、殺す」
「ようするに巨乳嫌いってことですか。
確かにノレッジちゃんは少しばかり自己主張の足りない慎ましい胸ですけど」
しかし困りましたね。
ロン派から派遣されたとかならギルドナイトをすでに手中に収めた私ですし刺客の一人や二人位、陰で始末なり何なり出来ますけど可愛らしい女の子相手に暴力的な方法を使う訳にはいきませんしね。
「ねぇ、シャルラちゃん。
それなら、こういうのはどう?」
ゴニョゴニョっと、耳打ち。
「あ、それはいいアイデアですね。
……それじゃサイリちゃん。
私たちがクラーマさんとの間を取り持ってあげるから仲好くしましょ♪
そもそも私を殺したらクラーマさんに嫌われてしまいますし」
「……確かに勢いで殺そうとしたけど、クラーマ様にあんたを暗殺しようとしたことが知られたら嫌われちゃうかも。
だから人知れずに始末しようと思ってたけど計画を知られてしまった以上はあんたを殺そうなんて馬鹿な真似は出来ないってことなんだね。
……協力させてあげてもいい」
ふふっ♪ 照れちゃってますけど本当に可愛らしい子ですね♪
では早速作戦を始めるとしましょう。
『クラーマさんに可愛らしい少女をプレゼントしよう大作戦』スタートです♪
ちなみにエナの薬による副作用で死んだとしても、どこぞの撲殺天使が使うような釘バットと不思議な擬音で生き返らせることが出来るとか出来ないとか……。
この辺から段々とエロさと百合が増えていく気がします。
ちょっとずつレベルを上げると平気になってしまいますねw
勿論後悔はしていませんし、自分の中ではR15の範疇ですが。
あと医療漫画ってのもけっこう好きなんですよ。
そしてキングスフィールドでは2が好きなのですよ。
なので新キャラの名前の元にしました。