東方生迷伝   作:ホワイト・ラム

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幾百の時を生き。
  幾千の術を操る。
    幾万の悲しみを出そうとも。
      幾億の呪言を受けようとも。
たった一つの私を満たすためにすべてを犠牲にしてもかまわない。



向こう側へ……2

Ⅳと書かれた拳大の赤い結晶と錆びた猟銃。

それこそが狂弦がこの世に残したモノだった。

 

 

 

地霊殿の自身の部屋で、狂弦だった(・・・)結晶を掌の上で転がすこいし。

暗く重い空気の中で、唯ひたすら結晶を指先で突く。

「……ねぇ……何処にいるの?……もう私を見つけてくれないの?」

無意識を操るこいしは、人の意識から外れる事ができる、いやここでは出来てしまうというべきか。

人里を一人で歩き、遊ぶそれがこいしの小さな楽しみだった。

誰にも気づかれない不可視不干渉の存在。それこそが古明地 こいしだった。

何時のも様に、果物屋で適当に物を物色する。

偶然少年に出会ったがすぐに忘れるハズだった、何時も繰り返された同じ日常のハズだった。

しかし……

「そうなんだ!コレとかおいしいよ?」

「こいしちゃん!勝手に食べちゃダメだって!ああもう!すいませんこれ一つ」

 

その少年は違った。

無意識に居たこいしを見つけ出した!!絶対不可侵の空間にその少年は意図も簡単に入り込んだ!!

誰も居ない孤独の世界にいたこいしへ、その少年は無意識に手を差し伸べた……

 

ガチャ……

地霊殿のこいしの扉が開く。

入って来たのは姉の古明地 さとりだ。

「こいし……」

自身を心配する姉に言葉を返そうとした。

しかし……

「何処にいるの?」

その言葉を聞き、こいしは声を咄嗟に飲み込んだ。

(私に気づかないんだね……昔と同じ……狂弦がいない頃に戻っただけ、けどなんでこんなに苦しいんだろう?)

小さく床に染みが出来たが、誰も気が付きはしなかった。

 

 

 

地上博麗神社にて……

麻衣が目覚めた事により、オルドグラムへの対策は飛躍的に向上した。

主に彼女、がオルドグラムの使用していた魔道書の劣化版を所持していた事が主な理由だと言える。

「で?魔理沙何か解ったの?」

「ああ、もう!!ちょっと待ってくれ!!こんな魔道体系始めてみるんだよ!!」

魔道書をペラペラとめくりながら霊夢に激を飛ばす。

残念ながら霊夢は魔道に詳しく無く、こういうのは魔理沙にまかせっきりになっている。

慧音と妹紅は、人里の復旧とオルドグラム対策に帰ってしまった。

「どういう仕組みだ?他の媒体を魔力で操るってなら、アリスに似てるしけど、子供を怪物に変えるのは聖の使う強化型の魔法か?そもそも自分じゃ無く他人を同時に操ってなんてしたら、パチュリー以上の魔力総量が……」

調べれば調べるほどオルドグラムの魔術は異質な物だった。

「たぶんですけど……アイツは、人の魂に細工をしてるんだと思います……」

オズオズと話かけるのは麻衣だった。

「「魂?」」

霊夢と魔理沙が同時に反応する。

「アイツは良く言ってました……『欲を持った魂は良い材料になる』って……アイツは死体の魂を集めてました……自分の実験のためにって……妖怪より人の方が使えるって……」

震えながら麻衣が絞り出すように言う。

オルドグラムの悪意に支配されていた麻衣だからこそ言える話だ。

「人の魂すら自分の犠牲にするのかよ……!!魔法はもっと人の為に……」

魔理沙がギュッと自分の腕を握る。

同じ魔法使いになった人間として、オルドグラムの行は決して許せないのだろう。

「『無限の欲を満たすために永遠の器が必要』……ね。次は何を狙うのかしら?死なない体は手に入った、次は何?名誉?お金?食事?愛?」

霊夢が次にオルドグラムが欲しがりそうなモノを考える。

「やっぱり力?……自分の糧……!!」

最悪の考えにたどり着く魔理沙。

「人里を襲うんじゃないのか!?」

声を荒げるが霊夢に否定される。

「違うわ、もしそうならとっくに襲ってる。たぶんアイツは人里はもう襲わない……」

「なんでそう思うんだ?」

「名誉よ、アイツは名誉を必ず後でほしがる。殺人はそれを手に出来なくなるからよ、だから自分の身代わりを使った」

気の毒そうに麻衣を見つめる霊夢。

「そうか……あれは人を襲うのが目的じゃ無くて、私達の目をこっちに向けさせる事が目的だったのか!!」

 

「どうやら答えが出たみたいね、人が居なくて人の魂だけが集まる場所……」

「旧地獄……!!」

 

 

 

人里……

門番が仕事を終え自宅に帰る。

家には妻が子供たちと一緒に、食事を用意してているハズだった。

「ただいまー」

家の扉を開けるが誰も返事をしない、気にすることなく家の奥に向かう。

「ただいま、今日は楽しい一日だったかい?」

門番はそう言って壁に生きたまま(・・・・・・・)埋め込まれた(・・・・・・)家族を見やる。

「ふーむ……家族の団欒は素晴らしいモノだと豪語していたが……思いのほかつまらないな」

そう言って自身の顔に手を掛ける。

顔の皮が音も無く剥けて、オルドグラムが姿を現す。

「これなら研究の方がよっぽど有意義だったな……」

不機嫌に足元に倒れる、顔面の皮が剥がれた死体に唾を吐き捨てる。

「あなたぁ!!」

門番の妻が悲痛な声を上げる!!

「ムム!?いきなり悲鳴とは、はしたない妻だ……そぉれ!!」

バシンバシンと埋め込まれた動けない妻にビンタを張る!!

「おお!!躾も夫の務めだと思いしてみたが……なかなか面白いじゃないか!!コレは癖になりそうだ!!」

3度4度とビンタを続ける。

妻の顔が真っ赤に成る頃、ようやくオルドグラムは手を止めた。

「研究ばかりで恋人すらいなかったからな……こうして団欒を楽しむのも良いモノだな」

顔面を真っ赤に腫らし、壁に埋め込まれた妻と顔面の皮をはがれた夫、そして異形化した息子の団欒を見て満足したオルドグラムは地底に向かった。

 

 

 

彼岸の川辺……

「そいつを捕獲しろ!!」

「逃がすな!!追え!!」

複数の死神たちが3人の死者を追いかけていた。

 

「もぉ!!しつこいなぁ……」

先頭を走るのは元白狼天狗のですく。

「ああ、師匠が『死神は怖い』って言ってた理由がわかって来た!!」

「生きかえるって具体的にどうやるんだ!?」

後ろを走るのは仙人志望の少年 詩堂 善と

謎の生物 夜城 狂弦!!

「とりあえず向こう側に行けば、何とかなるんじゃない?」

こちら側に来る船をですくが指さす。

「兎に角やってみる価値はあるよな!!」

狂弦が後ろに振り返り、死神を殴り飛ばす!!

「おにぃさん過激~」

「こんな所で死んでられないんだよ!!」

狂弦がもう一方の死神を殴り飛ばした。




昔の携帯電話を久しぶりに起動……
何気なく動画のデータを見たら、前に死んでしまった我が家のペットが……
動いて尻尾を振ってました……
あの頃はずっとこれが続くと思ったのに……

そんなセンチな気持ちになった今日この頃。
因みにその隣は好きなアイドルの動画でしたん!!
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