「なるほどな、それであんたがバカ姉貴のネックレス持っとる訳やな」
朱色のショートカットのボーイッシュな女神ロキ。
そしてその横にはロキファミリア団長のフィン・ディムナがいる。
ガレスとリヴェリアとは離れた席で話すロキとリュート。
警戒はするが警護に関してはフィンのみで充分と判断したのだ。
「俄かには信じ難い話だね、だけど神という存在がいる以上何ら可笑しくは無いのかもしれないな」
フィンが肩を竦めながら笑う。
見た目は小さな子供だが小人族〈パルゥム〉の冒険者でこのオラリオでもトップクラスの実力を持っている。
勇者〈ブレイバー〉なんて通り名もある位だ。
人気と実力を兼ね備えてはいるがこう見えても30代のおっさ…………ナイスミドルだ。
「だから俺をここに送った神とあんたらの関係なんて知らないし、このネックレスもよくわからん」
「そのネックレスの名前はムジョルニアや、まぁミョルニルとか色々言い方はあるけどな。
あのバカ姉貴…………トール姉とは結構長い間喧嘩しとったけど本当に良い姉貴やったわ。
トール姉が居なかったら今のウチは無いやろな…………………」
居酒屋だと言うのに何故かコーヒーを啜るフィン。
普段おちゃらけている主神が何時になくしおらしい姿を見せているのを失礼ながらも楽しく見ていた。
「よっしゃ、ドチビのファミリアっちゅーのは腹立つけどあのバカ姉貴が認めた男やし応援したるわ。
フィン、死なせたらあかんで?」
こくりと頷くフィン。
ヘスティアとロキの仲の悪さはオラリオの神たちの間でも有名だ。
そのファミリアであるフィンも知らない訳じゃ無いが助けが必要な人間を捨て置ける性分じゃ無いからなのか元から決めていたようだ。
「認めた?」
「そや、そのネックレスは妹である私ですら触れへんのや。
しかもムジョルニアは相応しい使い手にしか触れられへん。
認めたってことやろ?」
「まぁロキがこう言ったんだから君も大丈夫だろう。
今日の支払いは僕が持つから帰るといいよ」
「何から何まで済まないな。
失礼ついでに質問いいか?」
「答えられる範囲なら」
フィンとしては恩恵を貰ったばかりのこの男に教えてやりたい事は山程有るがそれを今頭の中で選別していた。
この男も冒険者だ、そして何時か自分と肩を並べて戦うであろう存在。
何故かそう認識していたのだ。
「アイズ・ヴァレンシュタインの好物とか趣味を教えてくれ」
思わずコケてしまうフィン。
フィンの隣のロキはポカンと固まってしまっている。
「あはは、まぁいいよ。
僕の知る範囲ではアイズは甘い物が好きかな?
ジャガ丸君の小豆クリーム味が好物だ。
そして休日は武器の手入れをするか団員の誰かの訓練をしているよ」
リュートはありがとうと礼を言うと店から出ていった。
「フィン、あいつどう感じた?」
「あの白髪の子はまだ駆け出しのようだがもう一人の方は何か強い意志のようなモノを感じるよ。
多分そのうち僕よりも強くなるかもね」
ロキはフィンの素直な感想を聞き考える。
ロキも当然報われるべき魂の存在を知っている。
姉の管轄であるだけあって報われるべき魂という存在に関してはオラリオで最も熟知していると言える。
「リヴェリアもガレスもこちらをチラチラ見ていたという事は彼らも気になるようだね。
ヘスティアファミリアはきっと強くなるよ」
フィンの力強く何処か嬉しそうな一言に複雑な心境になるロキ。
最も邪険にしている神を自分の子供が高評価しているのは面白くない。
しかし、少なくとも1人は姉の認めた男であり報われるべき魂なのだ。
「(1人の人間にどんだけの悲壮な魂が憑いとんねん。
しかも個人の魂も相当の英雄体質や、これは化けるで……………)」
報われるべき魂の存在がどのようなものかは謎だが物語が動き出している。
先程までリュートが座っていた席を見つめながら懐かしの姉を思い出すロキだった。
ロキとリュートをオラリオに送った神………トールの関係は姉妹です。
まぁこの辺の兄弟関係とムジョルニア云々は映画『マイティ・ソー』から引用しています(アベンジャーズ見た影響でつけた後付け設定とは誰にも言えない)
そしてロキがヤンデレ女神の如くリュートの魂がどうのと言っていますがロキが分かるのは『報われるべき魂』のみです。
ヤンデレ女神からは言い表せないような濃い色をした魂という風に見えてます。
報われるべき魂に関してはこれからの物語でちょいちょい出てきます。