閲覧ありがとうございます。
ようやくこの『
今回は説明回で、非常に短いものとなっています。細かいことは気にせず、説明の内容だけ頭に入れてくだされば結構です。
世界の名前はマキシマムクロス。
あらゆる次元、あらゆる時の流れの中心に位置する、世界の交差点。あらゆる世界の技術と文化が終結する、文明の中心。
魔法と科学で異世界同士の貿易を管轄する
「しかし連れてくるのが意外に遅かったな」
「いやあ、君にはこの世界を見て貰いたくてさ。一見さんの渡航権取得に手間取ったんだ」
地上四百メートルの高層マンション、見渡す限りのハイテク都市を一望できる広い窓を持つ部屋で、二人の男が話している。
細身だが筋肉質な体躯を、フードの付いたモスグリーンのタンクトップ、その上に羽織った同じくフード付きの黒いパーカーと、青いGパンで包んだ長身の男。黒髪赤眼、眼球表面はモスアイ構造で光を反射しない。
黒いフォーマルなスーツを着こなし、頭頂部と腰から黒い髪と同色の耳と尻尾を生やした男。目は視えておらず、固く閉ざされている。春夏冬海生。『東方project』の世界からやってきた、吸血鬼と月人と鎌鼬と人間の混血種で、マキシマムクロスでは『吸血する盲目の螺旋』の異名をとる有名人だ。
二人はひょんなことから同じ世界線で邂逅し、そして小櫃が元の世界に帰る時、ある契約をしたのだ。
それは、海生の持つ『回転と流動を操る程度の能力』の、世界線操作という側面を擬似的に再現する装置を作るべく、『
「本当に大丈夫なんだろうな、海生」
「まあまずは説明をだね」
契約時点で安全(元の世界へ無事帰れるという意味での)が保証されているとはいえ、小櫃は異世界に飛び込むという行為に不安を拭い切れずにいた。唯でさえ彼は幻想入り、即ち東方projectの世界へ死と同時に引き込まれ、その数時間後に妖怪との戦闘で大怪我をしているのだ。小櫃の心配も杞憂とはいえないだろう。海生はそんな小櫃を宥めるように、持っていたクリアファイルから一枚の紙を取り出した。
依頼先:
介入:
ナノマシンによる亜空間通信:
アームキャノンのアップデート:
食料配給:
弾薬配給:
医療支援:
導入方式:
それぞれの項目にある空欄が、記入フォームとなっているようだ。
「それは?」
「僕の依頼状。君は行き先の世界で君の思う通り行動すればいい訳だけど、その時の注意点みたいなものさ」
小櫃の質問に海生が答え、彼の説明が始まった。
「まず、『依頼先』の項目。これは文字通り、行き先の世界になるね」
「行き先…『メトロイドシリーズ』のような?」
「そう。行き先の世界観設定については、ある程度脳内にインプットしてあげるから、君が予備知識を持っていなくても大丈夫だよ」
彼の話では、今のところ予定している世界は『メトロイドプライムシリーズ』『メタルギアシリーズ』『インフィニット・ストラトス』『戦姫絶唱シンフォギア』などで、今後も増えるかもしれないとのこと。また、小櫃のいた東方projectの世界にも幾つものパラレルワールドが存在する為、そちらに向かう可能性もあるという。
「次に、『介入』の項目。大抵は‘積極’か‘自由’、たまに‘消極’って書かれるね」
「どういう意味だ?」
「君がその世界の元々の流れ――原作にどれ位介入して影響を与えられるか、みたいなものかな。‘積極’だとどう行動しても原作の流れが大きく変わるし、反対に‘消極’は原作とあまり接点がない。‘自由’だとその中間、原作の変化は君の行動次第さ」
多世界解釈の観点からすると、原作から外れた展開はパラレルワールドとして分岐する為、原作そのものには影響は出ない。小櫃は行き先でのあらゆる行動の自由を得た。が、
「『ナノマシンによる亜空間通信』の項目は、」
「俺に打ち込んだ通信用ナノマシンでお前と話せるか否か、だな」
「言わせてくれよ…まあいいか。‘可’と‘不可’、他にも‘不安定’‘一定期間後には使用不能’とか書かれるけど、ぶっちゃけ僕の都合次第だね」
