東方生迷伝   作:ホワイト・ラム

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向上心は大切だ。
人の進歩に欠かすことの出来ないものだ。
しかし度を越えた向上心はどうだろう?
何時かそれは……他者に牙をむきさらには……


地の底の光2

「たっだいま~」

 

「お邪魔します……」

二人組の男女が地霊殿の玄関の扉を開ける。

こいしと狂弦だ。

 

「お邪魔しますじゃなくて、ただいまで良いんだよ?今日から狂弦はここの住人なんだよ?」

こいしがいまだに遠慮が有る狂弦に注意する。

 

「そっか、ありがとね」

こいしの頭に手を置きながら、少しだけ心がほっこりする狂弦。

 

(だれかの優しさっていいな……)

 

「あ!こいしさまだ~」

 

「お帰りなさい、こいし様!」

玄関から二人の女性がかけてくる。

 

「あ!お燐、お空!今帰ってばっかり?」

こいしが二人に笑いかける。

 

「はい、そうです。そちらの人は?死体にして玄関に飾る用の人間ですか?」

赤黒いワンピースを着た、赤髪の猫耳の有る方の少女がそういって狂弦を見る。

その視線に悪意がこもっている事を狂弦は読み取り自身の能力を発動させる。

 

(ふーん〈なるべく長く楽しみたいな〉か酷い事を考えるな……)

 

「お燐、そうじゃ無いよ。この子は私が拾ったんだもん、殺しちゃダメ」

隣でこいしがストップをかけると、お燐の悪意は消えた。

 

「あ、そうなんですか。じゃ、やめときます」

少し残念そうにするお燐。

 

「こいしさまその人誰?玄関に飾る用の人?」

もう一人の翼の生えた少女が狂弦について聞いてくる。

 

「お空!今こいし様が言ったばかりじゃん!」

 

「え?そうだっけ?」

お空が首をかしげる。

 

「狂弦、この子たちがさっき話したお姉ちゃんのペットだよ」

こいしが簡単な説明をする。

 

「二人とも初めまして。今日からお世話になります、夜城 狂弦です」

そういって二人にお辞儀をした。

 

「あ、これはどうもご丁寧に……火焔描 燐です。気軽にお燐って呼んでください」

 

「霊烏路 空だよ!よろしく~」

そういって二人と握手をする。

 

「あら、みんな帰ってきたみたいね、夕食出来てるわよ?」

地霊殿の奥からエプロンをつけたさとりがパタパタと歩いてきた。

 

「わーい!ごはんだ!」

お空がそういって万歳をする。

 

「ありがとうございますさとり様」

お燐がさとりの後について行く。

 

「ご飯が終わったら狂弦にも弾幕教えてあげるね!」

こいしがそういって狂弦の手を引っ張る。

 

(夕飯か……大丈夫かな?)

少し不安になる狂弦。

 

「「「「「いただきまーす」」」」」

 

5人は椅子に座ってテーブルに有る食事を食べた。

 

(よかった、普通の食事だ……てっきりペットっていうから、犬用の皿に缶詰とかかと思った……)

狂弦がホッと胸をなでおろす。

 

「さすがにそんなことはしませんよ?(馬鹿にしてるのかしら?)」

上座に座っていたさとりがこちらを見てそういった、もちろん悪意のおまけつきである。

 

「い、いやー。ちょっと思っただけですよ?」

必死に誤魔化そうとする狂弦。

 

「お姉ちゃん、狂弦何考えてたの!?まさかごはんと一緒にお姉ちゃんも食べようとしたとか!?」

 

「ぶー!ごほ!ごふ!」

不意打ちできたこいしの思いも依らない言葉に思わず噴き出した狂弦。

気管支に入った米粒でむせる。

 

「いいえ、大丈夫よ。そんな事考えてはいなかったわ、ただし犬小屋に連れて行かれて、ドッグフードを出されるんじゃないかと心配してたのよ」

さとりが狂弦を無視して答える。

 

