ぞんねぇ+ぞんび丸というオリジナル。
原作のストック。
やったらやったで伝説に残りそうだけど。全滅ENDの可能性が浮上してきた。
救いはないんですか!?
グラウンドを駆ける三人。
フランクは釘バット、くるみはシャベルで校門から進入してくる次々とゾンビをなぎ倒し。
みきはサイリウムと防犯ブザーを使い、フランクの正面へ誘導する。
「生きていると思うか?あの人」
「駄目だ。噛まれてた」
フランクが指差す方向。
そこには、つい先ほど墜落したヘリが、火と黒い煙を上げながら鎮座していた。
最低でも35m以上の高さから落ちたのだ。まず、助からないだろう。
何より、個人差はあるかもしれないが、下手すればゾンビとなっているだろうから死んでくれた方がフランクとしては助かったりもする。
「そぉら!」
フランクが腰と脚に力を溜めて、グリップを強く握って上半身を振るう。
力強く振られたバットに打ち込まれた釘がゾンビの頭にえぐるように食い込み。
それだけに留まらず、その勢いだけでゾンビは吹き飛び、周りにいたゾンビも巻き込んで、死体の山の一部へと変わっていく。
「でぇや!」
くるみもフランクのように荒々しくはいかないが、陸上部で鍛えた脚を活かして、背後を取られないように逃げつつ。
慎重に一体一体、頭をシャベルで潰していく。
やがて、三人の活躍で校門を今以上に補強すれば良い程度には、ゾンビの数が減っていった。
そこで、みきはワイヤーを今まで以上に校門に巻きつけ。
フランクとくるみは車やロッカーといった重たいものを持ってきて、校門が破れた際に備え、第二のバリケードを作り上げた。
最後にみきは、ゾンビの気を引く為に、防犯ブザーを学校から出来る限り遠くへと投げ捨てた。
「思ったよりも少ないな」
「えぇ、何だか。ヘリの方へ向かっているような」
「一応、そっちも片付けた方が良いんじゃないか?」
「うーん……そうだな。俺が先に行く」
折れ曲がった釘バットを投げ捨て、フランクは駆け足でヘリの元へと向かい、その後ろをくるみとみきが追いかける。
数こそ多いが、ゾンビは足が遅い。
立ち塞がろうものならフランクの鉄拳とくるみのシャベルが飛ぶ。
みきは走り続けた疲労で息が上がってはいるが、特に苦が無くヘリの近くまで、三人はたどり着くことが出来た。
「俺が先に行くから、ちょっと休んでいろ」
「やっぱり、あんなに派手に壊れていては、中の人は……」
「……縁起悪いこと言うなよ。脱出したかもしれないだろ」
「そうだな」
フランクはくるみとみきを置いて、何か道具が無いかとヘリに近づき。
ひしゃげたヘリのドアを力ずくで退かし、中にあった小さな道具箱を懐に入れる。
しかしその時、血まみれの腕が、伸びてフランクの腕を掴んだ。
「っと」
少しばかりは驚いたものの、フランクは急いで体を起こしてヘリから離れたが、ヘリのパイロットの男。
ゾンビへと変わったエドも腕を掴んでいたままなのでおまけで付いて来た。
血が混じった唾液だらけのエドの口がフランクの首に近づく。
ウィラメッテですでに、何度か噛まれているが、何だかんだで無事なフランクは感染については無頓着だが、出血死はあり得る。
咄嗟に、開いていたもう一つの腕でフランクはエドの顔を押さえて噛まれるのを防ぎ。
蹴りでエドを引き離す。
だが、蹴り所が悪かったのか、ダメージが低く。
再び立ち上がったエドにフランクは右手で押さえ。
左手を引き、そしてエドの体に向けて躊躇無く突き刺し。
「っおおぉ!」
そして、一握り分の臓物を抉り取ると、血が噴水の様に飛び出て、フランクのスーツを赤く染めた。
エドだったものは崩れ落ち、二度と起きることはないだろう。
キョロキョロとヘリの中を見渡し、フランクは特に目ぼしい物がないと確認した。
「何も無さそうだ――」
そのままヘリを離れようとしたフランクだったが、時間の問題でもあり、またタイミングが悪かった。
ヘリの破片から漏れた車の透明なガソリンとヘリから立ち上る黒煙。
この二つから導き出される物。
それは、耳をつんざくかのような爆発だった。
「Ahhhhhhhhhhhhhhhhh!!!」
「フランクさーん!!」
フランクとくるみの叫び声がグラウンドに響き渡る。
皮膚を焦がす熱や爆風で吹き飛んだ破片、それらが一斉にフランクへ襲い掛かった。
一般人なら最悪四肢を?がれながら即死していただろう。
ヘリから離れていたみきが爆風の衝撃で気を失ってしまうほどの爆発だったのだから。
しかし、従軍経験のある超人ジャーナリストは違った。
「ふぅ」
