しょしたい!   作:ヨイヤサ・リングマスター

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 今回はシャルラが拾ったイビル・ジョーのリッキーくんについてのお話。

 それと「この物語はギャグである」と、改めて言っておきますので。

 ではどうぞお楽しみください。



第七話:リッキーくんの生態

 リッキーside

 

 

 えーと、このたびシャルラさんのもとで暮らすことになったリッキーって言います。

 

 本当に僕なんかのために一話丸々使うことになんて恐縮ですが今回は僕のことについて語ってみようと思います。

 

 でもこんな弱気なことじゃ“恐暴竜”としては失格ですよね。なんか僕みたいなのがイビル・ジョーですいません。

 

 あ、こういうところが馬鹿にされる要因なんですよね。とにかく話を進めていきたいと思います。

 

 

 

 まず最初ですが、ハンターたち人間にはイビル・ジョーって種は群れることがないように思われてますけど人里離れた場所に僕らイビル・ジョーの里ってのを作って暮らしてるんです。

 

 僕はそこでパパとママと一緒に静かに暮らしていたんですけど、僕ってば鈍くさくていじめられっ子だったんです。

 

 身体も小さいしブレスもまともに出せないから馬鹿にされて、そのくせ人一倍大喰らいなもんだからパパやママからも呆れられてたし。

 

 でもそんなことじゃ駄目だと思って僕は一人で人間が狩り場と定めている場所に足を踏み入れたんです!

 

 最初は凍土に行って初めてポポを自分一人の力で狩って食べてたんですよ。

 

 これまではパパやママに狩ってきてもらったお肉しか食べたこと無かったんだけど、僕も自分一人で狩りが出来るんだぞって証明したくて。

 

 一人前になったようで誇らしかったのをよく覚えています。

 

 だけどそこからが大変でした。

 

 別に他のイビル・ジョーみたいに無意味に暴れて無駄に殺したりはしてないし、人間の領域を荒らすなんて怖くてしたこともなかったのに食後の散歩をしてただけで突然襲われたんです。

 

 大剣使いの背の高い男の人とライトボウガン使いの小さい女の子。それに太刀を背負っているのに物凄い痛いパンチを繰り出す女の人に体中からありえあない量の沢山の武器を出してくる怖い笑顔の女の人に襲われたんです。

 

 僕もイビル・ジョーらしく怒ってみたんですが今まで戦いというものを経験したことのない僕は、怒ったところで里の仲間達と違って古傷が赤く浮かび上がるようなことは一切ないんです。

 

 だからそれを見たハンター達の中の一番小さな女の子が「あ、このイビル・ジョー古傷もないつるつるの卵肌だなんてまだ幼いみたいですねぇ♪」なんて言いながら喜々としてボウガンを乱射してくるものだからパニックになっちゃって。

 

 どれも一撃必殺と言ってもいいような攻撃ばかりしてくるから僕は必死で逃げたんですよ。

 あの時弾が一発も当たらなかったのは向こうが遊んでいたからなのかもしれません。

 

 僕って周りからもいじめたくなる顔してるってよく言われますし。

 もう死ぬかと思いました。

 

 そしたら途中で足を踏み外して崖から転がり落ちて、川に流され気がついたら孤島にいたんです。

 

 おかげで凍土でのハンターたちからは逃げ切れましたが体中をすりむいちゃいました。

 

 まぁ、とにかくそこからはご存じの通りまたお腹が空いたので流れ着いた孤島にてご飯を食べようとしてたらまた人間達に遭遇し、シャルラさんに出会ったんです。

 

 それで僕は彼女に食うに困らないように面倒を見てあげると言われて仲間? になったんですが……

 

 なぜこんなことになったのでしょう?

 

……

 

…………

 

………………

 

「さぁ、今日のメインイベントはあの“恐暴竜”イビル・ジョーです!!

 捕まえたのは王立学術院の新入生シャルラ・アーサーさんという方らしいのですが、まさかイビル・ジョーのような特に危険なモンスターが馴致(じゅんち)可能だったなんて知りませんでしたよっ!!」

 

 

ワーワーワー

 

 

 ここはドンドルマっていう街にある娯楽施設『アリーナ』。

 

 なぜか僕はここにいるのです。

 

 

「リッキー! 勝ち負け関係なくファイトマネーでお腹いっぱいご飯をあげるけど君が勝ったら私のお小遣いが倍々に増えていくからちゃんと勝つのよー!」

 

 

 僕の友達(?)のシャルラさんはノリノリのようです。

 

 よく分かりませんがとりあえず頑張ってみようと思います!

