トドのつまり余計な事をするな、という事だ。
この言葉は非常に正しい。
誰しもが決してつついてはいけない一面を持っているのだから。
人里離れたその場所……
竹が鬱蒼と生い茂り現在の時間よりもだいぶ暗く感じさせる場所だ。
此処は迷いの竹林、永遠亭に行くまでの道で簡単には通る事の出来ない道だ。
「うわぁ……本当に竹だらけだ……」
静かだが吸い込まれそうになる竹林に狂弦が声を漏らす。
「案内役がいるらしいんだけど……今日は居ないね?」
こいしが空っぽの小屋を覗く。
竹林を渡るために来たのだが、その案内役は現在留守にしているらしい。
「勝手に開けちゃまずいって!!」
狂弦がこいしを制止しようとする。
「オイ!!夜城!!これ見ろ、うさぴょんだ!!」
その後ろで龍我の興奮気味の声がする。
(うさ……ピョン?)
なんだか引っかかる物言いだったため龍我の方に振り返る。
「何やってるんだ……」
「うほほ!!柔らかいぞ!!ふわふわだ!!」
興奮気味にうさぎを抱きしめる龍我が居た。
「おお、よしよし!!」
見た目だけならゴツイ男だけにその様は非常に異様な物に見えた。
「……あの?龍我?」
「なんだ?」
なでなで……よしよし……
「うさぎを一回地面に置かないか?」
半場フリーズしながら提案する。
「断る!!もっとなでていたいからな……」
そうして再びうさぎを愛でる作業に戻る。
(だめだ……コイツ生き物が絡むとポンコツになるんだ……そう言えば一緒に居た鬼って……)
狂弦の中に恐ろしい仮説が浮かぶ!!
「な、まあ、龍我?お前って小さい子供は好きか?」
動揺を隠しながら、なおもうさぎをなで続ける龍我に聴く。
「ん?嫌いじゃないな……なんにせよ、小さい生き物は好きだ……」
「そうか……ありがと……(こいしちゃんにあんまり合わせない方が良いみたいだな……)」
密かに心の中でこいしを守る決意を固める。
「貴方たちなんですか!?」
3人の後ろから、迷いの竹林の入り口側から声を掛けられる。
「ん?」
狂弦が振り向くとそこには薬箱を背負いブレザーを着たうさ耳の少女が、こちらを睨んでいた。
「ああ、すいません。俺達は永遠亭に行こうとして……」
「永遠亭に何か用ですか?病気には見えないんですが?」
明らかに敵意のこもった視線でこちらを睨む。
「ちょっと健康診断の様な事をお願いしたくて……永遠亭の方ですか?」
先ずは相手の警戒心を解こうとしてにこやかに笑いかける。
しかしそれは効果が無かったようだ、少女はますます厳しくこちらを睨む。
「それに応える必要はないわ、じゃ私はこれで」
そう言って竹林の奥に進もうとする、狂弦がそれを追おうとする。
「あ、ちょっと待って……」
「ついてこないで!!」
そう言ってこちらを向いた瞬間!!
狂弦の視界がぐにゃりと歪む!!
「え!?コレは……」
「私は狂気を操れる……あなたはここでずっと彷徨ってなさい!!」
混乱する狂弦を余所に四方八方から声が何重にも響く!!
「あ……ちょ!!」
「うるさい」
パンッ!!と音がして狂弦の額に衝撃が走る!!
「痛ぁ!!」
それからしばらくザッ、ザッと草を踏む音がして音が小さくなると共に視界ももとに戻った。
「痛ッててて……酷い目にあった……こいしちゃん、龍我二人とも大丈夫?」
「うーん……まだ目の前がくらくらする……」
「チクショウ……うさピョンが逃げちまった……」
3人とも完璧に無事ではない様だ。
「あーあ、アンタら大丈夫か?」
再び後ろから声がかかる。
そこには白い髪と赤いモンペを着た少女が立っていた。
「おっと、自己紹介が要るか?私は藤原 妹紅、この竹林の案内人だ。さっきの奴は永遠亭の鈴仙だな、悪いヤツじゃないけど人間を見下し気味でな……まあ、運が悪かったって思っておけよ?」
妹紅がそう言って撃たれた狂弦の頭に包帯を巻いてくれた。
「アンタら永遠亭に用なんだろ?私が連れてってやるよ、と言っても今日は慧音が夕飯を食べに来る予定だから手短にな」
そう言って先に行こうとする。
しかし
「いいえ、結構です……自分で行けますから」
そう言ってゆっくり立ち上がった。
「龍我、お前は……」
「もう少し、うさぎと遊んでいく。明日には勝手に地底に帰るから心配すんな」
狂弦と龍我が軽く話を交わす。
「いや、アンタこの竹林は普通の人間には……」
妹紅が止めようとするが狂弦は聞かない。
「大丈夫です、あのウサギの
狂弦の悪意を読み取る程度の能力!!
悪意はどんな生物にも存在する、そしてその形は千差万別!!狂弦は悪意をその人物のシルエットとして見る事ができる!!
