そしてその欲望のまとめ方が下手だった人物の末路を描いた話だったりします。
細工は流々、準備は万端、最後にするのは敵の一掃。
ついでに私好みの百合溢れる街に変えていきましょう♪
『百合の街』ドンドルマ……うん、いい響きですね♪
「と言う訳で、現・書士隊長ギュスターブ・ロン氏。
あなたにはこの街から出ていってもらうことにしました♪」
いきなりすぎる始まり方ですが、説明しますと私は現在、現・書士隊長室に勝手に上がり込んでロン氏と最後の一騎打ちを仕掛けているところだったりします。
「はやっ! 私はまだ何もしていないぞ!?」
「いえ、あなたが前回の話で色々と画策を始めようとしてから、この物語ではすでに丸一日が過ぎたという設定でお願いします」
ジェリーがベッドから逃がしてくれませんでしたので。
「いや、設定って……」
心底驚いた、と言う風な顔で私を睨んでくるロン氏。
そんな顔しても怖くありませんよ。
「あなたがPTA(パーフェクト・ターミネイト・エージェント)という新しい組織として作成し、この街の学院生徒を捕獲して、親御さんに対し生徒たちを人質にするという手段で脅して味方を増やそうという作戦はこちらに筒抜けです。
なのでその対策として、すでに存在する本来の意味のPTAのトップに私の両親を据えることにしたのです!」
すでにお気づきの人もいたと思いますが、私の作戦について説明しますと、
1:ロン氏が最後の一手としてPTAを私物化することで私の派閥に対抗しようとするのが分かっていたので、先に手を打つことでPTAのトップをロン氏よりも先に私の手の者を据えてしまおう作戦、です。
なんだか説明すると言っておきながら、随分と短くまとまってしまいましたが、そういうことです。
ぶっちゃけ最初から結末の分かっていた物語ですし、これ位のごり押しのスピード感あふれすぎでしょ!? って展開の方が好みなんですよね。
ではここらで真打登場と行きましょう。
「ようロン。
俺の居ない間に随分と好き放題してくれていたらしいじゃねえか」
もはや美貌とすら呼べる整った顔立ち。
大自然の中で生活していたとは思えないほどに美しい実年齢よりも若々しい肌。
そしてどこから出てきたのか? と言いたくなるほどの圧倒的存在感。
その声の主が感情を完璧なまでに殺し、ただ口にしただけの言葉にロン氏は驚きの表情を見せる。
何てったってその声の主はロン氏にとって、昔も今も絶対に敵わないと思っていた、圧倒的なまでのカリスマ的存在なのですから。
「き、貴様は前・書士隊長ジョン・アーサー!」
「そうだよ~、俺は前・書士隊長にして現・PTA会長のジョン・アーサーだよ~。
娘がず・い・ぶ・ん・と! お世話になってたみたいじぇねぇか~? あぁ~ん!?」
どこか嬉しそうな声に見せかけて、この話し方はお父さんが本気で怒っているときのものです。
豪放磊落で大雑把で大らかなお父さんが怒ることなんて、数えるほどしかありませんが、ひとたび怒り狂えば地形を変えるほどの迫力を見せるんですよね。
そしてその地形を変えるほどの怒りを一身に受けているロン氏の哀れなこと……ぷっw
ちなみにお父さんは手紙が届けられてからすぐに、文字通り飛んできたそうです。
それにしても古龍の巣でもある場所に行ってくれるだなんてジェリーってば予想以上に使えますね。
「おい、何か申し開きがあるなら言ってみろよ?
元上司として一応聞いてやるぜ?」
すでに恐怖に震えているロン氏にそんな度胸はないでしょうに。
お父さんときたら 遊んでいますね。
「…………」
「ほっほぉ~う、言うことはない、ってか?
じゃあ仕方ない。俺が殺してやるか」
「……あんたはいつもヒーローだった」
「あん?」
「あんたはいつもヒーローだった!
ジョン・アーサー!!!」
おや? これは……もしや、あまりの恐怖から一周回って平気になったパターンでしょうか?
「私は! そんな誰からも慕われる貴様が消えたあと!
血のにじむような思いで今のこの地位を確立し!
多くの人間から感謝されるような功績を打ち立ててきた!
それなのに、なぜ!?
どうしてだ!?
貴様の娘はあっという間に私の苦労して手に入れたものを奪っていき、あまつさえ私の地位まで狙っているのだ!
私は自分のやりたいことを何でもやってきたというのにどうして貴様の娘が私の地位を狙うのだ!?
