原始の狙撃手   作:支援騎士

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俺と代表とAクラス戦 その弐

徹 side

 

「第二試合を始めます。次の方は前に出てください。」

霧島が負けたのに、高橋女史は淡々と進めていく。少しは驚くぐらいしようぜ!?さて、うちの代表は誰を出してくる?なんにせよもう一勝して王手をかけておきたいところだな。

 

「僕がでるよ。」

「おう、頼んだぜ明久。」

どうやら明久を投入するようだ。何やら外野から「明久じゃ無理だ!」「そんなバカ投入するなら姫路さんを戦わせろ!」との声がするが無視無視。‥‥なんかシメジとベルリンが今日は静かだな。

俺がコテンパンにしたからか?

 

「‥それじゃあリンちゃん、頼んだ。」

「わ、わたし!?わたしはでないはずじゃ‥‥。」

「‥吉井に対抗できるのはリンちゃんしかいない。お願い。」

「うぅ、代表にそう言われるとやらないやけにはいかないよ‥‥。先生、わたしがでます!」

「「「うおおおおおおおおお!リンちゃーーーーん!!!」」」

なんだなんだ。この異様なAクラスの騒ぎ様は!?リンちゃんとやらが前に出ただけでこの歓声だぞ!?しかもAクラスの奴等がだ!

 

「‥‥清澄 鈴(きよすみ れい)。通称リンちゃん。3サイズは、現在調査中。ただし胸は目測だとBぐらい。身長156cm、 体重46.5kg。Aクラスの清涼剤と呼ばれている元陸上部の女だ。愛らしい表情に成績もよく、運動もでき、誰にでも優しく、いつも元気なことからクラス内人気ランキングを霧島を抜き去ってトップ。今年の《彼女にしたい女子ランキング》では間違いなく上位に食い込むと予想されている。Aクラスの男子により、ファンクラブが創設されている。観客席の真ん前で騒いでいる奴等は《リンちゃん親衛隊》と呼ばれる精鋭達だ。あいつらの統率力は最早FFF団以上だ。リンちゃんに危険が及ぼうとすると、僅か0.2秒で駆け付けリンちゃんを救う。‥‥因みに俺はファンクラブにリンちゃんの写真を高値で売り捌いて資金源としている。」

「説明ありがとうムッツリーニ。とりあえずスゴい、ってことはわかった。」

流石エロの伝道師。この男は頭の中にスパコンでも搭載してるんじゃないだろうか?ってほどに詳しい説明と説明の間にもカメラをひっきりなしに動いているところを見ると頭が下がる思いだ。

‥‥最近ムッツリーニの金回りがいいと思ったらそういうことか。今度なんか奢ってもらおう。

 

「科目は、僕が選択させてもらいます。日本史で。」

「承認した。それでは、準備はいいな?‥‥第二試合、開始!」

「「試獣召喚!」」

 

幾何学模様と共に、二人の召喚獣と点数が表示される。

 

科目:日本史

 

清澄 鈴 431点

 

清澄の召喚獣の武器は扇子、いや鉄扇か。それを両手に持っている。そしてテンプレな踊り子の姿。

「大変だ!親衛隊(我が同志)が鼻血を出して倒れたぞ!?」

「輸血だ!急いで!」

こうなることは何となく察していた。召喚獣とはいえど、元が可愛いのだ。それが踊り子姿なら、こうなる奴が現れることは何となく察せた。因みにムッツリーニはただシャッターをきり続けるカメラマンと化しており、出血はしてないようだ。

 

吉井 明久 514点

 

対する明久は簡素な黒コートと刀。こないだと同じ装備だ。

点数だけ見ると明久の方が高いが、さてどう転ぶのやら。

 

先制攻撃は明久だった。

右斜め上からの斬りが、清澄を襲うが鉄扇で弾かれる。立て続けに明久は踏み込みこんでの水平斬り

を清澄の召喚獣の右肩目掛けて振るうが、鉄扇での円を書くような防御に弾かれる。

まるで舞うように戦う鉄扇はどちらかと言うと防御に使われる事が多い。鉄扇というわりには軽量で、短剣と比べて守れる範囲が広い。そんな武器が攻撃に転じたら、どうなるだろうか?

 

楽しい躍りを踊るかのような斬撃が明久を襲う。踊っているような斬撃なのでどこから来るかわからない。明久は刀の刀身、鍔、柄の全てをうまく活用し防御しているが、点数が少しずつ減っていく。

 

吉井 明久 493点

 

 

「ぐっ、仕方がない。‥‥腕輪使用!《豪斬》!」

明久は観察処分者だ。だから召喚獣の痛みを己が追うことになる。このままだとヤバいと感じたのだろう。守りに徹していた明久の召喚獣の刀が白く光輝く。

明久の召喚獣がガードを無視してそれを思いきり横に薙ぐ。

その鋭い斬りは清澄の召喚獣に明久が当てた初撃だった。

 

 

清澄 鈴 216点

 

吉井 明久 443点

 

「ふぇ!?なんで半分も減ってるの!?たった一撃なのに!?」

「それが僕の腕輪の効果だからね。」

点数では一気に逆転をした。このまま減らしに行けるか?

