幸運の一番星に憧れた者   作:大夏由貴

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投稿が遅れました。申し訳ありません。


五話目 正義の味方と戦闘狂

こなた達が帰って四日が経った。

あれからこの夏休み中での方針も決まり、警戒隊を探してしばく日々を繰り返しているある日の事。

 

「・・・は?じゃあみゆきってお前の幼馴染みだったのか?」

『・・・はい、みゆきさんの家は私の家の向かい側にありますから。・・・このはさんにも時々話しましたよ?』

「あ~、だからあいつの名前聞き覚えがあったのか。」

 

現在午前十一時二十三分。俺は妹分(俺が勝手に決めた)である岩崎みなみと電話で話していた。

あの日、帰った後に写真をプリントしたのはよかったが、こなたに送った後にかがみ、みゆきに俺のメルアドを教える事になったのだ。つかさはいいのかと聞いた所、まだ携帯を持っていないとの事らしい。

お互いのメルアドを登録してしばらく話し終わった時には既に夕方。みなみを無駄話に付き合わせるような時間でも無かったので後回しにしていたらすっかり忘れてしまった。

 

「そういやお前この前超唐突なメール送ってきたけど結局あの後どうなったんだ?」

『・・・?・・・ですからその子に文句を言われて終わったと・・・』

「違う違う、お前がだよ。ちゃんと眠れたのか?」

『・・・!・・・わ、私はそんなに子供ではありません・・・!』

「そうか?気になって眠れないんじゃなかったのか?」

『・・・あ、あれは気の迷いといいますか・・・打ち間違いです・・・!』

「そうかい、じゃあそうしときましょうかね。」

『・・・こ、このはさん、からかわないでください・・・。』

 

みなみが困ったように答える。やめろよ、もっといじりたくなるだろうが。

 

『・・・そ、それよりこのはさんに聞きたい事があるんですけど・・・。』

「なんだ?喧嘩のイロハならみっちり叩き込んでやるぞ?」

『・・・違います、そうじゃなくてこのはさんが言っていた警戒隊っていう隊の事で・・・。』

「あぁ、あいつらの事か。」

 

そういやみなみには昔何回か話したんだっけ?けどなんで今更その話題が出てくる?

 

『・・・その人達って今も幾つかのグループに分かれて何処かにいるんですか?』

「・・・?なんでそんな事知ってんだ?」

『・・・実はこの前駅で十二人位の人達が集まっていたんですけどその内の一人がそんな事を・・・。』

「・・・あいつら本当に十二番隊までいたんかい。」

『・・・い、いえ、まだ全員が隊長って決まったわけではないので決めつけるには早いかと・・・。』

「で?その後どうなった?」

『・・・「総隊長に感付かれたのでほとぼりが冷めるまで三番隊と四番隊の人員を最低限に減らす」と言ってました。』

「・・・三番隊以外にもまだ神奈川(ココ)にメンバーが配置されてたのかよ・・・。」

『・・・えっと、このはさん、大丈夫ですか?』

「大丈夫だ、問題無い。有力な情報の提供に感謝する。」

『・・・いえ、たまたま見かけただけですし・・・。』

「それでもだ。これでしばらく大人しくすればまた馬鹿共がやって来るって事が分かったからな。」

『・・・また喧嘩ですか?』

 

電話口から心配そうな声が聞こえてくる。相変わらず心配性だなコイツは。

 

「なんだよ、まさか俺があんな奴等に遅れをとるとでも思ってんのかお前?」

『・・・いえ、警戒隊の人達も不憫だなと。・・・一応味方の筈なのに。』

 

そっちの心配かい。

 

「余計な行動さえしなけりゃ俺だって手は出さねぇよ。」

『・・・敵対勢力の排除ってどう考えても友好的な行動だと思うんですけど・・・。』

「俺にとっちゃ不粋な真似だ。命令した時だけ実行してくれればいい。」

『・・・それならそう命令すればいいのでは?・・・このはさんがリーダーなんですから。』

「メンドイ。とりあえずもうしばらくは罰として狩らせてもらう。その方が面白いし。」

『・・・相変わらず喧嘩が好きなんですね。』

「一番好きなのは屑を叩き潰す事だ。」

『・・・そんな事を誇らしげに言わなくてもいいです。』

 

