いままで応援してくれた人達!!
ありがとう!!
狂弦の目の前で一人の男が佇んでいる。
自分とはずいぶん長い付き合いの男だ。
何時も、不思議で夢の様な事ばかり言って……
そんな友人が何時もと同じ様な、恰好で佇んでいた。
一つ違うのはこの二人が敵対しているという事。
「二人……いや、狂弦の飼い主さんも入れて三人かな?もっと大勢で来てくれても良かったのに?」
そう言って杯正は腰かけていた、岩から立ち上がった。
「杯正!!なんでこんな事をしてる!!何の意味が有るんだ!!」
狂弦が最後の説得を試みる!!
しかし杯正はそれに悲しげに答えるだけだった。
「『なんで?』そんなくだらない事聴かないでくれよ。
ここでは常識に囚われてはいけないんだよ?
正しさを掲げるだけの世界なんてつまらないじゃないか……
もっと
さぁ!!ここからが正しさのない世界の始まりだ!!」
両手を広げ地面を足でける。
その瞬間杯正の姿が宙に浮かぶ。
『人は飛べない、翼もなく重力に囚われているから……それがルール。
ならば僕はそれを歪める!!』
無重力空間で有るようにふわふわ浮きながら両手を広げる!!
「先ずは通常弾幕からだ!!躱してみてくれよ!!」
何もなかった空中に拳大の、金色のジェット機の様な物が現れる!!
同じく地中からは拳大の黄金のブルドーザーの様な物が出現する!!
黄金ジェットは複雑な軌道を描き、霊夢に向かう!!
黄金のブルドーザーが狂弦を追う!!
「!?何よコレ!?黄金?こんなのを使うなんてあてつけかしら!?」
霊夢が回避、撃ち落とし、更に薙ぎ払いながら光弾を発射する!!
「コレは、オーパーツです!!言うならば外で作られた人工の幻想ですよ!!」
狂弦がこいしを庇いつつ猟銃で向かってくる黄金ブルドーザーを破壊する。
「ああ!!うっとおしい!!二人ともこっちに来なさい!!まとめて吹き飛ばすから!!『夢符【二重結界】』!!」
霊夢と狂弦こいしを傍に呼び、二重の結界をはりその外の2種のオーパーツを破壊する。
「やるね。じゃあこっちもカードを使おうかな?」
杯正が虚空に手を伸ばすと同時に、光が集まりカードの形になる。
「行ってみようか?『奇壊符【
杯正を囲むように今度は水晶髑髏が現れる。
赤、青、黄、緑、藍、紺、白、桃、黒、灰、朱、銀、金とさまざまな色に変わりながら両の瞳から光線を出し3人を狙う!!
「チィ!まためんどくさいのを……」
「攻撃を予測する!!」
「わとと!?」
三人がそれぞれ逃げ出すが……
「僕がそんな簡単な技を使う訳ないよね?」
杯正の言葉にいち早く、狂弦が気が付いた!!
ほぼ同時に杯正の悪意を読み取る。
「ッ!?霊夢さん!!こいしちゃん!!コレ、ビームを取り込んできます!!」
「え!?」
霊夢は自身の後ろを見た!!
一つの髑髏に複数のビームが当たり、さっきよりもずっと大きな光線を放つ!!
「!!結界を……ああ!?」
咄嗟に結界を張るが、それを容赦なく破壊される!!
被弾こそしなかったが、袴の一部が焼け焦げる。
一瞬遅れて髑髏たちが消滅する。
「あーあ、惜しかったな。7本のビームではこれ位か……13本集合したら強かったのに……」
酷く残念そうに杯正が話す。
3人はその様子に理解した。
この男は完璧に遊んでいる、実際に彼は暇つぶし程度で付き合っているだけなのだ。
彼の前ではすべてが玩具、それは幾度となく異変を解決した巫女を前にしても変わらない。
考えてみればそうだ、杯正には攻撃を無効にする能力だって存在する。
しかし彼はそんな力を使うそぶりさえ見せていない。
まるで大人が子供の目線に立って、手加減するような感覚なのだろう。
「さ!次はソッチの番だよ?」
「な、なめるんじゃないわ!!『神霊【夢想封印】』!!」
霊夢を中心に聖なる光が、放出される!!
嘗てオルドクラムすら警戒した、全てを封印する圧倒的な技!!
幻想郷を守る巫女の象徴とも言える技が杯正に向かって飛んでくる!!
「わぁ……すごく……きれいだ……でも……ッ!?なんだって!?」
杯正が懐からカードを取り出す、しかしそれはすぐそばにいた狂弦に撃ち落とされた!!
