東方生迷伝   作:ホワイト・ラム

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誰かと人はかかわって生きている。
縁と言う物で結ばれているらしい。

さてはて、コレは良縁か奇縁か悪縁か……


和と不和の怪物

風の中に消えて行った龍我の身体を見送った、狂弦が立ち上がる。

「覚えた……すぐ近くに有った悪意の形を覚えた……」

龍我が死んだすぐそばに、入れ違いで狂弦たちは此処に付いた。

そのため、さっきまで居たフノイの悪意は狂弦の能力の範囲内に収まっていた!!

 

「いまなら、今なら追える!!杯正を止める!!」

狂弦の言葉に、全員がハッと顔を上げる。

 

「追いましょ、こんなバカな事はやめさせるのよ!!」

 

「もちろんだぜ!!これ以上被害者を増やさせはしない!!」

流石は異変の解決者達、霊夢と魔理沙がすぐに立ち直る。

 

「わ、私も……」

萃香も同じく立ち上がるが。

 

「萃香さんは龍我の身体を集めてもらえますか?細かくて俺達には無理です。けど貴方の力なら……葬式だけはちゃんとあげてやりたいんです……」

 

「解ったよ……後は頼むよ」

狂弦の言葉に、萃香が頷く。

残ったメンバー達は狂弦の案内の元移動を開始した。

 

 

 

 

 

幻想郷の何処か……

杯正が、目の前の繭をゆっくりと眺めていた。

此処には杯正の新しい仲間が誕生の時を待ったいた。

 

不意に後ろの扉が開かれる。

 

「カンパイただいま!!お土産あるよ!!」

フノイが楽しそうに、こちらに掛けてくる。

そして杯正の目の前に、青い結晶を見せる。

 

「へぇ、Ⅱの核かい。良く手に入れたね」

そう言ってうれしそうに結晶を手に取る。

 

「うん!!私頑張ったよ!!」

褒めてと言わんばかりに、フノイが身を寄せる。

 

「どうしたのコレ?」

フノイが杯正の腕から流れる血に気が付いた。

切り傷の様である。

「ああ、これ?前に妖怪の賢者さんが、ワープしているのを見て僕の力をそう言う風に真似て狂わせて、平行世界に行ったんだよ」

さらりととんでもない事を口にする。

「へーこー世界?」

フノイがきょとんとして聞き返す。

 

「お隣の似たような世界さ、最も10分も居られないし何も持ちこめないしね……」

現段階では完全に劣化版さと自嘲気味に話す。

残念そうに話すのだが、その表情は非常にワクワクしていた。

 

「で?なんで怪我してるの?」

 

「隣の世界の幻想郷に行ったんだ、そこでやられた。ロリコニウムとかいうエネルギーを操る変な男と、カッターを操る二人組にやられてね……この様さ……けどこれで理解した。ここ以外にもまだまだ面白い物はたくさんあるんだ……」

それだけ話すとゆっくりと杯正は立ち上がった。

 

「どこ行くの?」

 

「そろそろ、僕を退治する人たちが来るみたいだからね……Ⅲは間に合いそうにないし、フノイさん悪いけど僕の代わりに此処に来る人たちを足止め出来るかな?」

そう言ってにっこりと笑う、そして面白くてたまらないと言った表情でその部屋から出ていく。

「わかったよ!!」

同じくフノイも部屋を出る。

最後に二人して笑いあう。

 

 

 

 

 

「この先は……!!」

フノイの悪意を追っていた狂弦が、足を止める。

道はどんどん険しくなり、妖怪の山の麓までたどり着いた。

 

「なるほどな、妖怪の山か……警備が厳しいけど守矢の二柱やその風祝、厄神や豊穣の神なんかも居るからな……潜伏するにはぴったりって事か!!」

魔理沙が、理解したと言いたげに両手を叩き合わせる。

「早く行きましょ、少しだけ嫌な予感がする」

 

「マジかよ!?霊夢の勘は嫌に当たるからな……」

霊夢がボソリと言った言葉に魔理沙が大げさに反応する。

この先に恐ろしい存在が居るのに、この二人の態度には歴戦の猛者の持つ経験値と言う物を感じさせた。

 

「狂弦、友達を止めるんだよね?死にに行くわけじゃないよね?」

 

「そうだよ、もう一回会って馬鹿野郎って言ってソイツの顔面ぶん殴るんだ!!」

 

四人が山の中に入っていく。

狂弦が前に来たときは、龍我と一緒だった。

しかし彼はもう居ない。

その事が狂弦の中に寂しさを飛来させた。

 

彼は間違いなく友人だった、ぶっきらぼうだが心の底には確かな優しさが有った。

自身の力が、さとりの様な心を見る力ならきっとそれを感じる事が出来たのだろう。

失った者はもう帰らない……

だが、これから起きる悪意と戦う事は出来る!!

 

「逃げる為じゃない!!守るために俺は悪意を読む!!」

狂弦は一層自身の足に力を込めた。

 

 

 

「うわぁ!?」

 

「なんだ!?」

 

「地面が……」

 

「動いてる!?」

四人の足元が粘土の様にぐにゃりと動き出した。

狂弦以外は素早く空中に逃げ、狂弦自身も近くの木に飛び移った!!

