SI -Second Irregular- 作:リンク切り
「それから乃至、あの機体は間に合いそうに無い。試合の日の訓練機は1機取っておいてやったからそれで挑むことになる。いいな?」
「ああ、問題ないぜ。むしろそのくらいが丁度いいハンデ・・・・・・いや、ハンデにもならないな。」
「むかっ!!」
「以上で通達は終わりだ。オルコット、席に着け。時間が押している、授業に入るぞ。山田先生?」
「は、はい、では、授業を始めます。教科書を開いてください。」
とぼとぼと彼女は席に着き、着席する。他の生徒も、教科書や筆記用具を用意して授業の体制に入った。
俺か?俺は、トランプでもしようかな。
「IS、インフィニット・ストラトスは、操縦者を特殊なエネルギーバリアで包んでいます。このシールドエネルギーのことを、絶対防御と呼びます。皆さんはこの機能により、安心してISに登場することができます。絶対防御のことは、昨日も学びましたね。命に関わることなので、しっかり覚えてください。」
俺がトランプで遊んでいる間、一夏は鬼のようにノートを取っていた。基本的なことだが、確かに正しく知っておかないと危険なこともあるかもしれないしな。
「ISには意識に似たようなものが存在していて、お互いの対話・・・・・つまり、人間が一緒に過ごした時間で分かり合えるように、ISも操縦時間に比例して操縦者の特性を理解しようとします。」
ノートに書き写した後、頭を抱えてうなだれる一夏。おい、ここは躓く所じゃないだろ。
「簡単に言うとだな、『ISに乗れば乗るほど、乗ったISとの相性が良くなる』ってことだ。」
「なるほど、そういう事か・・・・」
「意味が分かったところで、もう一度山田真耶教諭の台詞を繰り返すぞ。『ISには意識に似たようなものが存在し、互いの対話、つまりは人間が一緒に過ごした時間で分かり合えるように、ISも操縦時間に比例して操縦者の特性を理解しようとする。』理解できたか?」
「おう!漣夏って、教えるの上手いな!」
「わ、私は、先生なのに・・・・・・」
爽やかな笑顔で言葉のナイフをぶん投げる一夏。まあ確かに、山田真耶教諭の弁論は論理的でわかりやすくはあるんだが、一夏みたいに何も知らない奴には一度噛み砕いて説明しないと分からないことが多いからな。
「ですので、ISは道具ではなく、飽くまでパートナーという認識をしてください。」
パートナー、ねえ・・・・・
「ここまでで、質問のある人はいますか?」
「1ついいか?」
「はい、乃至くん。何ですか?」
「ISコアは意識に似たようなものを持っているというのはわかった。だが、意識に
「はい、大丈夫ですよ。ISコアは操縦者を理解しようとはしますが、それ以上の干渉はありません。例えば、ISコアにISの操縦をしてもらうなんてことや、意思疎通を図ることなどは出来ません。もう少し研究が進めば、実現する可能性はありますけど。」
「なるほどな・・・・・」
「ですが、『理解しようとする』事に関してはとても凄い能力を持っています。ISコアの意識は操縦者の特性、つまり強みを活かせるような形態に変わることがあるんですよ。それを、
「よくわかった、俺からは以上だ。」
「では、他に質問はありますか?」
ふむ、聞くことは聞いたし後はどうでもいいか。一応聞いてはおくけど、全部知ってることだろう。
「箒、飯食いに行こうぜ?」
時が変わって、昼の休み時間。IS学園は給食制ではなく、お弁当か学食で昼食を食べることになっている。
ちなみに俺は学食での食事が無制限にできるフリーパス?みたいなものをIS学園側から貰っていて、学食でならいくら食べても問題は無い。
「・・・・勝手に行っていろ。私は後から行く。」
「そうつれないこと言うなよ、な?漣夏もどうだ、一緒に行かないか?」
「俺はいい、苹果と行くからな。」
「ふぇっ!?」
びくりと肩を跳ねさせて驚く苹果。
あれ?俺は最初からそのつもりだったんだが、苹果はそうじゃなかったのか?
「じゃ、4人で行こうぜ!」
「そうだな。苹果もそれでいいか?」
「わ、私、一緒に食べていいのかな?」
「当たり前だろ?よし、じゃあ食堂へ行くか。」
「勝手に話を進めるな!私は一緒に食事などしないからな!」
「そう言うなって。ほら、立て立て。」
そう言うと一夏は、篠ノ之箒の腕を掴んで強引に立ち上がらせる。
「おい、私は行かないと・・・・!」
「なんだ、歩きたくないのか?おんぶしてやろうか。」
「なっ!?は、離せっ!」
ガッシャーン!!
