東方生迷伝   作:ホワイト・ラム

16 / 37
闘争本能は消えない。
見て見ぬふりをしているだけだ。
だがここなら好きに発して構わない!!
さあ、本能のままに戦おうじゃないか!!


真実にたどり付け3

龍我の勝利に会場がドッと沸く。

『タダのニンゲンが妖怪に勝利した』こんなことは滅多になかった。

 

「よう、夜城!!勝って来たぜ、ほら賞金」

観客席に帰ってきた龍我が分厚い封筒を投げ渡す。

「わわ!こんなに受け取れないって!」

狂弦の賭けた龍我の一人勝ちは大穴だった、そのため狂弦自体もなかなかの金額を得ていた。

これ以上の金は不要、さっさと立ち去りたいが……

「ここは妖怪の山だぜ?一回勝ったぐらいじゃ帰してくれねーよ。アイツらは勝負ごとにはトコトンやる気出すぜ?現に俺は今ご指名が来ている。最悪その金、治療費で消えるかもな」

笑ながら再びステージに向かう。

「お前はお前のやるべきことをやれ!!」

最期に龍我はそう言い放った。

「やるべきことか……」

渡された現金を持ってコロシアムから出る、目指すはコロシアムの横の建物。

 

 

 

「すいませーん。此処ってゲームできます?」

狂弦が入った建物は薄暗い遊戯場。

サイコロや花札、トランプゲームに珍しいスロットなどが狭い空間に敷き詰められていた。

(嫌な空気だ……他者を蹴落とす事に夢中なんだな……)

そのまま奥に進んでいく。

「あれぇ?人間なんて珍しいね?刺激に飢えたタイプかなぁ?」

従業員と思わしき白狼天狗が話しかけてきた。

偶に黒い髪が混ざった珍しい姿をしている。

言うまでもないがこちらをカモる気は満々だ。

「……ああ、試しに遊んでみたくてね」

「じゃあこっちに来なよ?でっかく遊んで儲けないかい?」

案内され施設の一番奥まで連れて行かれる。

そこには少し高い舞台とその目の前に赤いテーブルクロスが敷かれたテーブルが有った。

「ここはVIP専門の場所、何時もならあそこのステージで厄神さまが踊ってるんだけど……今日は居ないみたいだね……まあ、いいやポーカーしようよ?」

此処まで連れて来た天狗が笑う。

「いいよ、やろうか」

 

 

 

闘技場の上に上がる龍我。視線の先には一人の天狗。

「光栄ですね。私の挑戦を受けてくださるなんて」

天狗の名は写命丸 文。幻想郷最速の天狗で有る。

「天狗と戦ってみたかったんだ、むしろこちらが礼を言うべきだ」

そう言いながら肩を回す龍我。

「いけませんねぇ、人間風情が雑魚の河童一匹倒しただけで粋がるなんて……二度と外を歩けなくなるくらい、恥ずかしい負け方をさせてあげます!!」

その瞬間写命丸の姿が消える!

「チッ!マジに速ぇ!!」

即座に判断をし、右に躱すが……

「遅いですね……眠ってしまいそうです」

写命丸の蹴りが龍我の腹にめり込む。

「が……ブッ!!」

「惜しいですね~このまま吐いてくれれば、かなり情けない姿を皆さんに見せられたのに……」

腕を組んでやれやれと言った表情をする。

「知るかよ!!」

右の拳を握り殴りかかる。

「な……に?」

「言ったでしょ?アナタは鈍い……と!!」

写命丸は悠然と龍我の拳の上に立つ。

そのまま龍我の顔面に蹴りを入れる!!

蹴りの勢いで龍我が空中で回転する。

「あーあ、やっぱり人間は脆いですね~」

ニヤニヤと倒れた龍我を見下ろす。

「今更ですが、あの審判買収済みですのでアナタがいくらギブアップしても、通してくれませんよ?せいぜいボロボロになってくださいね?私が飽きるまで!!」

そう言って龍我を蹴りあげる!!

