オリ主は陵桜学園の生徒ではありません。転校生としてぶち込むかは後々考えます。
後半「コレホントにらき☆すたが原作!?」って位暴力的シーンがあります。基本的には日常系ですが時々このようなシーンが出てきます。
この時点で苦手な雰囲気を感じたらお帰り頂いて結構です。それでも挑む勇者はこのままお読み下さい。
それと『オリ主の一日を適当に書いていこう』って感じで執筆したら何故か10000文字以上というふざけた数値になりました。普段はもう少し短めですのでその辺りはご了承下さい。
夏休みのとある一日、朝十時半の事。
「・・・暑い。」
うだるような暑さが続く一日、俺、夜桜このはは部屋のベッドで一人ごちた。
我が家にクーラーなんて大層な物は無い。あるのは一昔前に発売した扇風機一台のみ。
だがこの蒸し暑い室内では生暖かい風が吹くだけで大して意味は無い。
涼もうとアイスを取り出したってこういう日はすぐドロドロに溶けてしまう。
この前それでカーペットに垂れてこのクソ暑い中汗だくになってシミを拭き取ったのは記憶に新しい。やはり多少高くても氷菓の方を買っとけばよかった。
「クソ・・・こんなんだったらこの前の給料ケチるんじゃなかった・・・。」
だがしかしパソコンを新調してしまったからにはこれ以上電化製品を買うのは流石にキツい。
そうなったら次の給料日まではモヤシで生活する事になってしまう。それだけは嫌だ。ていうか何故この時期にイカれた、
「どうすっかな・・・なんか頭がグラグラしてきた・・・コレこのままじゃヤバくね?」
こういう日は友人の家に行って一日を過ごしたりするのがいいのだろうが、そもそも友人自体が非常に少ない俺にその選択は無理な話というものだった。
まず家なんて知らねぇし、知ってる奴は違う県に住んでる。これでどうやって戦えばいいんだ・・・。
「ホントどうすっかな・・・まさか涼みに行く為だけに電車賃払う訳にもいかねぇし・・・。」
あいつの家に行くこと自体はやぶさかではないし、向こうでも色々暇は潰せるだろうが・・・いかんせん神奈川から埼玉に遊びに行くのは移動費用がバカにならない。
電車賃だってタダではないのだ。
只今の室内温度四十五度・・・温度計ぶっ壊れてんじゃねぇの?もうサウナじゃねえか。
しょうがない、いつまでも
「ハァ・・・今日はできれば動きたくなかったんだけどな・・・昨日は遅くまで働いてたんだし。」
正直まだ若干寝不足気味だ。しかしこのまま寝転んでたら確実に病院送りになるのが関の山なのも事実。
そうと決まればいつまでもぶっ倒れている訳にもいかない。まだ寝たいと言う体を無理矢理叩き起こし、さっぱりするために洗面台に向かう。
顔だけを洗うのも面倒なので頭から水を被る。服まで濡れて少し後悔した。
タオルで水気を拭き取る時には微睡んでいた意識も覚めていた。
そのまま冷蔵庫に向かっていく。
「先週もそうだったけど今日もホントにヤバいな、『熱中症患者二百人越えて未だに急増中・・・』って昨年程じゃないけどその内追い越すんじゃねぇの?」
リビングにあるつけっぱなしだったテレビのニュースを見て少し引きながら冷えた麦茶を飲む。
そこで気づいた。
今ので最後の麦茶が切れたと。
念のためコンロに置いてあるやかんの中身を見る。空っぽだった。
「・・・茶葉は・・・無いな。帰りに買っておくか。」
デパートに出掛けようという時に気づいてよかった。このまま家に居たら少なくとも明日の晩までは大して冷えてもいない水道水で過ごす事になっただろう。
