どうせ移転するなら新しく前書きに一言日記を書こうと思ったヨイヤサでした。
「それではあなたがその席にいられる間に荷物の整理をしておくことをお勧めします」
この言葉を最後に会議室を出た私は派閥の皆さんに一旦解散していただき、新たに用意された学院長室に向かいます。
すでに私の側近となったジェリーさんを連れて。
「ふぅ~、相手がいい気になったところで一気に突き落とす。
これこそ超クールなやり方ですよね」
私はカッコいいクールで知的な美人書士隊長を目指していますので、書士隊を除く、学院全ての権力を手中に収めたことを告げた時のロン氏の顔に笑みが浮かんでしまうのを抑えられませんね♪
一応この学院は学者を育てるための教育機関ですし、王家や貴族にコネのある王立古生物書士隊隊長といっても学院の中では本来そこまで影響力はありません。
金や脅しといった汚いやりくちで増やした味方を適当に据えていただけで、本心からロン現書士隊長の派閥に仕えていた人間なんて数える程度ですからね。
その内最も厄介だと思われていた書士隊ナンバー2でロン氏の腹心でもあるジェリーさんは魂のレベルで私のモノになったので、すでにロン氏は詰みの状態。
ここからどう足掻いてくるかが楽しみですね。
ここで潰されて、諦めて身の回りの物を持って逃げるならよし。
歯向かって武力制圧をもくろんだところで数でも質でも上になった私の派閥で叩き潰すのもよし。
どちらに転んでも私は私が楽しめればそれでいいのです。
ただまぁ、もう少しばかり頑張って意地を見せてくれた方がこちらとしても叩き潰す理由になりますし、楽しめるんですけどね。
最後の賭けに出た人を絶望の淵に叩き込むのって最高に楽しいじゃないですか♪
まぁ、作者がハッピーエンド好きでギャグ好きというのは相変わらずなのでこの作品もハッピーエンドになることは確定していますが。
ん? 隣を歩くジェリーさんが頬を赤らめて、もじもじしていますね。
「シャルラ様。……その、今回の事に対するご、御褒美を頂ければと思うのですが……」
今回のこと、というのはロン氏の前で、ついに私の側についたことを宣言したことについてでしょうか。
この人も魂の根底に百合の精神を宿していたと言うのにロン氏のような下種(ゲス)の片腕として働かされていたために自分を抑え、我慢した生き方をしていただけにその欲望を解放した時の反動というのは凄いものですね。
正直この段階ですでに百合としての実力、百合力では私以上と言っても過言ではありません。
「もう、しょうがないですね。
部屋に戻るまで待てないんですか?」
「…………はい」
この控え目ながらも自分の言いたいこと、言わねばならないことをちゃんと言ってくれるのがご主人様冥利に尽きるというものです。
ただまぁ、部屋まではあと少しなので軽いキスを一回だけして、そのまま手を取って引っ張ってあげます。
私のもとで働くのなら我慢も覚えさせなければいけませんからね。
ちなみに今日の会議は私のお披露目会みたいなものでしたので就任挨拶や手続きは大老殿の大長老にすでに話をつけてありますので問題ありません。
その手続きもクラーマさんに任せてペラペラの書類一枚で済ませてありますので正式な手続きをするのに今頃大老殿はてんやわんやでしょうけど。
正直面倒くさいんですよね。
おっと、そうこうしている内に部屋に着いてしまいましたね。
「それじゃ入るとしますか。
この街での私の新しい拠点に」
ゆっくりと私のものとなった学院長室の扉を開く。
内装に関しては、すでに学院の用務員さんに頼んでドンドルマ一の腕利きの職人さん達に改装させていますので花柄の壁紙にピンク色の可愛らしい調度品で統一してあります。
私は可愛い小物やピンク色が大好きなのですが、それだと本棚におさまっている難しい学術書なんかが浮いてしまうのが少し気になったりもします。
今度本の出版をしているところに行って本の装丁を全部ピンク色にしてもらいましょう。
市場に出回っているモンスターの生体書なんかもいかにも安物の紙って感じですし、この際もっと可愛らしい本に作り替えるのも悪くないですね。
そしてゆくゆくは街全体を可愛らしく彩ってモンスターとの共存も可能な建築様式につくりかえて……
「うひゃう!?」
妄想を暴走させていると突然ジェリーさんが私の項(うなじ)に舌を這わせてきました。
「ジェリーさん?」
「……すいません。我慢出来なかったものでつい」
つい、で上司の項を舐めるのですか。
私はまだ許可していませんよ。
「ジェリーさん。いえ、ジェリー。
そこに正座しなさい」
これは命令。
クラーマさんやノレッジちゃんはなんだかんだ言っても優しい人たちでしたから私や他の女の子に対しても絶対に『痛い』ことをしませんでした。
勿論私はMではありませんし、そういう優しさと単純な二人の技術に撫でまわされるだけで最高に気持ち良かったのですが、その優しさが本来Sである私をSらしく攻め立てることをさせなかったんですよね。
「ジェリー、あなたは私の物です。
つまり私の所有物だというのに主人の許可を得ずに行動してしまうのは考えものですね」
「すいません。
シャルラ様があまりにもお美しかったので……」
目に涙を浮かべて私に許しを乞うような眼。
と、見せかけて本心では私からのお仕置きを待ちわびる子犬のような眼をしています。
くぅ~、これです!
