転生した天狗とリリカルな物語   作:下駄河童

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第16話 叱られます

―――聖祥大付属小学校3-A―――

 

今は休み時間である。児童たちは友人同士で雑談をしたり、次の授業の準備をしたり自由に過ごしていた。そんな中、アリサは空席になっている2つの席を眺めながら、横にいたすずかに話しかけた。

 

「ねぇ、すずか。最近幻もなのはも学校に来ないわね。」

「うん。2人ともお家の事情だから仕方ないよ。……アリサちゃん、2人のことが心配?」

「なっ!? そ、そんなわけないじゃない!!」

 

からかい気味にすずかが聞くとアリサが顔を赤くして叫んだ。

 

「(2人とも今は何してるんだろう?)」

 

すずかは頬を膨らませて怒っているアリサを眺めながらそんなことを考えていた。

 

 

―――海上―――

 

その幻は今海上で、ジュエルシードの影響で大荒れしている海と竜巻を相手に飛び回っていた。

 

「“流氷の舞”!!」

 

幻は雪羅の能力で周囲に氷塊を作りだし、それらを自身の妖力で竜巻目掛けて飛ばした。以前なのはの修行に付き合った時とは違い、今回は修行の時の数倍の量の氷塊を飛ばしていた。しかし、放たれた氷塊は竜巻を貫きはしたものの、その大きさを少しだけ小さくしただけだった。

 

『やはりもっと大きい妖力をぶつけないと駄目ですね。』

「そうみたいだな。……よし、月影、人の姿に戻ってアルフさんの支援を頼む。妖力を溜める時間を稼いでくれ。」

『分かった。』

「すまない、月影。助かるよ。」

 

人の姿に戻った月影は竜巻の動きを止めようとしていたアルフの近くに移動した。そして彼女は懐から符を取り出して構え、アルフは再び魔方陣を展開した。

 

「雷封鎖!!」

「チェーンバインド!!」

 

月影の符から放たれた鎖の形をした雷とアルフの魔法・チェーンバインドが竜巻を縛り付けた。

 

「幻くん、フェイトちゃん、急いで!あんまり長くは持たないかも。」

 

ジュエルシードの力で暴走した竜巻の動きを完全に止めるのは、2人がかりでもかなり難しく、月影は符にありったけの霊力を込めながら幻たちに急ぐようにと告げた。

 

「よし、2人がアレを止めてくれている間に、俺とフェイトで一気に封印するぞ!」

「分かった! バルディッシュ!!」

『Sealing Form. Set up.』

 

フェイトは幻の指示に頷いて変形したバルディッシュを構えた。そして、足元に魔方陣を展開させて、意識を集中させた。

一方の幻も雪羅を構え、普段はあまり使わない詠唱を始めた。

 

「……舞え、氷河の息吹。その力、我が妖力にて解き放て……」

 

そして、幻は詠唱を終えると雪羅の剣先を上空に向け、フェイトはバルディッシュを魔方陣に振り下ろして、2人同時に叫んだ。

 

「“サンダーレイジ!!”」

「“氷河繚乱!!”」

 

バルディッシュからは雷撃が一斉に放たれ、雪羅からは吹雪が発生した。そして、雷撃が竜巻を打ち砕き、凄まじい吹雪が竜巻を次々に凍りつかせていった。

 

――――――――――――

 

「ふぅ、ジュエルシード6個、封印完了。」

 

ジュエルシードの封印を確認したフェイトが呼吸を整えながら言った。

 

「お疲れ様、フェイト。」

 

と幻たちが互いの苦労を労っていると、アースラで妨害用の結界を張っている朧から連絡が入った。

 

「『げん、結界、限界。』」

「『分かった。』フェイト、アースラに張ってる結界が限界だそうだ。今封印したのを持って急いで戻れ。」

朧からの念話を受け、幻はフェイトに急いで戻るように告げた。

「でも、幻、ジュエルシードのこと、アースラの人たちに何て言うの?」

フェイトが尋ねると幻は頬をかきながら

「……なんか、こう、適当に?」

「はぁ、幻の言い訳のフォローは私がしますので、ご心配なく。」

 

何も考えていない様子の幻に若干呆れつつ雪羅が言った。それを聞いた月影も自分を指さしながら名乗りを上げた。

 

「雪羅ちゃん、私も私も」

「姉さまは黙っていて下さい。話がややこしくなりますので。」

「……分かりました、ぐすん。」

 

しかし、妹に笑顔で断られ、姉は涙目になっていた。その光景を横目に見ながら幻はフェイトたちの方に向き直った。

 

「まぁ、とにかくこっちは大丈夫だ。急いでくれ。」

「分かった。行こう、フェイト。」

「うん。幻、みなさん、ありがとう。」

 

フェイトは幻たちに礼を言うと手にした6個のジュエルシードをバルディッシュの中に納めて、アルフと共に去って行った。その直後にアースラから連絡が入り、幻たちはアースラへと帰還した。そして、なのはやクロノたちに一連のことを、一部嘘を含めて、説明・報告した。6個のジュエルシードについては幻が油断している隙にフェイトたちに持って行かれたと報告した。ちなみに、その報告を聞いていた神城には散々役立たず呼ばわりされたが、

 

「好感度を上げる為にジュエルシードをあげたのは誰だったかな?」

 

と幻が呟くと何も言わなくなった。

そして今、幻たちは別室にてリンディのありがたいお説教を受けていた。

 

「命令や指示を守ることは集団に所属している以上、最低限のルールです。それは民間協力者の立場でも変わりありません。しかし、報告もせずに勝手に現場に行くなど言語道断です。今回のようにシステムが止まるという現象は極稀ですが、それでも……(略)……」

 