夜はネトゲで外出したくないし、明日の朝は早い時間からシフトが入ってるので何か買って帰る暇は無いからバイト帰りに買わなければいけなくなる。
そうなれば持って行く物もハッキリしてくる。部屋に戻り、箪笥の引き出しから通帳を取り出し、残高を確認する。
電化製品は無理だが茶葉位ならば問題無い程には余裕があった。
そのまま通帳をバッグに入れ、小銭ばっかり入ってる財布をポケットにねじこみ、メルアドが片手で足りる程しか登録されてない携帯電話を反対のポケットに押し込み準備完了。
扇風機の電源を切り、部屋の電気を消して玄関へ向かう。
「さて・・・行きますかっと。」
八階建てのマンションの一室から出て、鍵を閉める。
三階に住んでるのでエレベーターなどは特に必要性を感じず階段で降りる。
ロビーを出て駐輪場から自分の自転車を取り出す。鍵を抜き忘れていた事に自分の危機感が随分無くなっていることに気づいた。気を付けねば。
邪魔な自転車やバイクを退かして駐輪場から出る。
そして近くに新しく出来たというデパートに向かって漕ぎ始めた。
デパートの隣に建っている銀行から金を引き出し、自転車を駐輪場へ運んで行く。
地下にある駐輪場に自転車を停めた後、そのまま階段から店の中に入っていく。
エレベーターもあったが俺自身も此処に来るのは初めてなので一階から何があるかを確認しながら上っていくつもりだ。
どうやら四階まであるらしい。外から見た時はかなり大きかったので一階一階がどんだけ広いんだと呟いた。
そうする内に店内へと続くドアを開いて進んで行く。
途端に冷房の効いた空気が肌に触れ、マトモに日射しを浴びて火照った体に心地よい快感を与える。
だがこのままだと逆に冷えてしまうのでバッグに入れていたハンカチで汗を拭き取っておく。
「さて・・・これからどうするか。」
茶葉を買いに来た訳でもあるから買い物をするのが普通なのだろうが、俺は今回今日一日の時間を潰す為にやって来たのだ。
始めに茶葉を買ったらそれまでの間荷物がひとつ増える事になる。つまり今より荷物が重くなる。
基本的に面倒臭がりの俺は最後まで楽に過ごしたいのでそれは後回しにする事にした。
しかしそうなれば何処で時間を潰すかだ。買い物は最後にしておきたいし、現在十一時六分。
昼飯を食べるにはまだ少し早い。
「・・・まずは店内の探索だな。店の中身位覚えねーと。」
とりあえずの方針が決まったのでひとまず一階を回ってみる事にした。
どうやら一階には基本的にその辺のデパートと変わらず肉、魚、野菜といった食品に菓子やカップ麺など色んな商品を売っているようだ。
他にも洗剤やトイレットペーパー、日焼け止めに絆創膏を売っているコーナーまである。
「そういやシャンプーも切れかけてたな・・・絆創膏も後少しだったし。包帯は・・・流石にねぇか。」
この前不良と喧嘩したばかりなので医療道具が少なくなったのだ。そろそろ買い占めないと底をつく。
バッグに入ってる手帳に追加の買い物をメモしていく。
「とりあえず一通り回ったし、二階にでも行くか。」
地図を見た所二階は服や小道具、さらに本にゲームなどを売っているらしい。
ちなみに三階は色んなチェーン店が並んでいる。昼飯はココにしよう。
四階にはゲーセンがあるようだ。午後はココで過ごそう。
「思った程退屈する事は無さそうだな。今後は此処を避難所にしよう。」
なんて事を呟きながらエスカレーターへと足を進める。途中カップルを見かけた。爆発してしまえ。
別に俺自身はどうでもいいと感じたのだが、数少ない、と言うよりただ一人の親友と呼べる少女曰く、カップルを見かけたら爆発しろって念じるのが正しい反応らしい。
