原作との矛盾やおかしな点が有れば指摘お願いします。
かなり時間がかかると思います。
(足りない……何かが足りない……)
電車に座りながらゲームをする男が心の中でつぶやく。
現在は17時37分。
男の通う大学の講義も終わり、疲れた体で家路につく最中だ。
(足りない……何をしても……)
ゲームをしても、本を読んでも、バイトをしても男の心にぽっかりと空いた穴はふさがれなかった。
携帯のフォト機能を起動し写真を見る。
高校最後の日、自分の親友と撮った写真。
「やっぱ、お前がいないからか?」
そう言って写真の自分の友人の顔をなでる。
自分とは別の道を踏み出した親友、夏休みも終わり結局彼と会うことは出来なかった。
だいぶ疎遠になっているのを感じた。
(ああ、明日の講義の準備しなきゃ……)
生きる実感も持てずただ浪費していく日々……
電車が終点に付き男は立ち上がる。
「え!?ここ何処だよ!?」
電車のドアから外に出たと思ったらそこは知らない森の中。
都会に住んでる男にとって初めて見る自然の姿。
「なんで?どうして?」
混乱しながらも携帯で助けを求めようとするが、残酷な「圏外」の文字。
携帯という現代ツールが無くなっただけで、一気に不安な気持ちが押し寄せる。
「クソ!どうして俺が!」
暗い森の中を見回す、少し離れたところに人影が見えた。
他人の存在が、男の心に一筋の希望を与える。
(助かった!)
「おーい!そこの人!」
男は人影に向かって声を掛けながら近づくが……
「え……ひいい!」
それは人ではなかった。
一言で言えば猿なのだろう、しかしあらゆる面が男の知っている猿と違った。
180cmを超えるだろう肉体に毛むくじゃらの身体、腕は異様に長く細いそして両目は黒目白目無くとにかく真っ赤そして
「う……うわあ!」
男は一目散に走り出す。
足に何かが引っ掛かり転倒する。
確認すると足には棘の付いた植物のツタが絡みついていた、一つおかしいとしたらそのツタ一本一本が動物のように脈撃っていた事だろうか。
ツタが集まり卵のような楕円に姿を変える。
真ん中に人の歯のような物が形成される。
男はいとも簡単に持ち上げられる。
夢であることを期待したいが、足に絡みつくツタの痛みがその希望を打ち砕いた。
「なんだよ、くそ……!!」
森の奥から今度は黒い半透明の板が音もなく滑ってきた。
現代オブジェの様な向こうが透けて黒い透明な板、板の中には歯車が回っているが明らかに容量の体積がおかしかった。
写っているといった方が正しいのか、そのオブジェの中に人の頭がい骨が浮かび上がった。
「……ワハハハハ……」
酷く、くぐもった声で頭がい骨が笑い声をあげた。
こちらをあざ笑うような声だった。
それが合図だったのか、謎の存在達は一斉に動きを開始した。
ツタが皮膚を引き裂き、猿が骨を掴んでへし折る、半透明の板はひたすら笑続ける。
痛みはすぐに失われた。
男はただ自分が食われていることを理解していた。
血が流れる感覚がする、ツタが流れた血を絡め取った、肋骨を猿が奪いとったのを感じた、返せと腕を伸ばすがもうすでに腕自体なかった、半透明の板の笑で自分の魂が削られるのを感じた。
(ふざけるな……ふざけるなよ!それは俺のだ!返せ!俺のだ!俺の血だ!1滴たりともやるもんか!ふざけるな!お前が食ってるのは俺の……俺の肉だ!0.000001グラムだろうと渡さねえ!全部俺のモンだ!てめーがしゃぶってるのは俺の骨だ!奪うな!それは俺の骨なんだよ!気安く触るな!全部!全部俺のだあああぁあぁぁっぁぁぁあ!)
もうすでに声さえ出ないのをわずかに理解した。
満身創痍、ただ死を待つだけの身体で男はこの世に存在していた。
しかし怒りと生きる事に対する渇望が全身に満てていた。
「z9e,t@eq@ rf@ode」
突然聞いたことのない言葉が男の耳に飛び込んできた。
まだかろうじて動く瞳をその言葉の言葉の方に向ける。
そこには新たに見た事ない存在が立っていた。
全身を覆うコートに顔が見えているが生身の部分が無く真っ黒なモザイクのようになっている。(ここでは謎の男と表記する)
謎の男が再度話しかける。
「eg.bst@,t@et」
相変わらず何と言ってるのかわからない。
だが……
謎の男は他の生き物を透過して、男を真上から覗き込んだ。
「俺は死にたくない!俺は絶対に生き延びて見せる!」
男がそう怒鳴りつける。
心なしか謎の男が笑った気がした。
そして謎の男がわずかに崩れ、男の身体に何かが流れ込んだ。
その瞬間、血が、骨が、肉が、魂までもが奪われていった物すべてが逆流するのを感じた。
「eec@b;w@9yf@y/q@」
謎の男が何かを言っている。
そして最後に。
「c4c4bbkbsf@f……じゃあな、グットラック!」
はじめて理解できる言葉を残し消えて行った。
それと同時にこの男の意識も消えて行った。
「う?どこだここ?」
男が再び意識を取り戻したのはすっかり日がのぼってからだった。
昨晩の事を思い出し、慌てて自分の身体をまさぐる。
「どうもない……なんだったんだ?」
昨晩の事は夢だったのか?
しかし男はまだ見た事もない森の中に居る。
「とにかく、人の住んでいそうなところを探してみないとな……」
男は自身の足で歩き出す、おかしな話だがその顔はここに来た時より幾分イキイキとしていた。
何時もはもっと明るい作風です。
作中に出てくる言葉は意味がちゃんと存在します、暇なら解読してみてください。
あまりお勧めしませんが……