荒れていた地面は良く整備された、広場の様に平らに成った。

 

「……解体(バラ)して、組み立てる!!あははははは!!」

 

地面から生える様に幼女が現れる。

墨の様な黒髪、ルビーのような瞳、人骨の手の様な羽、ぶかぶかなシャツだけを羽織った姿。

Ⅰ、フノイが姿を現した。

 

「出やがったな!!この化けモン!!」

魔理沙が先制とばかりに、八卦炉から光線を出す!!

 

「和と不和……光線と調和する!!」

フノイが魔理沙の光線の中に姿を隠す。

 

「何!?」

 

「そして……不和!!光線から私をはじき出す!!」

今度は光線から生える様にフノイが姿を露わにする!!

魔理沙とフノイの姿が一瞬交差する。

「あははははは!!おっしーい!!」

フノイがそう笑って、自身の指に付いた血を舐める。

 

「魔法使い舐めるなよ、化け物?」

そう言って魔理沙も自身の頬の傷をぬぐう。

 

 

 

「霊夢!!狂弦!!龍我の仇だ!!コイツは私がやる!!」

魔理沙が箒にまたがり、狂弦たちに叫ぶ。

 

「魔理沙さん!!無茶だ!!コイツは……!!」

 

「行きましょ、きっとカンパイが何もしていないハズ無い!!」

狂弦が止めようとするが、霊夢に袖を引っ張られる。

一瞬迷うが、こいしにいさめられ足を別の方向に向ける。

 

「杯正の位置はもうわかります……すぐ近くに……居る!!魔理沙さん!!がんばってください!!」

 

「おう!!」

 

そう言って狂弦は魔理沙を後にして、自身の友の元に向かう!!

 

 

 

 

 

「行かせて良かったのか?」

 

「あはははは!!もちろん、誰もカンパイには勝てないよ?」

空中で魔理沙がフノイを見下ろす。

 

「じゃあ、そろそろ……」

 

「はじめるぜ!!」

2人が跳ぶ瞬間、光線が大地を焦がす!!

無数の石の槍が、地面から飛び出す!!

 

「あはは!!たった一人じゃ私は止められないよ?すぐに分解してあげる!!」

フノイが羽を羽ばたかせ、光線を避け空中に躍り出る!!

 

「ちぃ!!」

舌打ちと同時に、星形の弾幕がフノイを覆うが……

 

「調和する!!無駄無駄!!みんな私をスルーするよ!!」

実態が無いかのように、するすると躱す!!

 

「ヘン!!そこまでは読めてるぜ!!……使いたくなかったが、しかたねぇ!!【浮上】しろ!!」

魔理沙が、懐から一冊のグリモワールを取り出す!!

【浮上】の言葉を呟くと同時に、地面から次々とおかしな物が現れる。

有る物は、桃色の鎧武者、有る物は金と書かれた前掛けをした大男、さらに亀にまたがる釣り人。

 

「な、ナニコレ?」

 

「少し前に、偶然拾ってな!!」

そう言って、グリモワールを見せる。

コレは、オルドグラムが麻衣に持たせた劣化タイプの魔道書、麻衣が破棄した物を魔理沙が秘密裏に手に入れていた!!

 

「ふ、複数なんて卑怯!!」

 

「何とでも言え!!それくらい後がないんだ!!」

ぎこちない動きで物語の住人たちが、フノイに襲い掛かる!!

地面に逃げ、石槍で串刺しにするが倒しても無限に湧いてくる。

仕方なく地上に出れば……

 

「【恋符『マスタースパーク』】!!」

圧倒的な威力の光線がフノイ襲う!!

 

しかし……

「どうした!?もうへばったのか!?」

魔理沙がフノイに話しかけるが、地面からフノイが出てこない!!

 

「あはははは!!知ってるよ?その魔道書、強いけどかなりの魔力を使うんだよね?もう息が上がりかけてるよ?」

姿を出さずにフノイがそう笑らう。

 

悔しいがフノイの言った事は本当である。

オルドグラムの魔道書は、制圧能力は高いがその分使用する魔力さらにコントロール性にかなりの難がある道具だった。

このままでは、トドメの前に魔力体力共に尽きてしまう。

 

「くそ……だが最後まで食らいつく!!」

半場諦めの境地で魔理沙が零す。

 

「あははは!!無駄なのにぃ?」

「ああ!!まだやるさ!!」

地面から上半身を生やしたフノイにそうメンチを切る!!

 

「ん?何の音?」

「音だって?」

最初に異常に気が付いたのはフノイだった。

すぐ後に、魔理沙も同じく気が付く。

何かが、こちらに向かう様な。

小さな爆発音の様な何か……

それはどんどん大きくなる!!

 

魔理沙はこの音を聞いた事が昔有った。

そうだ、外界の乗り物の音だ……!!

 

理解した瞬間!!木の間からバイクが這い出る!!

アクセルをふかし、爆音をあげてフノイ作った広場で止まる!!

 

「だれ?」

 

「あれぇ?ボクの事しらないのぉ?この山ではちょっとした有名人なんだよぉ?今日は久しぶりに無断で里帰りなんだぁ」

 

フノイの言葉に、間の抜けた言葉が帰ってくる。

黒いブチの有る白髪、哨戒天狗の制服によれた派手な朱色のジャケットを羽織り、頭には白黒のシルクハット最後に首に派手なネクタイ、その手に持つのはトランプカード。

 

「狗灰 机!!」

 

「はぁい。まほー使いさん?元気ぃ?」

嘗てこの山を追放された、白狼天狗!!

狗灰 机(ですく)だった!!




この予定だと、後3話行くかそこらで終了です。
最期までお付き合いいただけたら幸いです。
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