東方生迷伝   作:ホワイト・ラム

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「むかしむかしある所に……」
誰もが幼き日に夢見た楽園と夢を語る冒険奇譚。
それこそが私の力のみなもと……


レイニーデイズ・ドリーム3

「さて、もう今日はこれでお終いよ」

青と赤の服を着た女医、八意 永琳が血の入った注射器を見ながら言う。

狂弦とこいしは鈴仙との戦いの後、案内させた事により無事に永遠亭の到着し、何事もなく検査を受けることが出来た。

レントゲン、採血、尿検査さまざまな向きから狂弦が「ナニ」であるかを検査する事になった。

「……雨が強くなって来たようね……今夜はここに泊まりなさい、病室も二人分くらいなら空きが有るし。明日には結果も出るし、地底からここは遠いでしょ?」

「そうですね……そうしてもらえると助かります」

「なら、話は早いわ。鈴仙!二人を開いている病室へ案内して!」

永琳の言葉に反応して、診察室の扉が空きオドオドした様子の鈴仙が現れる。

「……こちらへ……どうぞ……」

 

「狂弦ずいぶん嫌われたね」

鈴仙の後をついて行きながら、こいしがぼそりとつぶやく。

「うーん……少しやり過ぎたかもね……反省しないとな……」

そう言いつつ部屋に案内される。

「……ここを使ってください」

そう言って一つの部屋に案内され、ベットに座り込む。

「今日はせっかくの満月なのに雨で見れないねー」

こいしが病室のまどから、曇天の空を見上げる。

月の隠れた真っ黒な空から、雨だけがシトシトと降り注いでいた……

 

 

 

人里にて

雨が降り多くの人が自分の家に帰り家族との団らん、あるいは一人での時間を過ごしている頃……

里の中央の通りを一人のみすぼらしい少女がふらふらと歩いていた。

一見すると不確かな歩み、しかしその足は止まることなく一点を目指していた。

数人が違和感を感じるがそんな事は些細な事、やがて少女はゆっくりと歩みを止め、懐から古ぼけた、しかししっかりした作りの古書を取り出し開く。

「おいで……【浮上「笛を吹く正直者(ハーメルン)」】!!」

その言葉と共に本が光り、足元の水たまりから真っ黒な長身の男が出現する。

三角の帽子に異様な細さの手足、枯れ枝の様な手の先にはクラリネットが握られている。

そしてその男はクラリネットに口を着け音楽を奏で始めた。

「らら……ららら……ららん……」

その様子の少女が鼻歌を口ずさみ、その場で踊るように見ていた。

その音に引き寄せられるように、家から子共たちが正気を失ったような虚ろな目で這い出てくる。

そして少女の踊りに虚ろな目のまま参加する。

 

「ちょっと!?どこ行くの!!」「戻ってこい!!」「雨が降ってるのよ!!」「あなた連れ戻して!!」

 

我が子の奇行を目にした親も同じく家から飛び出してくる!!

そして目にするのは異様な光景。踊り続ける子供たちと中央の怪しげな生物……

平和なひと時はたった一人によって異界へと変化した!!

 

「もっと遊ぼう?【浮上「仲のいい双子(ヘンゼル・グレーテル)」】【浮上「天を突く巨木人(ジャック)」】【浮上「ガラスと灰被り(シンデレラ)」】」

少女が再び本を開き、声高らかに名前を唱える、すると踊っていた子供たちが異形に変化する。

有る者は二人の男女が融合し、一つの胴体に二つの首四本の腕と脚を持つ異形へ。

有る者は全身から蔦が生え巨大化し蔦の絡み付いた巨人に。

有る者は全身にガラスの様なドレスが形成され、灰をばらまく怪人へ。

 

そして怪人たちが親へ襲い掛かる!!

「うわぁあああ!!」「く、くるなー!!」「ぎゃああああ!!」

異形達は目的もなく人を襲い、家を破壊する。

「いいよ……良いよ!!もっと遊ぼう!!」

少女が高笑いを上げる!

