1.宇宙人、着任
横須賀鎮守府。前任の提督が定年退職し、新しい提督が着任した。
「…貴方が新しい提督…なんですか?」
「あぁ、そうだ。」
「…その背中にある武器はなんなのデース?」
「『紅葉姫』というソードだ。俺のお気に入りなんだよ。」
「…背中で浮いているそれは何っぽい?」
「これか?これは『マグ』だ。一緒に戦ってくれる。」
けれどその人は、アークスという、宇宙人でした。
***
アークス。彼らは宇宙を航行する巨大船団「オラクル」の惑星調査隊。
惑星に降り立ち、その星の文化を調査すると同時にダーカーの影響を調べるのが、アークスの主な仕事。
今から一ヶ月前。新しい惑星を発見したアークスは、現在遂行中の大規模作戦の影響で満足な調査を行えずにいた。
「…いや何で俺なんだよ。」
アークスシップNo.1、フェオ内。
ショップエリア内のモニュメント前で、彼はオラクルの管理者、シャオに相談を受けていた。
「今アークスのみんなは忙しい。そんな中1人茫然と船の中をうろちょろする輩が1人…」
「分かったよ…さぼったのは謝るから。」
任務の放棄を指摘され、口答えできないことに悔しさを感じる彼は、少し苛立った。
「いや、いいんだよ? アークスの任務は強制じゃない。サボってばかりだと除籍されるけど、君の場合はこれまでの功績を鑑みてそんな事は絶対にあり得ない。だから存分にサボってもらって…」
「受けるよ!! 先遣隊の任務だろ!? それくらいやってやるよ!!」
かくして彼は、新しい惑星「ジーミラ」に降り立つこととなった。
***
「…というわけだ。」
話の内容およそ80%を割愛して説明したが、綺麗に整列した女の子たち――「艦娘」たちは未だ首を傾げている。
「比叡、さっぱり分かりません!」
「いや比叡お姉さま、そんなにはっきり言ったら失礼ですよ…。…私もさっぱりですが。」
「霧島が分からないなら私達も分からないネー…。」
先頭に立つ、4人の少女。彼女たちだけ少しだけ大人びている事を見て、リーダー的存在である事はすぐに想像できる。
何故なら、他の子達は…
「ぽぉぉいぃぃ!!! これ、捕まえられないっぽい!!」
「あれを一番に捕まえるのは私だからねっ!!」
「てぇいやんでぃ!! あっしも負けてらんねえなぁ!!」
「長良、マグ目掛けて突撃しますっ!!」
「マジパナイ!! 是非とも捕まえてじっくり見たい!!」
マグを捕まえようと大暴れしていた。
「お、おーい…マグなら他にもあるぞー…?」
「「「「「ほんとにっ!?」」」」」
マグ2体目投入。場は戦場と化す。
「こぉらみんな!! ここは提督の執務室よ!? 静かにしなさい!!」
「指示に従ってくださぁぁいぃぃ!!」
静止する艦娘もいるが、努力空しく場はよりヒートアップする。
後で、エサたらふく食べさせてあげようと、提督はマグへの謝罪を心の中で述べた。
「ご、ごめんなさい、提督。みんなまだ子供だから…」
「…見た感じ、高校生ぐらいだよな…?」
***
「改めまして…
金剛型戦艦4名、金剛、比叡、榛名、霧島!」
「長良型軽巡6名、長良、五十鈴、名取、由良、阿武隈、鬼怒!!」
「白露型駆逐艦7名、白露、時雨、村雨、夕立、春雨、五月雨、涼風!!」
「以上、17名! これより、提督の指揮下に入りマス!!」