そんなこんなで二階の本、ゲーム売り場にやって来た。本はほとんど新品だが、奥の方に立ち読みできる中古本があるらしい。
当然立ち読みする為に奥へ進もうとするが・・・。
「・・・あれ?これってあのシリーズの新カード?」
途中のカード売り場で足を止めた。昔から続いてる罠や魔法とモンスターを駆使して闘う大人気の某
よく自分が使っているシリーズの最新カードを見かけ、興味がそちらに向いた。
「へぇ・・・最近こういうのが出てきたんだ。ちょっと欲しいかも。」
結局立ち読みには行かず、しばらく最新パックや売れ残りのカードを漁って気になったカードを買い占め、分別を終わらせた頃にはとっくにお昼時の時間になっていた。
「むう・・・思いの外使える奴等が当たったな・・・。どいつをデッキに組み込むか・・・いや、いっそ新しいデッキでも構築するか・・・?」
ひとまずは整理してバッグに詰めたが帰ったらどうするかを考えながら三階へ向かった。
色んな店があったが、今日は麺類な気分だったのでうどん屋に入る。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「一人。出来るだけ奥の席をお願いしてもいい?」
「かしこまりました。ではこちらへどうぞ。」
まだそれなりに若い店員に案内され、あまり明るいとは言えないようなテーブルに連れて行かれた。
少し照明弱くないか?と思ったが席を指示した手前、口出しする訳にもいかなかった。
「ご注文が決まりましたらそこのボタンを押してください。」
「わかった。」
そう言うと店員は厨房に入って行った。メニューを確認し、これだという食品を探す。
「まぁやっぱりざるだよな。この時期頼むなら。」
と、大して悩む事も無く決めてサイドメニューも天婦羅の盛り合わせというありきたりな物を選んだ。
ちょうどさっきの店員が水を運んで来た。ついでに注文を頼もうと声を掛ける。
「すいません、ざるうどん大盛と天婦羅の盛り合わせお願いします。」
「分かりました。ざるうどん大盛一品、天婦羅の盛り合わせ一品で宜しいでしょうか?」
「ああ、それで頼みます。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
水を置いた後、頼まれた商品を素早くメモに書き写して、また厨房に入って行く店員。
五分後、大きめの器に乗ったうどんにつゆが入った器、海老や大葉といった様々な天婦羅が乗った皿がテーブルに置かれた。
店員は領収書を置いて厨房に戻って行った。
「そんじゃ、頂きます。」
うどんは喉ごしが良く、つゆも濃すぎず薄すぎずでちょうどいい味だった。天婦羅もサクサクとした食感が楽しめ、満足のいく昼食だった。
残らず食べ終え、領収書を手にレジへと向かう。
値段も高いという事も無く、中々いい店を選んだなと心の中で呟いた。
現在午後一時十四分。最後に四階に行って適当に遊ぶかと上機嫌でエスカレーターに向かうと、下の階から怒鳴り声が聞こえた。
「・・・何だ?こんな白昼堂々に店の中で喧嘩か?」
と、冗談混じりに呟きながら野次馬根性さらけだして覗いて見ると、
「ですからこちらの商品はすでに完売しました。申し訳ありませんが、また後日ご来店して頂きたく・・・。」
「ふざけんな!!こちとら汗水垂らしてココまで走って来たんだ!さっきまであったのにもう在庫切れってどういうことだよ!」
「うわ・・・また面倒そうなクレーマーだな。」
随分と騒がしい光景が目に入った。
