「……」
何もない真っ白な世界に1人の青年が横たわっていた。年齢は20歳前後、東洋系の顔立ちに短い黒髪、そして黒い着物を身に纏っていた。そして、彼の横には2本の日本刀があった。
「……この者がかつて異世界・エレブ大陸でその名を轟かした義賊集団“黒い牙”の1人・天狗の半妖、飛天 幻か。」
突然、1人の老人が青年の横に現れ、ぽつりと呟いた。
「そして、この刀が、妖刀・月影と雪羅か。」
老人が刀の名を口にすると突然2本の刀が光だし、光が収まるとそこには2人の巫女がいた。
2人の外見は共に10代後半で、日本人形のような綺麗で長い黒髪が特徴だった。1人はその黒髪を肩の辺りで1つにまとめ、もう1人はまとめずに伸ばしていた。
この2人の巫女は、2本の刀が変化した姿であり、同時に姉妹でもあった。彼女たちは“剣精”と呼ばれる特殊な生命体であった。
「……あれ? ここは? 私たちは、確か……あれ~?」
と髪をまとめた方の巫女、月影があれ?とのん気な声を出した。
「姉さま、私たちはあの大戦の後、主である幻に封印されたんですよ? しっかりしてください。」
一方、雪羅は記憶がちゃんとあるようで姉である月影を注意していた。
そんな2人は、隣に横たわっていた青年・幻と老人に気づいた。
「!! 幻くん?!」
「……あなたは誰ですか? そして、ここは?」
「……ここは、死後の世界、人々の言う天国じゃよ。わしはそこの管理者、所謂、神じゃよ。」
雪羅の質問に先ほどの老人が答えた。
「死後の世界?! では、幻は……」
「うむ、あの世界の大戦後、お主らを封印した後、飛天 幻は危険な力を持つ者として処刑された。他の者たちも今は逃亡中じゃが、近いうちに……な。」
「そんな……」
「幻くんが?!」
老人・神の言葉にショックを受けた2人がその場でうなだれた。
「……神様なら何で、何で幻くんを助けてくれなかったの!?ねぇ、どうして!?」
「……姉さま」
月影は涙を流して激昂した。
「……それが、お主らの運命だったからじゃ。いくら神でも人の運命を勝手にいじるのは無理じゃよ。お主らには辛いが受け入れてくれ。」
そんな月影の言葉に、神は首を横に振って静かに言った。
そんな中、雪羅は主を失った悲しみに耐えながら、疑問に思ったことを口にした。
「……1つお聞きしたいのですが、あなたは何で私たち姉妹の封印を解いたのですか?」
「お主らにちと頼みたいことがあってな。」
「頼みたいこと?」
「実はな、とある世界に転生してもらいたい。」
「「……転生?(ですか?)」」
神の一言に月影と雪羅が同時に言った。
「実はな、こちらのミスで本来のその世界には関係のない者、むしろ害を及ぼす者がおるんじゃよ。そやつがおるとその世界が狂ってしまうのじゃ。つまり……」
「私たちにその者を倒せ……と?」
神の言いたいことが分かった雪羅が神の言葉を引き継いだ。
「理解が早くて助かる。もちろん、倒した後はそのままその世界で自由に生活してくれてかまわん。どうじゃ?」
2人はしばらく考え、そして、月影が口を開いた。
「分かったよ。やろうよ、雪羅ちゃん!」
「姉さま……分かりました。」
2人は神の提案を受け入れた。
「よし。細かい話は、飛天 幻を起こしてからするとしよう。」
そういうと神は右手を幻に向け、なにやらぶつぶつと呟いた。すると幻の体が輝きだし、やがて光が収まった。
「これでよい。」
「幻くん!」
「幻!」
神が右手を下げると同時に2人は幻に声をかけた。するとややあって幻の瞼が開き
「はれ? 今日の晩飯当番、俺だっけか?」
……盛大に寝ぼけていた。
「幻、ちゃんと起きてください。」
「もうっ、幻くんったら。」
「あれ? 月影? 雪羅?何で?」
2人の巫女は寝ぼけている幻に呆れつつも、主の復活を心から喜んだ。
その後、混乱している幻に月影と雪羅は、今までのことを話し始めた。
――――説明中――――
「なるほどねー。まぁ、ここに居ても暇だし、前世に未練もないし、引き受けるよ。」
幻も神の願いを快諾した。
「おお、そうか。では細かい話に移るとしよう。まず転生するにあたり、お主の願いを3つまで聞いてやろう。」
「いや、いきなり言われても思いつかん。……願いって金とか豪邸とかが欲しいとかか?」
「いや、金と家はこちらである程度用意してある。」
「随分、至れり尽くせりだね。じゃあ、それ以外のお願いって?」
それ以外になんかあるの?と月影が聞くと、神は、
「例えば、容姿を良くしたいとか、希少技能をつけろとか、自身の能力を最強にしろ……とかじゃな。」
とやけに具体的な例を出してきた。
「……まるで前例があるみたいな言い方ですね。」
「うむ、実はな、お主達が来る前に来た奴がいてな。どうも、そやつは転生先の世界でハーレムを作りたいらしくてな……イレギュラーの話をしてもまったく聞いてくれんかった。」
「……まさか、そいつも同じ世界に?」
「うむ。……まぁ、あれの話などどうでもよい。話を3つの願いに戻すぞ。」
神がそう言うと、幻は腕を組んで願い事を考え始めた。
「うーん。……あっそうだ、1つ聞くが、俺らの前世での能力は全部使えるのか?」
「うむ。幻の天狗の能力も、月影たち、剣精の能力も大丈夫じゃよ。」
「……そうだな……月影と雪羅は何かあるか?」
再び幻は考え始め、隣にいた姉妹にも聞いてみた。
「私はないよ」
「何も。」
「……今は何も思いつかん。必要になったらでいいか?」
結局、何も思い付かなかった幻は、組んでいた腕を上にあげ降参とばかりに神の方を向いた。
「分かった。じゃあ、願いが必要になったら言ってくれ。では、そろそろ転生させるぞ。次の世界でも達者でな。」
神が手を上げるとまばゆい光が幻たちを包み……3人の足元に穴が空いた。
幻・月・雪「「「は?」」」
そして、3人は重力に従って落ちていった。
「てめぇぇ、今度会ったら容赦しな、うわぁぁ……」
「ふむ、頼んだぞ。」
神は、幻たちを見送り?ながら呟いた。
「……あっ、あやつらにあの世界の予備知識を渡すのを忘れておった。」
神の近くには1冊の本が置かれていた。本のタイトルは次のように書かれていた。
“転生先・魔法少女リリカルなのは予備知識集”と。
続く
こんな感じの話です。いかがでした?
よくある転生もの+αです。これが人生初の投稿になりますので、まぁ文章や内容がひどいと思いますが、この話を気に入っていただけたら幸いです、ハイ。