(この天狗ヤバイな……夜城と同じで拳が当たらねー)

 

 

 

「ポーカーで良いかい?」

天狗がニヤニヤと笑う。

「かまわないけど……ルールは?」

「普通のと変わんないよ?負ければああなるけど」

そう言って隣の卓の人間を指さす。

「いやだ!!やめてくれ!!もう帰してくれ!!」

中年の男が泣きわめく。

「バカな男だよ。人里で嵌められたかなんだか知らないけど……ギャンブルで食っていける訳ないのにねー」

猟師でもしていたのか背中には猟銃を背負っている。

「なあ、あの人の借金これで返せるか?」

そう言って龍我の賞金を白狼天狗に見せる。

「ん~?ヒィ、フゥ、ミィ……うん、返せるよ?」

札束を数えながら笑って答える。

「なら、コイツで離してやってくれ」

そのまま、現金を返さなかった。

「おにぃさん。やさしいね~、ソレここでは命取だよ?まあ、お金さえあればボクはいいんだけど……」

パチンと指を鳴らすと奥から天狗が出てきた。

「あの人離してあげてよ」

「かしこまりました」

2、3言話した結果、男はこちらに礼を言って帰って行った。

その様子を見た狂弦が立ち上がる。

「ちょっと!!どこ行くのさ!!」

 

先ほどの男が居た場所に座る。

よっぽど慌てたのか、猟銃が忘れてある。

「ソレ、使えないよ?見てごらん?」

白狼天狗に言われ良く見て見ると錆があちこちに浮いている。

男がずいぶん長く猟をしていない事を容易にわからせる。

「おとなしく、猟をしてればいいのにね……」

何処か馬鹿にしたように言う。

「悪いけどこっちを先にやっていいかな?」

狂弦はさっきの男のやっていたルーレットを希望した。

 

 

 

「あは!もう何度目でしょうね?地面の味がそんなに気に入ったのですか?」

写命丸によって再び地面に伏す龍我。

先ほどまでの湧いた会場は一気に冷めていた。

コレはもう戦いでなく、妖怪が人間をいたぶるショーだった。

「ん……流石に厳しいな……天狗は強ええ」

腕を押さえながら龍我が立ち上がる。

よろよろと力が無いのがわかる。

「うーん、いいですね。まだまだ楽しめそうです!」

そう言って、空に浮かび距離を取る写命丸。

「この場所にアナタは届かない!!」

上空から急降下し龍我を狙う!!

「だが!最強()ほどじゃねェ!!」

そう言って右手の拳を握りしめ、地面(・・)を殴りつけた!!

地面に敷かれた石畳が砕ける!!

「しまった!!」

此処で龍我は初めて相手に傷をつけた。

「やってくれますね……」

写命丸の身体に石がぶつかっていた。

「投げられた石は早い方がいてぇよな?お前のスピードだ、ぶつかったとしても相当痛いんだろうな?」

好戦的な目で写命丸を見る。

 

 

 

カランと乾いた音を立てルーレットがまわる。

狂弦がかけてのは赤。

確率としてはほぼ半分。

「なあ、天狗さん?もしここでイカサマがばれたらどうなるんだ?」

転がりつ続ける白い球を見ながら白狼天狗に聴く。

「ん?ボクに質問かい?イカサマがばれたらか……問答無用で負け、んで身ぐるみ剥いで下級妖怪のエサかな?」

悪びれるつもりもなくそう楽しそうに話す。

「ふーん……そう……か!!」

狂弦が机のテーブルクロスを持ち上げる!!

「な!何を!!」

ディーラーが驚き声を上げる。

「テーブルの右足にブレーキレバー、これで出目を操作していたな?後00に弱い磁石か……」

ディーラーのイカサマをあっさりと言いあてる!

「俺はお前たちの悪意が読める!!机したのカード、袖に隠したカード、重りの埋め込んだサイコロ、汚れでマーキングしたトランプ、あとなんかの方法で透明化したそこの妖怪!!全部見えてるぞ?人里の時とは違う!!」

席に座りながら賭博場に有るすべてのイカサマを言いあてた。

「なあ、イカサマがばれたら……どうなるんだっけか?」

狂弦が横の白狼天狗を睨む。

「ははは、スゴイよ!おにぃさん!!まさかこんな人間が居たなんて!!そうだね、ボクが言ったんだ!イカサマは負けだって、イイよ!このギャンブルおにぃさんの勝ちだ!……けど最後にボクと勝負してくれない?」

白狼天狗がカラカラと笑い出す。

「イカサマはしないのか?」

「したらおにぃさんにバレるんでしょ?しないよ」

二人は先ほどのポーカーの席に着く。

「自己紹介するよぉ、ボクは狗灰 机(いぬはい ですく)この山のプリチィな次世代の白狼天狗さぁ!」

そう言って自信ありげに、ですくが笑う。




あれー……なんか文さんがすごい嫌な奴になってる……どうしてこうなった!!
因みに透明になっていた河童はアノ河童です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。