「『……なぁ、まだこれ続くのか?だんだん足が痺れてきた。』」

「『恐らく、まだ続くかと。』」

「『幻くん、もう足痺れたの?』」

「『巫女で正座慣れしてるお前らとは違う。あー、早く終わんないかなー』」

 

と幻たちはまったく反省していなかった。彼らからすれば今回の件はジュエルシード6個をフェイトたちに渡すことができたので、成功したというべきである。しかし、管理局側からすれば、捜索物を取られた上に民間協力者の独断専行という悪い結果しか生まなかった。

 

「……今回は、罰として3人には反省文の提出と厨房の手伝いを命じます。」

「えっ?! そんなのでいいんですか?」

「あら、不満かしら?」

「「「いえ、それでお願いします。」」」

 

その時のリンディの笑顔に嫌な予感がした3人は声をそろえて言った。

 

―――――――――――――――――

 

「ん? 通信? はい、幻です。」

 

幻たちは部屋に戻り、罰の1つである反省文を書いているとプレシアから連絡が入った。

 

『幻、無事だったようね。今回の1件は本当にありがとう。フェイトもアルフも無事に帰ってきたわ。』

「それはよかったです。2人は?」

 

幻が尋ねるとプレシアは苦笑しながら、

 

『無茶のしすぎでリニスにお説教を受けて、今は2人とも疲れて眠っているわ。』

「なるほど。こっちもお説教でしたよ。今も反省文書いてる最中ですし。」

 

幻がため息交じりに言うと、プレシアもフフッと笑った。

 

「それでアリシア復活の儀式はできそうですか?」

『ええ、恐らく可能だと思うわ。でも、念のために残り1つのジュエルシードを手に入れてからやろうと思うの。でも準備だけは進めておくわね。』

「分かりました。」

「幻くん、厨房の人からそろそろ来てくれって連絡が入ったよ。」

 

厨房からの連絡を受けた月影が幻に言った。

 

「分かった。じゃあプレシアさん、また連絡します。」

『ええ。とにかく今回は助かったわ。それと厨房って?』

「……罰の1つで厨房送りになりまして。」

『……頑張ってね。』

 

プレシアの苦笑交じりの声援を受けて幻たちは厨房へと向かった。

 

――――厨房内―――――

 

「あんたたちが艦長の言ってた子たちかい?」

「はい、よろしくお願いします。」

 

幻たちが厨房に入るとエプロンをつけた1人の女性が声をかけてきた。というより厨房には彼女1人しかいなかった。

 

「あたしはここの調理を担当している者さ。まぁ、料理長だね。おっと、細かいことを説明をしていると、夕食の時間帯に間に合わないね。とりあえず、そこの野菜を片っ端から切ってくれるかい?」

「「分かりました。」」

「わ、分かりました。」

 

幻たちは料理長の指示に従い、手元にある野菜を切り始めた。ちなみに幻と月影は野菜を均等に切っているのだが、雪羅だけはその大きさがバラバラだった。それを見た料理長は、微妙な表情で幻たちの方を見た。

 

「『ねぇ、この子って』」

「『えーと、我が家だと俺と月影が料理担当なもんで。』」

「『雪羅ちゃん、昔(前世)から料理が苦手で。』」

 

2人が念話でそう告げると、料理長は雪羅の方を向いて口を開いた。

 

「あんたはそこに溜まってる皿や鍋(業務用)を洗ってくれないかい?ここも人手不足でね。作業を分担してもらわないとね。」

「分かりました。正直、私にはこういった作業の方が向いていますので。」

 

雪羅はそう言うと洗い場の方に歩いて行った。

 

「一通り切ったようだね。じゃあ、本格的に作るから手伝いな。」

「分かりました。幻くん、飛天家の料理技術の腕前を見せてあげようよ!」

「いや、俺が作る料理や調理法、割と適当だし。」

 

そう言いながら幻たちは調理を再開した。そんな中、料理長は幻たちの調理法を見てその腕前に感心していた。

 

「(適当とか言いながら、いい腕してるじゃないかい。)」

 

その日のアースラの夕食メニューは今までの中で一番豪勢だったという。

 

――――――――――――――

 

そして、翌朝、ついに最後のジュエルシードがアースラの捜索網にかかり、幻たちは現場に急行した。その現場でなのはと幻の報告を受けて来たフェイトの2人がジュエルシードを挟んで立っていた。その光景を飛天一家、ユーノ、アルフ、神城、モニター越しに管理局メンバーとプレシア&リニスがそれぞれ見ていた。そして、なのはが口を開いた。

 

「フェイトちゃん。やっぱり来たんだね。」

「……バルディッシュ」

『Scythe form.』

 

一方、フェイトはバルディッシュをなのはに向け、静かに言った。

 

「これは、渡せない。」

「それは私も同じだよ。」

 

そう告げるとなのはもバリアジャケットを身に纏い、レイジングハートを構えた。そして、微笑みながらフェイトに語りかけた。

 

「ねぇ、フェイトちゃん。私たちって戦ってばかりでお互いのことは何も知らないよね? 私はフェイトちゃんともっと色んなことを話してみたい。だから私が勝ったら、全部話してほしいんだ。そして、友達になって欲しいな。」

「!? ……友、達?」

 

「うん。だから最後1個のジュエルシードを賭けて、始めよう? 最初で最後の本気の勝負!」

 

なのはとフェイト。2人の最後の大勝負が始まった。

 

 

続く




というわけでリンディさんに怒られました。

いやー引っ越しで使えなかったネットがようやく復活しました。大家さんの都合で引っ越しを命じられて、数週間。ようやく終わりましたよ。

以下補足です。

剣精は浮遊できます。
アースラの厨房の話は、俺の想像です。
……今回はこれくらいですかね。


では、また次回!!
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