これこそ私がジェリーを私のモノにした最大の理由。
百合であるだけでなく、カッコいいだけでなく、こうしてたまに見せる可愛らしさが堪らない!
「ジェリージェリージェリー。
私は怒っている訳ではありませんよ。
ただ少し……いじめたくなっただけなのです」
単純に自らの欲望に従っていじめたいんです。
とは言ってもあまりキツイことをやっては、いくら直接的単語を入れなくとも、さすがにR15をぶっちぎってしまいそうなのでNGですね。
かと言って作者は基本的にギャグなど、面白い物が好きなだけで、別段エロが好きと言うわけでもないのでノクターンノベルで執筆というのも書く気がしない。
なので結局はノーマルなものに落ち着くわけですよ。
まったく困ったものです。
「それじゃ今日はお預けです。
ご褒美が欲しければまた今度ですね」
「え! シャルラ様。それは殺生です……」
「いえ、文字数も使い過ぎましたし最後の完結編に至る道筋はあっさりスピード感を出していきたいと思っているので今回はエロエロなシーンは割愛させてもらいます」
「そこを何とか……」
必死に食いついてくるジェリー。
う……可愛い。
現・書士隊長のロン氏は男の癖して、これほど可愛らしいジェリーに手を出していなかったとは一体どういう精神をしていたのでしょうね。(ちなみに彼女を落とした日に確認はしてあります)
ロン氏の真意はさておき、こうなれば私が、可愛らしい女の子にカッコいい女の子、あらゆる属性の美女尽くしの百合の学園を作るためにもロン氏が最後のあがきをどうするか楽しみにしておきましょう。
あれ? そう言えば私の夢は書士隊長になって、モンスターと人間の共存を図るというものでしたが百合要素の方が夢の大部分を占めていますね。
ではエロエロなシーンは割愛となってしまいましたが、この後の展開は読者の皆さんの想像に任せます。
私が目の前でオシオキを懇願する美女に何もしないという可能性はありますが、可能性はあくまで可能性であって、私が百合であり、両者の同意がある場合はお互いの望む行動に出るのが私であると言っておきましょう。
ロンside
あの娘、シャルラ・アーサーの言ったとおり、会議の後、急いで書士隊長室に駆け込んだ私が目にしたものは「差し押さえ」の札が貼られた私のコレクションの数々だった。
コレクション。
それは私にとって、陰で楽しむ唯一の趣味であった『キリン娘関連グッズ』である!
これまでもファンクラブの会員として会報なども、ひっそりと受け取っていたし、関連書籍やフィギュアの即売会にはギルドナイトに依頼を出して(暗殺依頼よりも多く依頼したかもな)買いに行かせて誰にも知られないように、細心の注意を払っていたと言うのにその趣味のすべてが暴かれ、差し押さえの札が貼られているだとぅ!?
しかも机の鍵付きの引き出しに隠していた秘蔵本(18禁)も机の上に放置されているではないか!?
なんで出しただけでなく仕舞ってくれないんだ!?
掃除のおばちゃんにバレちゃうではないか!!
キリン書籍とは別に机の上には差し押さえの明細が入った封筒が置かれているが、その金も全てドンドルマの街の孤児院の運営費に充てるためらしい。
ふざけるなっ! 私のコレクションをそんなもののために使ってなるものか!
シャルラ・アーサー。貴様は私を怒らせたぞ!
「必ずや後悔させ、懺悔と後悔の涙を浮かべるまで傷めつけ、自ら死を望むまで嬲って嬲って嬲りつくしてやる!」
そう決意を新たにしたものの、味方のいない私はどうすればいいというのだろうか……。
それにしても大長老ってこの物語には名前しか出てこないのに毎回、面倒事を任されてるんですよね。
さて、最初からロンがこういうキャラだということは決まっていましたが、途中の百合話が濃かったためにギャグを描くことにギャップを感じてしまいますね。
だがそれがいい!