話を聞く限りどうやらあのクレーマーは最近人気の商品を買う為に二km程先の駅からすっとんで来たらしい。自分の足で走って。
いや、バスかタクシー使えよ。
なんて事思っている内に店長らしき人が出てきてなんとか話し合いの後、後日改めて用意するという事で渋々クレーマーは帰って行った。
「けどまぁ何処にでもこういう奴っているもんなんだな。迷惑だからもう来ないでほしいけど。」
という個人的感想を述べた後、今度はまっすぐ四階へと向かった。
ところ変わってゲームセンター。
どうやらココのゲーセンは他の所とあまり変わらず色んな台が置かれていた。
とりあえずは格ゲーの台に向かう。個人的にスト○ートファイ○ーやキ○グオ○ファイ○ーズといった昔から続いてるゲームは出来ない事は無いがあまり得意ではないのでギル○ィ○アやブレ○ブルーといったコンボゲーの方に足を向ける。
ブレイ○ルーの方が空いてたので、今日はそっちをプレイする事にした。
百円を入れてプレイ開始。
「早く新作出てくんないかなー。絶対あのヒャッハーってしてる奴強いだろ。」
スーツ姿で不思議鎖鎌を振り回している糸目の男を思い浮かべ、操作キャラクターを選択する。
選択したのはガラの悪そうな顔つきの大剣を腰に差した男。文章にすると只の雑魚キャラにしか聞こえないが、一応主人公である。
他のキャラはまだ使いこなしているという訳ではないので基本的にはこのキャラ一択だ。
難易度を最大にして始める。ストーリーはもう全部知っているので飛ばしていく。
「最初はどうしよ・・・やっぱ蹴りで牽制かな?距離とってジワジワ攻めるって手もあるけど・・・メンドイ、蹴りでいこう。」
初手をどうするか悩んだが、戦闘開始の合図が出てきたのでいつもの戦法で攻める事にした。
カウンターを食らった。解せぬ。
「しくったな~。あまり上手くいかなかった。」
現在午後五時半。ゲーセンから出て一階で買い物中。
結局あの後一回もやられずにクリア出来たのだが、上手く技を繋げる事が出来ずグダグダな戦いだった。
やはり久々にやったもんだからどのタイミングで繋げばいいかを中々思い出せない。
しばらくあそこで鍛えるか?と馬鹿な事を考えながらカゴに茶葉を入れる。他の商品はすでに入れてあるので後はレジに向かうだけだ。
「しかしなー、そしたら出費も大分かかるだろうし・・・やっぱやめよう。別に毎日ココに来る訳じゃねぇし。」
ブツブツ呟きながら会計を済ます。後は帰って晩飯の支度でもしてゴロゴロしとけば今日という日は終わるだろう。
地下駐輪場に行って自転車を取り出す。外に出た途端にむわっとした風が吹きこんな空気をまた明日味わうのかと考えげっそりした。
「暑い。ダルい。疲れた。眠い。さっきまで天国(仮)に居たってのになんでこんな目にあわにゃならんのだ・・・。」
帰り道、赤信号に捕まり車道の前で項垂れる俺。まだ家まで大分距離がある。近くと言っても家から一番近いという意味で一km半は離れているのですぐに辿り着く訳ではないのだ。
「あーもう、早くしないと折角買ったアイスが溶けるじゃねぇか・・・あん?」
もう既に表面が液体と化しているアイス(今度は氷菓)を見て鬱になりながら早く変わらないかと横の信号を見ると、何やら揉めている集団を見つけた。
「何してんだ?あいつら・・・っ!!」
集団がいるのは誰も使っていないような駐輪場。周りが高いマンションに囲まれているので外からは見えにくい位置にある。その中心で昼見かけたクレーマーが中学生位の少年に暴力を振るっていた。
「このっ役立たずがっ!てめえあの店だったら手に入るっつっただろうが!何俺に無駄足踏ませてんだっ!」
