アンド最終章!!
狂弦たちが、博麗神社で宴会をしている最中……
コトン……
人気のない暗い森の中に、何かが落ちた音がする。
その何かは本だった、上等な作りだったのだろうが現在はあちらこちら焼け焦げて見るも無残な姿だ。
そのみすぼらしい本が一人でにぱらぱらとめくられる。
すぐそばに膝をつくように、何者かが薄らと姿を露わす。
赤い包帯の様なベルトに黒い服、この本の所有者オルドグラムだった。
「くそう……あの薄汚い妖怪どもめ!!はぁ、はぁ……よくも私にここまでの屈辱を!!……許さん!!……はぁ、許さんぞ!!……逃げるために永遠の器は捨てるしかなかった……せっかく手に入れたというのに……!!くぅ……全員、物語の住人共で踏みつぶしてやる!!」
復讐に駆られた男が、ゆっくりと自らの本体に手を伸ばす。
人里の術式はまだ生きている、それを利用し今度こそ完全復活を目指す!!
あと少しで、本に触れると言った所で……
「グフッ……な、何だコレは!?」
「ミッションコンプリート」
自身の腹を貫通するように、巨大な鎌が生えていた。
振り返るとそこには、黒装束にドクロの仮面。
知識としては知っている。
コレは死神だ、自分を処刑しに来たのだ!!
「あ、ああッ!!……そんな!」
自身の両の指が、光の粒子となっていく!!
「き、きえる……私が、そんな……永遠の器も、無限の欲も……!!……消えてしまう!!」
姿が消滅していくオルドグラム、最後に残ったのはⅥの書かれた掌大の石のだけだった。
最悪の魔術師のあまりにあっけない最期だった。
この死神に名はない、有るのは識別ナンバー2X18782。
Xとは特別な死神を差す用語で、あまりの重罪を犯した人間を直接処理する掛かりだ。
地獄からの勅命を受け、現在とあるミッションに最中である。
そのミッションとは先日地獄から逃げ出した、数字付を処分する事。
並びにその手引きを下メンバーを処理する事だった。
スッと地面に落ちた石が何者かに拾い上げられる。
何時からいたのか、全く音も出さずに現れたのは「黒幕」だった。
全身に数字が絶えず、表れては消えを繰り返している。
死神は鎌を構える、もちろんこの謎の存在も処分対象だった。
鎌を手に、上段から黒幕に切り掛かる!!
「……!!」
後ろに躱す黒幕、バックステップを踏みながら自身の身体の様なノイズが走ったような黒い棒を取り出す。
「エクスキュージョン!!」
「………!!」
死神と黒幕がつば競り合いをする。
お互い距離を取る。
死神が鎌を下段に構える、こちらの攻撃範囲に入った瞬間カウンターで決めるつもりだ。
しかし、黒幕に戦う理由は存在しない!!
何時のも様に、体をゆっくりと消し始めた。
「逃がさない!!」
自体を不味いと思った死神が急遽構えを変え、消えゆく黒幕に攻撃を仕掛ける!!
確かな手ごたえを感じた死神、は目の前の獲物を確認する。
黒幕は肩からばっくりと体が切られていた。
しかしそれでも音も無く再生し始める。
「核を貫けねばダメか……なら」
踏み込むように連続攻撃を仕掛ける。
数回防御する相手を見ながら、攻撃を当てさせない急所を探していく!!
そして、遂に……!!
(頭部か……!!)
弱点と思われる部分を確定させる!!
鎌を思い切り振り回し、頭を狙う!!
しかし、攻撃が逆に読まれたのか得物を叩き落されてしまう!!
だが死神は慌てない!!むしろここまでは予想通りだった。
満を持して死神は自らの左手の能力を発動させる!!
この左手には「滅ぼす程度の力」が存在する。
握られたモノは抵抗すら出来ずに、塵になってしまう。
あまりに強力で自身さえ、飲みこんで塵にしてしまうがリーチが短く相手に警戒されやすい為、ここぞと言った時にしか使えない切り札である!!
左手で黒幕の頭部を狙う!!
何かに気が付いたのか、黒幕も自身の身体からノイズの剣を創造して死神の腹を狙う!!
グシァ……っと音がして、地面に数適の血が流れる。
「なに!?」
「…………?」
死神、黒幕が同時に地面に倒れる。
そこに立っていたのは、一人の少年だった。
少し長い髪に、整った顔立ちにやせ形の体系。
何処か退屈そうな顔をしていた。
「うわぁー!!死神だ!!初めて見た、ホントに黒服でドクロなんだ!!」
面白そうに死神の顔を覗きこむ。
まるで、はじめて見たサンタクロースを喜ぶ子供の様だった。
「あ、いけないいけない、忘れる所だった!!」
そう言って近くに倒れる黒幕に近づく。
「お久しぶりです!!あなたのお陰で毎日がとっても楽しいです!!」
にこっと、笑いかけ黒幕の身体を起こす。
そして……
黒幕の胸に深々と自身の腕を突き刺した!!
