東方生迷伝   作:ホワイト・ラム

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神様は不平等だ。
同じ存在と言う物を一つとして作ってくれない。
けどそれに文句を言うのはお門違いだ。
チェンジは不可能一発勝負。
自分に配られた手札で人生は生きていかなければならない……

ボクの手札がいかに悪くても……


レイニーデイズ・ドリーム1

「そんな……バカな……ありえないよぉ!!」

お互いに提示し合ったカードの役を見て、ですくが慄く。

ですくの役は♠の5~9ストレートフラッシュ、確率にしておよそ7万2000分の1。

確率から見るに普通では勝利が確定した役と言える。

しかしポーカーにはそれよりも強い役が存在する。

それはロイヤルストレートフラッシュ!!

約65万分の1で完成する最強の役!!

それが対戦者の狂弦の手札だった。

「どうして!!ありえない!!確率的に言ってありえないよ!!」

バンと机を叩くですく。

しかし狂弦は一切答えない。

「イカサマだね?そうでしょ?そうなんでしょ?」

詰め寄るですくに狂弦はただ一言。

「バレなきゃ……良いんだろ?」

その言葉にですくは一気に脱力する。

「そうだ……バレなきゃ問題ない!!暴いてやる!!」

そう言って狂弦の腕を掴んだ。

「何処だ?トランプを隠したハズだ……足元か?」

しばらくぐるぐるとイカサマのネタを探していた。

「……見つかったか?」

「ま、まだ……」

ひたすらナイナイと言いながら探し続ける。

そして遂に……

「みつからない……」

それはですくの敗北宣言であった。

 

 

 

狂弦の目の前に大金が積み上げられる。

「これが……おにぃさんの取り分だよ……」

力なくうなだれるですく。

「……なあ、あの男の猟銃売ってくれないか?」

視線でさっき男が忘れた猟銃を指す。

「……え?いいよぉ……ゴミ同然だからいくらでもぉ」

呆けたようにこちらに錆びた猟銃を渡す。

「じゃあ……これで!!」

そう言ってテーブルの現金の九割をですくに押し付けた!!

「ちょ!?おにぃさん?なにしてるの!!」

それに驚いたのはですく本人だった。

「俺はさ、病院に掛かる分となんかおいしいモノ買って帰れる分だけあればいいんだ。このお金、キミの方が必要でしょ?」

そう言ってゆっくり立ち上がる。

「おにぃさん……お人良すぎ……騙されても知らないよ?」

「大丈夫、他人の悪意が見えるからね」

「そうだったね。ねぇ?最後に教えてよ?最後のどうやったの?」

ですくが狂弦に興味深そうに聴く。

「簡単なトリックさ、出てきなよ。こいしちゃん(・・・・・・)

そう言った瞬間ですくの目の前に少女が現れた!!

正確には現れたわけではない!!ずっとそこに居たのだ!!

「交換したカードの中で強いカードを渡してたんだ。カード5枚くらいなら隠せるでしょ?最後のゲームまでにロイヤルストレートフラッシュのパーツがそろってよかったよ」

実にあっけらかんとする。

姿の見えない妖怪に手伝ってもらう、その事は自分たちもやっている事。

今回はまんまと引っかかったのだ。

「あーあ。こんなにつまんないイカサマかぁ……期待して損しちゃったなぁ」

つまらなそうにですくが頬杖を着く。

「次はもっと平和にやろうよ?」

そう言って狂弦はカードをですくに返す。

「ありがと、このカードボクのお気に入りなんだぁ。そうだねまたいつかチャンスが有ればやろうかぁ?」

うれしそうに尻尾を振るですくを余所に錆びた猟銃と、そこそこの大金を持って狂弦は賭博場を出た。

 

 

 

「いやー、勝手に出て言ってごめんね?」

すぐそばにいるこいしに謝る狂弦。

音もなくサードアイの管が狂弦に絡み付く!!

「ちょ!?苦し!!首入ってる!!」

必死で管をタップする!!

「狂弦ダメだよ?私は狂弦の飼い主なんだよ?ペットは勝手にどっかいちゃいけないんだよ?離さないから……いくら逃げても絶対に……離さないから……」

こいしから狂気を感じる!!

「悪かったって!!謝るから!!もう勝手にどっか行ったりしないから!!」

必死に説得して何とか離してもらえる。

「あー、苦しかった。龍我を闘技場に迎えに行こう?」

そう言って闘技場に向かう。

目の前から白い白狼天狗が歩いてきた。

そして狂弦をみて一言。

「おや?貴方は……あの時の(あやかし)喰らい」

その言葉に足を止める狂弦。

「なんだ?ソレ?」

「とぼける気ですか?貴方この前森で妖怪を食べてましたよね?儀式ですか?」

酷く不快そうにそう話す。

「なんの話だ!!俺は知らないぞ!!」

必死になって反論する。

「私は千里先を見通す力が有ります。貴方が3匹の妖怪を取り込んだのを見ています!!」

先ほどよりも強い口調で言い放つ!!

