東方生迷伝   作:ホワイト・ラム

18 / 37
コイントスをする、表なら明日も生きて裏なら自殺する。
非常に馬鹿げた賭けだ。
だが世界にはそんなバカげたモノに取りつかれるヤツが
あとを絶たない……
何故だろうか?


真実にたどり付け5

「さぁて、さてさて~これからどうするかな?」

相変わらず何を考えているかわからない様子でですくがへらへらと笑う。

 

狂弦 ライフ340

ですくライフ200

 

「ボクは次は180賭けるよぉ?キミはどうするぅ?」

まだカード自体配られていないのにそう宣言するですく。

再びお互いにカードが配られる。

狂弦の手札は♥J ♥10 ♣4 ♦9 ♦J

「俺は……今回も10賭ける」

強気に出るですくに対して狂弦はかなり消極的な動きをする。

「3枚チェンジで」

手札の♥10 ♣4 ♦9を捨て3枚引く。

「ねぇ?おにぃさん?何時までチマチマしてんのさ?もっと大きく勝負しようよぉ?今なら変えてもいいからさぁ」

机の乗り出すようにですくが話す。

「俺はこの戦い方で良いんだ」

手札を確認する。

引いたのは♠8♠9♣K。

「ふぅ~ん……じゃあボクは……二枚チェンジで」

はじめて普通のポーカーの様に手札を交換するですく。

先ほどまでの無謀な戦い方ではなく、今回は戦略として考える間が有った。

「じゃあオープンね!!」

「ああ……」

双方が自身の手札をさらす。

 

狂弦 ♥J♦J♠8♠9♣K。

ですく♥6♣6♠6♦A♦10

 

「スリーカード……ボクの勝ちだぁ」

二ヘラとですくの表情が喜びで歪む。

ライフの一部が狂弦からですくへと移動する。

 

狂弦 ライフ240

ですくライフ300

 

「やっぱりか……」

狂弦が口を開き言葉を紡ぐ。

ですくはその言葉に目を見開いた!!

 

 

 

闘技場

「そーれッ!!」

射命丸の蹴りで龍我が吹き飛ぶ!!

「まだまだ!!いけるはずだ!!」

瓦礫を吹き飛ばしながら龍我が射命丸に突進する。

「それが甘いんです!!」

龍我の突進に正面からぶつかる!!

お互いの頭部が激しく強打される!!

「むぅ……」

「脳を揺らした積りしたが……問題ないようですね」

殆ど動きがぶれる事のない龍我に射命丸はため息をつく。

「しかし……限界も近いようですね!!」

再び龍我に肉薄する、翼を片方失っても人にとって脅威的なスピードなのは変わりない。

「ふう……何とか当てるしかねーな……」

龍我が深呼吸して右手の拳を握る。

イメージするのは強い自分、何であろうと粉砕する一撃……

大気の中に有る力を、自分の中に有る力を右手に集めるイメージ……

集まった力を拳に握り絞める!!

 

「なんです?アレ……?」

龍我の雰囲気が変わった、ゆっくりと握った右拳から圧倒的なプレッシャーを感じる。

ありえない、射命丸はそう思った。

この人間からは一切の魔力や霊力、妖力すらも感じない。

何処にでもいる普通の人間のハズなのだ、しかしなぜ自分は

 

怯えているのだろう?

 

「行くぜ!!天狗!!」

 

龍我が圧倒的な圧力と共に拳を振るう!!

「来なさい!!ニンゲン!!」

射命丸はそれに全力で答える!!

埃が収まった後のリングに立っていたのは……天狗!!射命丸だった!!

「チィ……さすがに……」

倒れる龍我にゆっくりと近づく天狗。

「この勝負、私の………………ギブアップです」

にっこり笑って降参を宣言した。

「「「「「は?」」」」」

会場の誰しもがあっけにとられた。

「審判さーん!後はおねがいしますー!!」

射命丸が審判にそう言ってリングから出て行った。

 

 

控え室にて椅子に腰かける。

「なんでギブアップなんかしたんですか?本気を出したなら勝てたでしょうに?」

待っていたのか白狼天狗が射命丸に話しかける。

「ああ、椛ですか……あれで良かったのですよ。ああやって『天狗が気まぐれで降参した』という風に思わせるのが大事なんです」

体力が無いのか、話すのも辛そうだ。

「思わせる?」

椛がオウム返しする。

「そうですよ、私が本気で戦ったら『天狗に対して本気を出させる人間が居た』という事に成ります、私は彼を『天狗に本気を出させた強者』から『天狗の気まぐれで勝ったラッキーマン』変えたのですよ……」

