原作買ってからとか言いつつ買わずに開始。
いや原作前の話なら書けると思っただけだから。
ベッドから起き上がり、鏡を視認し溜め息を吐く。
「またこの忌々しい体か……」
生前、彼が世界最強足らしめる要素が詰まった肉体。
老いることも死ぬこともなく、唯ひたすらに殺戮を繰り返す。
そんな悪鬼を使役し従え己の体に封じ込め、その力を我が物とする。
契約では無く、敗北による強制力。
死する事がない体となる。
「神も粋な事をする。前世での力をそのままに、新たな力を持たせるとは……」
彼の体には二つの力が存在していた。
悪鬼とORT。
闇と水晶。
不死と不滅。
人間を殺戮する悪鬼と人間を滅ぼすORTが互いの存在を認知しながらも共存していた。
ふと、彼は手紙を手に取った。
『これを読んでいると言うことは、うまく転生出来たみたいね。
さて、疑問に思っているみたいだから説明するけど。貴方の魂に耐えられる体を創ったんだけど、いざ魂を入れたら崩壊しちゃってね。
結局前世の貴方の体を再度、器にすることにしたわ。
付属で悪鬼も着いてきたけど、諸々の説明をしたら快く貴方に従うことを了承したわ。
だから貴方が望んだORTとも、争うことは無いと確信できる。
そして貴方の立場は主人公、兵藤一誠の兄。
兵藤龍よ。
原作を崩壊させるのも原作通りに進めるのも貴方の自由……っと、貴方は原作を知らなかったわね。
まあどう進めるかは貴方次第よ。
貴方の人生に幸あれ。』
「ありがたいねぇ。この忌々しくも愛らしい体をもう一度使えるとは…………良い!!」
狂喜の笑みを浮かべ、新たな力を喜ぶ。
「さて、力の整理をするか。ORT!」
そう叫んだ。右腕が水晶となり、徐々に浸食していく。
そして気に入らず霧散させた。
「気に入らねぇな。この俺が武器となるのは最後の手段だ。 俺の中に居る以上、俺に従え!!」
その声に反応し、再度ORTの浸食が始まる。
右腕を一度覆い、そして右手だけを覆い浸食が止まる。
そして右手の隙間から細長い物が飛び出る。
鋼糸だ。
通常の鋼糸とは違い、ORTの水晶で出来た物だ。
「良いなおい!想像以上に使いやすい! 悪鬼!!」
左手が闇に染まり、同じ様に隙間から鋼糸がでる。
全く別の力を同時に使いこなす。
そして満足し、霧散させる。
「最高だ、これから頼むぜ。『相棒共』」
二匹の規格外な人外が手を組み、一人の人間に手を貸した。
ーーーー△ーーーー
転生してから五年。
何事もなく、時々はぐれ悪魔を狩るだけの日々だった。
「龍、今大丈夫か?」
「ん?問題ないが、どうした。」
ドア越しに聞こえる一誠の声に、龍は反応しドアを開ける。
「一寸した?相談なんだけど……」
「ん?なんだ。言っておくが俺にそっちの気は無いぞ。」
「違うって!……こう……何て言うか見て貰った方が早い。」
龍は一誠を部屋に誘い、座らせた。
「それで?何を見せようって?」
一誠は頷き、右腕を突き出す。
光に包まれ、そして収まると赤い籠手がそこにあった。
「これなんだけど……何だと思う?」
(
こんな簡単に発現するのか。)
「そうだな、発現した良い機会だ。
面白いことを話してやるよ。だが、これを聞いたら後戻りは出来ない。それでも聞くか?」
少しだけ狂気を浮かべ、問い掛ける。
その笑みに一誠は生唾を飲み込む。
「ああ。 それで龍の隣に立てるのなら。
兄に追い付きたいと思うのは弟の性だ。
それにーーーーーーーー
覚悟は出来てる。」
「良い目だ、だが動機が不純だな。
まあいい。なら話してやるよ。
真実を。」
ーーーー△ーーーー
「えっと、つまり天使や悪魔や堕天使がドンパチやってると……」
「そうだ、聞いた話だが事実さ。 確証もあるしな。」
「信じがたい話だな。」
ガシガシと頭を掻く一誠。
「はは。信じがたいのは当たり前だ。
だが事実だ。」
「ああ、それは分かってるよ。龍を信じてるからな。」
(こいつは何時からブラコンになったんだ……)
「取り敢えずその話は後にして、この赤い籠手は……さっきからちらほら出てくる神器ってやつか?」
「察しが良くて助かる。その通り、お前の腕にあるその籠手は、神器と呼ばれる規格外の力さ。
ただ、神器にも種類があってな。
その種類までは俺には分からん。」
「龍にも分からない物があるのか……」
「お前は俺の事をどう見てるんだよ……全知じゃねぇんだぞ。
ただまあ、分からないなら調べれば良い。」
龍は一誠に籠手に手を置いた。
「まあ、中に何かが居るのは分かってるから……行ってこい!!」
呪文を唱え、籠手に置いた手が光出す。
そして一誠の意識は暗転した。
ーー△ーー
「ここは何処だ?」
薄暗く、そして赤い空間に一誠は居た。
「確か……龍が手を置いて、そして……」
『ほう、ここに自ら来れる奴が居るとはな。いや、これは外的要因か。』
「だれだ!?」
一誠が振り向くとそこには赤く、そして巨大なドラゴンが居た。
『俺の名はドライグ。世界最強の二天龍の一体。赤龍帝のドライグだ。この神器、
「なんでそんな奴が……」
『何の因果か知らないが、偶然だろうさ相棒。』
一誠が光出した。
『時間のようだ、目覚めたら神器を出せ。
会話ができる。』
「ああ、分かった。」
光が強まり、一誠が消えた。
ーー△ーー
「で?何かと会えたか?」
「ああ、収穫はあった。 来い!
一誠の呼び声に答え姿を表す赤い籠手。
「ほう、正体が分かったか。」
「ああ、ついでに中に居る奴もな。ドライグ。」
『ああ、赤龍帝ドライグだ。』
「二天龍か、こいつは面白い。おい一誠。」
「なんだよ龍。」
「今日から俺がお前を鍛えてやる。」
狂気の笑みに一誠は苦笑い。
「えっと……因みに拒否権は……」
「あるわけ無いだろう。神器が発現した以上、命を狙われても可笑しくねぇぞ。」
「ですよねぇ……」
原作開始まで3年。
設定を少々。
龍の前世からの相棒。
悪鬼。
不死の怪物、勝者に絶対の忠誠を誓う殺戮を生き甲斐とした魔界の生物。
武器。
鋼糸。
龍が最も得意とする武器。
刃が付いた、文字通り鋼で出来た糸。
龍は悪鬼とORTを鋼糸に加工し、武器とした。
悪鬼は魔力の化身。
ORTは純粋な破壊をもたらす。