「一体どこから!?」
「こいしちゃんの能力さ!!ずっとお前の無意識に潜ってチャンスを待っていたんだ!!『命符【ワンダフルライフ】』!!」
狂弦が同じくカードを取り出し宣言する!!
「な!?馬鹿な!?」
聖なる光と、勇気を持った銃弾が杯正に撃ちこまれる!!!
「頼む……これで倒れてくれよ……」
祈るような狂弦言葉に爆風が晴れていく。
爆心地には誰も存在していなかった。
完全に消滅したのか、封印されたのか……
「やった……倒した……杯正を」
気を緩め狂弦が膝を突こうとした時……!!
ピシッっと小さく氷にヒビが入るような音がした。
そして空間をドロドロに溶かすように杯正が姿を現す。
その様子に全く傷を負った様子は無かった。
「ふぅ危なかった……すごいね。三人とも正直ここまでやるとは思ってなかったよ……偶然この力を使えなかったらヤバかったよ」
そう言って、自身の掌の上で空間を溶かす。
「その力って……」
「うん、賢者さんの能力。劣化版だけどね」
そう言って溶けた空間を閉じる。
「なんで?なんでアンタが紫の能力を?……まさか!!」
霊夢が射殺すような視線を杯正に向ける!!
しかし杯正はそれを笑って受け止める。
「大丈夫、何もしてないよ。むしろ彼女は僕の憧れですらあるんだよ?幻想の保護か、すばらしいよね?
ああ、『なんで』僕がこの力を持ってるかって?簡単だよ、僕は正常を歪める力を持っている、けどコレって実は珍しくもなんともないんだよね。
だって、君たちだって
杯正の、言葉に霊夢たちが絶句する。
絶望的な予感が胸を過ぎる。
「人は、『境界を操れない』『空を飛べない』『闇を操れない』『氷を操れない』『気を操れない』『魔法を操れない』『時間を止められない』『運命を操れない』『ありとあらゆる物を破壊出来ない』それが常識だよね?それが正常なルールだよね!!」
そう言った杯正の横に小さく闇が集まり球体を作り、氷が近くの葉を凍らせ、地面になかが走り、指先から火が出て、今まで出したものが全て同時に破壊された!!
「……何よソレ……そんなの反則……反則よ!!ありえないわ!!」
あまりの出来事に、霊夢がその場でへたり込んだ。
今までに相手した、いや、この幻想郷の全ての能力を杯正は使えると遠まわしに言ったのだ。
「『ありえない』か。いいね!!それこそ僕にふさわしい言葉さ!!」
楽しそうに杯正はその場で嗤った。
「……ここまでの様ね。本当はあまり私は関与したくなかったんだけど……」
凛とした声がその場に響く。
空間に隙間が現れ、なかから金髪の妖艶な美女が現れた。
この幻想郷の賢者 八雲 紫だ。
「実際に会うのは初めてですかね?」
杯正がにこやかに笑う。
「いいえ。私は何度もあなたを隙間から見てたわ、あなたは、あなただけは私が手を出さなくてはいけない様ね」
ふわりと空中に浮くと同時に、隙間から電車が飛んでくる!!
「うわっと!?」
杯正が咄嗟に避けた先で空間に、またもや隙間が出現する。
一瞬のラグのあと、光線が発射される!!
「わちち!?」
杯正が手をパタパタと振る。
僅かに被弾した様だった。
「何をしてるの!!サッサとアイツの境界をいじって――」
霊夢が紫に激を飛ばすが……
「もうやってるわ!!この子、能力を狂わせて邪魔をするの!!」
「流石に、能力封じは嫌ですからね!!」
杯正が尚も紫の攻撃を回避しながら、話す!!
「これで……!!!」
空間に再び隙間が現れ、杯正を押し込もうとする!!
「おっと!?アレはヤバそうですね!?」
一瞬だけ掠った腕を杯正が見る、その部分はボロボロに老化していた。
「因果から無理やり離す荒業よ。普通なら掠るだけで生き残りはしないんだけど……」
冷や汗を垂らしながら、紫が話す。
「こいしちゃん、またさっきみたいに俺を無意識に出来る?」
狂弦が策を思いつき、こいしに尋ねる。
「出来るけど……何をするつもり?」
不安げにこいしが話す、何かを読み取ったのかもしれなかった。
「あの穴に杯正を押し込むんだ、近寄って猟銃を使う!!」
決意を込めた顔でこいしに向き直る。
「わかった……けど危なくなったら……」
「もちろん逃げるさ、俺だった命は惜しいからね」
その言葉を最後に、二人は無意識に入り杯正の意識から消えた。
(さて……最後だ……ありがと、それとごめん!!)