実際こいしを見つけるのも同じ原理だ、そして狂弦は今回は鈴仙の悪意を覚えたのだ!!
「さて……こいしちゃん行こうか……兎狩りの時間だ!!ズーットチェイサー!!」
そう言って背中に背負った猟銃を構える(もっとも錆びてる上に弾は入ってないので完全に形だけだが……)
「お、おう……所どころ罠が有るから気を付けてな……」
妹紅はそう言って走りだす狂弦を見送った。
「なあ、アンタ竹林の案内役なんだよな?」
「ああ、そうだけど?」
龍我の質問に答える。
「うさピョンがたくさんいる場所って……「知らない」そうか……」
「うひひ!!近い!近いぞ!この先だ……」
尚も猟銃を構えながら狂弦が鈴仙を追う。
(なんか狂弦怖いな~)
その後をこいしが不安に成りながらも、着いてくる。
「あー、みぃつ~け~たぁ~」
数メートル先にゆっくり歩く薬箱、もとい鈴仙を発見する。
ほぼ同時に相手もこちらに気が付いた様で振り返る。
「あなた達!!まだ懲りないの!?それならもう一度!!」
【波符「赤眼催眠(マインドシェイカー)」】!!
指を銃の様に構えるスペルカードを宣言する。
大量の座薬の様な弾幕と共に再び視界がぐにゃりと歪む!!
「うえ……あの兎、座薬飛ばしてきた……なんか汚い……」
「ざ、座薬って言うな!!」
狂弦が懐から2枚のカードを取り出す。
【悪手「天使と悪魔の
カード名が宣誓されると共に狂弦の身体が自動で動き出す!!
相手の悪意の波動を感じ取りオートで回避する狂弦のスペルカード、「天使と悪魔の
「な!なんで!!こっちの姿どころか弾幕自体見えないハズなのに!!」
鈴仙が驚きの声を上げる。
声から察するに大層驚いた顔をしているのだろうが。狂弦は残念ながら見ることが出来なかった。
「さーて……こっちも行きますか」
さらにもう一枚!!
カードを発動させる!!
手に光弾を作ろうとしてやめる、自分の手には錆びた猟銃。
先ほどの鈴仙の指鉄砲を思い出し、猟銃を光弾の媒体にする。
もともと撃つための道具の為か自分の手から光弾を作るよりかなりイメージがしやすかった。
超動!!【悪路「
鈴仙が何処にいるかもわからずに引き金を引いた!!
「ハズレよ!どこを狙って……」
「これでいいんだよ!!」
突如打ち出された狂弦の弾幕が鈴仙めがけてカクンと曲がる!!
「ひぃ!!コレは……」
「さっきの逆さ、狂反射は悪意を読み取って躱す、けど地獄街道は悪意を読み取って弾がホーミング……ソッチに向かうぞ!!」
これぞ狂弦の2枚めのカードだ。
「けどこれ位簡単にかわせ……」
「言い忘れたけど……ホーミングは三回!!そして」
避けたと思った弾幕が再び鈴仙を襲う!!
「まだまだぁ!!」
再度かわす鈴仙!!
「……ホーミングの度、スピードが上がる!!」
「え!?ちょ!?」
鈴仙が不味いと思った時にはもう遅かった!!三度目で最速のスピードとなった狂弦の弾幕が鈴仙にヒットした!!
【決着!!勝者狂弦!!】
「お……!」
ゆっくりと狂弦の視界が正常に戻る。
「まさか……こんな奴に負けるなんて……」
放心状態で倒れた鈴仙が狂弦を見上げる。
「狂弦どーする?脱がす?襲う?」
「ヒッ!!」
こいしの言葉に鈴仙が小さく悲鳴を上げて体を縮こませる!!
「いや、しないよ……とりあえず永遠亭に連れて行ってもらおうかな?十分スッキリしたしね」
猟銃をなでながら満足げに頷く。
人里にて
家具と言える家具が本棚とちゃぶ台位しかない、暗くみすぼらしい小さな部屋で。
「もうすぐ月がのぼる……そろそろこっちも準備しよう」
その言葉と共に小柄な少女が立ち上がる。
押し入れを開け赤いスカートに着替え、最後に頭に同じく赤いフードを掛ける。
「ああ……忘れる所だった……おいで」
その一言の言葉と同時に本棚にしまわれた一冊がゆっくり浮かび消える。
次の瞬間にはその本は少女の目の前で浮かんでいた。
この本は魔術書、何年物歳月をかけ魔術師が自分の技術すべてを注ぎこんだ魂の結晶。
通称グリモワール。
グリモワールには通常その本の作者の名前が付けられる。
例としてはグリモワールオブ魔理沙など。
その命名ルールに則った場合この本の名前は
「私の魔術書……」
グリモワールオブ オルドグラム……
いやー、魔法使いって誰しも憧れた事ありますよね?
魔女って普通は童話とかで老婆のイメージですけど、皆さんは何時から
老婆が若い魔女っ娘のイメージに成りました?
まあ、どっちのしろ脱がして全身に針を刺しまくるのは変わらないのですが……
レッツ魔女狩り!!
*逆に狩られないように注意してね?