痛みを抑えるように腹を押さえてはいるものの、平然と立ち上がり。
オレンジジュースを2本飲んだら、痛みも消えたようだ。
「……フランクさん!みきが気を失った」
「それに、さっきの爆発でフェンスが壊れて、奴ら入ってきてるな……」
その様にくるみは化け物を見るかのような視線を向け、言葉をつい失ってしまったが、その化け物は味方であることに改めて頼もしく感じた。
「一度学校へ戻ったほうがいいかな?」
「そうだな。みきは俺が背負う。クルミチャン案内は頼んだぞ」
頭に何かぶつけたのか、血を流しながら気を失ったみきを、包帯で手早く止血した後フランクは背負い、くるみがシャベルを片手に二人を先導する。
しかし、車の中にガソリンが残っているものが多く、時折先ほどのヘリのような爆発が起き、火の回り早い。
幸いなのは、ゾンビが熱に引かれるように、次々とよく燃えるのと、何故かみきを背負うフランクに対するゾンビの攻撃がワンテンポ遅く。校舎に入るまでほとんど襲われなかった事だ。
しかし、駐車場と校舎が近いこともあり、すでに校舎の一部に火が回り。
廊下には煙が満たされ、先がほとんど見えないほどになっていた。
「ゆき!……りーさん!どこだ!!」
学校に残した二人の名前をくるみは呼ぶが、煙のせいで袖から口を離すわけにいかない為声が張れず、また二人から返事が無い。
ゾンビを避けつつ一階二階とバリケードを超えながら上り、三階へ。
学園生活部の部室へとたどり着くが、そこにも二人はいない。
「…………」
「屋上へ行くか……」
呆然とするくるみの体をフランクは支えつつ、三人は屋上へたどり着いたが、そこにも二人はいなかった。
ただ、立ち上った火の粉のせいか、屋上菜園は静に燃え上がり、まるで現実が今までの生活を破壊するかのような光景だった。
「なぁフランクさん。私達よくやった方だよな?」
「何がだ?」
「精一杯やっても駄目だ。って時あるじゃん?たぶん、そういうのだよこれ」
「なら、諦めるか?」
「……って訳にはいかないじゃん?どんなに無理だと思っても。それでも、私の命はもう、私のだけじゃない。ゆきやりーさん、みきにフランクさん。それに……めぐねぇのおかげで、こうやってシャベルを握っていられるんだ。諦める訳にはいかないよ」
「それじゃ、この貯水槽使って消火しないか?燃える物は少ないから勝手に消えるだろうけど、早めに消すことに越したことはない」
「そうだな。なら放水ポンプ使って派手に行こうぜ!水が減りすぎてりーさん怒りそうだけどな!」
次の行動が決まったら、二人の動きは早かった。
備え付けれていた放水ポンプで、火にぶつける様に水をかけ火から酸素と温度を奪い。
ある程度鎮火したら、放水ポンプのホースを伸ばし。
発火原因となったヘリに雨を降らすように放水口を上向けたまま固定した。
そしてちょうどその時に、グラウンドからゆきの声が響き渡った。
『避難訓練でーす!くるみちゃん。みーくん、フランクさーん!聞こえる?私達、先に避難しているね!安全な所に避難して、後で会おうね!』
「い、今のは?」
その声は音量が大きく、気絶していたみきの目を覚ましてしまうほどだ。
おろおろとうろたえるみきを他所に、自然とフランクとくるみの口から笑みが零れ落ちた。
みきが無事だった事と、ゆきとゆうりの場所が分かり、心に余裕が出来たのだ。
「安全な場所といったら地下だな。地下へ行くぞ」
「そうだな。みき!もうひと頑張りだ」
「は、はい!」
「の前に、これを使うか」
ロッカーからどういう用途でそこに仕舞われていたのかは不明だが、チェーンソーをフランクは取り出し、トリガーを引いてエンジンを起動し、無数の刃が動き始める。
「yeah!」
「うわぁえげつない事になりそう……」
その後、くるみの予測通り。
少しばかり足元がおぼつかないみきの肩を抱く、くるみのかわりに、チェーンソーでゾンビの上半身と下半身を別けていくフランクの様はまさに無双で、えげつなかった。
―――――――――――
閉ざされたフェンスが、僅かに開かれた。
そこに三人で指を入れて、持ち上げると、いつもは能天気な顔がどこかへ行き、似合わない真面目な表情を浮かべるゆきがいた。
「おかえりなさーい!」
「「「ただいま」」」
私立巡ヶ丘学院高等学校の避難訓練は終わった。
死者0名、怪我人三名、内一人はジュースを飲めばすぐに完治した。
しかし、建物と一部の発電等の機能は火災で停止し、例え五人という少人数であったとしても、高等学校内で過ごすことは不可能となった。