 

しかし

突如目の前の灰をばらまいていた怪人のガラスのドレスが砕ける!!

「あは?……ダレ?」

少女が高笑いをやめる。

「あんたこそ誰よ?見ない顔ね。一体人里で何やってるのよ?久しぶりに降りてきてみたら……手間かけさせるんじゃないわよ!!」

紅白の腋を露出させるデザインの巫女服、博麗 霊夢。

「わたしぃ……ダレ?だっけ?……マイ?……違う……オルド……オルドグラム!!」

幻想郷最強の守護者が少女に対峙する!!

 

 

 

同時刻

蔦にの絡まった巨人が家を破壊しようとしている。

しかしその巨人も極太のレーザーに体の一部を焼き払われる!!

「まったく、コイツはなんなんだ?団子でもって思ってんだが……まあいいや。異変なら私の出番だな!!」

霧雨 魔理紗 こちらも霊夢と同じく数々の異変を解決してきた百戦練磨の強豪である。

 

 

 

 

 

「なんだ?コレ……」

トイレに行こうとしていた狂弦が遠くに巨大な悪意を感知する。

「どうしたの、震えているよ?」

こいしが狂弦の様子に気づきそばに寄ってくる。

「こいしちゃん……今人里に恐ろしいほどの悪意が有る!!何もかもを潰すようなやばいのが!!」

そう言い放ち体を激しく震え上がらせる!!

「ここも危ないかも……こいしちゃんは先生に伝えて!!俺は里に向かうから!!」

そう言って猟銃を手にし永遠亭から出ようとする。

 

 

 

 

人里はパニックだった。

数分前まで平和だった里には怪物が複数闊歩している。

運良く巫女と魔法使いが居たが、完全に無傷という訳にはいかない。

家を破壊された家族、子供がけがを負った者、老人故逃げる事が出来ない者。

しかし里の外は満月の夜、こんな日は妖怪に餌にしてくれと言っている様な物、さらに容赦ない雨が住人たちの体力を奪う!!

そして極めつけは……

「う……あ?」

虚ろな目で子どもが立ち上がる……

「行っちゃダメ!!」

「もう遅い!!化けるぞ(・・・・)!逃げろ!!」

その言葉が言い終わる前に子供の姿が異形に変化する!!

 

全身が肥大化し、ピンクの脈動する心臓を思わせる桃の姿に変わり人間の両腕、犬の足、猿の手が生え計四足、さらに鳥の頭が生え桃に人間の顔が浮き出て趣味の悪い冗談のように頭に「日本イチ」と書かれた旗が刺さる。

奇声を上げながら怪物が自分の親を襲う!!

 

 

 

「ああもう!!わらわらとうっとおしい!!」

霊夢が札を投げるがオルドグラムには当たらない。

異形達が身を以て盾になっているのだ。

オルドグラムはなおも呪文のようなものを唱え続けている。

そしてすぐそばにいる笛を吹く怪物が子供を集める。

里に子供がいる限りオルドグラムは兵士に困らない……

 

霊夢はすこしずつ自分が追い込まれているのを感じた。

 

 

 

 

 

巨大な糸車が建物をなぎ倒しながら爆走している。

「チィ!!コイツ無理やりしやがる!!」

魔理紗が糸車を追う!!

「オイ!!アンタ危ないぞ!!逃げろ!!」

糸車の目の前に一人の男が飛び出した!!

容赦なく車輪が男に向かうが……

ばぎぃん!!

歪な音を立て車輪が砕ける!!

「なんだ?今日はやけにさわがしいじゃねーか……」

糸車が針をだし男に突き刺す!!

「わりぃな……こんなヤワな針じゃ俺はやれねーぜ?」

青い龍の鱗に阻まれる!!

「なぁ!!今日はなんかの祭りか?」

龍我が魔理紗に聞く。

 




すみません遅れました。
しかしやっとやりたい事ができました。
個人的にオルドグラムはお気に入りのキャラクターです。
クリーチャーデザインは私がやってますが、何かと被っていたらすみません。
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