東方生迷伝   作:ホワイト・ラム

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短編第二段。
今回は……タイトルでネタバレしとるやないかーい!!


狗灰机の躁鬱

「……それじゃあ僕は商品の仕入れをしてくるからね?店番はまかせたよ?……遊んでないでしっかり頼むよ?」

香霖堂の店主 森近 霖之助が最近入ったバイトに声をかける。

「了解~いってらぁ~」

間の抜けた返事をバイトが返す。

不安になる凛霖之助だが『滅多に客自体来ないだろう』と半場商人として失格なことを考えながら出かけてしまった。

 

シャッ、シャッ、シャッ……

店の机の上でそのバイトはだらりと体制を崩し、トランプをシャッフルしている。

店の店員だというのにその姿は、ひどくちぐはぐな恰好だった。

 

白地に黒いブチが所どころ点在する、体毛。

ヨレヨレのギャンブラー風の濃い紺色のジャケットに、天狗が着るような着物と緋袴、しかし着物にはなぜか派手なネクタイがだらりとぶら下がっており、最後に頭にはシルクハットをかぶっている。

「はぁ~あ……暇だなぁ~」

 

そう言ってあくびをする彼女の名は狗灰 机(いぬはい ですく)。

元は妖怪の山に住む白狼天狗の一人だったが、現在は山を追い出されその辺をぶらぶらしている妖怪だ。

数日前、倒れている所を拾われ、それ以来ここでバイトとして雇ってもらっているのだ。

「ふんふふふ~ん」

カサッ……カサッ……

よっぽど暇なのか、袴からトランプのデッキを取り出し一人でトランプタワーを制作し始めた。

一組、二組、三組……四組目を組み立てようとしたところで扉が勢いよく開かれる!!

風圧によってタワーはあっけなく崩れ落ちた。

 

「こーりん!!遊びに来てやった……ぜ?」

「らっしゃーい」

無気力に返事するですく。

来客したのはこの店のお得意様?の霧雨 魔理沙だった。

店によく来る事は来るのだが……残念ながらあまり現金を払わずに物を持って行ってしまう、要注意人物の一人だった。

 

「なんでお前がここで店番してるんだ?天狗は山にいるもんモンじゃないのかよ?」

ずかずかと魔理沙が店に入ってくるがですくは興味が無い様で、再びトランプを並べ始める。

「バイトだよぉ~?労働って素晴らしいねぇ~」

そうは言うが明らかに真面目に働いている様には見えない。

 

「まぁいいや。こーりんがいないなら勝手に借りてくぜ?」

そう言って手短に話すと店の商品を物色する。

その様子にですくがゆっくり笑い、尻尾を振り始めた。

 

「ねぇ~まほー使いさん、ボクとゲームしないかぁい?」

「しねぇよ!!こっちは今商品の物色で忙し――」

「ツケの代金溜まってるみたいだねぇ~?」

そう言って机の引き出しから、紙を取り出し目の前でピラピラとめくる。

 

「お、お前には関係ないだろ!!」

ムキになって否定するが……

「ボクに勝てたらぁ~、この料金半分出してあげようかぁ?ただしぃ……負けたらそのお財布の中身ぜ~んぶ頂戴?」

ニヤリと笑い魔理沙を挑発する。

その姿はまさに捕食種の狼!!餌に狙いを定めたハンター!!

明らかに誘う様子に魔理沙の生来の負けず嫌いさが刺激された!!

 

「いいぜ……そんなに自信が有るならやってやるぜ!!内容はなんだ?トランプか?」

「そぉだよ?現在不人気で売れ残り気味のカードたちぃ。

ルールはとぉってもかんたぁん、トランプから一枚引いて7から遠ければ遠いほど強い、同じ遠さならカードの数字の大きさが高い方の勝ぃ、あらかじめジョーカーは抜いておくよぉ?」

そう言って魔理沙に確認がてらトランプの束からジョーカーを2枚抜く。

 

シャッ、シャッ、シャッとお互いにシャッフルする。

「最初は私……と言いたいがコレはなんだ?」

「あっ……」

魔理沙がですくの腕を掴む!!

袖の下からトランプのカードが覗いていた!!

ぱらりと床に落ちたカードを魔理沙が拾い上げる。

 

「♥Qか、ずいぶんいやらしいモノ隠してるんだな?」

まるで証拠を見つけた刑事の様に、目の前でカードを振る。

 

「ううん?なんの事かなぁ?偶然入っただけだよぉ?さっきのトランプタワーの時のヤツだねぇ~」

カードから目を背けわざとらしく口笛を吹く。

 

「やろー……ホラ吹きやがって……!!今度こそ真剣勝負だ!!」

魔理沙がさっきのトランプを机に叩きつけ、カードの束の上から一枚目を()()()()()()()()!!