そう言って近くに有った飲み物を飲む。

「いや……疲れました……もう、アイツとは……コリ……ごり…………です……」

そう言って手から飲み物を落とす。

「お疲れ様です」

椛は疲れた天狗にねぎらいの言葉をかけた。

 

 

 

賭博場

「あんたの能力が有るんだろ?」

確信を持った口調で狂弦が話す。

「なぁんだ……ボクが能力使ってるってわかってたのかいぃ?」

不機嫌そうに話すですく。

「そろそろ逆転が難しくなってきた、次は俺も全ライフを賭けるよ」

その言葉に目を見開いたのはですくだった。

「何を言っているんだい?ボクには勝てないってあきらめたんじゃないのかぁい?」

「そんな事は無いさ、運が良ければ次で俺の勝ちだ」

ですくを挑発する狂弦。

それが気に食わないのか露骨にですくの機嫌が悪くなる。

「そんなに言うなら勝ってごらんよ!!最後のゲームだ!!お互い全賭けで良いね?」

「もちろんさ」

両人がカードを引く!!

 

狂弦♥Q♦A♦9♣4♠A

現時点でAのワンペアが完成している。

「悪いが俺の勝ちみたいだ、4枚チェンジ!特別に何を残すか教えてやるよ、♥Qだ」

ですくの目の前で四枚のカードを捨てた!!

「お、おい!ボクを馬鹿にしているなぁ!!そんな目でボクを見るな!!ボクはお前たちよりずっとゲームが強いんだ!!」

狂弦の態度に怒り狂うですく。

「はぁ……はぁ……そっちがその気ならボクも良いモノ見せてあげるよ」

そう言ってですくは着ていた服の中から古いナイフを取り出した。

「さっきボクの能力を予想したみたいだから、あえて話してあげるよ……ボクは『運を操る程度の力』を持ってる!!だから君はボクに絶対に勝てない!!あはははは!!君は勝負に負けて無一文になるんだ!このナイフは自殺ように使いなよ!!あははははは!!」

狂ったようにですくが笑い出す!!

しかし

「けど弱点が有るんだよな?」

狂弦の言葉にですくが止まる。

「何を言ってるんだい?ボクの能力に弱点は……」

「あるさ、運がいいって言っても最初だけ見たいだな?初めの役は5カード、次はフルハウス、そしてさっきは3カード……役が明らかに弱くなってる。そして最後はまともなプレイをした……考えてみればお前は俺にアホみたいに厳しい条件を自分に掛けたよな?最初だけ(・・・・)

「…………」

ですくは沈黙してしまった。

「お前は能力がどんどん弱くなってるんだろ?次は勝てるのか?」

クイーンのカードを目の前でふる。

「……あはっ!せ~か~い!!良くわかったね?そうだよボクの能力はさっき言ったように『運を操る程度の力』さ、けど無限に運が良くなる訳じゃないんだよ。『塞翁が馬』ってコトワザ知ってる?良い事と悪いことが順番に来るって意味なんだけど……ボクもそれでねぇ、自分が不運な状態に陥れば陥るほどボクの運は良くなる。君がボクの賭博場の仕掛けを見抜いたせいで最高の不運が手に入ったんだ(・・・・・・・・・・・・・)。けどそれもここまでか……もっと小回りが効けばいいんだけどね?」

そう笑ってさっきのナイフを手に取り、自分の服を肌蹴させた。

「不幸はこうやって溜めるんだよ」

自身の胸にナイフを突き刺した!!

「オイ!!何を!!」

突然の行為に狂弦が声を荒げる。

「何って?不幸を溜めてるのさ……痛みなんて大した不幸にならないけど!!君を倒す分の幸福が必要だからね!!」

さらに二度、三度と自分の胸をナイフで刺し貫く!!

「さぁ……最後のゲームだ!!ボクは二枚チェンジ!!あははは!!ほぉら!見てよ!!♠の56789!ストレートフラッシュだ!!ボクに勝てるかぁい?」

自らの幸福のために自らを不幸にする呪われた能力、ゲームのために自身の命すら賭け皿に乗せるですくの狂気を狂弦は垣間見た!!

「行くよ…………」

ボソッと何かをつぶやきカードをですくに見せる。

狂弦の手札は……

♥10♥J♥Q♥K♥A

「そんな……馬鹿な!!ロイヤルストレート……フラッシュ!?」

ポーカーにおける最強の手札が有った。

 




ふうー。
狂弦と龍我の活躍を描きたかった妖怪の山のほぼ終わりました。
運が良ければ次回以降からⅥが本格的に動きます!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。