腕を払いのけ、一夏を突き飛ばす。何やってるんだ。
「いっててて・・・・・腕あげたな、箒。」
「ふ、フン。お前が弱くなったのではないか?こんなものは、剣術のおまけだ。」
「そうだぞ一夏。女の子にはっ倒されてるようじゃ、セシリア・オルコットには逆立ちしても勝てないだろうな。」
「いきなりだったから驚いただけだって。ほら、飯食いに行くぞ。」
「お、おい、いい加減に・・・・・」
「黙って付いて来い。」
「・・・へ?」
「おお!!」
「ん?どうしたんだよ、漣夏?」
「いや。」
昔の九州男児みたいなセリフだ。男のお手本のような奴だな、言葉だけは。
先程まで嫌だやめろと言っていた篠ノ之箒も、閉口して連れていかれる。少し頬が紅く染まっているのは見間違いではないだろう。
「とりあえず俺たちも食堂行くぞ。ほら、行こう苹果。」
「う、うん・・・・・」
そして食堂。
「漣夏、本当にそれ、全部食べるのか・・・・?」
「当たり前だろ。無料で買えるからと言って無駄には出来ないからな、残しはしない。」
「それならいいんだけど・・・・無理するなよ?」
「大丈夫だって。これくらいなら余裕だ。」
俺たちは窓際の席へ座って食事をとっていた。左から篠ノ之箒、一夏、俺、最後に苹果の順番だ。
それにしてもこのテーブルと椅子、面白い形してるな。
「なあ、漣夏。」
「どうした?カレーはやらんぞ。」
「2杯もあるんだから少しくらいいいだろ!いや、そうじゃなくてさ・・・・・ISの事、教えてくれないか?」
「IS?なんでまた?」
「俺たち、セシリアとISで模擬戦することになっただろ?俺、ISの事ほとんど知らないし・・・・
このままじゃ、何も出来ずに負けそうだ。」
「今日の授業で、セシリア・オルコットとの差がはっきりとわかったな?よく分かったな。このままだと確実にお前は負ける。」
「俺もそう思う・・・・・だから、漣夏に教えてもらおうと、」
「俺も初心者だが、その辺はどう考えてるんだ?」
「ほら、漣夏って授業に付いていけてるし、むしろ聞いてないくらいだろ?」
「聞いてはいるぞ。」
「いや、でもいつもトランプでゲームしてるだろ?」
「ゲームをしながら聞いてるんだ。」
「それは聞いてるって言わないだろ?」
「ちゃんと聞いている。いいから続きを話せ。」
「・・・・・それに今日の授業での漣夏が教えてくれた解説、わかりやすかったからな。」
「山田真耶が分かりにくい授業をしている訳じゃないぞ、むしろわかりやすい。お前の頭が付いていってないだけだ。」
「それは・・・・・・わかってる、けど、漣夏なら俺でもわかる説明が出来るだろ?」
「ま、そうかもしれないけどな。だが一夏、俺たちはクラス
「そこを何とか頼む!絶対に、負けたくないんだ。」
急に真剣になるなよ、断れなくなるだろ。
綺麗に食べ終わったカレー2皿を重ね、鰤の照り焼きに手をつける。
「わかった。だが俺の知ってる事だけだぞ。参考書に書いてあったこととか、授業の内容とかくらいしか分からないけどいいのか?」
「ああ、充分だ!」
「それは重畳。ただ1つ、条件があるがいいか?」
「ああ、なんだ?」
「ISの事を知ったとしても、アイツには勝てない。技量の差とか、実戦経験なんてものも圧倒的に足りていない。そこで、だ。篠ノ之箒、彼女に稽古を付けてもらえ。」
「え?」
ちらりと彼女を一瞥する。突然指名されて驚く篠ノ之箒。
「頼めるか?」
「誰が一夏の事など・・・・・」
「ちょっといいかしら?」
・・・・来たか。ここでストーリーが変わらなければ大丈夫だ。
「君たち、噂の子だよね?」
「え?」
「代表候補生の子と勝負するって聞いたけど、君素人だよね。私が教えてあげよっか?」
「素人・・・・・?俺は
「でも、まだIS数回しか起動させたこよないでしょ?」
「俺は2回目の起動でブリュンヒルデ、織斑千冬に勝っている。それ以上の実力があるなら、こちらから頼みたい所だが・・・・・どうだ?」
「ブリュンヒルデ・・・!?」
「ああ。だから、俺はいいから隣の
「そ、そう・・・じゃあ、あなたはどう?君は初心者でしょ?」
「結構です。私が教えるつもりなので。」
「えっ!?」
「貴女、1年生でしょ?私、3年生。私の方が上手く教えられると思うな。」
「私は、篠ノ之束の妹ですので。」
「っ・・・・そ、そう、それなら仕方ないわね・・・!」
捨てゼリフを吐いて立ち去る噛ませ犬B。
引き際がいいのには関心するね、ナイスな噛ませ役だ。好感度は高いぞ。
「箒、教えてくれるのか・・・・?」
「
「サンキュー箒!」
どうやら上手くいったようだ。ありがとう噛ませ犬、君のことは忘れないよ、名前さえ知らないが。
「あ、そう言えば苹果。一夏とISのこと教える事になっただろ?俺たちの部屋でやろうと思うんだが、いいか?」
「うん、いいよ。」
「悪いな、ありがとう。」
「ううん、大丈夫だよ。私は部屋の端で大人しくしてるね。」
「何だよ、一緒にしようぜ?」
「えっ、いいの?」
「いいよな、一夏?」
「ああ、いいぜ。」
「って事だ。篠ノ之箒、お前もどうだ?」
「私はいい。」
「やると言っても授業の復習みたいなものだ。授業に付いていけてないようには見えないが、理解を深めて悪いことはないと思うぞ。」
「・・・・・・わかった、私も行こう。」
「決まりだな。」