「…………!!……!?」
「ああ、慌てないで……ホントにアナタには感謝してるんですよ?
そう言って、少年は自身の前髪を持ち上げ額を見せた。
そこに有るのはⅩの数字、紛れもなく彼も黒幕によって生み出された能力持ちだった。
「けどね?これだけじゃ、足らないんですよ、もっと混乱を!!混沌を!!ってね?だ・か・ら・貴方のも欲しいんですよ」
そう笑いかけると、もう一方の手を黒幕の頭に突き刺し……
「ああ、これこれ」
0の数字がかきこまれた石を取り出す。
そしてそれを胸に抱きしめるように、自身に押さえつける!!
バチバチと圧倒的なエネルギーは迸る!!
霊力とも違う、魔力とも決定的に違う、神通力とも似ても似つかない、妖力よりもずっとおぞましい力の奔流が少年を中心に渦巻く!!
暫くしてその渦は一人の少年の形に収まった。
「ふぅ……悪くない気分だ……なんていい日なんだろ?」
そう月を見上げる少年の額には、調和をイメージさせる0とそれをあえなく引きちぎるかの様にⅩが重なって刻まれていた。
「処分する!!」
死神が左手の能力を発動させ、少年の顔面を握る!!
容赦ない滅びの力が、少年を物言わぬ屍に変える!!
ハズだった……
「痛ったいな……何するんだい?」
平然と少年はこちらを見ていた、そして……
「こっちのルールは弾幕でしょ?折角だから僕もやってみようか?」
そう言って、虚空に手を広げる。
そうすると、まるで糸が集めって布が出来るように、細いナニカが集合し一枚のカードとなる。
「いいね!!発動!!【奇壊符『アンティキアラーズ・ギア』】!!」
カードが発動すると共に、空中に錆びた歯車が複数現れる!!
ギギギ……嫌な音を立てゆっくり死神の元に向かって行く。
「がはぁ!?」
一枚、二枚と歯車がかみ合い、死神を捕まえる!!
そしてついには……
ギギギギ……ギ……ギギ……グチャ!!……ギギギギ……
「あーあ、つまんないの……まぁいいや、思い出は大切に、ね」
そう言って地面に落ちた半分割れた死神の仮面を拾い上げ、自分の頭に付ける。
少年は満足気に、歩き出した。
「という事が有ったんだよねぇ~」
ですくが酒瓶片手に、狂弦に自慢話をする。
本人曰く魔理沙から現金を巻き上げた話だが、本当だろうか?
疑問に思いながらも狂弦が相槌を打つ。
「狂弦飲んでる?」
こいしが後ろから抱き着く!!
妖怪と力であるため、一瞬ふらつくが何とか立ち直り
「飲んでるよ、あんまりお酒得意じゃないんだけどね……」
そう言って、手元の梅酒を煽る。
「あれ?美琴?美琴じゃない?」
後ろから声がかけられる。
美琴は狂弦の昔の名前だ、この名前を知っている人物はかなり限られる。
疑問に思って振り返ると……
「杯正……?杯正じゃないか!!」
狂弦が立ち上がり杯正と呼ばれた少年に近寄る。
杯正という名にはこいし自身記憶が有る。
曰く狂弦の親友で中高と同じ学校だったが、大学進学を期に疎遠気味になっていた事。
学力は高いのだが何処か考え方が抜けている事。
そして、不思議な力が大好きな事。
「へえ~、今は狂弦ね……改めてよろしく!!狂弦!!」
笑顔で二人が挨拶する、こいしに気が付いたようでこちらに向き直った同じく手を出す。
「初めまして、狂弦の飼い主さん。狂弦の友達の乾 杯正(いぬい はいせい)です。気軽にカンパイ君って呼んでくれるとうれしいな」
そう言って柔和な笑顔であいさつをする。
そして会場のメンバー全員に向かって大声で話始めた。
「みなさん!!初めまして!!乾 杯正です!!少し前に幻想郷に来ました、
とてつもない笑顔でそう笑う。
誰しもが固まっていた、冗談だろ?
というのが一般的な考え方だったが……
その時一陣の風が吹き、杯正の額の髪を持ち上げる。
そこには0を引き裂くⅩの文字。
一部のメンバー達は知っている。この数字の意味をそしてその脅威を!!
「あ、みなさん気軽にカンパイ君って呼んでくださいね!!」
何処までも楽しそうな笑顔で杯正は、頭に付いた半分のドクロの仮面をいじった。
また、新キャラか……
と思ったか?一応存在は示唆されてたし……
2人減ったし良いんじゃね?