「べ、別に必ず手に入るとは言ってませ・・・ガッ!?」
「知るかそんなの!!ぶっ殺すぞ!!」
その光景を見て、スゥっと目を細める。そして状況を改めて確認する。
クレーマーは少年に暴力を振るっている。
少年は所々血を流し、倒れている。
集団はクレーマーを含め視認した所五人程度。その全員がその光景をニタニタと笑いながら傍観している。
いや、その内二人は少年を足蹴にしたり髪を掴んだりしているので明らかに共犯だろう。
状況から見るに不良グループとその舎弟といった所だろうか。舎弟から貰った情報をもとにあのデパートに行って、目的の商品が売り切れだったから情報をくれた舎弟に八つ当たり・・・と。
状況解析完了。誰がどう見ても悪いと言えるのは不良グループだろう。
つまり、『少年を助ける為にあの場に向かっても何処も可笑しく無い』
「・・・行くか。」
その場に自転車を停め、まだ変わっていない信号を渡る。端に停めたので通行の邪魔にはならないだろう。
真っ直ぐ駐輪場に向かう。途中で周りを確認する。仲間が近くにいるという事は無さそうだ。
中に入ると流石に気付いたようだ。全員が俺を睨み付ける。
「んだてめぇ?」
「コッチは取り込んでんだ。それ以上近づいたら殺すぞ。」
「・・・」
「オイ、聞いてんのか?」
無言でゆっくり近づく。
「シカトこいてんじゃねぇよ。」
「チッ、もういい。お前ら潰しとけ。」
「ケッ、メンドくせえ。」
クレーマーは少年に向き直り、俺の事は放置したようだ。周りの連中が近づいてくる。とは言え来るのは傍観していた二人だけだ。もう二人はニヤついた顔で此方を見ている。
大方俺がリンチされる所を眺めようとしているのだろう。
「オイコラシカトすんなっつっただろ。」
「ドコに目ぇ向けてんだコッチ見ろ。」
「・・・あぁ悪い。少し考え事をな。」
「あ?ナメてんのかてめぇ?」
「いやいや、別にそんな事・・・」
二人が目の前に来る。その瞬間
ドムッッ!!!
ズガンッッ!!!!
「オガッ!?」
「グゲッ!?」
左の方には腹を、右の方には顔面に拳を叩き込んだ。
「考えているに決まってんじゃねぇかバアァァァアアカ!!」
楽しくて仕方がないと言った顔で笑う。
「んなっ!?」
「てめぇ・・・!?」
二人が驚愕に目を見開き、クレーマーがこれまた驚いた顔して此方を見ている。
「何だよ、今日最高にツイてないって思ってたのにこんな面白イベントがあるなんて神様も粋な事するじゃねぇか!!」
ガンッ!と倒れている二人を思いきり踏みつける。既に気絶しているだろうが念のためだ。
嗚呼楽しい。
こうでなくては。
性根が腐った屑を徹底的に潰すのは本当に楽しい!!
「イイね、イイね、最高だね!!もっと楽しませてくれるんだろうなゴミ共!!」
「ナメんなゴラっ!」
傍観していた二人の片方が我に返り、突っ込んでくる。
が。
「遅ぇよ雑魚が!!」
ゴガッ!!
「ギァッ!?」
拳を避け、髪を掴んで顔面に膝をぶち込む。よろめいた所を横からぶん殴り、吹っ飛ばす。
ガシャァアン!!!
放置されていた廃自転車を巻き込んで盛大に倒れる。手応えからして顎が砕けただろう。
「ヒッ、ヒィッ!」
ここまでされて流石にヤバイと思ったのか、もう一人が逃げ出そうとする。
「逃がすわきゃねえだろ?」
落ちている砕けた煉瓦から手ごろな石を拾い上げ、
ブォン!!
背後に向け全力投球した。
ボゴッ!
「アギッ!?」
見事命中し、激痛にうずくまる片割れ。
そのまま近づいていき、目の前に立つ。
足を大きく振りかぶって、
「や、やめ」
バガッ!!