ハァ・・・と溜め息が聞こえる。なんだよ、聞いてきたのはそっちだろ。

 

『・・・大体どうしてそんなに喧嘩をする事が多いんですか?・・・普通不良ってそんなに遭遇する事なんて無いでしょう?』

「これでも昔よりかは減っているぞ?今はその原因を叩いている所だ。」

 

まあある程度楽しんだらその内ちゃんと連絡するつもりだけどな。それまでは俺の暇潰しとなってもらおう。

 

『・・・もう少し自分の体を大事にしてください。』

「ククッ、まさかお前にそんな事を言われるなんてな。その言葉そのまま返すぜ、もう少し自分の体を大事にしろ。」

 

一瞬の空白。それだけでみなみがビクリと肩を震わせたのが手に取るように分かる。

 

『・・・なんですか、いきなり。』

「しらばっくれんな。この前のメールの餓鬼、どうやって助けた。」

『・・・。』

「お前の事だ。大方自分も飛び出して車がぶつかる前に連れ出したって所だろ。」

『・・・はい。』

「その場面で躊躇しないのはお前の美点でもあるけどな?同時に欠点でもある。正義感溢れるのは結構だがそれでお前が倒れたら悲しむ人がいんのを忘れんなよ?」

 

しばらくの静寂。不意にみなみが『質問』をしてきた。

 

『・・・肝に命じておきます。・・・でもこのはさんこそ無茶はしないでくださいね?』

 

ーこのはさんならそんな時はどうしますか?

 

「そん時は遠慮なくこなたかお前にSOSを出すから問題無い。」

 

ー信用できる奴等に助けてもらう。

 

『・・・多分すぐには助けれませんよ?』

 

ーどんな時だろうと助けが来るのは時間がかかりますし、必ず助けてくれるとは限りませんよ?

 

・・・随分間抜けな事を聞いてくるなコイツ。それならどうするかなんて分かりきっているだろうに。

 

「なら助けてくれるまで持ちこたえればいいだけだろ?」

 

ーやらないよりかはマシだし、友人を信じないでどうする。

 

『・・・それもそうですね。』

 

みなみがクスリと笑ったのが分かった。まあこれで何かが起こっても自分一人でなんとかしようとは考えない筈だ。困った時は助けてもらうのが一番だし。

 

『・・・すみません、そろそろお昼ご飯の時間なので切りますね。』

「おう、朝から急に悪かったな。」

『・・・いえ、久しぶりにこのはさんと話せて面白かったです。』

「そいつは良かった。お前も暇だったらたまには連絡してくれてもいいぞ?」

『・・・では次からは出来るだけそうしてみます。』

「・・・つっても夏休み終わったら流石に真っ昼間には無理かもしれねぇけどな。」

『・・・フフッ、じゃあその間に沢山お話でもしますか?』

「お好きにどうぞ。俺基本的に暇だからいつでも歓迎だぜ?」

『・・・一応バイトもあるんですからそっちをサボったりしてはいけませんよ?』

「当然だ。俺はまだ此処(マンション)から追い出されたくねぇよ。」

『・・・そうですか、それはよかったです。』

「それじゃ、またな。」

『・・・はい、また今度。』

 

通話を切り、俺もそろそろ昼飯を作るかと思いキッチンへ向かった。今日は何を食おうかね?

 

「・・・久しぶりに少し高級な食事にでもするか。」

 

あのブルジョワと話してたら無性に高そうな奴が食いたくなってきた。今日位は贅沢するか。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

受話器を置いて「ふぅ・・・」と息を吐く。

あの人と話したのは本当に久しぶりだったから少し緊張してしまった。いきなり「暇か?暇なら駄弁ろうぜ。」なんて言ってきた時には一瞬夢でも見ているのかと思い、頬をつねりかけた。

 

「みなみ~、ご飯よ~?」

「・・・うん、今行く。」

 

お母さんに呼ばれ、リビングに足を向ける。リビングに入ったらチェリーが入り口のすぐ側で寝そべっていた。

 

「・・・チェリー、ご飯の時間だから起きて。」

「・・・。」

「・・・チェリー、起きて。」

「・・・ワウ。」

「・・・。」

 

一回鳴いただけでその場から微動だにしないチェリー。

・・・なんでいつも私の言うことを聞かないんだろう。他の人の話ならちゃんと聞くのに・・・。

無視されて沈んだ気分のまま席につく。既にテーブルにはお昼ご飯が並んでいた。

 