 

 

「それではメインイベントぉ~! イビル・ジョーの対戦相手はイャンクックだぁー!!!」

 

 

 ほっ、イャンクックなら僕でも勝てるかも。

 

 シャルラさんはこの試合で僕にお金賭けてるみたいだしいいところみせなくちゃ。

 

 ですがこの時の僕の思いはものの見事に裏切られてしまいました。

 

 

ズズゥゥーン

 

 

 そんな音とともに空から降り立ったのは対戦相手のイャンクック。

 

 え? 何その音。『ズズゥゥーン』?

 

 

「今回イビル・ジョーと時を同じくして過去最大サイズ。全長20mのイャンクックが捕獲されたのです!

 いやぁ、これならイビル・ジョーとはいえ苦戦しそうですがどうなるんでしょうねぇー!」

 

 

 司会の人が面白そうにそんな事を言う。

 

 ちょ、ちょっと待ってよ! 僕まだ戦い方すら知らないのに!!

 

 目の前のイャンクックさん、体中傷だらけで見るからに歴千の強者ですし!

 僕のことを完全に敵認定しちゃって好戦的だし!

 

 

『小僧。ワシはイャンクックという種族の中で最強を目指しちょる。

 今回はたまたま異常に強いハンターたちに捕まってしまったからここに捕えられてしもうたがこうなったらこの場所で最強を目指そうと思うちょるんじゃ!

 まず最初の生贄は貴様になってもらおうかのぅ!』

 

 

『どっひぇ~! ぼ、ぼぼ僕弱いですから勘弁してくださいよぉ~!!』

 

 

 こうして激戦の火ぶたは切って落とされた。

 

 ……ごめん。やっぱり落されなかった。だって僕弱いんだもん。

 

 

「おぉーっと、これはどうしたことかぁー!?

 モンスターの中でも最強の呼び声高いイビル・ジョーがモンスターの中でも特に弱いはずのイャンクックを相手に追いかけられて逃げ回っているぞぉー!

 さぁこの戦いいったいどうなる!?」

 

 

 いやいやいや司会の人、勘弁してくださいよぉ~。僕まだ子どもなんですよ!?

 

 あんな歴戦の強者って雰囲気漂う体格差が倍以上もある人に勝てるわけないじゃないですかぁ~。

 

 なんだかこの試合、賭けも行われているらしく壁にかかっているプレートの僕のオッズがどんどん更新されていってる。

 まぁ逃げ回ってばかりじゃ仕方ないよなぁ~。

 

 

 ん? なんかシャルラさんが言ってるな。

 

 

『勝・て・な・きゃ・殺・す♪』

 

 

 ヒィィィー! なんかモンスター語で怖いこと言ってるぅぅぅー!

 

 

『がはははは! まさか人間でモンスター語が分かる奴がおるとは思わんかったのぅ。

 じゃがワシはここで最強として名を挙げるけぇ、小僧。ここで死んでくれや』

 

 

 目の前のイャンクックさんも怖いしどうすんのコレ!? どうすんの僕!?

 

 

『えぇーい、こうなったら破れかぶれだ!』

 

 

 僕は適当に噛みついてみることにした。

 

 イャンクックという種は地面を掘り起こして出てきた虫を主食にしているから牙はないし、爪だって純然たる肉食モンスターの僕の方が断然鋭いんだから。

 

 それにイビル・ジョーという種族の唾液は強い酸性を持っている。

 

 小さくとも少しづつ傷をつけていけば最終的には僕の勝ちだ!

 

 ……体力で負けなければいいけど。

 

 

『うぉぉぉぉぉー!』

 

 

 僕ってば実は最強なんだ! やればできる子なんです! だからイャンクックごときに後れをとるなんてありえないのです!

 

 ……はい、嘘です。僕には勝てそうにありません。

 

 

『なんで僕の唾液で甲殻が溶けないんだよ!

 僕の攻撃も全部まともに食らってるのにダメージ0なのさっ!?』

 

 

『小僧程度の唾液でワシの甲殻が溶けるはずなかろうが。

 ワシの甲殻はマグマや毒の沼にも一切影響を受けぬ最強の甲殻なんじゃい。

 貴様のような小僧の攻撃なんぞ端っから避ける気すらないわッ!』

 

 

 なんということでしょう。このイャンクックさんには僕の攻撃は通用しないのでしょうか。

 

 

『リッキー分かってんのー!?