実はさっきですくの落としたカードを拾った時、同じく近くに落ちていた♣2を拾っていた。

店に来たときタワーを作っていた時に落ちたのだろう。

ほぼ完全な勝利に魔理沙はニヤリと心の中でほくそ笑んだ。

「ほら来た!!♣2!!これなら勝ちだろ!!」

自分のカードをですくに見せつける!!

 

「わぁ……やばいねぇ……まほー使いさんボクの代わりに引いてくれない?」

「いいぜ、私が直接引導を渡して……あれ?」

魔理沙は自身の引いたカードを見て絶句した、♦K魔理沙よりもずっと強カードである。

「な、ま、マジかよ……そんなの……」

「いやなら~、やり直ししていいよぉ?ほら、もう一回ボクの分を引いて?」

「クソ!!……♠A?そんな2連で!?」

 

「三回目以降も無駄だよぉ?どうするぅ?今回運はボクに有るみたいだねぇ~。

ここはたった今からボクの狩場だぁ」

ニヤニヤ笑いで魔理沙を追いつめるですく。

「く、クソ!!……せっかく買い物しようと思ったのに……マジかよ」

魔理沙が悔しそうに財布を差し出す。

 

「ひぃ、ふぅ、みぃ……これ位で勘弁してあげるよぉ。ボクはやさしいからねぇ~」

ケラケラと笑いながら、ほぼ空っぽになった財布を魔理沙にかえす。

 

「クソ!!一体何があって……え?」

魔理沙はトランプの上をめくって思考を停止させた。

そのカードは♥Qさっきですくがイカサマに使おうとして、テーブルに出したカードのハズ……

現に今でも、机の上に♥Qは有る、そして自分の手にも……

2枚の♥Q……

魔理沙はカードデッキを確認した!!

 

「な!?ぜ、全部絵札!?」

魔理沙が驚愕するのも無理は無い、トランプと束は全てA、J、Q、Kの絵札で構成されていた!!

「な、なんでこんなトランプが……」

「あれぇ?ばれちゃった?最初のタワー、実は()()()()()()()()()()()んだよねぇ~。トランプ売れ残ってたしぃ」

ですくがケラケラと笑う。

 

「そんな何時の間に!?だってジョーカー抜いた時は確かに普通の……」

「それはこっちぃ~」

そう言ってポケットから、同じトランプの束を差し出す。

「!?!?!?!?!?!?」

完全に魔理沙はこの時点で混乱していた。

 

「それでは今回のネタばらしぃ~。まほー使いさんが来たとき、ボクが使ってたのは絵札のみのトランプ。在庫から絵札だけ抜いたんだよねぇ~。

そんでまほー使いさんがボクの腕のカードを見つけたのは、最初からわざとだよぉ?あらかじめ床に、♣2を捨てといたんだよ。

()()()()()()()()()()()

そこからは簡単、まほー使いさんが床のトランプを拾う間に机のデッキを、絵札デッキに変えるだけぇ~Jをひかれる可能性も有ったんだけどねぇ~」

 

「後は何もしなくても……私の負けか?」

「せーかい!!」

トドメと言わんばかりにですくが指さし笑う。

完全に勝利者の表情だった。

 

「……今度……今度また来る!!次は覚悟しろ!!」

そう言った魔理沙は勢いよく店を飛び出していった!!

 

 

 

 

 

「うへへ~儲けたねぇ~」

うれしそうにですくが掌で札束を転がす。

 

「ただいま~、ですくちゃん店番ありがとう!!ああ、それが魔理沙の言ってたヤツだね?」

そう言うと霖之助はですくから現金を取り上げた。

「ん?店長?ナニすんのぉ?」

「なにって……魔理沙から聞いたよ?溜まってた分のツケ一部だけどですくに渡したって……それの事でしょ?」

そこまで言われてですくもようやく理解した。

 

(なーるほどねぇ……こりゃ一本取られたねぇ……)

博打で手にいれたとは言えず仕方なく、ですくは霖之助に現金を渡した。

霖之助はホクホク顔で店の奥に帰って行った。

 

「あーあ!!次こそはぁ……身ぐるみ剥いでやるぅ~」

ですくは一瞬残念そうにそう言ったが、すぐにまたトランプタワーを作り始め次の客を待つことにした。




個人的に好きなキャラ第2弾。

ですくは実戦は大した事ないですが、ゲーム上では強いと言うキャラです。
どっかにそんなスタンドいた気がしますが、知りません。偶然の一致です。

彼女のイメージはギャンブラー崩れで、今回の衣装にしました。
シルクハットは頭に椛の一撃で出来た傷を隠すため、と言う設定が脳内に有るのに出せなかった!!
更に言うと、体のブチの数は全部で20個と言う設定が脳内に有るのに(ry
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