「3匹の妖怪?」

思い出すのは初日に狂弦を襲った妖怪達

「猿とガラス板と蔦の妖怪?」

「知ってるんじゃないですか。正直言って不愉快です、なんで貴方の様な生き物が放置されているのか理解に苦しみます、博麗の巫女は何をしているのか……」

そう言って白狼天狗は賭博場に入って行った。

「狂弦?落ちこまないで?」

こいしが心配そうに狂弦を見上げる。

「大丈夫さ、半分予測はしてたんだ……食われた部分は何処から材料を足したのか……一回医者に診てもらいたかったんだ。ああ、雨が降りそうだね、さあ。龍我を迎えにいこう?」

さっきよりも強い力でこいしの手を引っ張る狂弦。

 

 

 

賭博場内

「ふーん~ふふ、ふ~ん……」

カードをシャッフルしながらですくが椅子に腰かけている。

「あれ?もみーセンパイ?いらっしゃい!!」

全くかしこまらず挨拶をする。

「……派手に人間相手に負けたんですってね?」

厳しい責めるような口調でですくに話す。

「いや~ボクとしたことが油断しちゃってねぇ?…………ボクを処分に来たんでしょ?」

全く調子の変わらない様子でカードをシャッフルし続ける。

「あなたはこの山史上の最弱の天狗です。白狼天狗の癖に体に黒い毛は混じる、体力も平均よりはるかに劣る、上下関係における礼儀もなってない、能力は欠陥だらけ……そんなあなたが良くここまで立ち回りましたね?」

睨むように椛が言うがですくは全く気にしない。

「そうだよぉ?確かにボクは弱かった……だけど大好きなゲームだけは誰にも負けたくなかったんだ……これでも頑張ったんだよ?厄神様に厄を渡して、山の上の神社には多額のお布施をして……血気盛んな奴らの為に闘技場まで作った。此処はボクの狩場だ……」

トンとカードデッキを置く。

「けど貴方は負けました、上からの通達です。『使えなくなった机を処分しろ』」

その言葉を聞いてもですくは変わらなかった。

「あはは、やっぱりぃ?ボクは反感買ってるからねぇ……けど頭の固い天狗たちはこれからもボクの作った闘技場を使うんだ!!ボクは体は弱かったけど!!確かにこの山に影響を与えたんだ!!やった!!やったよ!!ボクはこの山を少しだけ変えたんだぁ!!ボクは凡人の天狗が出来ない事を見事やってのけたぞぉ!!あは!あはははははは!!」

「そうですか……それは良かったです……ね!!」

そう言った瞬間、椛の剣がですくに振り下ろされる!!

ですくの視界に赤い液体が流れる。

(ああ……ボクのトランプ……汚れちゃ…………)

この日一匹の天狗が山から消えた。

 

 

 

「あー、ひでぇ目にあった……」

龍我がそうぼやく。

「やっぱり天狗って強いんだな……」

龍我の言葉を聞き狂弦が頷く。

「次こそは……ぶっ潰す!!」

パチンと両腕を叩く!!

「早く病院いこうよ!!」

その一方で楽しそうにこいしが笑う。

三人は今山を下りている最中。

迷いの竹林をめざし歩いている。

「あ、雨がふりだした」

「ほんとだ!!」

狂弦の言葉にこいしが反応する。

 

 

 

人里のとある家

「今夜は満月……雨も降っている……準備も十分だ……800年長かった……だが遂に今夜私の願いが成就される、さぁ……役者はそろっている!!始めよう私の夢の為に!!」

そう言ってその人物はゆっくり立ち上がった。

自らの願いをかなえるために。

 

 

 




はい~遂に妖怪の山編が終わりました!!
いや~主人公たちを活躍させたくて結構苦労しました。
因みにですくの立ち位置は、本来早苗さんの予定でした。
けど巫女がギャンブルは不味くない?という事で急きょ変更に。
その結果ですくは生まれました。
一応全部出たのでですくのプロフィールをここに。

狗灰 机(いぬはい ですく)
(自称)次世代型白狼天狗
白い体に黒いブチが有る白狼天狗、目の色は赤。
体色のイメージソースはサイコロ、白地に黒い点と赤い点。
幸運を操る程度の力。
と言っても不幸の次に良い事が有る程度の能力で、本人も完全に操れていない。
幸運も不幸も小出しに出来ず、不運は厄神に見てもらう事で予測してもらっていたようだ。
人の心に付け入るのが上手く、ゆさぶりや賄賂を駆使し自分の活躍できる場を作ったようだ。
しかし自分で言ったようにギャンブルでは食べていけなかった。
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