「相変わらずチェリーはみなみの言うことを聞かないわね~。」

「・・・何がいけないんだろう・・・私、嫌われてるのかな・・・。」

「それはないと思うわよ?嫌われてるなら近づいただけで威嚇するんだから。」

 

お母さんが苦笑した後、二人で「頂きます」と合掌してご飯を食べ始める。

 

「随分長い電話だったわね?お友達からかしら?」

「・・・ううん、少し知り合いの人から話があったから。」

 

今日のお昼ご飯はミートスパゲティー、サラダ、コンソメスープのようだ。まずはスープを手に取り一口飲んでいく。

 

「あら、もしかして愛しの夜桜君かしら?」

「・・・ッ!?ゴホッ、ゴホッ!!」

 

突然の発言に驚き、むせてしまう。『いきなり何!?』と言おうとするけどまともに呼吸が出来ず、しばらく喋る事が出来なかった。

ようやく落ち着いた時にはスープが殆ど冷めていた。ひとまずティッシュを取り出して口元を拭いていく。

 

「・・・お、お母さん、愛しのって何?」

「あら?違ったかしら?」

「・・・ち、違う。別にこのはさんとはそういう仲じゃない。」

「そうなの?この前家に来た時はあんなに嬉しそうだったのに。」

「・・・た、確かにそうだけどそれはこのはさんに日頃のお礼が出来たからで・・・あの人そういうのって中々受け取らないから・・・。」

 

お母さんが微笑ましげに私を見ながら問いを投げてくる。戸惑いながらもなんとか返答していく私。

聞いてきたのがお母さんで良かった。これがゆかりさんから聞かれたのならそこから絶対にいじられるのが容易に想像出来る。

 

「・・・それにそもそもこのはさんはもう好きな人がいるみたいだから。」

「そういえば家に来た時もお友達の女の子の事をとても誉めていたわね。」

 

そう。あの人と話せばかなりの確率でその『お友達の女の子』の話が出てくるのだ。話を聞けば聞くほどあの人は本当にその『女の子』が好きなんだなという事が分かる。

 

「・・・大体このはさんを尊敬しているのは確かだけどそういう目で見た事は無いよ。」

「そうなの?意外とお似合いだと思うのに。」

「・・・お、お母さん、からかわないで。」

 

改めてスープを飲むようにして器で顔を隠す。多分今、私の顔はかなり赤くなっているだろう。

 

そうやって雑談しながら昼食を食べ終え、食器を片付けた後に部屋に戻る。

ふと、机を見たらある一枚の写真が飾ってあるのが目に入った。

それには慌てている私と私の肩に腕を乗せて不敵に笑っているあの人の姿が写っていた。

 

(・・・そういえばこのはさんと出会ってもう一年も経つのか。)

 

写真を手に取り心の中で呟く。初めてあの人に出会った時はひたすら混乱したのを覚えてる。なにせ突然やって来て不良達を薙ぎ倒したのだからどうやって対応すればいいのか分からなかったのだ。

そのまま帰ろうとしたあの人を慌てて引き留めたは良かったが、咄嗟に出てきた台詞があの人の行動にかなり否定的な言い方になってしまい、更に慌てた。

けどあの人は特に不快感を感じなかったのか、逆に私の話を正面から聞いてきた。

 

(・・・今思えばあの時に否定的に話しかけたからあれからもこのはさんと関われたんだろうな。)

 

何回か話して分かった事だけど、あの人はどんな事にしろ兎に角面白さを求めている。

言ってしまえばあの時、お礼を言ったり怖がったり等、そういう『当たり前の行動』をしたら途端に興味を無くしたりするのだ。

改めて考えると中々面倒な性格をしている。そんな性格をしているからか、あの人には一般人の友人どころか知人すらいない。あの人の知り合いは皆何処か個性的な部分があるのだ。

 

(・・・私もそう思われているのがちょっと複雑だけど。)

 

確かにいつも無表情だけどそう言われたら少し落ち込んでしまう。今度表情を変える練習でもした方がいいのだろうか。

 

(・・・けど多分、どちらかというとあの人は私の性格の方に興味を持ったんだろうな。)

 

ふと、あの日あの人に言われた台詞が頭に思い浮かぶ。

 