これが怒らずにいられるか!
書士隊長はこの私! 依然変わりなく!! そうでなければならないのだ!!!」
あー、別に私もお父さんも、ロン氏のこれまでの功績全てを否定しているわけではないのですけど。
話の論点がずれているんですよね~。
私やお父さんが起こっている理由ってのは、
「んなもん知るか!
俺が怒っているのは、俺の可愛いシャルラにちょっかい出してきたってことと、俺の娘の夢の邪魔になるからって理由だけだ!」
ちなみに私がロン氏を嫌っている理由は、自分の夢ってだけではなく、お父さんの過去の功績を貶めるような発言が多いってのもあるんですけどね。
すでに忘れている人も多いと思いますが、ロン氏は私のお父さんの評判を落とすことで相対的に自分の評価を上げようとしていました。
まぁ、人気のない自分の地位をあげるには、前書士隊長のお父さんの評判を落とすしかないってのは理解できるのですが。
でもそこが私の癇に障ったのです。
私もお父さんが大好きですので。
「まぁ、そんな訳でさ。
これまで書士隊を支えてきてくれたことには少~しくらい感謝してやってもいいけどさ。
誰も味方がいないお前がこのまま隊長なんかやっても意味ないだろ?
だから俺の娘に代わってくれよ」
さも当然、と言うように書士隊長の座を捨てることをロン氏に勧めるお父さん。
私も今、引退を決意してくれるのならまだ許せるんですけどねぇ~。
そう簡単に物ごとが進まないからこんな面倒くさい展開になっちゃってるんですよね。
『今』はまだロン氏のものである書士隊長室の机に突っ伏していたかと思うと、突然小型のリモコンのようなものを取り出したと思ったら止める間もなく押してしまいました
「ふははははははー! こうなれば貴様ら親子をまとめて殺してくれるわ!
これはドンドルマの街崩壊爆弾のスイッチだ!」
それをポチッっと。
ロン氏は取り出したリモコンのボタンをためらいもなく押しました。
「PTAなど、私の策の一つでしかない!
このあと私は一人だけ非常用脱出経路から急いで街を離れ、町が崩壊したあと貴様らを犯人に仕立てて再び書士隊長の地位に返り咲いてくれるわ!!!」
リモコンについていた、もう一つスイッチを押すと足元に穴が開き、書士隊長ギュスターブ・ロン氏は落ちていってしまいました。
……逃げた?
え? いまどき爆発オチですか?
「おっほー、おもしれー仕掛け作ってんじゃんロンの奴。
そいでどうするシャルラ?
当然策の一つや二つ用意してるんだろ?」
「ふっ、愚問ですねお父さん。
私はあらゆる事態を想定して準備を済ませてこの最終決戦に臨んだのですから。
当然ロン氏が自爆する可能性も考えていましたとも」
ただまぁ、自分だけ逃げる仕掛けを用意していたのは予想していなかったので、そこは流石と言うべきでしょうが。
生き意地のある人は嫌いではありません。
それでもまだ、どうにでも出来ます。
「ようは爆弾を止めればいいんですから、別動隊に解体作業をしてもらうことにしましょう」
私は懐に仕舞っていて無線機を取り出し、
『私です、シャルラ・アーサーです。
この街が現・書士隊長ギュスターブ・ロン氏の悪あがきにより爆破の危機に瀕しています。
至急爆弾の処理にあたってください』
『ラージャ!』
短いやり取り。
ふぅ、これで完璧。
彼ならきっと上手い事爆弾の解除も可能でしょう。
他にするべきことは、今回の騒動を全てなかったことにするための情報操作と、書士隊員達へ、ギュスターブ・ロン氏が消えたことに関する情報伝達、くらいでしょうかね。
いろいろと忙しくなりそうですが、これで私の勝利は確信に変わりました。
さようなら、ロン元・書士隊長♪
パパパッパッパッパ、パァウァー!!
父力(パパパワー)全開!
最後はこんな感じにするつもりで書いてきてはいましたが、もう少しジョンを軽いキャラにしても良かったかもしれませんね。
シャルラのガムが好きという設定は父親譲りということにして、「ガム食うかい?」ってセリフでロンと打ち解けるなり拳による熱い男の勝負でも良かったんですがねw
イメージ的には『ネギま』のナギ・スプリングフィールドと『オーパーツ・ラブ』の御堂 晩三郎を足して割った感じですかね。
では私が何を思ってこの物語を書いていたのかは、最終話で。
最後までお楽しみください♪