「ウガッ!?」
蹴り飛ばす。
「命乞いする暇があるんならどうやって相手をぶちのめすか考えろ雑魚。」
呆れて小言を呟く。逃げるんならせめてあのクレーマーを盾にすりゃよかったのに。
「・・・さて。」
足を下ろし、振り返る。
少年の髪を掴み、煉瓦の破片をその顔に押し付けているクレーマーがいた。
ニィ、と笑い、進む。
「ち、近づくな!」
叫ばれ、足を止める。
それを言うことを聞いたと判断したのかニヤリと笑い、続ける。
「て、てめぇが誰だか知らねぇが、コイツを助けに来たんだろう?コイツを傷つけられたくないならそこを動くな!」
破片をさらにグッと押し付けられ、少年が顔を青ざめる。
その光景を見て俺は、
さらに笑みを深めた。
「は・・・?え?」
てっきり苦い顔でもするかと思っていたのか、狼狽えるクレーマー。
「わりぃな、別に俺はそいつと知り合いでもねぇし苛められているから助けてやろう!って正義感溢れるヒーローでもねぇ。ただ単に性根が腐った悪党がいたからぶちのめす。正直そいつがどうなろうと知ったこっちゃねぇよ。」
こんな返答をするとは思わなかったのか、ポカンと間抜け面を晒すクレーマー。少年も唖然としている。
やがて俺の言った事が理解出来たのか、顔を真っ赤にして喚きだすクレーマー。
「ふ・・・ふざけんな!!だったら何でこんな真似すんだよ!」
「ん?何でって言われても・・・」
特に使命感とかも感じないし、金が手に入る訳でも無い。強いて言うなら・・・
「面白そうだからって事位しかねぇけど?」
無駄話を打ち切り二人に突っ込む。
急に動き始めたからかクレーマーがどうするか一瞬躊躇する。すぐに少年を放り出し、破片を俺の方に突きだしてくる。
悪くない判断だ。少年が人質にならないと分かり、持っていても邪魔でしかない少年を捨てて直接俺に武器を振るう。平和ボケした現代人が一瞬でここまで考えるとは大したものだ。俺?ちゃんとした現代人だけど?
だが合格にはほど遠い。
ボガッ!!
「ガッ!?」
難なく破片を避け、すれ違いざまに顔面に一撃入れて終了。
「・・・あ?何だ、もう終わり?・・・クソつまんねぇ。」
一発でのびたクレーマーに蔑みの眼差しを向けながら頭を踏みつける。
一応ボスキャラの位置にいるんだから三発位は耐えて欲しかった。
いや、そもそもこのグループ自体がショボイ。どいつもこいつも非情さが足りない。
まず最初の二人。いちいちメンチ切る暇があるんならその時点で殴りにかかればよかったのだ。何故に相手に先制攻撃を許す。
次の二人。先に突っかかって来た奴は突っ込む前にもう一人を正気に戻すべきだった。せっかく集団というメリットを持っているのだからそれを活かせば勝機はあっただろうに。もう一人はさっき言った通り逃げるんならクレーマーを盾にすりゃ少なくとも時間は稼げた。そしたら出来る事も増えた筈だ。それでも逃がす気ねぇけど。
最後にクレーマー。少年を放り出すなら、俺に向けて投げればよかったのだ。そしたら盾にもなるし時間稼ぎにもなる。人質をとったという事は相手は自分より強いと無意識的だろうが意識的だろうが理解した筈だ。マトモにやり合うのは得策じゃあない。プライドの問題もあっただろうがそれでもだ。
結論から言うとまるでなってない。不良失格。
「馬鹿馬鹿しい。不良になりきれない奴が何背伸びしてんだか。」
「あ・・・あの・・・。」
「あ?あぁ、すまん。すっかり忘れてた。」
「い、いえ。別にいいです。」
おずおずと少年が話掛けてくる。いかん、本気で忘れてた。
「それよりも・・・助けてくれてありがとうございます。」
「いいよそんなん。さっきも言ったけど別にお前がどうなろうがどうでもよかったし。」
「そ、そこまでハッキリ言われると流石に傷つきます・・・。けど、それでもです。助けてもらった事には変わりはないですから。」
「はぁ・・・ならその礼、頂いておきましょうかね。」
「そうしてください。」
にへら、と少年が邪気の無い顔で笑う。なんつーか・・・何故不良の舎弟のような立場にいるのが不思議だ。いや、だからこそ、か?