 負けたら死ぬのよー! 私が物理的に地獄に落としちゃうわよー!

 死にたくなかったらあの必殺技使いなさいよ!』

 

 

 ちょっと恐いシャルラさんの声援。

 

 そういえば彼女から必殺技を教わっていたんだった。

 

 

『小僧ぉ~。なんじゃまだ隠し技があったんかい?

 じゃがその前にワシが貴様を潰す。

 その技が何かよく分からんが喰らえッ!』

 

 

 チャンス! どうも僕の攻撃を避ける気もなさそうなイャンクックさんは普通に突進をしてくれたっ!

 

 僕の全力の必殺技を試すチャンスだ!

 

 

『じゃあ行くとするよ。

 シャルラさんから習った48の殺人技の一つ、イビィィィール・バスタァァァァー!!!』

 

 

 突進してくるイャンクックさんを僕の肩(?)で持ち上げ、その両脚をしっかりと両手で掴んで空高く跳びあがる。

 

 

『何ぃ! 小僧、その短い手でどうやってワシの脚を掴んどるんじゃぁー!?』

 

 

『この物語は小説であり、マンガと違って絵の描写は必要ないのを忘れてますよ、イャンクックのおじさん!

 つまりどんな無茶なことをしても絵にする必要がないのだから何でも出来る!』

 

 

 そう、シャルラさんが見てくれているんだから今の僕なら何でも出来る!

 

 

ズッシィィィィーン!

 

 

 跳びあがったあとに落ちてきた僕の体重+イャンクックさんの体重、それにトンデモなく高く跳びあがったことで高さによって威力も倍々だ。

 

 

『グッホォォォー!』

 

 

「おぉ! ついにこの試合に決着が着きました!

 勝者は絶対に負けるだろうと思われていた大穴のイビル・ジョーです!」

 

 

 ウォォォォォォォォォォォォー!

 

 

 今日一番の歓声が響き僕の耳に心地いい快感を与えてくれる。

 

 やった。僕は勝ったんだ。

 

 もう誰にも僕を弱虫扱いさせないぞ!

 

 観客席のシャルラさんも笑顔で手を振ってくれてるしこれで良かったんだよね。

 

 なんだか今日一日で僕はずいぶんと成長した気がするよ。

 

 

 

 

 シャルラside

 

 

 うん、やっぱりあの子素質がありますね。

 

 お母さんとお父さんから習った格闘技を仕込んでおきましたがここまで強くなるなんて予想以上でした。

 

 このまま鍛えていけばこのアリーナにおけるチャンピオンの座も夢じゃないはず。

 

 アリーナにはあまりに強すぎて試合には出てこなくなった伝説のチャンピオンがいるという噂を聞いてますしそのモンスターを引っ張りだすのはこの子になるはずよ。

 

 とにかく今日は私も大儲けさせてもらって助かったわ。お父さんの貯金がまだ残っているとはいえ、私自身が自由に使えるお金としてお小遣いが欲しかったから試合に出させたけど予想以上に儲かりましたね。

 

 あの子本当は強いのに雰囲気的に小さくて弱そうだからオッズが20倍になってたんだから。

 

 さて、今日はもう帰りましょう。

 

 夕飯はノレッジちゃんと外で美味しいものでも食べようかしら♪

 




 イビル・ジョーが筋肉バスターを仕掛ける映像なんて想像できないですがそこに突っ込んではいけません。

 「疑問に思ったら負けだ!」です。モンハンの世界には実に都合のいい言葉がありますね♪

 あと全長20mといえば確かモノブロスの平均がそれ位の大きさだったと思います。

 そうなると今回出てきたイャンクックは大きいですね。『銀牙_流れ星 銀_』のアカカブトみたいに脳に銃弾でも撃ち込まれて成長ホルモンが異常分泌されたということにでもしてくださいw

 それと、ハーメルンへの移転ついでに、こっちの予約投稿機能を使ってみましたが、投稿予定日を間違えた場合、あとから修正出来ないようなので次話から普通に投稿します。

 丸三日、一時間おきに更新って面白いと思ったんですけどねぇ~……。この物語は全63話です。
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