 

『お前面白いな。まさに正義の味方って称号がピッタリだ。』

 

 

(・・・正義の味方、か。)

 

正直に言うと大袈裟としか思えない。別に私なんかよりもその称号が似合う人なんて他にいくらでもいるだろうに。

けどあの人は他でもない私にそんな大層な称号を与えた。その理由は今でもよく分からない。

 

・・・だけど、

 

(・・・だけど、このはさんにそう思われているなら、これからもそう思われるように頑張ろう。)

 

そう改めて決心する。きっと、その方が後悔しないだろうから。

写真を元の場所に戻して出かける準備をする。今日はチェリーと散歩する日だ。いい天気だからチェリーも喜ぶだろう。

 

(・・・また、このはさんに会いたいな。)

 

少しだけ口許に笑みを浮かべて玄関へ向かって行った。今日はなんだか良いことが起きそうだ。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「どういう・・・ことだ・・・?」

 

今、俺の目の前に有り得ない光景が広がっている。何度も目を擦っても俺が見る光景は変わらない。間違い無くこれは現実だ。

しかしどうしても信じられず、混乱しかける。必死に思考を混雑させないように現状を再確認する。

 

襲いかかる敵の軍勢、対して此方の戦闘員はたったの三人。

 

戦場は平地で逃げ場なんて何処にも無い。

 

それでも俺達は決して諦めない。どれだけの敵が襲って来ようが隅から隅まで叩き潰す予定だ。

 

・・・そう、本来なら。

 

「・・・やはり、これが現実か。」

 

力無く項垂れ、もう一度前を向く。

 

目の前には共に戦う戦友の二人。片方の少女はこれから始まる戦争を前にして己の武器の最終確認をしている。

 

彼女はこの世界で英雄と呼ばれても可笑しくない強者だ。彼女が立てた数々の武勳は最早伝説となっている。

 

そんな彼女もこれから望む戦いは厳しい物だと感じているようだ。次々と取り出していく装備品はどれも最強と呼ばれる品々。彼女の気合いの入れようが伺える。

 

そして、すぐ側にいる『元凶』を見る。

 

そこには一人の女性が立っていた。

 

この女性も少女と同じく圧倒的強者だ。彼女が操るのは一撃で大軍を滅ぼす大魔術。この人がいるだけで殆どの戦いは有利に進められる。

 

だが、その大魔術師である彼女は虚空を見つめたまま動かない。もうすぐ敵が襲って来るというのに微動だにしない。

 

少女の方は準備が終わったのか、こちらへやって来る。

 

「・・・。」

 

女性に回復薬を差し出す。戦闘では欠かせない一品だ。しかし女性は動かない。

 

女性に補助系のマジックアイテムを差し出す。これで戦闘を有利に進められる。それでも女性は動かない。

 

女性に伝説級の武器を差し出す。ぶっちゃけ今回の戦闘では使う場面なんて全く無いが彼女が欲しがっていた一級品だ。やっぱり女性は動かない。

 

・・・もう疑う余地も無い。彼女は、この人(黒井さん)は・・・

 

 

『・・・ぐがー・・・ぐがー・・・』

「このタイミングで寝落ちかよおおおぉぉぉおおお!!!」

『・・・みたいだね。ほら、このはも準備して。』

 

 

・・・爆睡していた。戦闘イベント真っ最中に。

只今現在ネトゲーをプレイ中。時刻は午後十一時六分。

俺、こなた、黒井さんの三人で限定イベントに行こうという話があがったのはつい昨日の事。三人だけとはいえ全員レベルは充分高いので計画通りに動けば問題は無かったのだが、今からクエストが始まるという時に黒井さんがまさかの寝落ちをしてしまった。

 