それだけを心な中で話すと、狂弦は杯正に向かって走り出した!!
そして思いっきり体当たりをする!!
「!?なんだ!?……狂弦!?しまった!!また無意識に……」
「よう杯正!!さっき振り!!外来新種はもう俺達二人だけだよな!!たぶん俺達は此処に居ちゃいけないんだよ!!せめてもの情けだ!!俺も一緒に行く!!」
その言葉と共に、狂弦が猟銃の引き金を引く!!
光弾が発射され、悪意をホーミングする!!
しかし今回ホーミングする悪意の対象は狂弦本人だった!!
加速した弾丸たちは、命中と同時に狂弦を押す!!
「おい、やめろ!!お前も――」
「言ったろ!!一緒に逝こうってな!!」
狂弦が必死に押しつづける!!
「何をしているの!?」
こいしが驚き、狂弦を止めようとする!!
「ごめん、サヨナラだ……」
その言葉に、こいしが理解出来ないと言った顔をする。
「なんで……!?もう勝手にどこかに行かないって言ったのに!!」
オルドグラムの時の約束を口に出す!!
「大丈夫さ!!きっと、きっとすぐに俺の事は忘れるよ!!」
「そんなの!!そんなの無理だよ!!」
溜まらずこいしが狂弦に駆け寄ろうとする!!
「こっちに来るな!!……最後にみんなに、みんなによろしく!!バイバイ」
猟銃をこいしに投げつけた!!
それを最後に、二人は因果すら切り離す穴に落ちて行った……
「なんで?なんで勝手に行っちゃうの!!うそつき!!うそつきぃいいい!!」
再び静寂を取り戻した、妖怪の山の一角で一人の妖怪がいつまでも泣き続けていた。
数か月後……
「おねーちゃん行ってきます!!」
元気な声が地霊殿に響いた。
猟銃を背負い、こいしが玄関から飛び出す。
その表情は楽しげだ。
「こいしさま元気に成ったねー」
お空がさとりにそう話す。
「表面上はね……けど必死に前に進もうとしてるんだと思う。きっと狂弦は何時までもへこたれてるのを良しとしないのを理解してるのよ……」
何処か寂しそうにさとりが話す。
その表情は非常に複雑だった。
「ふーん……あー!!お燐と出掛ける約束だったんだー!!」
バタバタとお空が走っていく。
地上にて
「ふー!!とうちゃーく!!やっぱり今日も空は青いねー
なんでこんなに青いのかなー?
あれ?なんで涙が出るのかな?
もう、もう枯れたつもりだったのになー」
青い空のした誰かが涙を流す。
しかし空は残酷なほど青くきれいだった。
電車のなかで人々が思い思いの時間を過ごす。
そんな中に狂弦はいた。
杯正が何かしようとしたのか、何故か狂弦だけ元の世界に戻っていた。
しかしあれから何度、紫を呼ぼうにも反応は無かった。
ここにも杯正はしっかりいたが、幻想郷の記憶など持ってなかったし、狂弦の話自体信じようとはしなかった。
3か月近く行方不明になっていた事に成っており、大学の講義などやるべく事は溜まっていた。
狂弦、いや美琴は再び忙しい日常を送っていた。
授業を終え、借りている部屋へと戻る。
「あー、今日も疲れた……」
ベットに寝転がりカレンダーを見る。
冒険の日々は、今はもう遠い記憶な気がする。
ひょっとしたらあの時間は夢だったのではないかとさえ思ってしまう。
その時、ケータイに着信が有った。
画面を確認するとそこには『乾 杯正』の文字。
「よう、どうした杯正?」
「ああ、美琴か?今週の日曜って開いてるかい?一緒にカラオケでもどうだい?」
「いいね!!俺の十八番を聞かせてやるぞ!!」
そう言って笑いあう。
満足した日々、不足はない。
ただただ、何か一歩踏み出せば人生は変わっていく。
美琴はそう思って、日曜の約束を楽しみにした。
THE END
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はい、どうも。皆さんやっとこの作品も有りがたく最終回となりました。
いやー。疲れた……
原作にキャラが多すぎると絡めるのが難しい……
実際かなり不満な点はありますね。
まぁ、勉強になったと考えましょうか……
何時かリメイクしたなー。なんて思ってます。
それではいつかまた会える日を!!
