「うああぁぁぁ……ぁあ……あれ?」
確か俺・飛天 幻は月影、雪羅と共に神にこの世界に行くよう頼まれて、転生して……そして……
「そうだ、あの神、俺たちを穴に落としたんだっけ。あれ? でも、今は普通に地面に立ってるな。」
「不思議だねー……ところで、あの、幻くんだよね?」
「? 何言ってんだ? 月……影……」
と幻は横にいる月影と雪羅に目を向け、そのまま固まった。
明らかに目線がおかしかったからである。
「俺って確か2人より背高いよな。俺の視界に2人の緋袴が写ってるんだが。これって、まさか……」
「明らかに縮んでますね、身長。」
「……かわいい、撫でていいですか? いいですよね?」
可愛いもの好きの月影が、小さくなった姿の幻ににじり寄ってきた。
「月影? え? ちょっ、待っ……うわぁぁぁあ!!」
その後、幻は月影たちに押し倒……もとい可愛がられた。
―――5分後―――
「ぜぇ、ぜぇ……と、ところで、目の前にある家って拠点か?」
幻たちの前には、和風建築の家が建っており“飛天”と書かれた表札が玄関扉に横にあった。
「とりあえず中に入りましょう。」
ガラガラ(→引き戸)
「…………え?」
幻たちが家の中に入ると、玄関に1人の少女が立っていた。
銀色の髪と人形のような容姿を持つその少女は、幻たちを見ると驚いたように小さく声を上げた。
「「「……え、誰?」」」
見覚えのない少女に3人は同時に同じ反応を示したが、少女の方は3人を知っているようで、幻たちを見つめながらポツリと呟いた。
「つきかげ、せつら……げん?」
「その話し方。まさか朧か?」
「うん。」
少女の話し方から彼女の正体が分かった幻がその名を呼ぶと、銀髪の少女・朧はトテトテと幻の所に歩いていき、そのまま幻に抱き着いた。彼女・朧は、前の世界で幻直属の密偵として活動していた。そして、彼女もまた大戦後に処刑されていた。
「……朧、お前どうやって、ここに? つか、その姿は? 小さいから誰か分からなかったぞ。」
「神に会った。げんも、ここに来るって言われた。あと、勝手に小さくなってた。」
どうやら、彼女は幻たちよりも一足先に転生していたようだった。そして、その容姿も幻同様に縮んでいた。
「そうなんだ。でも、また会えて嬉しいよ、朧ちゃん。」
「私もです、朧。」
かつての仲間との再会に月影と雪羅も朧の小さな体を優しく抱擁して喜んだ。
「うん……ところで、つきかげ、せつら、げんも小さい。……なんで?」
「……神のせいだ。絶対、神のせいだ。お前と一緒だ。」
「そうなんだ。あっ、神から荷物、渡された。今、居間に置いてある。」
朧はそう言って、幻たちを居間に案内した。
するとそこには、段ボールが数箱置かれており、中を見てみると日常生活に必要な物や衣類などが入っていた。さらに、別の段ボールには“この世界の常識”というタイトルの本が10冊入っていた。(ちなみに、神は原作の予備知識本をこれに入れ忘れ、さらに直接渡すのも忘れていた。)
「常識本ねぇ。まぁ、確かに見慣れない物も多いし、読んでみるか。」
まず、幻たちはそれらの常識本を読み、この世界における常識を理解することから始めた。
――――数時間後――――
「……この世界、常識多すぎだろ。」
箱に入っていた常識本を半分ほど読み終えた幻が背伸びをしながら感想を言った。
「ほんとだねー……あれ? 幻くん、箱の底に何かあるよ?」
幻同様に背伸びをしていた月影は、段ボールの底にあった1枚のメモ用紙に気が付いた。幻は置かれていたメモを拾い上げて、読み始めた。
「えーと、なになに?“幻へ。無事に転生できたようじゃな。その家とお金は、自由に使ってくれて構わん。それと、お主らの仲間を先に転生させておいた。あと、背丈についての文句は言わんでくれ。転生すると色々と制約があるんじゃよ。剣の精霊である月影たちはともかく、人間の朧や、半妖のお主には、仕方のないことなんじゃ。では、よい生活を送ってくれ。あと、仕事の方もよろしく頼む。ではな。 神より。
追伸・常識本は必ず読んでおくように。あと、お主には近所にある小学校に転校してもらう。手続き等はこちらで全てやっておいた。”……小学校だと?」
「小学校……6歳~12歳くらいの子供が通う教育機関ですね。確かに幻の今の姿で昼間に外を出歩くと補導されますね。きっと。」
と常識本のページを捲りながら雪羅が淡々と呟いた。
「マジかよ。学校なんて前世の1回で十分だぜ。まぁ、イレギュラーの情報収集と思えばいいか。えーと、俺が転校するのは……“私立聖祥大付属小学校3―A”か。」
こうして、幻の受難の日々が始まったのだった。
続く
まぁ、少し短いですが・・・
2話です。