「つーかなんでココで!?せめて平地エリア以外で落ちてくださいよ!え、コレどうすんの?まさかこの人庇いながらコイツら全滅させろと!?」

『それしかないでしょ。一人でも死んだらクエスト失敗だし。』

「ざけんなゴラァッ!!このクエスト黒井さんの火力が頼みだったんだぞ!?前衛二人でチマチマやってたら日付が変わるわ!!」

『まあ今更転職なんて出来ないし、出来たとしても魔法職用の装備は全部ホームに預けちゃってるしね~。』

「呑気に言ってる場合か!?折角のプランが台無しじゃねぇか!!こなた!お前一発逆転系のマジックアイテムってどれくらい持ってる!?」

『う~ん、全部黒井センセ任せだったから二、三個位しか無いね。』

「・・・一応聞くけどそれって攻撃系?」

『いんや?防御系だけど?』

「ですよね畜生!!やっぱり物理で殴るしかないのか!!」

『それじゃ、私センセ守るから殲滅ヨロシク。このはの方が範囲攻撃強いし。』

「いや手伝えよ!?ていうか手伝ってくださいお願いします!!」

『ほら、もう進軍してきたよ~。一応回復薬は腐る程あるから体力調整位はするよ。だからガンバってね。』

「無情な死刑宣告!!だああもう、やってやるよ!!絶対勝ってやる!!」

 

蘇生薬が使えない事に苛立ちながら現時点での最強装備に切り替える。明日黒井さんに消費した分のアイテム要求してやる。

そうこうしている内に戦闘開始の合図が出てきた。来やがれ、片っ端からぶちのめしてやる!!

 

 

 

 

 

~一時間後~

 

 

 

 

 

「お・・・終わった・・・。」

『お疲れ~・・・。流石にキツかったね・・・。』

 

最後の敵に必殺技を叩き込んでこの戦闘に終止符を打つ。ホントに疲れた・・・もう二度とやりたくない。

 

『・・・ごがー・・・ごがー・・・』

「・・・いい加減腹立ってきたな。こなた、ちょっとこの人PK(プレイヤーキル)してもいいか?」

『どうどう、明日色々アイテム貰うから落ち着こう。』

「ハァ・・・この人何もしていないのに報酬を貰えるっていうのがマジで納得いかない。」

『いいじゃん、私達はその分経験値稼げたんだから』

「そう思わないとやってらんねぇよ。」

 

消耗品は殆ど無くなった。中にはレアドロップでしか手に入らない物もあったので出来ればそれらを中心に貰いたい。

 

「じゃあそろそろ俺落ちるわ。いい加減寝たい。」

『そだね~。私も今日はもう切り上げるよ~。』

「ああ、お休み。」

『お休み~。また明日会おうね~。』

 

お互いサイトを閉じてパソコンの電源を切る。そのまま寝たいがその前に喉が渇いたので冷蔵庫に向かって麦茶を取り出す。コップについで飲み干したらコップはシンクに入れた後麦茶を冷蔵庫にしまって部屋に戻る。コップは明日の朝に洗おう。

だが、部屋に戻ってそのままベッドで寝ようとした時、

 

ガッ!

 

「・・・おわっ!?」

 

ゴシャアッ!

 

・・・椅子に足を引っかけ、盛大に転んだ。机の一部を巻き込み、色んな本がこぼれ落ちる。

なんだろう、今日は厄日なのだろうか?あ、もう今日じゃなくて明日だ。

 

「痛ってぇ・・・あん?」

 

うつ伏せの状態から起き上がり、落ちた本を片付けようとした時、ある一冊に目がいく。

広げた所、今まで撮った写真が入ってる写真集だった。

 

「へぇ、懐かしいな。コレって中学の頃のヤツじゃねぇか。」

 

ページをめくっていき、色んな写真を見る。中学三年の時まで撮ってきたのが入っている。確か他にもこういうのがあった筈。この前こなた達と一緒に撮った写真も飾りたいのでついでに探していく。

 

「えーっと、確か高校からのヤツは青い表紙だった筈・・・。」

 

写真集を探し出し、空いてる部分を探す。丁度半分辺りの所に空きスペースがあったので引き出しから例の写真を取り出して丁寧に入れていく。

満足して閉じようとした時、あるページに挟まっている写真が目に入った。

 

「・・・あぁ、あの時の写真か。」

 

それにはニヤリと笑っている俺と慌てているみなみの姿が写っていた。随分と懐かしい。あれからもう一年経ったと思うと時代の流れを感じる。

 

「いや~、それにしてもコイツ慌てすぎだろ。たかが肩に腕置いただけだろうに。」

 

正直ここまで慌てる理由が分からない。やっぱり女子はこういうのは結構気にするのだろうか?

 

 

その後も写真観賞していたらいつの間にか三十分も経っていた。ヤバイ、明日バイトあるから休まねぇと。

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