「わかった。寂しくなったら連絡する」
海生はDTCOとも関わりがあり、依頼を受けて次元渡航用の魔術やオーバーテクノロジーを作ることがある。その仕事で彼は巨万の富を得ているが、それだけあって忙しくもなる。他にも世界線のシミュレートなどで実験を繰り返しているから、通信できなくとも仕方がないと、小櫃は諦めることにした。
「『アームキャノンのアップデート』は、君が使っている武器、アームキャノン・ジェネラルカスタムに機能を追加するか否か、追加する場合はどんなものか、というのを記入する」
「アップデートがない場合もあるのか。生体攻撃が通じない敵がいたらどうすればいいんだ?」
「君の武器はマキシマムクロスでも類い稀な傑作でね、どんな相手でも対応できるから大丈夫だよ。でも悪いけど、原作に影響を与えすぎることがあるから、たまにアームキャノン自体没収させて貰うね。ああ平気平気、そんな怖い顔しないで! その世界で生き残れる‘代わりのもの’を用意するからさ、とっておきの」
例を挙げると、『戦姫絶唱シンフォギア』ではアームキャノンを使えなくなる。そもそもがBio Forceにのみ存在する重金属元素を使うものであり、あらゆる位相に干渉する生体攻撃は原作のパワーバランスを容易く崩してしまうからだ。
「『食糧配給』と『弾薬配給』は、行き先の世界で親権者のいない君が生活に困らないよう食料を送るか否か、それとアームキャノンの弾薬、つまりミサイルを送るか否か」
「前者はともかく、後者は常に‘可’にして欲しいのだが…」
「そっちが‘不可’になるのは
小櫃のサバイバルスキルは高い。だが彼は行き先の世界では
「『医療支援』だけど、これは僕が薬を用意できるかにかかってくるね」
「風土病の予防薬とかか」
「それと、君の幾つかの能力を制限するナノマシンとかだな。ゼノトロピックシェルなんて使わせないよ。僕知ってるよ? 君がバスターでチートになりかねないこと」
「……」
小櫃の持つ四つの特殊能力『スキャニング』『バイオロケーション』『バイオブースター』『バスター』は、場合によっては封印或いは制限される。これもまた原作のパワーバランスが崩壊するのを防ぐ為と、行き先の世界に余計な混乱を与えない為だ。その場合の小櫃の弱体化は避けられないものになるだろう。
「最後に、『導入方式』。君をどんな方法で世界に送り出すかを書く欄だ」
「ワームホールでも開くのか?」
「まあそういう意味での方法でもあるけど、例えば‘故障した小型宇宙船での漂流’とか‘○○の救助’とかみたいに、どんな風に世界に関わるか的な意味も含めてかな」
この項目に記入される内容は最もバリエーションの多いものになるだろうと、海生は予測している。各世界ごとに最善の導入方式を選ばなければ、世界に入り込んだ小櫃は特異点どころかファクターとしてすら働かなくなってしまうこともある。そうなれば有意義なデータは取れない。
「…とまあ、ざっとこんな感じかな。何か質問は?」
「…向こうで死んでも、戻ってこれるのか?」
「勿論さ。君が死んだら、その時点で終了。データ採取も打ち切って、君はここに戻ってくる」
「そうか…良かった」
小櫃は安堵した。元の世界の同居人――家族を、悲しませる訳にはいかない。
「よし、それじゃあ早速だけど――」
英雄は盲目の案内人に導かれ、異世界での新たな冒険を始めようとしていた。
依頼先:
介入:
ナノマシンによる亜空間通信:
アームキャノンのアップデート:
食料配給:
弾薬配給:
医療支援:
導入方式:
このフォームが、各章の最初の話の本文冒頭に必ず記載されます。
小櫃がどのような条件で世界に入り込んでいくのか、その指針となるものです。まあ、彼の性格というか唐変木な性分である程度行動は予測できちゃったりするかもですが…
次回から本編です。
色々な原作に介入するので、それらに興味のある方は是非とも読んで頂きたいですね。