考えかけてすぐにどうでもいいかと打ち切る。
「んじゃ、暇潰しも終わったし、俺もう帰るわ。」
「ひ、暇潰しって・・・随分過激な暇潰しですね。」
「喧嘩だってゲームと同じだ。要は楽しみゃいいんだよ楽しみゃ。」
「そ、そうですか・・・。」
なんだろう。何やらドン引きされている気がする。
いいや、帰ろう。もうやる事無いし。
「じゃーな。帰ったら傷の手当て頑張れよー。」
「あ、ハイ。・・・あの、本当にありがとうございました!」
手をヒラヒラ振って駐輪場を後にする。もう六時を越えている。早く帰って晩飯を作らねば。
自転車のカゴに入れておいた買い物袋の中では完全に溶けたアイスがあった。せっかく買った氷菓が・・・。
「てれーまー。」
誰も居ない家に律儀に声を掛ける俺。
電気を付け、今日の戦利品をリビングに放り出す。アイスは冷凍庫にでも入れよう。氷菓だから凍らしゃ食える筈。
「あー疲れたー。もう寝たい。だが晩飯を抜く訳にもいかねぇ・・・。メンドくせぇなー。」
後はいつも通り。愚痴りつつも夕飯の支度をし、そのまま食事開始。食器を洗い、風呂を沸かし、その間に買った品物を仕分ける。お湯を張ったらすぐさま入る。
流石にカードのデッキ構築を考える体力は無かった。考えるというのに体力とはこれ如何に。
風呂から上がってお湯を抜き、部屋に戻って扇風機をつけたのち、ベッドに倒れこむ。
そうしている内に現在午後十時半。
「もう駄目だ・・・。ネトゲーやる気力もおきねぇ・・・。このまま寝よう・・・。」
と、夢の世界に旅立とうという時、
テロリン♪テロリン♪
・・・何やらメールが届いてきた。
「・・・誰だ、こんなクソ疲れている時に・・・。」
渋々携帯を取り、確認する。もし爺さんだったら無視して明日文句言ってやろう。
『泉こなた』
ガバッと起き上がりすぐにメール内容を開く。
たった一人の親友からの伝言は以下の通りだった。
『件名:まだ起きてる?
本文:やほやほー。お久しぶりー。って別にそんな久しぶりって訳でも無いか。いつもネトゲーで会ってるし。
それはそうとして今日はどしたの?いつもの時間になってもINしてないし、今日ってバイト休みだったよね?
どこか体調でも悪くなった?もしそうならお見舞いしに行こっか?異論は認めん!
けどまあそうじゃ無くても体は大事にね。このはは時々無茶するんだから。読んでたら返信ヨロシク。』
「・・・全く、いつも唐突だなオイ。」
呆れつつも俺は笑っていた。
この少女はいつもこうだ。急に興味を持つかと思えば、無関心になったり。無関心かと思えばどことなく気にしている。
今だってどうでもよさげに状況を聞いてきてさりげない心配が見え隠れする。
返信を打ち込みながら俺はずっと笑い続けた。そして思う。
あの時、彼女に出会って良かったと。
今の自分がこうした生活が出来るのも彼女が居たからだ。
彼女が居たから祖母と仲直りが出来た。
彼女が居たから祖父と憎まれ口を叩き合う事が出来た。
彼女が居たから一人暮らしをする事に許可が下りた。
慣れない暮らしで躓いた時も彼女が励ましてくれた。
彼女には助けられてばかりだ。
・・・本当に、
「ありがとうな。こなた。」
そして、今日が終わる。
これが夜桜このはの日常だった。
・・・如何でしたでしょうか。
作者はこういった小説は初めて書くので色々と可笑しな所があったと思います。
もし感想をくれるのであればそういった所の指摘を教えて下さると嬉しいです。
ご不満が無い方々はこれからもこのような駄文にお付き合い下さい。