「ぐぬぬ‥‥、まだまだ!」

清澄の鉄扇が再び明久を襲う。流石になれたのか、明久は上体をそらすことで避けると、器用にムーンサルトで後退する。‥‥バカ野郎が。

清澄は左手の鉄扇をブーメランの要領で明久の召喚獣に放り投げる。とっさの事に対処できなかった明久の召喚獣は顔に食らってしまう。顔に当たったことにより、大きな隙が明久に生まれてしまった。その隙に入り込まれ、鉄扇による舞のラッシュを腹に叩き込まれる。

 

 

吉井 明久 134点

 

頭と腹に当たっていることにより、点数がガクンと減少している。ムーンサルトなんて披露するからそうなるんだバカ野郎が。まあ、そんなところが明久の憎めないところなんだがな。

 

鉄扇のラッシュの合間に刀を挟んで強引にラッシュを終了させると、明久は刀を下段に構え直す。

カウンターで大技を叩き込むつもりらしい。

 

「吉井君、だったっけ?なかなか楽しい勝負だったよ。けど、これで終わりにするね!」

清澄の召喚獣が両手の鉄扇を構え、明久の召喚獣に向かってくる。恐らくこれが最後の衝突になるだろう。清澄の鉄扇が明久の懐に入る。‥‥何故だ?なぜ明久はガードしない?

下段の構えは防御の構えといわれてるほど防御に適した構えだ。それなのに、何故防御しない?それに、明久は観察処分者である特徴上、召喚獣の痛みを我が痛みとする。今鉄扇による連撃が相当辛いはずだ。

点数が2桁にいっても明久は動かなかった。まるで何かをじっと狙っているかのように。

 

点数がいよいよカウントダウンを始める。周囲からは「あいつ諦めてるぞ。」「だから姫路さんにやらせとけばよかったのに。」だの「リンちゃーーーーん!かわいいよぉぉお!」だのいろんな声が飛び交っているがそれでも明久は動かない。

明久の点数が二点になった。清澄の召喚獣が真正面を向いて、右手の鉄扇を降り下ろす。

 

「そこだッ!」

 

静が動へ、明久の召喚獣は先程までの硬直を一転、下単の構えから刀をまっすぐ斬り上げた。そして、清澄の攻撃も明久の召喚獣の腕をとらえる。

 

吉井 明久 戦死

 

明久は、戦死になってしまった。‥‥しかし異様なのは清澄の点数だ。

 

清澄 鈴 1点

 

200点近くあった点数が、たった一発の攻撃で戦死寸前まで追いやられている。

「‥人中。」

ひょっこりと現れた霧島がそんな謎ワードを口にする。

「‥人の急所のひとつ。口と鼻の間の窪んでるところ、そこを斬られたり強く押されると呼吸困難に陥ったりする。吉井はそこを狙った。」

なるほど、だからの下段の構えだったのか。手数じゃ勝てないから、一発逆転を狙った。明久の苦肉の策は実らなかったものの、改めて明久はスゴいと俺は感じた。

 

「勝者、Aクラス、清澄 鈴!」

鉄人が高らかにそう告げると、Aクラスの奴等は歓喜の渦に包まれていった。

「ごめんね、雄二。最後に逆転狙うような真似して。」

「なに、気にするな。お前の敵は次出るムッツリーニが晴らしてくれるさ。」

「‥‥(ぐっ)頑張る。」

 

「吉井くーん!」

ぱたぱたと音を立てながら清澄が明久に歩み寄る。

「最後の攻撃すごかったよ。一撃であんなに減らされるなんて思ってなかったよ。」

「あれは結構賭けに近かったんだけどね‥‥。清澄さんも、鉄扇の扱い上手だったよ。全く隙がなかった。」

「扱いになれてる吉井君にそう言われると嬉しいな。今度よかったら召喚獣の操作、教えてね。」

「僕なんかでよければ、いつでも教えるよ。」

「ホント?約束だからね!」

 

‥‥明久に新手の死亡フラグが立ちそうだったので、「先程の戦いは、なかなかいい戦いでしたねぇぇ!ねえ!雄二君!?」と解説をしてる体を装いつつ大声を張り上げシメジとベルリンの耳に二人の会話が入らないようにする。人のために頑張れる俺にも、そろそろ春が来てもいいと思う(遠い目)

 

 

 

 

まあ、これで一勝一敗、俺たちの命運がかかった試召戦争はまだ始まったばかりだ。

 

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