バーイ ノシ
X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0X0
「物語はエンドマークで終わる……それが普通……続くのはあり得ないって?いいね!!実に僕にふさわしい言葉だ!!さぁ!!行こうか?最後のどんでんがえしだ!!」
「ああ、それでさ……え?」
美琴の目の前の空間がドロリと溶ける。
それは、何時かみた光景で……
咄嗟に手に持ていた携帯電話を取り落してしまう。
「やぁ、狂弦。元気かい?」
そこから現れるのは親友の姿。
しかしこの男は今自分を『狂弦』と呼んだ!!
確かに呼んだのだ!!
混乱するが、携帯の通話相手も間違いなく杯正だった。
「苦労したんだよ?ずいぶん君を探したんだ……やっと見つけたよ」
やれやれと肩をすくめる。
「何をする気だ!!また、幻想郷を――」
そう言って身構えるが……
「違う違う、もう前みたいな無理はしないよ。いろんな世界を見つけたんだ、死神が戦う世界、龍の力を持った悪魔が戦う世界、まだまだいろんな世界が有るんだ!!今度はそんな世界に向かうんだよ、キミはあくまでオマケ」
「オマケ?」
「どう?また、あの子たちに会いたくない?」
その言葉に少年の心臓が跳ねる。
「オイ!!どうした!?美琴?美琴!!」
「僕と来るかい?狂弦?」
同じ人物が自分を呼んでいる。
それに対し少年は……
携帯電話を取った。
そして宣言する。
「悪い杯正!!カラオケはキャンセルだ!!待ってる子がいるんだ!!」
そう話すと同時に携帯を切る。
少年は美琴ではなく狂弦を選らんだ!!
「いいね」
杯正に連れられ、狂弦は空間の中に消えて行った。
「ここからは俺だけで行くよ」
懐かしい風を感じ狂弦は、地面に降り立った。
「ああ、《みんな》にもよろしくね」
杯正はそう言うと、また消えて行った。
狂弦は人を探して旧都を走る。
妖怪達がこちらを見る。
一件の飲み屋で、厳つい風貌の男がうさぎを抱きながら鬼と一緒に酒を飲んでいた。
地霊殿に寄ったが目的の人物はいなかった。
狂弦は人を探して人里を走る。
門番がこちらを呼び止め、それを紙芝居屋とベルを手にしたその娘に諌められる。
何処を探しても目的の人物はいなかった。
狂弦は人を探して魔法の森を走る。
廃墟に成った家の前で、オッドアイの傘を持った妖怪が魔法の練習をしている。
失敗した彼女に黒と赤の服を着た、魔法使いが手本を見せる。
狂弦は一瞬ギョッとするが悪意は感じられないのでほっておく事にした。
ベビーシッターの仕事が有るらしく妖怪は本を腰に下げると、どこかへ行ってしまった。
狂弦は人を探して妖怪の山に向かう。
白に黒いブチの付いた白狼天狗が、こちらの身ぐるみを剥ごうとゲームを仕掛けてきた。
しかし狂弦はそれを断り山に入っていく。
妖怪の山の中腹。
一人の妖怪が空を眺めていた。
不意に彼女に影が掛かる。
彼女は影の主に気が付いた。
「何処に居ても見つけられるさ……」
「お帰り!!」
2人はそこで抱き合った。
遂に探していた相手を見つけたのだ。
その後……
杯正はフノイと共にどこかに旅立った。
今でもたまに狂弦に手紙を送っているらしい。
最近の手紙には写真があり、中華風の服の女性と変なTシャツの女性更にアメリカの国旗を模した服を着た幼女と仲良さそうにしている写真が来た。
メッセージによると、月に遊びに行くらしい。
龍我はいまだに幻想郷にとどまっている。
鬼に勝のが目標らしい。
麻衣は父親と共に人里で紙芝居をやってるらしい。
最近人気が出て来たらしい。
オルドグラムは現在新しい所有者兼弟子を見つけたらしい。
観察対象だが彼は全く気にしていない。
最近人の驚きの感情を利用した魔術を完成させたらしい。
狗灰 机は現在行方不明。
香霖堂の店主などが探しているらしいが、以前消息は不明のままだ。
噂だが、天邪鬼と組んで下剋上を画策しているとかいないとか……
狂弦は現在地霊殿を出て、探偵を始めたらしい。
かなりの引っ張りだことの事。
「うーん……今日も良い日だ……」
狂弦はそう言って、椅子から立ち上がる。
今日はこれから、約束が有るのだ。
嬉しそうに椅子だけが揺れていた。