あの名探偵の世界に転生したら、死神が怖い 作:鈴水
(私、名探偵コナンの世界に転生して、恐々として過ごしてます)
どこか現実のような幻想的な世界。
見慣れた景色なのに、どこか現実味の無い世界。
ふと気づくと、あたりはモノクロに見えたり、現実感が失われたような世界。
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物心つくと、私は前世を思い出していた。
いつの間にか小学生になっていて、聞き覚えのある学校名。
帝丹小学校・・・?
そう聞いたとき、ぞわりと背筋に寒いものが走った。
テレビを付ければ、高校生探偵の話題でマスコミは浮かれている。
画面の向こうでは、キザな高校生がカメラに撮影され、得意げな顔をしている様子が写されている。
その人物は「工藤新一」
その時、少女は自分がどこに居るのかを悟った。
少女の名前は、神埼夜美(かんざきよみ)という。
小学生にしては聡明だと周りから思われている程度で、それ以外は特に目だった所などない。
前世の記憶と、今の世界で過ごした記憶が同居していて、前世の記憶に戸惑うことは最初だけだった。
しかし、彼女には誰にも言えない秘密となった。
この世界が空想上の世界など、誰に言えようか。
言ったとしても、誰も信じてはくれないだろうが、一人で抱えるには大きすぎる秘密だった。
だってそうでしょう?
自分が生きているのは、紙に印刷された漫画の世界であり、虚像の世界であるなどと。
それを知ったまま生きると言うのは、酷く滑稽で、酷く屈辱的だ。
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そうこうしている内に、小学生になって2か月が経過した頃だったか。
「転校生を紹介します」
学校の先生が朝礼でそんな話を切り出した。
今は小学1年生の入学したばかりの時期であり、特別な事情がなければそんな時期に転校など稀である。
察しの良い夜美は、この時点で誰が来るのか分かってしまった。
ガラっと音がして、教室のドアが開き、入って来る人物がいる。
生意気そうな顔をして、黒縁めがねを掛けている。
どこか監視するような無機質な視線を教室全体に向けたと思うと、次いで取り繕ったような笑顔を浮かべている。
「僕の名前は、江戸川コナン」
夜美は窓側の席に腰掛けて、窓の外を見ている。
これから平穏な日常が続きますようにと、心の中で祈っている。
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この時をきっかけに、無限ループする季節が始まった。
外出して、あの少年と出合えば、高確率で死亡事故が起きる世界。
前世では、友達とよく「コナン」は「死神」だと話していた。
夜見はそれを、間近で見る日が来ようとは思わなかった。
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早速、吉田あゆみ、円谷光彦、小嶋元太の三人はコナンの周りに集まっている。
ああ、規定路線なのだと、少し諦めの感情が走り始めるが、自分はあのコナンと関わりあいにならなければいいのだと、思い直す。
それと共に、一つだけ懸念があった。
それは吉田あゆみのこと。
夜美とあゆみは、幼稚園の頃からの知り合いで、前世の記憶が戻ってからも、なし崩し的に付き合いが続いている。
現実に見る「アニメのキャラクター」は、面影がある程度で、実際には「空似」程度に思っていたのだが、あの人物が現れてしまえば、もう手遅れだろう。
「この平穏が、どうか続きますように・・・」
死神の名前は伊達じゃない。