東方生迷伝   作:ホワイト・ラム

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譲れない時というのは有る。
勝てないと解っていながらも譲れない。
絶対に引いてはいけない。

しかし残酷にも足はすくんでしまう。
そんな時は……どうすればいい?


迫る暴龍2

「うーん、だいぶ形になってきたね」

狂弦のはなった弾幕を見てこいしが頷く。

 

「大体コツは掴んだみたいだね、後は応用かな?」

再び自身の手に光弾を精製する。

狂弦の光弾はこいしの弾幕をモデルにしたためか、薔薇に近い形をしている。

もっと色も白く、たまに色が付いた花びらが有るなど、だいぶ形は歪だが……

 

「それ私のマネ?」

狂弦の掌の薔薇の光弾をこいしが指さす。

 

「そういう事になるのかな?ま、造花って言った方が正しいかな?」

 

「ぞうか?」

こいしが尋ねる。

 

「造花ってのは偽物の花の事さ、布とか紙とか針金で出来てて、匂いとかはしないんだけどね」

狂弦はそういって造花を消した。

 

「ふーん。ねぇ、せっかくだから街に勝負挑んでみようよ!」

こいしが狂弦の袖を引っ張る。

 

「うーん、せっかくスペルカードも作ったし行ってみようか?」

懐から2枚のカードを取り出す。

さっきまでこいしと二人で作ったカードだった。

 

「じゃあ、早く行こうか」

 

「そうだね!」

二人は旧都に向かって歩いて行く。

 

 

 

 

 

その頃旧都では……

 

「あーあ、面倒な事になったねー」

居酒屋で簡単な食事をしていた、鬼の四天王のひとり。

伊吹萃香が目の前の光景を見てつぶやいた。

 

店の前には……

 

「おい!人間!よくも俺のダチ公を!」

 

「舐められたマンマじゃいられねぇ!」

 

「ぶっ殺してやる!」

 

「潰せ!潰せ!潰せ!」

 

「内臓引きずりだしてやるぜ!」

 

「逃がしゃしねーぞ!」

多数のゴロツキの妖怪達がひしめいていた、その視線の先にはたった一人の人間の男。

普通ならこの男はもう助からない、圧倒的な力でねじ伏せられてただ死んでいくだろう。

しかしその視線の先に居た男、龍我はただ一言。

 

「萃香俺の分の焼き鳥残しておいてくれ、冷める前に決着付ける」

そう言って立ち上がった。

 

「店の邪魔になる、外行くぞ」

いきり立つ妖怪たちをかき分け店の外に出る。

店の外で妖怪たちに囲まれる。

しかし妖怪たちは襲わない、先ほど倒された仲間の事が脳裏にちらつき警戒を強めているのだ。

 

「どうした?かかってこないのか?冷めると困る早くしろ」

たった一言の挑発。

妖怪たちは人を食う存在、恐れられるべき存在、無意識のうちに自分たちが人間よりも上位の存在だという矜持を持っている、しかし!異変解決をする博麗の巫女とも違う、魔術を使う魔法使いとも違う、霊力も魔力も待たないただの一般人と違わないハズの人間が自分たちをバカにしたのだ。

その事実は恐怖で二の足を踏んでいた妖怪たちをたきつけるには十分だった。

 

「糞が!やっちまえ!」

 

「おうよ!」

無数の妖怪が龍我に殺到する、それに恐怖することなくただニヤリと龍我は笑い、ゆっくりとポケットから右手を引き抜き、そして拳を握った。

 

 

「あー本当に面倒だ……」

伊吹萃香はいまだに目の前を見て唸っていた。

 

「悪い、待たせた」

龍我が暖簾をくぐり店内に入ってくる。

 

「あ!龍我聞いてくれよ、焼き鳥のもも、タレを頼んだせいで後から食べる塩が薄味に感じるんだ」

酒の肴にしたのは失敗だったーと、困った様に話す。

萃香は焼き鳥を一口食べると指さしながら、再び困ったように言う。

 

 

 

 

 

「こいしちゃん、ストップ!」

狂弦は右手をこいしの前にだし、動きを止めさせた。

 

「どうしたの狂弦?」

 

「旧都から、すごい量の悪意が出てる……何かあったのかな?」

それは悪意が見える狂弦だから気が付いたこと、旧都全体にかなりの悪意が充満していた。

 

「いってみよう?何か有ったらお姉ちゃんに知らせないと!」

そう言って旧都に走っていく。

 

「なんだよアレ……」

狂弦とこいしの歩く前方から二人組の男女が現れた。

一人は大柄な男半袖の中華風の青い服、もう一人は小さな幼女に見えるが角が生えており、鬼という単語が狂弦に思い起こされた。

 

「どうしたの?」

心配そうにこいしが狂弦に話す。

 

「アイツ……周りからすごい悪意を向けられている!」

生物は生きている限り何者かから悪意を向けられる、嫉妬だったり、憎悪だったりとさまざまだ、しかし目の前の男はレベルが違った。

狂おしいまでの悪意がこの男に向けられていたのだ、まるでこの旧都全体の悪意がこの男に集中されているかのように。

あまりの濃度の悪意に狂弦は具合を悪くする。

 

「あ、ちょうどよかった」

前方から軽い声が聞こえる。

 

「龍我この子だよ、さっき話した地霊殿の子って」

萃香が龍我に話しかける。

 

「地霊殿に何か用?」

こいしが二人に向けて聴く。

 

「ああ、襲撃を掛けようと思ってな」

その一言と同時に龍我が拳を握る。

 

「危ない!」

悪意を感知した狂弦がこいしを後ろに引っ張る。

 

「ほう、悪くない反応だ」

その様子をみて龍我がうれしそうに眼を細める。

 

「こいしちゃん、地霊殿に戻ってこの事をさとりさんに知らせて!俺は時間を稼ぐ!」

こいしを守るように龍我の目の前に立ちはだかる。

 

「けど……」

 

「たぶんこういう奴には俺の方が相性がいいから、早く!」

こいしは一瞬考えたが……

 

「解った!」

地霊殿に向かって走っていく。

 

「逃がして良かったのか萃香?」

龍我がこいしの背中を見ながら話しかける。

 

「龍我、順番が変わっただけだよ、気にしない、気にしない」

そう言って腰のひょうたんに口を付ける。

そんなのんびりした態度をしり目に、再びあの質問をする。

 

「コイツ、強いのか?」

 

「さあね、見た事ない奴だ」

 

「そうか、お前名前は?」

この時初めて龍我は狂弦の方を見た。

 

「夜城 狂弦!地霊殿で飼われている男だ!」

 

「そうか、死ぬ準備が出来たのなら……来い!」

そう言って龍我が再び拳を握る。

 

「うおをぉぉぉおおおっぉお!」

今!二人が激突する!

 

 




前回で萃香の萃の字が出せないっと言っていましたが「すい」で普通に出てきた……
うわー!はっずかし!ずっと「そつ」とか「しゅう」で変換しようとしてた……
こんなことが無いように気を付けます。
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