「お姉ちゃんのごはんよりドッグフードの方が良かったの?」

こいしがかわいそうな物を見る目が狂弦を見る。

 

「いや、違うからね?ペットペット言われたからそんな気がしてただけ、でも誤解だったみたいだね」

にぎやかな日常と呼べる風景。

 

(そうだよな、今日からここが俺の家になるんだ。もう逃げ惑っていた屋社 美琴じゃない、ここの住人夜城 狂弦なんだ)

 

「みんな改めて今日からよろしく」

狂弦はそういって4人に挨拶した。

狂弦の心を読んださとりはクスリとほほ笑んだ。

 

食事後……

 

「ぐぬぬぬ…………だめだぁ」

狂弦がパタリと倒れる。

此処は地霊殿の中庭食事が終わった狂弦はさっそく弾幕を教えてもらっているのだが……

 

「あははは!ウンともスンとも言わないね!」

幕どころか光弾一つ出すことが出来ないのだ。

先ほどからこいしが指をさして笑っている。

 

「何がいけないんだ?イメージか?妖力の類か?」

自身の手を握ったり開いたりして確かめてみる。

 

「とにかく経験あるのみだよね」

こいしがこちらを見る。

 

「こいしちゃん、暴力は良くないと思うんだ。俺の能力は悪意を感じ取れる……こいしちゃんが俺にしようとしていることも……」

 

「経験あるのみ・だ・よ・ね・?」

 

「うわああああ!」

本能{イドの解放}!

大量のハート型の弾幕に狂弦が包まれた。

 

 

 

 

 

 

所変わり地上

「GYAGAAAAAAAAA!!!!!」

幻想郷の重要なパワーバランスを司る博霊神社に雄たけびが激しくこだまする。

 

「くそ!何なのよこの化け物は!」

幻想郷の巫女 博麗 霊夢は悪態をつきながらも自身の持つ札を投げる。

大量の札がソレに向かい殺到する。

 

「むうぅっぅうあああああ!」

ソレは札を薙ぐように腕を振るう、腕に当たった札が霊力の迸りを散らしながら音もなく破れていく。

 

「があああああ!」

次にソレは雄たけびをあげると霊夢にとびかかった。

 

「二重結界!」

そう叫ぶと霊夢を中心に二重の結界が出現した。

 

「無駄だぁ!」

ソレが初めて理性ある生物らしい言葉を発した。

握りしめた拳で結界を無理やり叩き割る!

1枚、2枚とあっけなく破れる結界。

 

「がああああ!」

右手の拳を握りしめ再び霊夢に接近。

 

「夢想封印!」

霊夢の身体から光の弾の壁が作られる。

 

「うをおおおおおぅ!」

光の弾の壁がソレを打ちのめした。

パタリと倒れ動かなくなる。

 

「はあ、はあ。コイツいったいなんだったのよ?」

肩で息をしながら倒れたソレを見下ろす。

 

「あーあ、やっぱりダメだったか~」

いつの間にか神社の屋根に寝転がっていたもう一人が笑う。

 

「コイツ、アンタが連れて来たの?」

霊夢が屋根に寝ているもう一人を睨みつける。

 

「そうだよ、偶然歩いてたら面白いモン見つけたからさ、連れてきてみた」

そういって腰のひょうたんを持ち上げ口を付ける。

 

「実力的に霊夢クラスは無理か~、次は地下にでも連れて行ってみようかね?」

そういって屋根の人物は霧のように消え、倒れていたもう一人もその霧に連れられるように消えて行った。

 

「あ!ちょっと待ちなさいよ!」

霊夢が声を荒げるがそこにはもう誰もいなかった。

 

 




最後に出てきた二人のうち一人はオリキャラです。
もう一人は原作に居ます。
さてこの二人が、物語にどう絡むのか?
お楽しみに!
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